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森の中の秘密
森の中の秘密3
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咆哮。
聞いたこともない、地の底から這うような重低音。
その正体が何か、誰にもわからないのに、おそらくは巨大な獣の咆哮であろうと推測された。
「な、何だい、今のは」
リリアナ姫さえも怯えたように周囲をぐるぐると見渡す。ラシルに向けた剣はとうに下がっている。
やがてその咆哮は次第に大きくなり、近づいてくるのが察せられた。
「……ああ、そうか。子供だったんだね」
アシュランが一人先に気づいて、ひとりごちる。
もしかして。
ラシルも少し遅れて気づいた。
「今度こそ、本物ってことですか?」
リリアナ姫が戦闘態勢を解いたので急いでラシルに駆け寄ると、アシュランは頷いた。
「アレが偽物ってことではないけど」
「…そうですね」
やがて、一番広い木と木の間から現れたのは――――予想通り、ドラゴンだった。
昨日出逢ったドラゴンもどきとは明らかに大きさも迫力も違う、成熟したドラゴンだ。
「あ、あの子…!」
もどきがふよふよとドラゴンの前を飛んでいる。
「もしかして…助けを呼んでくれたの…?」
「あいつの親なのかな?」
ラシルが窮地に陥っていると察して?
「ひっ…!」
そして推測された通り、ドラゴンはラシルとアシュランには目もくれず、リリアナ姫にまっすぐに向かっていく。
「ぎゃ、ぎゃあ―――――た、助けて―――――!!」
蒼白になって踵を返すと急いで逃げようとするリリアナ姫に、容赦なく襲い掛かるドラゴンの爪。広い背中の悪趣味なドレス生地が小さく裂けた。
「…あのままでは、危ないです、よね」
「そうだね…見過ごしても罰は当たらないと思うけど…」
アシュランの言いたいことはよくわかる。よくわかるのだが、このまま放っておいてはどんな惨状になるかわからない。そしてそれはいくら憎い相手であっても気持ちのいいものではない。
「でも、どうすれば……」
助けるにも方法がわからない。戸惑っていると子供ドラゴンがやってきてラシルの杖をつついた。
「ど、どうしたの?」
すると。
リグナム・バイタの杖が勝手に動き、ラシルは引っ張られるようにしてドラゴンの前に連れて行かれた。
「ど、ど、どういうこと!?」
どうなってるの、とパニックになるが、その時。
ふわ、と体が浮くような感覚があった。
実際に浮いていたのはラシルが首から下げたペンダントのようなものだ。師匠に拾われた時に身に着けていたという唯一のラシルの元々の持ち物で―――ラシルの目の高さまで浮き上がって初めて気づいた。丸い形の天辺に穴が開いている。これは、これはもしかしたら―――笛?
無意識だった。
咄嗟に浮き上がった笛を掴み唇に当てると―――やわらかい、やさしい音が響いた。
ぱん、と何かが弾けた。
急に視界が弾けたような感覚を覚えてラシルはふるふると首を振ってみるが、それが何故なのかわからなかった。
そしてドラゴンは。
リリアナ姫に襲い掛かっていた時とは違う生き物のように、地面に足を下ろし翼を畳み――――ラシルに頬を摺り寄せる。
(け、結構、怖いんですけどー!)
心の中の叫びは口に出せないが、摺り寄せるざらざらした肌をそっと撫でてやった。
「ありがとう、いい子だね」
そう言うとドラゴンは、嬉しそうにきゅうっと鳴いた。
それはまるで子供ドラゴンの声みたいだった。
聞いたこともない、地の底から這うような重低音。
その正体が何か、誰にもわからないのに、おそらくは巨大な獣の咆哮であろうと推測された。
「な、何だい、今のは」
リリアナ姫さえも怯えたように周囲をぐるぐると見渡す。ラシルに向けた剣はとうに下がっている。
やがてその咆哮は次第に大きくなり、近づいてくるのが察せられた。
「……ああ、そうか。子供だったんだね」
アシュランが一人先に気づいて、ひとりごちる。
もしかして。
ラシルも少し遅れて気づいた。
「今度こそ、本物ってことですか?」
リリアナ姫が戦闘態勢を解いたので急いでラシルに駆け寄ると、アシュランは頷いた。
「アレが偽物ってことではないけど」
「…そうですね」
やがて、一番広い木と木の間から現れたのは――――予想通り、ドラゴンだった。
昨日出逢ったドラゴンもどきとは明らかに大きさも迫力も違う、成熟したドラゴンだ。
「あ、あの子…!」
もどきがふよふよとドラゴンの前を飛んでいる。
「もしかして…助けを呼んでくれたの…?」
「あいつの親なのかな?」
ラシルが窮地に陥っていると察して?
「ひっ…!」
そして推測された通り、ドラゴンはラシルとアシュランには目もくれず、リリアナ姫にまっすぐに向かっていく。
「ぎゃ、ぎゃあ―――――た、助けて―――――!!」
蒼白になって踵を返すと急いで逃げようとするリリアナ姫に、容赦なく襲い掛かるドラゴンの爪。広い背中の悪趣味なドレス生地が小さく裂けた。
「…あのままでは、危ないです、よね」
「そうだね…見過ごしても罰は当たらないと思うけど…」
アシュランの言いたいことはよくわかる。よくわかるのだが、このまま放っておいてはどんな惨状になるかわからない。そしてそれはいくら憎い相手であっても気持ちのいいものではない。
「でも、どうすれば……」
助けるにも方法がわからない。戸惑っていると子供ドラゴンがやってきてラシルの杖をつついた。
「ど、どうしたの?」
すると。
リグナム・バイタの杖が勝手に動き、ラシルは引っ張られるようにしてドラゴンの前に連れて行かれた。
「ど、ど、どういうこと!?」
どうなってるの、とパニックになるが、その時。
ふわ、と体が浮くような感覚があった。
実際に浮いていたのはラシルが首から下げたペンダントのようなものだ。師匠に拾われた時に身に着けていたという唯一のラシルの元々の持ち物で―――ラシルの目の高さまで浮き上がって初めて気づいた。丸い形の天辺に穴が開いている。これは、これはもしかしたら―――笛?
無意識だった。
咄嗟に浮き上がった笛を掴み唇に当てると―――やわらかい、やさしい音が響いた。
ぱん、と何かが弾けた。
急に視界が弾けたような感覚を覚えてラシルはふるふると首を振ってみるが、それが何故なのかわからなかった。
そしてドラゴンは。
リリアナ姫に襲い掛かっていた時とは違う生き物のように、地面に足を下ろし翼を畳み――――ラシルに頬を摺り寄せる。
(け、結構、怖いんですけどー!)
心の中の叫びは口に出せないが、摺り寄せるざらざらした肌をそっと撫でてやった。
「ありがとう、いい子だね」
そう言うとドラゴンは、嬉しそうにきゅうっと鳴いた。
それはまるで子供ドラゴンの声みたいだった。
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