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アノン
29 ※BLあり
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アライアはシェルビーの元へやって来ていた。
天井の消失した、空の下で、シェルビーは椅子に座り、壁に設置された巨大なモニターを眺めている。
そこには多くの文字が絶えず流れ映し出されていた。
シェルビーはそれをぶつぶつと呟き、読み上げていっている。
様子のおかしいシェルビーにアライアが近づこうとした時、背後からあの不気味な声が聞こえてきた。
アライアは振り返り、警戒する。
「おや今更どうしたんだい、私の欲しい研究も終わったし、調教も既に完了しているよ?」
「完了……? シェ、シェルビー?」
モニターを見ながらぶつぶつと呟くシェルビーに振り向く。
「彼は、な、何をしてるんだ」
「覚えているんだよ」
ヒグナルは不気味に口角を上げて言った。
「お、覚える?」
「そう、ここの研究データをすべて。彼は私の言うが儘に行動する。ふふふ可愛い私の、ジェキシイン・ダーワーク」
アライアは、それを聞いて身体を硬直させる。
蘇る、10年前の記憶。
あの日以降、自分達を引き離したあの研究者が呼ばれていた名前。
「そ、その名前は……」
「そうだよ。今頃気づいたのかい。久しぶりだね、アライア・アノンくん。お前はいつ見ても美しい。まるで作り物の生命体だ。いや、まるでも何も、そのまんまだね」
舐めるように見てくるヒグナルに怯えながら、アライアは激昂する。
「しぇ、シェルビーに何をした!」
恐怖で身体が動かないアライア、その様子を見て、ヒグナルはシェルビーに近づいていく。
アライアは必死に身体を動かし、彼らに向きなおる。
「ジェキシイン」
ヒグナルがシェルビーの唇を親指で触わると、シェルビーが呟くのをやめる。
「そろそろ行こうか」
「でも、覚えていません。ご主人様」
アライアは息を呑み、絶句する。
「ご、ご主人って」
ヒグナルは上がっていた口角をさらに上げ、シェルビーの耳元に唇を近づけて語り掛ける。
「ふふふ。もういいんだよ。もう充分だ」
「でも、これではお役に立てません」
「充分だよ。お前が私の傍にいてくれるだけで充分だ。私は幸せだよ。かわいいね、お前は。ここまで従順になるとは思わなかった」
距離を離してもなお、ヒグナルの親指はシェルビーの唇を執拗に撫でる。
「ごめんなさい、ご主人様」
「喜んでるんだよ」
安心させるように笑いかけ、恍惚とした表情で唇を突き出しシェルビーの顔に顔を近付ける。
「やめろ、やめろおおおシェルビーに触るなあああ!」
アライアは飛び出すが、彼が辿り着く前にリップ音が鳴り、アライアの身体は固まる。
ちゅ、ちゅ、と、何度も音を立てて、空中で(・・・)、唇をすぼませる。
「やめろ、気持ちの悪い顔を近付けるな、俺のシェルビーに触るな!」
アライアの両目から涙が溢れ、声が潤む。
ヒグナルはその顔を見て、口角を下げる。
「うん、私に好きじゃない相手とそんなことする趣味はないよ。まあほら、今のはお前を泣かせたかったから。私は綺麗な子が好きだ。そう、お前のような。一目見た時からずっと、どうすれば手に入るか考えていた。お前と、お前の力を」
ヒグナルはアライアにゆっくりとした足取りで近づいてくる。
アライアの身体は回復していたが、先ほど魔術を使用したことにより、まだ力が回復しておらず、抵抗できずにヒグナルに捕らえられる。
無理やり服を脱がされ、肌を直接彼の手が這い回る。鳥肌が立ち、薄い体毛は逆立った。
「や、やめろ、やめろ!」
「そう、この美しい身体だ。生き物ではない、いや、しかしみずみずしい。新鮮な身体だ」
