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第四章
12 叶わぬ想い ユリウス視点 ※BL
しおりを挟むアリア様がアルフォード公爵と空を飛んで行った姿を、私は宮殿のバルコニーから力無く見上げていた。
あんなにも前から準備して、策略を張り巡らせて……手に入れられたと思った。
けれど、それは単なる私の思い込みで、彼女は私の物になどなっていなかった。
「ユリウス様……?」
オリオンが私の事を心配そうに覗き込む。
私は立ち上がり、足の埃を払った。
そして、改めて周りを見る。バルコニーから見る外はボロボロだった。建物が崩れ落ち、護衛がその下敷きになって助けを呼んでいる。その者の近くには真っ黒に炭化した人の形をした物がいくつも転がっていた。半分焼け爛れた様な死体もある。
外から視線を部屋に戻すと天井は崩れ落ち穴がぽっかりと開いている。崩れ落ちた天井の残骸が埃っぽい。
「オリオン、なぜ軍はパタークに行っている? 【戦争になりそうだ】とは右大臣から聞いていたが……軍を率いるとは聞いていないぞ? 軍を率いるには私の許可が要るはずだが?」
「私もこちらに戻ったのは久しぶりでしたので、右大臣がユリウス様の居ない間に好き勝手をしているとは知りませんでした」
「すぐに会議を行う! 会議室に首脳陣を呼べ!」
「はっ!」
私が会議室へ向かって歩いているとクロエが走り寄って来た。
「お兄様! あ、じゃなかった、ユリウス様!」
「面倒だから兄と呼んでもいいぞ。どうした?」
「この事態はどういう事ですか!? 宮殿のあちこちが崩れてボロボロです!」
まぁ、あの鳥籠の部屋もボロボロだった。宮殿の他の部屋も天井が崩れ落ちている所が幾つもあるだろう。修繕を考えると頭が痛くなった。
「……アルフォード公爵がアリア様を取り返しに来た、……だからこんな状態だ」
「アルフォード公爵様が? 一人で? こんなに巨大な力を持っているのですか?」
「その様だな……戦場では一騎当千と聞いていたが、まさかこれ程とは知らなかった……」
「それにしてもやり過ぎです! アリア様一人を取り返す為に、何人犠牲にするおつもりなのか……! 建物を修繕するにもお金だって掛かるじゃないですか……宮殿だけで無く、町もこの様な状態なのですよ? これはプリストンに賠償金として修繕費を要求するべきです!」
私はクロエの言い分に違和感を覚えた。確かに酷い有様にされたが、元はと言えば私がアリア様を誘拐した事が原因だ。私がそんな事をしなければこんな事にはならなかった。クロエは無意識に私を責めたくないのだろう、他に責任転嫁をしている様に感じた。だが現在のこの状況を国庫で賄うには相当金が掛かるのは私にも分かっている。
私はクロエを宥めてから会議室へ向かった。
会議室へ入ると左大臣、宰相、皇国防衛大臣、皇国軍部中将、皇国軍魔導師部隊大将、執政顧問官が集まっていた。
楕円形のテーブルの端に私が座ると皆の視線が集中した。
「一体これはどういう事ですか!? 何が起こったと言うのです!」
一番先に口を開いたのは宰相のディディエ=パストゥールだった。
「ユリウス様があんな男の花嫁など連れてくるから、神が怒ったのです!」
左大臣のロホス=ルンゲも私を責めるように言う。
「これは神の仕業などではない! ユリウス様のせいにするな!」
皇国防衛大臣のエルドレッド=メイナードが言った。こいつは私の派閥か。
「それより問題は、軍の大半をパタークとの国境に派遣した右大臣、それを支持した皇国軍部大将、魔導師部隊中将の服務規程違反と越権行為なのでは?」
大半が右大臣に付いて行ったと言うのに、軍部中将のスタッファン=セーデルブロムはここに残っていた、賢明な奴だ。
「私は止めたが……魔導師部隊中将は行ってしまった。部下を全員連れてな……誰一人として私の元に留まらないとは、私も嫌われたものだ」
