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関東軍事変
勇気
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「失礼します」
一礼して機関科の竹田が入室した。副長ほど硬くはないが、その立ち姿には迷いがなかった。
「要件は?」
私が問いかけると、竹田は一瞬ためらったのち、きっぱりと言った。
「……機関長を救出していただきたく、ここに参りました」
その言葉が胸を深くえぐる。思わず息をのんだ。
「それは――」
「わかっています」竹田は震える声で続けた。「艦長代理の一存で動けることではないのも……私たちにできることなんて、ほとんどないのも……。でも、それでも……!」
体を小刻みに震わせながら、彼女は涙をにじませて頭を下げた。必死の想いがひしひしと伝わってくる。私はその姿に、ほんのわずかだが勇気をもらえた気がした。
「……わかった」
小さく返した声に、竹田が顔を上げる。
「それは……機関長を救出する、ということですか」
問いかけられ、言葉を詰まらせた。はっきりとは答えられない。それでも、この勇気ある訴えを無視することなどできるはずがなかった。
「……私は、私にできる最善を尽くす」
自分に言い聞かせるように、竹田に向けて言葉を放つ。
彼女の瞳にわずかな希望が宿るのを見届け、私は立ち上がった。
もう迷ってはいけない。私にできる最善を――必ず。
一礼して機関科の竹田が入室した。副長ほど硬くはないが、その立ち姿には迷いがなかった。
「要件は?」
私が問いかけると、竹田は一瞬ためらったのち、きっぱりと言った。
「……機関長を救出していただきたく、ここに参りました」
その言葉が胸を深くえぐる。思わず息をのんだ。
「それは――」
「わかっています」竹田は震える声で続けた。「艦長代理の一存で動けることではないのも……私たちにできることなんて、ほとんどないのも……。でも、それでも……!」
体を小刻みに震わせながら、彼女は涙をにじませて頭を下げた。必死の想いがひしひしと伝わってくる。私はその姿に、ほんのわずかだが勇気をもらえた気がした。
「……わかった」
小さく返した声に、竹田が顔を上げる。
「それは……機関長を救出する、ということですか」
問いかけられ、言葉を詰まらせた。はっきりとは答えられない。それでも、この勇気ある訴えを無視することなどできるはずがなかった。
「……私は、私にできる最善を尽くす」
自分に言い聞かせるように、竹田に向けて言葉を放つ。
彼女の瞳にわずかな希望が宿るのを見届け、私は立ち上がった。
もう迷ってはいけない。私にできる最善を――必ず。
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