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登場人物紹介(随時更新。ネタバレ要素あり)

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 エイラス・マナフェラス。

 この小説の主人公。創造神の妹にして全てのドラゴンの母である聖母竜の加護をうけた勇者。
 明るい茶色の髪と緑色の瞳をもったおっさん。35歳。182cmと大柄で脳筋かつ、やや天然な性格でその性格のせいか結構無謀かつ無茶苦茶な事をして従者のピリルを怒らせることも。

 肩書は「聖母竜の戦士」。黙って立っていれば美形なのだが、ドラゴン・ブレイカーとしての能力のせいか、物事にはあまり執着しないで、何でもかんでも力づくで解決する傾向が強い。

 もちろん何でも力で解決するわけではないのだが元々、勘が鋭い上に問題のあるドラゴンを10体以上倒してきたせいか、その勘は外れることがないレベルまで上がっているので彼を騙そうとするのは20代の時ならまだしも、現在では多くのドラゴンやレッサードラゴン、ワイバーンなどを倒してその力を少しずつではあるが、吸収しているので、野生の勘で看破されてしまうので人質でもとらない限りはエイラスが権力者の命令に従うことはない。

 この世界にはドラゴンに対応した勇者と、魔族に対抗する為の勇者の二名がいるが、魔族に対抗する為の勇者が、魔族の暗殺者によって毒を盛られて死亡したせいで、エイラスがしぶしぶ魔王を退治する羽目になった。

 ドラゴンが問題を起こしていないか、という本来の使命の他に魔族退治の勇者が死亡しているので、重ねて魔族の調査をしなければいけないのが面倒だと思っていたが、自分が各地を旅するのにいい理由になったということで、各地の王侯貴族への言い訳として使えるので内心、喜んでいる。

 20代の頃は問題のあるドラゴンの退治や増え過ぎたワイバーンの討伐。レッサードラゴンの退治と聖輝竜や他のドラゴンの背に乗って世界中を飛んでは戦い続ける毎日を過ごしていた。

 現在では問題を起こすドラゴンはほとんどおらず、やっとのんびりと旅をすることができるようになったので、魔王退治をした後はこれ幸いと各地のドラゴンや魔族に関する調査はしなければいけないが、20代の時のように毎日が戦いというほどではないので、この機会に嫁を見つけられたらいいかな、と考えている。

 魔法も使えてドラゴンを倒した時に少しずつ魔力容量が増えて、使える魔法も多くなり、現在では全属性の魔法が使える。

 相手がドラゴンやその亜種、下級眷属といった感じで少しでもドラゴンの要素をもっている敵なら、ほとんど無敵ともいえる存在のエイラスだが、無効化できるのはドラゴンブレス、ドラゴンの使用した魔法や特殊能力のみであって、魔族や一般人の使う魔法攻撃はまともに食らってしまう。

 その為、防護魔法を使ったりして防がないといけないが、20代の頃はドラゴンの火炎や電撃のブレス攻撃や魔法攻撃を受けまくっては無効化していた為、魔族や邪悪な魔術師の放つ魔法をまともに食らってしまったという、間の抜けた一面もある(現在では学習しており、不意打ちをかけられない限りは20代の時のように食らうことはない)。

 普段から使っている魔法は長年、一人旅をしてきたせいか回復魔法や防御系魔法、生活魔法や補助系魔法は相当レベルが高くて最高レベルに近いが、攻撃魔法は地味で威力の低いものを好む。脳筋なので殴った方が早いということで遠距離にいる敵以外は滅多に使うことはない。

 主に使用する武器は片手剣かナックルと弓矢。脳筋だが学習能力はあり、スライムや全身を炎に包まれているフレイム・ブルやフレイムライオンなどは剣か槍を使って倒す。

 第一話で彼が装備しているのはドラゴンの骨と最高級の金属であるアダマンタイトを混ぜ合わせた全身鎧である。

 これさえ装備していれば魔族の放った攻撃魔法もほとんど防げるが、彼の師匠の老人夫婦からはドラゴンかその亜種や眷属、または魔王クラスの魔族と戦う以外には装備しないように、と厳命されている。

 これは強い効果をもった装備品を身に着けていることで、その装備品の効果が自分の強さだと勘違いしない為のもので、普段は質の劣るハーフプレートや魔力の込められたミスリル製の鎧などを装備している。

 大繁殖したレッサードラゴン(体がドラゴンに比べて小さいのでスモールドラゴンとも呼ばれる)を大量に狩って最低でも一体から2%能力を吸収してきたので、肉体的な能力は飛躍的に高まっており、まる一日重装備を装着したまま、休みなしで走り続けられるスタミナの塊と化している。

 精力旺盛なので力仕事が得意。薪割りも得意中の得意で、手刀で薪を割るのですぐに彼の周囲は割られた薪で一杯になる。木を切り倒すのも斧は使わないで手刀を一閃するだけで、大抵の木を切り倒すことができる。

 人の姿をしているが、実質的に今のエイラスは上位の竜がそのまま人の姿になったようなものであり、そのバカ力は少なく見積もっても、トロールの上位種であるトロール・キングに匹敵するほどである。


 世界に八体存在する魔王の中でも特に強い魔王・デリミアスを退治したまではよかったが、その事で風の精霊魔法で世界中で名前と顔が知られてしまい、各国からの勧誘とか露骨に自分に取り入ろうとする権力者と彼等に差し向けられた彼と結婚を望む女達にまとわりつかれて、心底うんざりして辺境へと旅するようになる。

 本来ならドラゴン・ブレイカーは中立の存在であって、魔族かドラゴンが関係しない限りは特定の国に加担してはいけないというのが歴代のドラゴン・ブレイカーに伝えられた掟の一つだが、各国の権力者は「魔王退治したんだからいいじゃないか」という事でお祝いモードで英雄扱いしてエイラスを気持ちよくさせてから、時間をかけて自国に取り込もうとしているようだが、師匠の老人夫婦からすでに各国の権力者の思惑や手口について警告されており、エイラスが特定の国に定住することはない。

 その為、魔王退治で装備していた鎧などを収納袋(魔法で内部空間を拡張された特殊な袋。内部空間が広いものほど高価なものになっていく)に入れて、旅に出た時は顔の上半分を覆い隠す仮面と、20代に使っていた、ややほころんだ古い感じの革鎧で身を固めている。

 またヒゲとか伸ばし放題にしていて、愛馬の茶色の馬型ゴーレムを伴に辺境へと向かうことになる。

 仮面で顔を隠すのは、ドラゴン・ブレイカーとしてそこそこ有名だったのに加えて、魔王退治でさらに有名になってしまい、素顔のままではとても嫁探しどころではなくなるからである。

 嫁探しの旅の割には、あまり女性受けしそうにない恰好だが、英雄や勇者ではなくてありのままの自分を愛してほしいと思っているからであり、エイラス自身は英雄とか勇者というフィルターを通して自分自身を見られたくないので、変装という意味の他に素の自分を知ってもらうために、あえてダサい恰好をしている。

 ちなみに嫁とはいっても王侯貴族とは結婚してはならない、という歴代のドラゴン・ブレイカーの掟があるので、結婚は不可能(ただし臣籍降下で元・貴族や元・王族といった王家や貴族と完全に縁を絶って権力が一切関係しないという形でなら可能)。

 これは一国の権力者の異性とドラゴン・ブレイカーが結婚したら国家間の軍事力のバランスが崩れてしまい、各国の間に保たれていた均衡が崩壊する可能性が高いからである。

 ドラゴン・ブレイカーの寿命は戦死や毒殺・呪詛を除けば250~300年と長命なので、少なくとも200年は生きられる女性でないといけないので、必然的に人外の女性でないといけなくなり、その女性と恋をして結婚したいという彼の旅は前途多難のものになり、容易には成就しない。

 もっとも中には寿命を延ばす薬(非常に高価でこの薬瓶一つで屋敷一つが丸ごと買える)を買ったり、錬金術師に作らせたり、ダンジョン内で入手したドラゴン・ブレイカーも過去にはいたので一般人とも結婚はできるが、何本も寿命を延ばす薬を買わないといけなくなり、材料の入手が困難なのもあって、経済的にかなり負担がかかるのでこの方法をとったドラゴン・ブレイカーは過去に3人しかいない。
 
 ドラゴン・ブレイカーは倒した竜の力の2~3%を吸収することができるので、ドラゴンであれば羽が生えていない地竜といった亜種のドラゴンも関係なく、倒せば倒すほどドラゴン・ブレイカーの力は強くなっていく。

 そのせいか趣味は筋トレと武具の訓練とまさに脳筋。ドラゴン倒したらそれだけ強くなるのでこれはエイラスだけでなく歴代のドラゴン・ブレイカーは総じて脳筋ばかりだと考えて間違いないと思われる。

 魔王の中でも特に強い個体を倒したせいか、暗黒神と光明神の両方から注目されてしまい、世界に一人しかいないドラゴン・ブレイカーというレア度もあって、勧誘の手紙とか送られてきており、眠れば夢の中で光と闇の神々が一柱ずつ交代で現れて勧誘してくることでノイローゼ一歩手前の状態に。
 
