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7話「モンスターとの対峙」
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「はぁ、やれやれ」
それからしばらくして、フォルテは宿の前でため息をついていた。
結局酔いつぶれたリコを介抱しここで運んだのだ。
彼は肩を回すと宿から離れ街の散策に出かけた。
小さいが活気のある第三大陸の海近い町、それだけが目に付くならば彼も観光気分で歩けたのだが、そう簡単なものではなかった。
街にある小さな違和感を彼は見逃さず、歩き回って確信する。
(やっぱりだ。この町、やけに戦士が多い)
その疑問は食堂の客層を見た時から続いていた。
一見平和な街ではあるものの、いわゆるただの町人が少ない。
代わりに多いのは鎧や武器を身の纏った屈強な男女――戦士や傭兵、冒険者といった戦いや危険な仕事を受ける役職がほとんどだ。
なぜそんな人々が多いのか、フォルテは疑問を解消するため走った。
石造りの町を子供特有な無限の体力で疾走し、大人たちの間を駆け抜ける。
その様は、フォルテにとっても快感だった。
やがて町の外に出ると、フォルテたちが何時間か前に歩いていた草原が広がっている。日は傾き暗くなっているが、光景はあまり変わらない。
町から離れ草原を歩くと、彼はリコの言葉を思い出した。
(まさか、モンスターか?)
そう、リコは彼と出会う直前にモンスターに襲われていた。
獣害であるなら冒険者や傭兵がいても、駆除の依頼で訪れるのも納得できる。
しかし、それだけでは解決しない。
(あれだけの戦士が、獣害駆除の為だけに……?)
疑問に立ち返り、彼は癖のように眼前で両手を合わせた。
第三大陸は豊かで平和な地である。
まるで人が住むためにあるような土地で、凶暴なモンスターも少ない。
にもかかわらず彼が見てきた戦士の数は異常だ。
それこそ獣害にあれだけの戦士が駆り出されているならば、こうしてフォルテは何事もなく草原に立っていられないはずだった。
ならば何故……彼が更なる本質へ踏み入れようとした瞬間だった。
ドスン――! と、鈍い音が彼の背後で響く。
地響きと共に彼の呼吸が衝撃で一瞬止まった。
瞬間、おびただしい殺気がフォルテの背に襲い掛かる。
咄嗟に彼は前方へ回避し、背後へと振り向いた。
その目に映ったのは、巨大な影――。
『グァルルルルルッッ!!』
超巨大な、猫型モンスターだった。
その姿を見て、フォルテは驚愕する。
(そんな――!! 何故第四大陸にしかいないはずのモンスターがこの地に!?)
それは巨大なモンスターの出現に対す驚きというよりも、ありえないはずの可能性に衝突した驚きであった。
第三大陸と違い、熱帯で過酷な環境の第四大陸。
当然モンスターも第四大陸にいるものがより凶暴だが、本来ならば二つの大陸の間にある広大な海峡に阻まれ、上陸はできないはずだった。
そんなフォルテの知識を裏切るように、モンスターは目の前にいる。
モンスターは敵対を示す唸り声をあげ、彼を睨みつけていた。
『ガルルルルルゥゥゥ……ッッ!』
自身より小さく、明らかにか弱いフォルテに対する異常な威嚇。
それはまるでフォルテを恐れているようでもあった。
一方、フォルテは覚悟を固めていた。
ここまで全く全容のつかめない、変化した六華大陸。
ハッキリとわかるのは自身の肉体に起きた変化だけだ。
しかしそれも、まだ全容のつかめない未知の力。
ならば――彼は決心すると、自分に言い聞かせるように告げる。
「生まれ変わったこの身体……試してみるか……!」
『グァルルルルアアアァァァァァッッ!!』
彼の言葉に呼応するようにモンスターは襲い掛かる。
その攻撃を紙一重で避け、モンスターに鋭い眼光を飛ばして叫ぶ――!
