アッキーラ・エンサィオ022『 ゴムの靴下を履いてインキュバス電車に乗る』

二市アキラ(フタツシ アキラ)

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アッキーラ・エンサィオ022『 ゴムの靴下を履いてインキュバス電車に乗る』

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 素足にラバーの靴下を履いた。
    それはビザールファッションで身に付けるような洒落たものではない。
   男の人がいつも通勤で使うようなシルエットの靴下で、素材が伸縮素材のラバーで出来ている。
   当然、サイズが驚く程小さいから履く際には、それなりの工夫がいる。

 ストッキングを履く時みたいに全体を丸めてまとめ、爪先が入る口を広げておく事は勿論だが、ピチュピチュとラバーを引き上げて素肌に合わせていく時は細心の注意を払う必要がある。

 ラバーの命は密閉感というか肌への密着感だから、余分な皺や隙間があってはいけない。
    それにこれから一日八時間以上も、履き続けるのだから、よじれたままのラバーをほっておくと肌に負担がかかって大変な事になる。

 満足できる履き心地だったので、爪先の指をゆっくりと動かし、その感触と視覚を確かめる。

 私はラバー越しに見る足の指の形が好きだ。

 足の指は手のそれに比べると洗練されていないし、過酷な条件下で働く割には幼い形をしているので、それ自体の形が好きだという人は少ないだろう。
   でもそれがラバーでピッチリと包まれている姿を見ると、とてもユニークで怪しい靴の爪先に早変わりする。

 足の指を動かしながらよく磨かれたマスカット見たいな光沢を何時までも見つめていたかったがそうは行かない。

 これから「派遣」のお仕事が待っているのだ。
    ラバーの靴下の上に履く靴は決めてある。ローヒールで甲が見えない大人しいデザインの革靴。

 これに細身のパンタロンを合わせると、脚を大きく組まない限りラバーが見えることはない。


 たかがゴムの靴下一足、ドレッシングプレジャーとしては、その手の仕事や個人的な楽しみの為に身に付ける時のラバーとは雲泥の差があるが、これはこれで病みつきになる魅力を秘めている。
    人は演劇的空間ではいくらでも大胆になれるけれど、それは周囲の暗黙の認可があるからだ。

   でもそれじゃ、あの淫靡な自分自身が腐っていくような倒錯感覚は得られない。    少なくとも私は、会社にパンティストッキングを履いて行ったり、ワイシャツの下にブラジャーを付ける男性の心理に共感が出来る。

 歩く。
   ラバーは布地ではないから革靴に対しての抵抗が少ない。靴のサイズはピッタリだから脱げる恐れはまったくないのだけれど、その抵抗の少なさが意識されて、ついつい足先の指を丸めて靴底を掴もうとするのがおかしい。


 電車に乗る、派遣先の所在地の加減で車が使えない。
   でも苦にはならない。電車には人間観察という楽しみがある。
   ふと私は、自分が見られるのと私が人を観察するのとではどちらが確率が高いだろうかと思ってみる。

 冷静に見て、多分私が見られる率の方が高いだろう。
『奇麗だけど、なんだか変なオンナ』
   どんなに地味な格好をしても、私が周囲に放つ違和感は、人の視線を吸い寄せる筈だからだ。