撫で回され、お腹の辺りに頬擦りされる。
「この身体が切り刻まれる度に、吐き気さえした。だがどうだ、それはすぐに美しい身体へ再生する。まるで時が戻るように、お前を構成するモノが元の位置に戻りお前になろうとする。お前を作り出す。その光景は実に美しい」
お腹の肌に、へその周りに舌を出し、唇を這わせてくる。
「ひい、いやだ、やだ、シェルビー!」
「そう、その声も、怯え方も、すべてが愛おしい。その美しい顔立ちも、ただ髪の色が随分変わったね。まあ今のお前も美しいけど。前の方が好きだった」
頭を上げ、アライアをそのまま抱き締め、髪にキスをする。
「ふふふ。目に涙をためて。なんて愛らしいんだ」
見下げた顔に顔を近づけ、唇にキスをしようと唇を伸ばす。アライアはそれに必死に抵抗し暴れた。
「や、やめろ、やめ、助けて、だれか! シェルビー!」
「ふふふふふふふふ。お前のことなんか覚えていないよ。だって邪魔だろう? 私がお前に出会った頃からお前は彼に夢中だ。そのせいで一向に希望を捨てないでいる。いっそ憐れだったね。思考を放棄出来れば、楽なのにね」
アライアから身体を離し、胡散臭く笑い、両手を自分の顔の横に並べて言った。
「いやあその点ジェキシインは簡単だった。彼は昔から記憶力が良かったからねえ、いろんな映像や文字を視界に映るようにしただけで、頭の中が容量いっぱいのパンパンになってショートしてしまったらしい。まだパソコンの方が使えるよ。まあ持ち運べる辞書くらいには便利だったかな。ボイスレコーダーとしても有能だねえ。物語を覚えさせて読み聞かせして貰ったりしたなあ。それ以外は正直いらなかった。だってさ、覚える度にその知識を複合して何かを作り出すことが難しくなっていったんだ。つまり4年前の私は裏切られてしまったわけだ。彼は価値がなかったんだよ。それじゃあ意味はないね。ホントに邪魔だね。ただの覚えるだけの器だよ? 器も無駄に大きいし。コンパクトな上パソコンに入れて複製できる分USBの方が優秀だね。だから今、過去に覚えたすべての記憶を上書きしている処なんだ。どうにも消すことが出来ないみたいでねえ。だからここのデータだけでもね。複製できないならできないである意味ロックのかかったデータ以上の働きをしてくれそうだ。破棄も簡単だからね。でもねえ、もう何度も上書きしているから、お前みたいなちっぽけな存在なんて、忘れちゃってるかな」
忘れちゃってる……というワードだけが、アライアの頭の中に響いて聞こえた。
「う、うそ……だ……」
アライアは目を見開き、身体を震わせながら言った。
「本当だよ?」
「嘘だ!!」
涙を流し、怒ったように叫ぶと、ヒグナルはアライアの顔を覗き込むようにして顔を近づけた。目はアライアが入りそうなくらい――いや、彼を入れたいがばかりに見開かれる。
「本当だったら……キスさせて」
「い、いやだ!! 絶対に嫌だ! 俺はシェルビーとしか……シェルビーじゃなきゃ嫌だ!」
「うーん困ったな。じゃあ、嘘だったら、ジェキシインにキスしてもいいよ。でも本当だったら、私とキスして」
「き、気持ち悪い!」
「ふふふ。お前に気持ち悪がられるなんて、気持ちいいじゃないか。そうそう怯えた顔がかわいいよ。私はお前を愛しているんだ、キスしたいと思っていてもおかしくはないだろう」
「う、き、気持ち悪い……」
「ふふふふ。ほら行っておいで。そしていっぱい、くっつこうねえ」
背中を押し出され、シェルビーの元にその勢いのまま歩いていく。
「シェ、シェルビー……」
「…………」
シェルビーはアライアに見向きすらしない。アライアは彼の顔の前に自分の顔を持ってきてもう一度彼の名を呼ぶ。目は合ったが、返事はない。
