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リョウゲ
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黄泉はそれで押し黙る。
「私もしたい」
「……………面倒臭い奴だな」
「面倒臭いものさ。仕方がない」
青海はそう言って、黄泉に顔を近づけた。至近距離まで近づくと、黄泉は目を瞑る。
互いの唇が触れ合い、舌も入れる深いキスをしていた時だった。黄泉は腹の底から喉に迫り上がるモノを感じ、それは口の中に入ってきて青海の口の中へ移動した。
思わず口を離し、彼の名を呼ぶ。
「青海、今のは?」
「タフィリィだよ」
「は……?」
「こうやって移動させることもあるんだ」
「そんな……で、でもまたお前の中に」
「大丈夫、どちらも到達したみたいだ」
青海は床に手をつき、ゴホゴホと咳をし出した。そして涎まで大量に出てきたところで、虫が口の中から飛び出し、ぐったりとした状態で床に散らばった。
おそらく青海を巣にしようとしていたのだろう、大量の虫が出てきた。
「シギュルージュは私の中にもある」
「中?」
義手や、義足等には見えないが。
青海は裾からライターを取り出し、タフィリィを火で炙る。小さな悲鳴をあげてのたうち回る虫達。全て殺し終わった後に言った。
「言っただろう。ロボットだって」
茶王は人である状態の者は黄泉しかいないと言っていた。
なら青海と、砂金姉さんは? と思った。タフィリィを使っていない、タフィリィが避ける私たち。なおさら変だと感じた。
なぜ人をやめていると茶王が言ったのか。
「砂金姉さんに、兵器にされたのか?」
だから姉さんは青海のことを……。
「厳密に言えば違う。碧王の命令で図に乗った砂金姉さんにある人物の形に近づけられた」
「ある人物?」
「人間最強だよ」
「茶王から聞いたことがある」
「碧王は私を人間最強にしようとしたんだ」
ニンゲンでないのに人間最強にするとは、飽きれる。しかも自分の息子を。
「平気か? 青海」
「君こそ。好きだったんだろう、矢地さんのこと」
「憧れていただけだ」
「好きな人は他にいると?」
「そんなことは言っていない」
何故そこに食いつく、と黄泉は目を瞑って静かに怒る。額には青筋が浮かんでいたが。
「君の千里眼の術は特殊だ。体内のタフィリィを見ることが出来る」
「簡単な術だぞ。お前も覚えろ」
「だめだ。私は機械だからね」
「そうか……」
「でも協力してくれると嬉しいな。私一人では目的の達成は出来ないだろう」
「なるほど。もともと砂金姉さんと二人で私を引き込むつもりだったわけか」
「何のことかな?」
「白々しい」
黄泉は考える。例え体内のタフィリィが見えたとしても、どうやって助けるのかと。そして助けられた後、彼等は一体どんな風に変わるのだろうと。
「分かった。協力する。私にはそれしか出来ない。もう助けられないなんてことはしたくないんだ」
「良かった。ありがとう、黄泉」
砂金姉さんがこいつを好きになった理由が分かる気がする。変な理由じゃないことだけを祈ろう。
「私もしたい」
「……………面倒臭い奴だな」
「面倒臭いものさ。仕方がない」
青海はそう言って、黄泉に顔を近づけた。至近距離まで近づくと、黄泉は目を瞑る。
互いの唇が触れ合い、舌も入れる深いキスをしていた時だった。黄泉は腹の底から喉に迫り上がるモノを感じ、それは口の中に入ってきて青海の口の中へ移動した。
思わず口を離し、彼の名を呼ぶ。
「青海、今のは?」
「タフィリィだよ」
「は……?」
「こうやって移動させることもあるんだ」
「そんな……で、でもまたお前の中に」
「大丈夫、どちらも到達したみたいだ」
青海は床に手をつき、ゴホゴホと咳をし出した。そして涎まで大量に出てきたところで、虫が口の中から飛び出し、ぐったりとした状態で床に散らばった。
おそらく青海を巣にしようとしていたのだろう、大量の虫が出てきた。
「シギュルージュは私の中にもある」
「中?」
義手や、義足等には見えないが。
青海は裾からライターを取り出し、タフィリィを火で炙る。小さな悲鳴をあげてのたうち回る虫達。全て殺し終わった後に言った。
「言っただろう。ロボットだって」
茶王は人である状態の者は黄泉しかいないと言っていた。
なら青海と、砂金姉さんは? と思った。タフィリィを使っていない、タフィリィが避ける私たち。なおさら変だと感じた。
なぜ人をやめていると茶王が言ったのか。
「砂金姉さんに、兵器にされたのか?」
だから姉さんは青海のことを……。
「厳密に言えば違う。碧王の命令で図に乗った砂金姉さんにある人物の形に近づけられた」
「ある人物?」
「人間最強だよ」
「茶王から聞いたことがある」
「碧王は私を人間最強にしようとしたんだ」
ニンゲンでないのに人間最強にするとは、飽きれる。しかも自分の息子を。
「平気か? 青海」
「君こそ。好きだったんだろう、矢地さんのこと」
「憧れていただけだ」
「好きな人は他にいると?」
「そんなことは言っていない」
何故そこに食いつく、と黄泉は目を瞑って静かに怒る。額には青筋が浮かんでいたが。
「君の千里眼の術は特殊だ。体内のタフィリィを見ることが出来る」
「簡単な術だぞ。お前も覚えろ」
「だめだ。私は機械だからね」
「そうか……」
「でも協力してくれると嬉しいな。私一人では目的の達成は出来ないだろう」
「なるほど。もともと砂金姉さんと二人で私を引き込むつもりだったわけか」
「何のことかな?」
「白々しい」
黄泉は考える。例え体内のタフィリィが見えたとしても、どうやって助けるのかと。そして助けられた後、彼等は一体どんな風に変わるのだろうと。
「分かった。協力する。私にはそれしか出来ない。もう助けられないなんてことはしたくないんだ」
「良かった。ありがとう、黄泉」
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