 だから私が人間観察をしてる目と相手のそれが絡み合った時は、先方は「見てはいけないものを見ている」自分を暴露されたように感じるみたいだ。

 そんな時、私は自分がラバーを履いている事をもう一度意識する。
   そしてパンタロンの裾を少しあげて、その人の注意をそこに持っていきたい衝動にかられるのだ。

    でも無理なので、代わりに"脳内妄想"をして、それを紛らわす。

    例えば………。

【 身体が熱いの、ドスケベしたいの…ケツマンコ疼いてるわぁ…たまりませんニャー。
    キツキツのスキニーパンツを履いてケツマンコにシミ作って電車の中のサラリーマンの前に立ってあげるのー。
    知らん顔しながら淫乱オーラ全開。
    あぁいいわぁリーマンのそのチンボ、あぁ口マンコに入れたい。
    口マンコでしゃぶりたい貴男のそのチンボ。
    好きよぉ、あぁ指チンボ、指チンボぉ、雄マンコ、自分でケツマンコかき回してるの、凄い、凄い指チンボ。
    雄オサネ、そんなに責めたら偽オマン汁出ちゃう、偽マン汁出ちゃうわぁ、
    偽マン汁偽マン汁あぁ偽マン汁出てるぅ。
    あぁスケベオカマの偽おまんずり…見られたいわぁ、
     スケベオカマのケツおまんずり見てぇ、なぁ。
     けつまんずりコイてイキたいわぁ…チンボ汁ブッかけて…あぁドスケベなチンボ汁!
     ケツまんずり偽まんずり雄まんずり穴まんずり嘘まんずり男まんずりケツまんずり、あ~イク!ケツおまんずりイクぅ!】とか。
    大丈夫、文章で書くと凄いけど、脳内ビジュアルでは、凄くボンヤリしたイメージ。
   

   その他、電車が走るの単調なリズムに揺られながら、知り合いの同業者から聞いた痴漢話(大抵、こーゆー前振りの場合は、本人の話が多いんだけど)を思い出した。

 えっ私の話?ホントに違うよ(笑)。
 第一この話に出て来るような時間に毎朝起きて活動するなんて無理!

 日曜日の朝に無理かた起きてる状態にして、自分の好きな特撮番組みるのが精一杯だし、それにしたって長年の習慣だから出来てるだけでね。
 そして何よりそんなにセーヨク強くないし(笑)。

 この人の場合は、ドラアッグ系ってかゲイってか、身体なんか全然弄ってなくて今でもゼツリンって感じだから、こんな痴漢行為めいた事をやるのよね。

 この人の餌食になってる若いボウヤ達にもあんまり同情してないし、だってイザとなってヤだと思ったら充分体力的に抵抗できるもん、つまり同意の上ってコトだよね。

 まあそれが発端になってボウヤ達がゲイの自分に本格的に目覚めたり、ちょっとワープしてオトコノコしならがら、こっちの道に来たりして(笑)。
 そうしてみるとこの人のチェリーボーイハントは、私が達の世界の底辺を広げる運動の一環なのかも。

     ………………………………………………

 私の前に立つ高校生。
 満員電車に揺られながら夢うつつ。
   そうして揺られながらチンポがむっくりしなれたりを繰返してる。
 そんな現場を「狩り」の度に見ていて、今日は触ってやると決めていたのよ。
 その日も私の前に立って吊革に捕まって寝だした彼。

 降りる駅が同じ振りをして、駅に到着するのと同時に席を立ち上がり彼の亀頭を指先で摘まみ、クリックリッと捏ね回したわ。
 華奢な身体に似合わない大きな亀頭の感触を確かめるの。
 数回捏ねたときにびっくりしたような表情でヤンワリと手を払い除けられたわ。

 こっちはお化粧もしてない男モードだけど、微妙に他の男とは違う部分があるのを彼が気付いたかどうか。
 でもこの瞬間、目を合わせて直感的にこの子はシャブれると感じたわ。

 いつの日にか必ずこの子の大きなチンポを喉の奥で味わいたい。そしてケツを覚えさせて私の穴奴隷にしてやりたいわってね。

 あれ以来姿を見せなくなった彼。
 こっちもお仕事が忙しくなって定点観測もおろそかになり、彼のことをすっかり忘れかけていたんだけど、たまたま再会した狩りの日の朝、彼が私が狩り場にしてるいつもの電車に乗ってきたの。

 彼、目があって、やや恥ずかしそうにしながら私の横に座ってきた。
 えっあのこと覚えてる?
 一呼吸おいて話しかけてみた。

「高校生だよね?夏休み?」
 話しかけられて少し戸惑いながらも彼が「・・はい」と答えたわ。
 「この前の事覚えてる?」と聞くと、無言でうなずいたの。
 あの時の直感は当たってたってわけよね。
 それに何かを期待してそれに伴う覚悟もしてきてるなと思って、電車を降りて彼と話す事にしたの。

 降りたのはラブホが多いT駅。
 ちょっと待ってと言い、務め先のお店に適当な用事の電話を入れといたわ。

 これで心置き無く時間を取れる。場合によっちゃ泊まりでも。
 取り合えずチェーンのカフェに入りありきたりの会話から始めたの。

 彼の名前は亮。
 今は落ち目だけっど、昔飛ぶ鳥を落とす勢いだった若手ゴルファーと同じね。
 歳は16歳で進学校に通っている。
 家族は兄と両親の4人家族。
 将来は国立大に入りたいそう。
 切り出すタイミングが難しいかったけど、「そうなんだ。深夜まで勉強しているから電車でも寝ちゃうんだね」
 「でも、電車には私服警官が乗っているから、あんなに勃起させていたら変態と間違われて逮捕されちゃうよ?」と言うと顔を強ばらせて「そんなつもりじゃ・・」と必死になる可愛い彼。

 「でも女性の目の前で股間に手をやるだけでセクハラと言われるくらいなのに、あんなに勃起させてちゃ変態扱いだよね?女性にしたら眠いときに起っちゃうとか、男の事情なんて解んないんだからさ」、
 「だから触って悪いとは思ったけど、あれは私からの注意しろよっていう警告だったんだよ」
 と言うと「でも、起っちゃいますから・・。(あなたは)いつもああいう風に触ってる訳ではないんですか?」と聞かれ「もちろん」と答えた。

 「私も男だし、君位の歳には同じように満員電車で起ってなかなか治まんなくて困ったことも経験したよ」と言うと、バツが悪そうに照れ笑いした顔がまた可愛い。
 どうしても彼の穴が欲しくなってきちゃった。

 「やり方が悪いと余計に溜まっちゃうよ?」と言いながら手で輪っかを作り上下させる。
 彼が「どんなやり方がいいのですか?」と心配そうな顔で聞いてきた。

 笑顔で「じゃあ、今日一回だけ教えてやるよ」といいながら彼の腕の辺りをポーンと叩いて席を立った。
 店を出て二筋裏にあるラブホへ彼を半ば強引にエスコートしたわ。
「パッと入ってサッとすませるよ。」

 中に入ると不思議そうに見入っているから、一通りシステムを説明してあげた。
「じゃ始める前にシャワーで綺麗にしようよ。お互い恥ずかしいじゃん?私が先に行ってくるから、色々と見ときなよ」

 彼の前で服を脱ぎそそくさとシャワーに向かったわ。
 彼はベッドに横になったり座ったりしてたみたい。
 シャワーから上がり彼に行くように促したわ。
 本当は見たかったけど、服を脱ぐ間は顔をそらしてあげた。

 その代わり、彼がシャワーを浴びているその背後から忍び寄り「ちゃんと洗ったのか?」とチンポにタッチしたの。
「チョッ止めてく・・だ・・」言いかけて息を飲んだ彼。
 目の前には私の血管バリ浮きの硬く勃起したチンポがあったからね。
 それ、しっかり見てから視線を落とす彼。

「がっかりすること無いじゃん亮は16歳なのにこんなに大きいじゃん?」
「クラスでも一番大きいでしょ?」と言うと「他人のは見たことないから」、「じゃあ大人の勃起したのも見るの初めてなんだね」、「うん・・何か凄いですね」、「先がでかくて、なんか全然違うんですね」と言いながら今度はまじまじと見てるの。

 流してあげるからと彼を立たせて頭からシャワーをかけたわ。
 そして前を向かしたら半起ちになっていた。

 私は我慢できなくなって、彼の前に膝ま付くや否や彼のチンポを吸い込んだの。
 彼は反射的に反抗したけどチンポはガチガチに硬くなってきたわ。

 学生だから、正に消しゴムの固さよね。
 ヌルヌルの塩味が口に広がったところで、仁王立ちした彼の股ぐらに潜り込んで戸渡りから穴へ舌を這わせたわ。

 彼から小さな吐息がもれるの。
 それを合図とばかりにケツたぶを両手で開き、穴をシャブリまくったわ。
 腰が引けて逃げようとするたびに「ケツをつきだしてっ!」、「気持ちいいの?やっぱり変態野郎ね!」と罵倒しながらチンポをしごいてやると「んはぁ・・ん・・ん」と吐息が洩れて凄く感じてるみたい。

 ろくに水も拭かずに雪崩込むようにベッドへ押し倒したわ。
 彼に「しゃぶってる顔を見るのよ」と言って彼が見やすいようにしながら尺ると、チンポがびくびくと動いたわ。
 シワの少なく着色の薄いキンタマを一つずつ口に含み舌先で刺激すると、こそばゆいと言って笑うのが初々しいかった。
 この時のタメに用意してるローションを身体に垂らし体を重ねたわ。
 ソープ嬢がやるボディ洗いの要領で全身を刺激しながら乳首とチンポと穴をまさぐってあげたわ。
 それから四つん這いにさせて指を穴に挿入したやったの。

