39 / 83
39話 アーサーのルーツ2
しおりを挟むゴードンは、話を聞き終わると、お茶を一口飲んだ。
「・・・なるほど。」
「指輪以外の物で、何か取引できるものは・・・」
サラが、うーんと頭を抱えるのを、表情なく見つめてゴードンが言う。
「サラ様、真珠はそこまで必要ですか?」
「え・・・」
ゴードンは、お茶をテーブルの上に置く。
「私は、サラ様には、このまま女神の力を失わずにいることを望みます。竜の言うことは分かりますが、所詮は人の世です。」
なんとも、ゴードンさんらしい意見だった。
「いやいや、女神なんて存在は、絶対に争いの種になるよ。女神じゃなくて、アーサーの妃として立てるように頑張るから!」
「・・・・私には解りませんね。」
しらっと、返事を返される。
「陛下にご相談された方が良いでしょう。ただ」
少しの間のあと、ケロッと言う
「女神の指輪は、陛下が大事にしていたものではありません。」
サラの指にある、指輪を見つめる。
「え?」
「陛下の母上であるマルグレーテ様は、聖女であるご自分を疎んでいた。聖女の証である指輪は、彼女を縛るものでしか無かったのです。陛下はそう思っていたはずです。」
「・・・あの、もう一つ聞いていいですか?」
「はい。」
「アーサーの父親は誰なんでしょう?それと今のガルーダ王は親戚だということですよね?」
ゴードンは、眉をピクリを動かす。
「それは違います。」
「え?」
「マルグレーテ様は王族だったので、陛下が当時の王家の血をひいていることに間違いはありません。しかし、現王のガルーダ王は、当時の王族を皆殺しにしました。」
ぞくりと、背筋に冷たいものが走る。
「・・・・・皆殺し・・・?」
ゴードンは、たんたんと話をする。
「ウォステリアが戦争に勝ち、マルグレーテ様を奪った後、ガルーダは謀反を起こした現王に滅ぼされたのです。現ガルーダ王は、以前から王位を狙っていたと聞き及んでいます。」
・・・アーサーの血の繋がった家族は、今の王に全員殺されている?
頭がくらくらしてくる。
女神の指輪を見つめる。
「・・・・アーサーと話がしたいの。」
ゴードンは、首を振る。
「本日は、陛下のお時間は夜しかありません。晩餐会後です。」
だよね~と、うなだれる。
ゴードンさんが、部屋を出て行ってからも、頭を抱えて天井を仰ぐ。
このまま。
本当にこのままで良い?
国を左右するという女神の力。神の力。
この世界は今まで、この女神様関連で、争ってきたのではないか?
個人的に言えば、私自身、狙われる恐怖から逃れるという利点もある。でも、この力を失ったら、私は誰からも必要とされなくなる・・・それでも構わない。
彼は、アーサーは、この世界の平和を望んでいる。
それなら、私がすることは1つだ。
ガチャリと部屋の扉を開ける。
「どうかされましたか?」
部屋の扉に張り付いている騎士団の団員に、声をかけられる。
うーーん、もはや、どちらが見張られているのか謎だ。
自分から動くのを諦めて、お願いすることにした。
「お願いがあります。それと、騎士団長を呼んで頂けますか?」
暫くしてから、アモン騎士団長が入ってきた。
そして、テルマさんも入室してきた。
「サラ様。ガルーダ王と話がしたいと伺いました。」
真剣な顔の2人に、こちらも真剣に話す。
「はい。どうしても話がしたいのです。陛下はお忙しいので、騎士団に護衛をお願いしたいの。」
今を逃したら、女神の真珠は二度と手に入らないかもしれない。
1人で行っては無謀すぎるし。ダメって言われると思うけど、でも!!
「・・・解りました。」
アモンは了承した。
あれ?いいの?
サラは、ちょっとだけ拍子抜けする。
アモンは、爽やかに笑って言った。
「私が同行しましょう。」
騎士団長自ら、護衛してくれることになった。
それならばと、数名の騎士たちが護衛として一緒に来てくれた。
その中には、クリスも居て、心強かった。
廊下を歩いて行く間、アモン団長は言った。
「もしも、危険と判断した時は・・・ご理解ください。」
「・・はい。」
とは言っても、敵国の城内で何かしてくるとは、考えにくいけどね。彼が言っているのは、警戒するにし過ぎは無いということだろう。
そうして、ガルーダ王の居る部屋の前まで、とうとう来てしまった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる