リクゴウシュ

隍沸喰(隍沸かゆ)

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ディーヴァ

20

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「お姫様と交換らしいです……」
『何故そこまで奏に執着を……王族なら誰でもいい筈だ』
 犬と呼ばれた青年は顔を曇らせる。譜王がそれを見て言った。
『何か知っているのか』
「はい……ラドさんが、彼女はシガシィヴァイリオンテス。ディーヴァ族の神であると」
『な、何だと!?』
 え、神? いきなり宗教の話?
 奏が分かっていない顔をしていたので、譜王が説明する。
『この世に存在する種族達はイダと言う力を持っている。そのイダを種族の中で最も多く所有している者を我々は神と呼び、その呼び名を呼ぶ。君がディーヴァの中で最も秀でた神・シガシィヴァイリオンテスと呼ばれる存在らしいんだ』
「そ、そんな訳。私が……神って」
『KTBが執着する理由に納得がいく』
 そうよね。ミドノだけじゃなくKTBがしつこく追いかけてくる理由がない。王族たちが保護されているから、今までは捕獲に失敗したら諦めてたってことだもの。
『そしてもう一つ問題がある』
「え? 問題って?」
 奏が尋ねると、譜王が掌を見せてくる。その上には、サイコロくらいのサイズの機械が存在していた。なんだこれ。
『発信機だ。ディヴァート・ウェザの場所がKTBにバレてしまった』
「そんな……」
 私のせいで。私が気づかなかったから。
『ミドノの仕業だろう。君と接触して敵対しているのは奴だけだからな』
 譜王がそう言うと、犬と呼ばれた青年の通信機が鳴り、応答する。
「どうした―――――――……何だって!? ふ、譜王様、KTBがこちらに向かっていると!」
 そんな、そんな。ど、どうしたらいいの。私の、私の責任だ。
『奏、気にするな。俺達もお前を保護した時気付くべきだった。シーファ、俺たちは臨戦体勢をとる! KTBは全勢力を持ってして奏を手に入れようとする筈だ! こちらも手加減は一切しないぞ!!』
 そう言い放つ譜王を見て、犬と呼ばれた青年――シーファは緊張した顔を弛める。
「譜王様」
『あの人の代わりは俺がする。みんなに伝えて、一般市民には避難をさせろ』
「――承知しましたッ!!」
 シーファは緊張した面持ちに戻り、奏と譜王は屋上へ向かい、王族たちと合流する。
 一般市民の避難を終え、待機していると、KTBの戦闘機に周囲を埋め尽くされる。空中都市は防御に特化してており、戦闘機達を撃ち払い、地上へと叩き落としていくが切りがなかった。
〘南東上空に敵機体7機。こちらは機体GH4機で迎撃してください〙
〔西上空に敵15機。最新兵器EBで撃ち落とせ〕
[敵機体60機程度、学園都市周囲に展開されたぜ。大砲で全て滅多撃ちにしろ]
〖東、北上空に70機接近した。高出力光線で焼き払いなさい〗
 譜王と共に王族達も指揮を執る。寧ろ彼らの方が譜王より上手く指示を出していた。
 しかし、この空中都市の迎撃と浮遊の肝である操縦室へ、一機の戦闘機が壁を恐れず躊躇いなく突っ込んできた。壁は粉砕され、建物の中に機体が突っ込む。
 糸王がそれを見て走り出し、皆で彼に任せると決め、自分たちは指示に徹底する。
 奏達には見えなかったが、突っ込んだ戦闘機から降りてきたのはミドノであった。
 ミドノは空中都市に到着してから鳴り続ける通信機に出て、返事をする。
「着いたぜ」
 操縦席にいる姫存軍の隊員たちを銃で撃ち殺していく。
〖シガシィヴァイリオンテスのことは僕に任せていてくれ〗
「それだけはねぇよ。俺が殺す。作戦通り動いてくれなきゃ困るぜ……」
〖困った奴だね。でもお前に指図される筋合いはないよ〗
「手を出したら殺すからな」
 ミドノは最後の一人を憎々しげに睨みつけながら撃ち殺す。
〖お前に僕が殺せるかな?〗
「とにかく作戦通りにやれ」
 フッと銃口から出る煙を揺らして遊び、片手を開けるために銃をしまう。
〖お前次第だよ〗
「クソ野郎」
 ミドノはブツッと通信を切り、自由になった両手で、操縦席に座りキーボードを両手指でばらばらと叩く。
 そして操縦室の中心の台に向かい、そこへ嵌められている装飾品を指で握って取り除いた。引っ張るとじゃらららと鎖が台の穴から出てくる。
 アイル・トーン・ブルーの宝石のネックレスだった。
「これが空中都市の要か」
 ズシンと地面が縦に揺れ、瞬間、ミドノの身体が宙に浮く。天井に背中を打ちつけ、一瞬肺の空気を吐き出し、咳き込む。
 ミドノは天井を這って戦闘機に乗り込み、脱出を試みる。
 奏や譜王達は、屋上の草木や柵に掴まっていた。
 避難を済ませた一般市民は空中都市の地下にいる。地下の皆が天井に身体を触れさせ下から上に登る空気の圧を感じていた。

 それだけで、のだと皆が理解した。

 空中都市は地面に接触すると次々と轟音を鳴らし、町中の建物を崩壊させた。中心部の学舎はほかのどの建物よりも頑丈で無事だった。一部の無事である建物の上に、姫存軍の隊員たちが配置される。
 奏は、地上の光景を見て、立ち尽くしていた。

 空中都市は、地に堕ちた。
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