皇国軍魔導師部隊大将、レクス=キーヴィッツは人望が無い事を愚痴っていた。
そして皆自分の言い分を声高にして叫び、会議室は怒号の渦と化していた。
余りにも醜くい私への非難と責任の押し付け合い。
私と反対側の端に座っていたオリオンは辟易したのだろう、テーブルをバン! と叩いて立ち上がった。
「お前らいい加減にしろ! 例えユリウス様が居なくても、この国を守り、導くのがお前達の役目だろうが! 少しの間居なくなるだけでこの有様とは、お前達がなっていないだけだ! ユリウス様のせいにするな、この愚か者共めが!」
オリオンの一言で会議室に静寂が訪れた。
「落ち着け、皆も、オリオンもな?」
オリオンは我に返ったのか大人しく席に着いた。
私はこの会議で規定を破った右大臣を処刑する決定を下した。それに追従した上位権力のある者達も全てだ。
その一方で付いて行った軍人達には一月の減給とした。
そうして浮いた給与分の金を修繕に充てる事にした。足りない分は……仕方が無い、国の金を使うしか無いだろう。当面戦争はお預けだ。クロエの言った通りプリストンに賠償金を請求するのも良いかも知れない、しかしあの国はそんなに金が有る訳じゃない、ふむ、金を請求して出せなかったら、他の物を請求するという手もあるか。
私は自分の部屋に戻った。
部屋に入るとオリオンが茶を入れ始めた。
「この部屋は無事だったのだな……」
「ここは南ですからね。アルフォード公爵は北から攻めて来ましたから」
私はクッションが置いてある長椅子にぽすっと座った。ぐっと体を伸ばして一息ついた。
「天空から魔法を打たれてしまえば北も南も関係ない、運が良かっただけだろう」
「どちらにしろ、お休み出来る所があって良かったですね。クロエは部屋をボロボロにされて、空いている客間を使っていますよ」
「ふむ、早く直してやらねばな」
ブラウンティのいい香りが部屋に漂い、オリオンはテーブルにすっとそれを差し出した。香りを味わってから一口飲むとオリオンが口を開いた。
「プリストンを攻めましょう」
私はその一言を聞いて、まじまじとオリオンを見た。その目は真剣だ。
「このまま黙ってやられていては吸収した小国の者達が勢い付きます。この国は一枚岩では無いのですよ?」
「……」
私は暫く考えた。私も魔術と剣を操るが、どちらかと言えば魔術寄りの人間だ。だからアルフォード公爵があの【雷神剣】を使った時驚いた。普通の魔術師はあれを出したとしても三つ程度なのだ。私が出したとしても十行くか行かないか程度だ。
それを天空にあんなにびっしりと魔方陣を描かれて驚いた。奴が異質なのはそれだけじゃない、雷神剣を操作するのに杖は必須だ。しかし、アルフォード公爵は杖も使っていなかった。明らかに普通の人間レベルでは太刀打ち出来ない。
例えこのままプリストンを攻めに行ったとしても、普通の魔法の【雷神剣】であの威力なのだ……大規模魔法などやられたら……我が皇国軍は全滅だ。
「お前の言いたい事は分かるが、右大臣の処刑を決定し、追従した権力者、主に皇国軍、魔導師部隊の者も処刑する事にした今、皇国軍はスカスカだ。これでは戦争など出来るはずもない」
オリオンは舌打ちした。
「あの疫病神めっ」
「……それは、アリア様の事か……?」
「この様な現状になったのはすべてアリア様のせいです。あの疫病神がいなかったら……こんな事にはなりませんでした!」
それを聞いて私は笑った。
「ははは、オリオン、彼女は何も悪くない。私に攫われてこんな所に連れ込まれたのだからな? むしろ、悪いのは私だ。アリア様を攫って自分の物にしようとした。そのお心が何処にあるのかを無視して……それでも、自分の物にしたかった」
「何故あんな者を庇う! 貴方がこんなにも愛して求めたと言うのに……!」
オリオンが突然声を荒げたので私は驚いた。
「私だったら……その想いに応えていた!」
は?