 ローションと解しで一本はスルッと奥に吸い込まれたわ。
 指先を軽く曲げ力を入れないようにして前腹方向を掻き出すように刺激したあげると、また彼の吐息が激しくなってきたわ。
 彼は穴にセンスがあるようだったわね。

 人差し指と中指をクロスさせ捻りながら穴に挿入したの。
 「んう゛ー」と唸りながらも腰は引けてなかったわ。
 根元まで入れてツイストさせて抜いて、ひねり入れるを繰り返しやったらかなり緩んできたわ。

 更にローションを追加して指三本をねじり入れて掻き回したの。
 グチャグチョと淫靡な音が響き彼の切ない吐息と交ざったわ。
 指を抜きケツを両手でしっかりと押さえてガチマラを穴に合わせゆっくり力を込めると亀頭の半分位入ったわ。

 痛いと言ったけど「スグに気持ちよくなるから我慢するんだよ」といって、片手でチンポを押さえてねじ込んだの。
 頭さえ入ってしまえば、後はすぐに根元まで、、飲み込まれたって感じね。

 二呼吸程おいてゆっくりと深く掘り込んだわ。
 部屋には彼の吐息と淫靡な音が響いてたわね。
 私、穴掘りの時のあの一時が好きなの。
 パンパンと腰を打ち付けると好いところに当たるようで穴がキュッと締まったわ。

 仰向けにして正常位で挿入するとまた違った所に当たるのが好いようで、幼い顔をくしゃくしゃにしてあえいでいるの。
 顔を近寄せキスしようよというとコクンと頷いたわ。
 最初は軽く唇に触れ彼の目を見るともっとしてのアイコンタクト。

 今度はディープに彼の口を頂いたわ。
 口を合わしたまま舌を絡め唾液を交換したの。
 にちゃにちゃになった彼の頬にキスをして身体を起こして、彼のチンポを扱きながらピストンを早めてあげると萎えていたチンポもガチガチに勃起してきたわ。

 すると「ああ・ああ・」、「往きそう?往ってよ、ホラ」、「うーうー・・ぁがッ」と声にならない声を出して射精したの。
 ザーメンが何本も糸を引くように頭を越えていくのを見て、私も頂点に達したわ。
 タップリ種付けしたそのままで、彼のチンポのカリ首を手のひらでクルクルとなでまわしてたわ。地獄車ね。

 初めての射精直後の亀頭責めに身体を硬直させて唸っている彼。
 彼のあまりの締め付けでチンポが音を立てて抜け出ちゃったの。
 一分もしないうちに大量の潮吹きしたわ。
 面白いから何度も潮吹きさせて絞り取ってやった。
 彼のチンポの先が真っ赤になってたわ。

 大体そんな感じ、後は省略ね、あと二発射精させてその日は別れたわ。
 メアドを交換したけどこちらからは送らないことにしてるの。
 私の目的は達成したし、彼のザーメンも頂けただけで十分だからね。
 一度食べたら、もう童貞じゃないもんね。
 
      ……………………………………………………


 出掛けに履いたラバーの靴下の裏に汗を感じ始める。
   今日は何処かで一度、ラバーを脱いで汗を拭う必要があるだろうか。
  今日の「派遣」がそう言った趣向のお仕事なら、その汗だって有効利用というか、他人も楽しませて上げられるのに、、。
   私は私の有りとあらゆる身体の汁を、嬉しそうに飲んでくれる男や女達が好きだ。

 説明が一通り終わる。後は個々に質問を聞いてまわる。
  私にも答えられないような質問をする人が必ず一人はいる。ちゃんと初級コースを銘打っている筈なのに、一体どういうつもりなんだろう。性癖としてのSよりずっと始末が悪い。

 そんな時、私は出来るだけ精一杯答えた後「お答え出来なくて済みません、、、。」と消え入るような声で締めくくる事にしている。

 相手の優越性を認めてやり、ついでに保護欲も刺激しておく。
   まあこれで大体は切り抜けられる、、、。仕事は午前中に2回、午後から3回。間の昼休みは会場近くの喫茶店で軽くサンドイッチとコーヒー、、余った時間でスマホに趣味にしてる小説まがいのものを打ち込む。