覚えてないどころか、認識すらされていない。
アライアは縋るようにシェルビーに抱き着き、彼の頭を胸に包み撫でながら首を振った。
「いやだ、やだ……シェルビー!」
「約束は守ってもらうよ」
後ろから抱き締められ、引きはがされる。
アライアは迫ってくる相手の顔を殴りつけ、赤い魔方陣を発動させた。
「――殺してやる、お前なんか殺してやる!」
アライアが魔術名を呟くと、魔法陣から眩しい光が溢れ出し、ヒグナルの身体を消失させていく。
「ぎゃああああああああああああああ」
アライアの光のない、蔑んだ瞳に眺められながら、ヒグナルはアライアの足に身体を巻き付けた。下半身が焼失しながら、目を血走らせ、ヒグナルは言う。
「お前に、お前に殺されるなら、ふふふふふふふ。ふふふふふふふふふ」
消失しながら、アライアの太ももに何度もキスをする。
彼が完全に消失した時、アライアはハッと息を吸い込んだ。
座っているシェルビーの元へ駆け寄り、彼の肩を揺する。
「シェルビー。シェルビー」
シェルビーは再びモニターを眺め、ぶつぶつと呟いていた。
その瞳にはモニターの光が反射して、むしろ目に光が宿っていないかのように見える。
「もう覚えなくていいんだ。もういいんだ」
「…………」
初めてシェルビーの顔がアライアに向けられるが、彼は不思議そうな顔をしているだけだった。
「シェルビー……」
そんなシェルビーを見て、アライアは彼の肩に顔をうずめる。
「……あなたは誰ですか。ご主人様を知りませんか?」
「う、うう。忘れててもいい。傍にいる。君といられるだけで、幸せなんだ」
シェルビーは辺りを見渡し、立ち上がろうとする。
「ご主人様、ご主人様?」
それをアライアは必死にそれを押さえつける。
「いつかきっと思い出してくれる。俺が思い出させてあげるから。一緒に暮らそう。地上に行こう。地上で、二人で暮らそう。シェルビー」
シェルビーの唇に、己の唇を重ねる。
シェルビーは魂が抜けたかのように話さなくなり、アライアはそんなシェルビーの手を引いてその場を後にした。
天井の消失した、空の下で、シェルビーは椅子に座り、壁に設置された巨大なモニターを眺めている。
そこには多くの文字が絶えず流れ映し出されていた。
シェルビーはそれをぶつぶつと呟き、読み上げていっている。
様子のおかしいシェルビーにアライアが近づこうとした時、背後からあの不気味な声が聞こえてきた。
アライアは振り返り、警戒する。
「おや今更どうしたんだい、私の欲しい研究も終わったし、調教も既に完了しているよ?」
「完了……? シェ、シェルビー?」
モニターを見ながらぶつぶつと呟くシェルビーに振り向く。
「彼は、な、何をしてるんだ」
「覚えているんだよ」
ヒグナルは不気味に口角を上げて言った。
「お、覚える?」
「そう、ここの研究データをすべて。彼は私の言うが儘に行動する。ふふふ可愛い私の、ジェキシイン・ダーワーク」
アライアは、それを聞いて身体を硬直させる。
蘇る、10年前の記憶。
あの日以降、自分達を引き離したあの研究者が呼ばれていた名前。
「そ、その名前は……」
「そうだよ。今頃気づいたのかい。久しぶりだね、アライア・アノンくん。お前はいつ見ても美しい。まるで作り物の生命体だ。いや、まるでも何も、そのまんまだね」
舐めるように見てくるヒグナルに怯えながら、アライアは激昂する。
「しぇ、シェルビーに何をした!」
恐怖で身体が動かないアライア、その様子を見て、ヒグナルはシェルビーに近づいていく。
アライアは必死に身体を動かし、彼らに向きなおる。
「ジェキシイン」
ヒグナルがシェルビーの唇を親指で触わると、シェルビーが呟くのをやめる。
「そろそろ行こうか」
「でも、覚えていません。ご主人様」
アライアは息を呑み、絶句する。