 憔悴しきったエイラスは光の十大神の中で一番偉い創造神に直訴した。もう神々に干渉しないようにという内容の願いは叶えられ、彼が旅の途中で出会ったペットの白いネズミ(この世界では白いネズミは非常に珍しい)に光と闇の神々の力の欠片を注いでネズミの獣人となり、魔王退治のご褒美として創造神から与えられ、エイラスは正式にこのネズミの獣人を従者にした。

 現在では主従共々、ボケとツッコミ(物理含む)を互いにこなしながら世界中を旅する関係。表向きは人間に危害を加えていないかというドラゴンの調査と魔王を退治した関係上、魔族を探して倒すという使命もあるが、実際はお気楽なのんびりな旅のつもりである。

 エイラスは生きたぬいぐるみともいうべきこの従者を大変気に入っており、寝る時は抱き枕にするほどだが、当のピリルからは入浴して綺麗にしないと嫌だと言われている。

 彼自身も脳筋だと自覚しており、ピリルとは逆に細かい作業は全くできない。

 その為、魔法で手先の器用度を上げるという反則技を使って、辛うじて普通のレベルまで手作業をこなすことができる。

 それでもあくまでも「辛うじて」であり、スピードの速さは手作業の本職の人から見れば、かなり遅く見える。

 歴代のドラゴンブレイカーの支援組織「シルバーホーン」の助力を受けて、狩った魔物や野獣、盗賊からはぎ取った装備品などを売って、旅費にしている。

 それでも余ったお金はシルバーホーンの活動資金や、ドラゴンや盗賊によって損害を受けた村の修繕費用として寄付したりする。

 シルバーホーンでは冒険者の依頼を請けることができて、エイラスは冒険者のような仕事がしたかったので、討伐依頼や探し物などを請けたりすることがあるが、従者のピリルからは使い走りや便利屋みたいで勇者のすることじゃないと思われているようだが、エイラスにしては今まで戦ってばかりだったのでこういう仕事は新鮮なので、こういう仕事も楽しんでいる(もちろん影の中にいるピリルにも助言を求めたりしている)。


  ピリル

 この小説の主人公その2。元々は魔王退治をした後で辺境へ向かう途中、薬草を摘んでいたエイラスの前に現れた白いネズミ。

  元々は灰色、黒、茶色のネズミばかりを見て「白いネズミがなんでいないの? 英雄の手助けする白ネズミってかわいいんじゃね?」という創造神の発想の元に創られた生物。名目上は英雄達を手助けする為、というものであり彼が創造した他の神々も表向きとはいえ、理由があるのでは反対できなかったようで、世界に3体しかいない超レア物としても価値がある生物であり、総じて知性が高いが人の言葉は喋れない。

 尚、どの白ネズミも中性体であってオスでもなければ、メスでもない一世代限りのものであり、茶色、灰色、黒などのネズミの両親から突然変異体として生まれる。

 一目で気に入ったエイラスによってピリルという名前のペットになり、彼が神々の干渉を受けた時に、光と闇の神々の欠片を注いでもらって、今では身長120cmの純白のネズミの獣人になり、エイラスの従者になるが元々中性体であったので獣人になっても性別はない。

 その力は未知数で、ピリルの使命はエイラスを守ることであり、神々の力を弱めて、分身などを使って姿を現してちょっかいをかけてきた時は、光と闇の両方の陣営の神やその眷属の力を弱めて、拠点としているそれぞれの神が創造した小世界に強引に送り返すことができるが、使い慣れていないせいかあまり大きな力を使い続けると気絶してしまう。

 ネズミの獣人らしく、手先が器用で鍵開けなども得意。盗賊みたいでピリル自身はこのスキルを気に入ってないが主人のエイラスにやらせると、扉のノブごと外すか、壁や扉を破壊して入るしかないので、彼の命令にしぶしぶ従って鍵開けやスリのスキルを使って悪党から物を盗む、逆に恵まれていない人々のポケットに宝石や金貨を気づかれないように、素早く、かつこっそりと入れたりするなどの行為をしていく。

 他に世界中に点在しているダンジョン内のトラップを解除したり、罠の位置を主のエイラスに教えたりと、感知能力も獣人らしく高い。

 エイラスは身分を隠しているので、歴代のドラゴン・ブレイカーの支援組織の「シルバーホーン」の構成員にいろんな物を売ってお金を得ているが、勇者にして主人のエイラスが代理人とはいえ、冒険者みたいに依頼を請けて討伐や物探しをするという、御用聞きのような事をする事には表情には出さないものの、大切な主人が駆け出しの冒険者のように扱われているようで、少しではあるが不快に思っている。