     歪んだ真珠に写ったものは我がしもべ

     余りの醜さに顔を覆えど

      銀色の光の印刻はそれを許さず、、

 本当に腐り切った文章、、。ああ、私にはまとまった時間が必要だ。そんなふうに結局いつもの結論に至る。
   でも会場に戻った途端、私の気持ちは既に仕事モードに切り替わっている。こうみえても私は結構タフなのだ。


 これで今日の私の仕事はお終いだ。
   帰りがけに先方の係の人と明日の簡単な打ち合わせをする。
   取りあえずの契約は二週間。緊急の穴埋めなんだからこんなものだろう。隙間産業の更に隙間を埋める根無し草。ふとこの仕事が一生続いたらと思うと悪寒が走る。

 狭くて静かな応接室件会議室みたいな一室だったから、やけに音が大きく聞こえた。

 痩せて四十代前半の係の男はしきりと私の足下を気にしているようにみえた。
    ラバーの靴下に溜まった私の汗が立てるクチュクチュという隠微な音が聞こえるのだろうか。
    でも打ち合わせは問題なく終了した。
    靴下を意識し出したのは私の方だったのだ。

 夕食はお店で済ませた。今日のように普通の「派遣」のお仕事のメリットは早く帰宅出来る事だけど、その時間を自炊に使いたくなかったからだ。

 夕食はお店で済ませた。
    今日のように普通の「派遣」のお仕事のメリットは早く帰宅出来る事だけど、その時間を自炊に使いたくなかったからだ。
 お酒を飲みたかったけれどそれは我慢した。私の知り合いで酔うと直ぐにしたがるというのか、そんな状況に巻き込まれてしまう子がいるが、私にはよく理解出来ない。

 相手がいるときもオナニーする時も、意識がはっきりしている時の方がいい。
    興奮の感度が全然違う。
   というよりお酒を飲んでのセックスはなんだか相手の従属物になった感じがして嫌なのだ。

   マンションの鍵を開ける。
   いつも帰った時の事を考えて少し灯りをつけて置こうと思うのだけれど結局、出かけの慌ただしさの中でそれを忘れてしまうので部屋の中は真っ暗だ。
   実家なら愛犬が真っ先に迎えに来てくれるが、ここじゃ誰もいない。


 電気をつけたあと、上がりがまちで靴をそっと脱ぐ。
    ラバーの靴下の表面が湿っている。我慢しきれずに少しだけラバーの感触を試してみると、水死体の皮みたいにずるずると動いていくような気がした。
 勿論、錯覚だ。
  第一私は水死体なんて見たことも触った事もない。
   でもその感触だけで私は一気に欲望の扉を開けてしまったのだ。

 私はいつからこんなヘンタイになってしまったんだろう。
 はじめる前に留守番電話のチェックをする。
    やっている最中に仕事の電話が入ると興ざめしてしまうからだ。
  何も入っていない。都合がいい話だけど少し寂しい。
 壁に埋め込まれたクローゼットの中から取りあえずのラブグッズを引っ張り出す。
    真っ黒でリアルなシリコンディルドーとこれも黒色のラバーマスク。ベッドの上に敷く為のラバーシート。

 一番実用的なのはラバーシートだ。
   ベッドがローションやらその他もろもろで汚れる事を防いでくれるし何よりも、圧倒的なゴムの匂いと感触に包まれる事が出来る。

 そのシートを手早くベッドの上に敷いて、衣服を脱ぐ。靴下のみを残して全裸になりベッドの上に横たわると、ひんやりとしたラバーの感触が私を迎えてくれる。  下腹部や局所をシートに擦り付けてそのまま一気に快楽の波に乗ってしまいたいのを我慢して、ラバーマスクに頭を突っ込む。

 そこには私だけの闇がある。
    ラバーマスクによって常に頭部全体にかかる圧力が私の存在感を教えてくれる。
   ラバーによって鼻が押し下げられ、唇はマスクの少ない開口部から飛び出る。

   …そしてきっと私の目は、外から見て、キツく吊り上がって見える事だろう。




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