「ご、ご主人って」
ヒグナルは上がっていた口角をさらに上げ、シェルビーの耳元に唇を近づけて語り掛ける。
「ふふふ。もういいんだよ。もう充分だ」
「でも、これではお役に立てません」
「充分だよ。お前が私の傍にいてくれるだけで充分だ。私は幸せだよ。かわいいね、お前は。ここまで従順になるとは思わなかった」
距離を離してもなお、ヒグナルの親指はシェルビーの唇を執拗に撫でる。
「ごめんなさい、ご主人様」
「喜んでるんだよ」
安心させるように笑いかけ、恍惚とした表情で唇を突き出しシェルビーの顔に顔を近付ける。
「やめろ、やめろおおおシェルビーに触るなあああ!」
アライアは飛び出すが、彼が辿り着く前にリップ音が鳴り、アライアの身体は固まる。
ちゅ、ちゅ、と、何度も音を立てて、空中で(・・・)、唇をすぼませる。
「やめろ、気持ちの悪い顔を近付けるな、俺のシェルビーに触るな!」
アライアの両目から涙が溢れ、声が潤む。
ヒグナルはその顔を見て、口角を下げる。
「うん、私に好きじゃない相手とそんなことする趣味はないよ。まあほら、今のはお前を泣かせたかったから。私は綺麗な子が好きだ。そう、お前のような。一目見た時からずっと、どうすれば手に入るか考えていた。お前と、お前の力を」
ヒグナルはアライアにゆっくりとした足取りで近づいてくる。
アライアの身体は回復していたが、先ほど魔術を使用したことにより、まだ力が回復しておらず、抵抗できずにヒグナルに捕らえられる。
無理やり服を脱がされ、肌を直接彼の手が這い回る。鳥肌が立ち、薄い体毛は逆立った。
「や、やめろ、やめろ!」
「そう、この美しい身体だ。生き物ではない、いや、しかしみずみずしい。新鮮な身体だ」
撫で回され、お腹の辺りに頬擦りされる。
「この身体が切り刻まれる度に、吐き気さえした。だがどうだ、それはすぐに美しい身体へ再生する。まるで時が戻るように、お前を構成するモノが元の位置に戻りお前になろうとする。お前を作り出す。その光景は実に美しい」
お腹の肌に、へその周りに舌を出し、唇を這わせてくる。
「ひい、いやだ、やだ、シェルビー!」
「そう、その声も、怯え方も、すべてが愛おしい。その美しい顔立ちも、ただ髪の色が随分変わったね。まあ今のお前も美しいけど。前の方が好きだった」
頭を上げ、アライアをそのまま抱き締め、髪にキスをする。
「ふふふ。目に涙をためて。なんて愛らしいんだ」
見下げた顔に顔を近づけ、唇にキスをしようと唇を伸ばす。アライアはそれに必死に抵抗し暴れた。
「や、やめろ、やめ、助けて、だれか! シェルビー!」
「ふふふふふふふふ。お前のことなんか覚えていないよ。だって邪魔だろう? 私がお前に出会った頃からお前は彼に夢中だ。そのせいで一向に希望を捨てないでいる。いっそ憐れだったね。思考を放棄出来れば、楽なのにね」
アライアから身体を離し、胡散臭く笑い、両手を自分の顔の横に並べて言った。
「いやあその点ジェキシインは簡単だった。彼は昔から記憶力が良かったからねえ、いろんな映像や文字を視界に映るようにしただけで、頭の中が容量いっぱいのパンパンになってショートしてしまったらしい。まだパソコンの方が使えるよ。まあ持ち運べる辞書くらいには便利だったかな。ボイスレコーダーとしても有能だねえ。物語を覚えさせて読み聞かせして貰ったりしたなあ。それ以外は正直いらなかった。だってさ、覚える度にその知識を複合して何かを作り出すことが難しくなっていったんだ。つまり4年前の私は裏切られてしまったわけだ。彼は価値がなかったんだよ。それじゃあ意味はないね。ホントに邪魔だね。ただの覚えるだけの器だよ? 器も無駄に大きいし。コンパクトな上パソコンに入れて複製できる分USBの方が優秀だね。だから今、過去に覚えたすべての記憶を上書きしている処なんだ。どうにも消すことが出来ないみたいでねえ。だからここのデータだけでもね。複製できないならできないである意味ロックのかかったデータ以上の働きをしてくれそうだ。破棄も簡単だからね。でもねえ、もう何度も上書きしているから、お前みたいなちっぽけな存在なんて、忘れちゃってるかな」