「来い!!」
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それからしばらくして、フォルテは宿の前でため息をついていた。
結局酔いつぶれたリコを介抱しここで運んだのだ。
彼は肩を回すと宿から離れ街の散策に出かけた。
小さいが活気のある第三大陸の海近い町、それだけが目に付くならば彼も観光気分で歩けたのだが、そう簡単なものではなかった。
街にある小さな違和感を彼は見逃さず、歩き回って確信する。
(やっぱりだ。この町、やけに戦士が多い)
その疑問は食堂の客層を見た時から続いていた。
一見平和な街ではあるものの、いわゆるただの町人が少ない。
代わりに多いのは鎧や武器を身の纏った屈強な男女――戦士や傭兵、冒険者といった戦いや危険な仕事を受ける役職がほとんどだ。
なぜそんな人々が多いのか、フォルテは疑問を解消するため走った。
石造りの町を子供特有な無限の体力で疾走し、大人たちの間を駆け抜ける。
その様は、フォルテにとっても快感だった。
やがて町の外に出ると、フォルテたちが何時間か前に歩いていた草原が広がっている。日は傾き暗くなっているが、光景はあまり変わらない。
町から離れ草原を歩くと、彼はリコの言葉を思い出した。
(まさか、モンスターか?)
そう、リコは彼と出会う直前にモンスターに襲われていた。
獣害であるなら冒険者や傭兵がいても、駆除の依頼で訪れるのも納得できる。
しかし、それだけでは解決しない。
(あれだけの戦士が、獣害駆除の為だけに……?)
疑問に立ち返り、彼は癖のように眼前で両手を合わせた。
第三大陸は豊かで平和な地である。
まるで人が住むためにあるような土地で、凶暴なモンスターも少ない。
にもかかわらず彼が見てきた戦士の数は異常だ。
それこそ獣害にあれだけの戦士が駆り出されているならば、こうしてフォルテは何事もなく草原に立っていられないはずだった。
ならば何故……彼が更なる本質へ踏み入れようとした瞬間だった。
ドスン――! と、鈍い音が彼の背後で響く。
地響きと共に彼の呼吸が衝撃で一瞬止まった。
瞬間、おびただしい殺気がフォルテの背に襲い掛かる。
咄嗟に彼は前方へ回避し、背後へと振り向いた。
その目に映ったのは、巨大な影――。
『グァルルルルルッッ!!』
超巨大な、猫型モンスターだった。
その姿を見て、フォルテは驚愕する。
(そんな――!! 何故第四大陸にしかいないはずのモンスターがこの地に!?)
それは巨大なモンスターの出現に対す驚きというよりも、ありえないはずの可能性に衝突した驚きであった。
第三大陸と違い、熱帯で過酷な環境の第四大陸。
当然モンスターも第四大陸にいるものがより凶暴だが、本来ならば二つの大陸の間にある広大な海峡に阻まれ、上陸はできないはずだった。
そんなフォルテの知識を裏切るように、モンスターは目の前にいる。
モンスターは敵対を示す唸り声をあげ、彼を睨みつけていた。
『ガルルルルルゥゥゥ……ッッ!』
自身より小さく、明らかにか弱いフォルテに対する異常な威嚇。
それはまるでフォルテを恐れているようでもあった。
一方、フォルテは覚悟を固めていた。
ここまで全く全容のつかめない、変化した六華大陸。
ハッキリとわかるのは自身の肉体に起きた変化だけだ。
しかしそれも、まだ全容のつかめない未知の力。
ならば――彼は決心すると、自分に言い聞かせるように告げる。
「生まれ変わったこの身体……試してみるか……!」
『グァルルルルアアアァァァァァッッ!!』
彼の言葉に呼応するようにモンスターは襲い掛かる。
その攻撃を紙一重で避け、モンスターに鋭い眼光を飛ばして叫ぶ――!
「来い!!」
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