私と騎士様の危い愛

月野さと

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46話

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 ロドリスが、床に転がり、動かなくなった。
 私は、その顔を見て、震え上がる。

「貴様!!こんな事をしてタダではすまんぞ!」
「我々はこの目で見たぞ!団長を殺害するとは!お前は終わりだ!」
 神官達が騒ぎ出す。
 すると、別の覆面の男が言った。
「成敗!」
 その言葉が、号令だったようで、全員が覆面の男達の刃で床に倒れた。
 私は、その鈍い音を聞きながら、ジルの顔を見上げる。
 ジルは、私を辛そうな目で見つめていた。その目に手を伸ばす。
「ジル‥‥」 
「…捕まってろ。」
 そう言うなり、ジルは私を片腕で抱きかかえる。

 覆面の男が、低い声で叫んだ。
「撤収する!」
 その号令のもと、6人全員が出入口に向かった。
 廊下で娼婦とすれ違うが、物凄いスピードで走り抜ける。娼館を出て、覆面の男たちは全速力で繁華街を走り抜ける。その奥に、馬車が待っていて、そこに全員乗り込んだ。

 馬車に乗り込んだ瞬間に、覆面を脱いで、ダンが駆け寄って言った。
「おい!傷を見せろ!」
 リオンも駆け寄り、青い顔で言う。
「とにかく、早く医者に!」
 しかし、覆面の男で、見知らぬリーダーのような人が言う。
「次の馬車に乗り換えてからだ。持ちそうか?」
 薄暗い中で、私は、ただただ、ガクガクと震えていた。
 次々と涙が溢れて、心臓が締め付けられて、息が思うように出来ずにいた。
 拳銃…そんなものを受けたら、死ぬしかない。そんな物を…まともに食らったら…。
 ジルの左胸に、銃弾の痕が…布を突き破った穴が見えた。……ここ…ここに当たったの?!胸に…?!
「……つ、…はぁ…なんとか、大丈夫だ。」
 苦しそうに、ジルが言う。
 私は気が動転していた。
「嫌……」
 そんなわけない。大丈夫なわけない!
「嫌だ…‥‥嫌だ嫌だ嫌だ!ジル!死んだらヤダ!」
「ミレイ…落ち着け…」
「お願い!すぐにお医者様の所に行って!なんでもする!私、何でもするから!お願い!ジルを助けて!」
「ミレイ!」
 グイっと引き寄せられて、抱きしめられる。
「……ジル…ダメ…ダメだよ放して!」
「大丈夫。大丈夫だから。」
 私を抱きしめたまま、手を胸ポケットに入れて、何かを取り出す。
 シャラっと、小さな音がして、鎖が零れ出る。
 薄暗い中、それが、キラキラと光った。

 それを見たダンが、ホッとしたように言った。
「懐中時計?」
 ジルの胸ポケットから出て来たのは、私がプレゼントした懐中時計だった。その懐中時計に、銃弾が食い込み、凹んでいた。
「どうやら、これで命拾いしたようだ。」
 目を細めて、微笑む。
 すると、リオンが、隣で胸をなでおろす。
「…はぁ~、焦りました。鉛の玉が飛び出る兵器とは、聞いた事がありますけど、まさかヤツらが持っているだなんて。」
「あぁ、危ない所だった。確かにまともに食らってたら死んでたな。…っ…しかし、衝撃が強くて、あばらが少しやられたかもしれん。」
「マジか…なんかすごい音してたもんなぁ。」
 ダンが、マジマジと懐中時計に刺さった鉛の玉を眺める。こんなものを胸に受けたく無いわぁ~と、冷や汗をかいていた。

 私は、ヘナヘナ…っと、体の力が抜けて、ジルの右肩にもたれかかる。本当に、死んじゃうのかと思ったのだ。この人を、失うのかと……。
 なんとなく、信じられなくて、確かめたくて、右の胸に優しく手を置いて、触れてみる。
 確かに、血は出ていない。
 良かった。良かったぁ~。
 
 声を上げずに、静かに静かに大粒の涙を流しながら、そうっとジルに抱きついた。
 はぁ~っと、大きな溜息をつく。
 薄暗い中、ジルは片腕で、ギュッと私を抱きしめて、優しく頭を撫でてくれた。

  
  



 馬車を1度乗り換えて、王都を出たとカモフラージュしてから、帰宅した。
 覆面の集団と別れてから、「明日は、予定通りに」とリオンとダンに言って帰宅した。 
 
 私とジルも、帰宅してお風呂に入る。
 
 なんだか、色々なことがあって、暫くは放心状態になる。
 交代で、お風呂に入り、スッキリして出て来ると、ジルはリビングの暖炉の前の大きなソファーに腰掛けていた。

 部屋に入ると、振り返って、私の方を見る。
「おいで。」
 優しく言われて、なんだかドキドキしながら、ジルの隣に座る。すると、ジルはゆっくりと話をはじめた。

「なにから…話せばいいのか…。ミレイは、もう、俺の噂や過去を聞いたんだろう?」
 暖炉の火を見ながら、ジルが言うので、私も火の方に視線を移して、頷く。
「うん。色々な人から、噂程度ですけど…」
「そうか…」

 すると、ゆっくりと、ジルは話してくれた。
 






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