忘れちゃってる……というワードだけが、アライアの頭の中に響いて聞こえた。
「う、うそ……だ……」
アライアは目を見開き、身体を震わせながら言った。
「本当だよ?」
「嘘だ!!」
涙を流し、怒ったように叫ぶと、ヒグナルはアライアの顔を覗き込むようにして顔を近づけた。目はアライアが入りそうなくらい――いや、彼を入れたいがばかりに見開かれる。
「本当だったら……キスさせて」
「い、いやだ!! 絶対に嫌だ! 俺はシェルビーとしか……シェルビーじゃなきゃ嫌だ!」
「うーん困ったな。じゃあ、嘘だったら、ジェキシインにキスしてもいいよ。でも本当だったら、私とキスして」
「き、気持ち悪い!」
「ふふふ。お前に気持ち悪がられるなんて、気持ちいいじゃないか。そうそう怯えた顔がかわいいよ。私はお前を愛しているんだ、キスしたいと思っていてもおかしくはないだろう」
「う、き、気持ち悪い……」
「ふふふふ。ほら行っておいで。そしていっぱい、くっつこうねえ」
背中を押し出され、シェルビーの元にその勢いのまま歩いていく。
「シェ、シェルビー……」
「…………」
シェルビーはアライアに見向きすらしない。アライアは彼の顔の前に自分の顔を持ってきてもう一度彼の名を呼ぶ。目は合ったが、返事はない。
覚えてないどころか、認識すらされていない。
アライアは縋るようにシェルビーに抱き着き、彼の頭を胸に包み撫でながら首を振った。
「いやだ、やだ……シェルビー!」
「約束は守ってもらうよ」
後ろから抱き締められ、引きはがされる。
アライアは迫ってくる相手の顔を殴りつけ、赤い魔方陣を発動させた。
「――殺してやる、お前なんか殺してやる!」
アライアが魔術名を呟くと、魔法陣から眩しい光が溢れ出し、ヒグナルの身体を消失させていく。
「ぎゃああああああああああああああ」
アライアの光のない、蔑んだ瞳に眺められながら、ヒグナルはアライアの足に身体を巻き付けた。下半身が焼失しながら、目を血走らせ、ヒグナルは言う。
「お前に、お前に殺されるなら、ふふふふふふふ。ふふふふふふふふふ」
消失しながら、アライアの太ももに何度もキスをする。
彼が完全に消失した時、アライアはハッと息を吸い込んだ。
座っているシェルビーの元へ駆け寄り、彼の肩を揺する。
「シェルビー。シェルビー」
シェルビーは再びモニターを眺め、ぶつぶつと呟いていた。
その瞳にはモニターの光が反射して、むしろ目に光が宿っていないかのように見える。
「もう覚えなくていいんだ。もういいんだ」
「…………」
初めてシェルビーの顔がアライアに向けられるが、彼は不思議そうな顔をしているだけだった。
「シェルビー……」
そんなシェルビーを見て、アライアは彼の肩に顔をうずめる。
「……あなたは誰ですか。ご主人様を知りませんか?」
「う、うう。忘れててもいい。傍にいる。君といられるだけで、幸せなんだ」
シェルビーは辺りを見渡し、立ち上がろうとする。
「ご主人様、ご主人様?」
それをアライアは必死にそれを押さえつける。
「いつかきっと思い出してくれる。俺が思い出させてあげるから。一緒に暮らそう。地上に行こう。地上で、二人で暮らそう。シェルビー」
シェルビーの唇に、己の唇を重ねる。
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