 もっとも主人のエイラスが楽しんでいるので、主人が冒険者の真似事をすることは人々の役に立てるので、特に反対することはしない。

 その為、遺跡や廃城、廃村などを根城にする盗賊と戦って根絶やしにするのも依頼に含まれるので、憂さ晴らしを兼ねて魔力で創造した盾を飛ばして盗賊や暗黒神の眷属などを吹き飛ばすのを得意技としている。

 この従者のお陰でエイラスは神々に干渉されない平穏な生活を取り戻すことができた。

 その非常に可愛らしい外見から、ピリルを心配したエイラスの命令で、普段はエイラスの影の中にいる。村や街の中だと人さらいに誘拐されるから、ということで宿屋で部屋を借りたりしない限りは影から出ることをエイラスが許さないので、ピリル自身は不満があるものの、自分がいると目立ってしまい、変装している主の苦労の意味がないから我慢している。

 常日頃からピリルがエイラスの影の中にいるので、暗殺者や盗賊はエイラスを傷つけることは不可能である。

 ピリルの姿はまさに生きたぬいぐるみそのもので、黙って立っていればつぶらな黒い目と純白の体毛で触る者の心を癒すのだが、エイラスが従僕は欲しくないから、家族の関係でいてほしいと頼んできたので、敬語を使うのは最初だけで、現在では「~っス」と語尾にスを付けるという喋り方をしている。

 良く言えばその体型は卵型。悪くいえばやや太ったネズミの獣人であるが、意外とすばしっこく動き回ることができてジャンプ力も相当なものであり、獣人らしく身体能力は高くて、あっという間に木に登ることができる。

 エイラスが意外と世間知らずで脳筋なので、ピリルはそれなりに苦労しているが、エイラスも家族の関係でいてほしいと言ったせいで、ピリルは彼に言いたい放題言うようになって、かわいい外見とは裏腹に、実際は脳筋にして天然の主人のエイラスのとった無謀かつ非常識な行動に怒って、かなりの毒舌を吐くこともある。

 戦闘ではエイラスを守ると宣言した通り、光る盾をいくつも生み出して敵の攻撃を自分に集中させるという、文字通りの盾役である。

 盾は自由自在に操作できて、川の上にいくつも設置して橋の代わりにしたり、大きくした盾で敵を押し潰す事も可能。物理・魔法の両方の攻撃を防ぐことができ、城一つ吹き飛ばすほどの威力のある魔法でないと、壊れることはない。

 本当は盾以外の形(鎖、矢)もできるのだが、主人を怖がらせたくないし、ドン引きされるのも嫌なので普段は盾を使っている。

 主人のエイラスが寝る時以外にも抱きしめてくるので、筋肉隆々の腕や胸に痛くて苦しい上に汗臭いと、抱きしめられる側のピリルにとっては拷問に等しく、遠慮なくツッコミを入れたり、毒舌を吐くのも、主の為というのは半分で、残りの半分は自分に対する過剰なまでの愛情を減らしたいと思っているからで、言っている内容は正しい。 

 光と闇の神々の神力の欠片を集めて創られたピリルは神にしては力が弱く、獣人にしては力が強すぎるという中途半端な存在だが、不老不死ではないし相反する光と闇の制御に手間取ったりといろいろと二つの力の制御に集中力を使うので、戦闘時か非常事態でない限りは光と闇の力は使わないで話し合いで解決しようとする。

 いろいろな魔法が使えるが、その力は全てエイラスの為に使うとピリルは自身に誓っており、エイラスに下心なしで協力してくれた者、エイラスが恩を受けたり、過去に彼を助けてくれた者の場合は積極的にその力を使う。

 魔法に関してエイラスに手ほどきしてやることも多いがあまりに大きな力を連続して使用すると気絶してしまうので普段や戦闘時では主に防御に専念してエイラスのサポートに徹する。

 普段はエイラスの身の回りの御世話(掃除・洗濯・料理など)をしているが、何もかもピリルにやらせてはまずいということで、エイラスも家事の一部をするようにしている。

 元々、エイラスによって大切にされていたネズミだったので、ピリルの世界はエイラスを中心に回っている。

 その為、国家間の紛争や諍いなどもエイラスさえ巻き込まなければほとんど興味を示さないどころか、どうでもいいと考えており、どうすれば主人のエイラスが幸せになれるかを常に考えており、一見すると生意気でお調子者の従者に見えるが、実際には世界中の人間やその他知的生物がエイラスの敵に回っても、ピリルだけはエイラスの為に絶対にして永遠の忠誠を誓っており、最初にエイラスと握手をした時からその誓約は絶対のものであり、この白いネズミ獣人だけは、いついかなる時であろうともエイラスの味方である。

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