オリオンはつかつかと私に近寄り、呆然と見上げている私の唇にキスをした。
「なっ、何を!」
すぐに唇を離してじとっと濡れるような目で私を睨んだ。
「私はねぇ、貴方をずっと好きでした。愛してるんですよ、なのに貴方はあんな子供の事を好きになって……それがまだ女なら許せますよ? 貴方が女が好きな普通の男と分かっていましたからね? でも……男だと? あり得ない!!」
その手がすっと伸び、私の座っている長椅子の背もたれの縁を持つ。私はオリオンに囲い込まれていた。
「ずっと、ずっと、貴方を見て来たのに……貴方が他の男が良いと言い出すんですよ? 内臓が捩れる位憎くなった。貴方もアリア様も」
オリオンの瞳は狂気に満ちて光っていた。
「……私を、殺すのか……?」
「まさか! ……この想いが受け入れられなくても、憎くても、愛しているんですよ……! そんな事出来るわけないでしょう!」
「じゃあ、私に……どうしろと……」
オリオンはフッと笑って私をきつく抱きしめた。その抱擁はきつくて、抱きしめられるというより締め上げられていると言った方が近かった。
「苦しい……」
「知って欲しかったんですよ。私の想いを! 苦しかった! 想いが溢れてどうしょうも出来ない!」
私が苦しいと言っているのにもかかわらず、オリオンは力を緩める訳でもなく私を抱きしめていた。それは私が受けた事の無い、激しい愛情だった。
叶わぬ想いを相手にぶつけ、それでも想いは叶わない。
オリオンを見ていて自分を見ている様な錯覚に落ちた。
可哀想だと思った、それが正直な所ではあるが……自分が救われたいという思いもあった。
オリオンの気持ちが満たされる事で、私の気持ちが救われる様な気がしたからだ。
気が付くと私はオリオンの背に自分の腕を廻して言った。
「一度だけだ」
「……はっ?」
「一度だけ、お前の想いに応える」
「えっ!?」
信じられない物を見るような目でオリオンが私を見るので、私はむすっとしてしまった。
「お前の気持ちに一度だけ応えてやると言ってるんだ。察しろ」
オリオンは今にも死にそうな顔をしていたのに、途端に顔が綻んだ。
「では、準備をします! 少々お待ちください!」
そう言って部屋を出て行った。
準備? アリア様も男同士愛するには準備が要ると言っていたが……何をするのだろう?
ちなみに私はツアーリなので後継を残さねばならない。後宮にも女が沢山いるし、女と沢山致した。が、女の菊で致した経験は実は無い。
後継を作るための閨事なので、蜜壷に入れるのが当たり前と教えられたからだ。
それに個人的にも薔薇を伐採する場であるので抵抗がある。
暫くするとオリオンが、必要とされると思われる物を入れた少し大きめの籠を持ってきた。籠には布が掛けられていて中は見えない。
「では風呂へ行きましょう」
「ん? アクアウォッシュで良いのではないか?」
「それでは皮膚が伸びません。湯で温めて皮膚を柔らかくしてから致しましょう」
「ん?」
私は嫌な予感がした。もしかして……。
「オリオン、つかぬ事を聞くが……私は入れられる方なのか?」
「え? 今更な質問ですが、そのつもりですけど……嫌なのですか?」
「え、あ、いや……お前が私に抱かれる方だと思っていたから……心の準備が出来ていない……痛そうなのだが……」
オリオンは私の頬に軽くキスをした。
「拡張もしてませんし、初めてなので多少は痛いかと思いますが、すぐヒールしますので、もし痛かったら言って下さい。皮膚の伸びが良いとそこまできつくはないので、取りあえず風呂に入りましょう」
オリオンが私の手を引いて行こうとしたので、私はゲートを開いた。
風呂場に着いて体を洗い湯船に浸かると、オリオンが私を膝に乗せて菊周りを弄り始めた。
「なっ!」
「マッサージです。こうしておくと後で入れやすくなりますからね」
菊を撫でられるとくすぐったい様な変な気分だった。
一度だけ許すと言ったのは間違いだったのか? と少し後悔し始めていた。
しかし、考えてみればアリア様もされる側だ。私が今オリオンにされている事はもうアリア様はアルフォード公爵とやっているという事だ。
そう考えて何だか複雑な気分になってしまった。
「で、どうします? ここで無花果を食べますか? お部屋で食べますか?」
「……無花果?」
「ああ、えーと……浣腸の事です」
「はっ? 浣腸だと!? このツアーリである私が!?」
「中を空にして綺麗にしなければ致せませんが?」
オリオンが観念しろという目線で睨む。
「私が無花果を食べるのを手伝いましょうか? お一人で食べられますか?」
「ひ、一人で食べられる!」
私はオリオンが用意していた道具を風呂場の脇にある花畑に持ち込んだ。
浣腸を手伝うだと! ふざけた事を! そんな姿を何故見せなければいけない!
自分でやるに決まっているだろうが!
私は僅かに怒ってはたと気付いた。
アリア様も無花果を食していたのだ……。菊で愛し合うには準備が要ると言っていたのは……この事だったのか……!
私は花摘み岩に座りながら両手で顔を押さえた。目の前にはオリオンが持ってきた浣腸用の注射器と湯を入れてある桶がある。
あんな小さなアリア様でさえやっていたのだ、私に出来ぬわけがない。
私は意を決して無花果を食べた。
三回位は食べろと言われていたので三度食べた。
最後にアクアウォッシュをして終了した。私はまだ何もしてないと言うのに、どっと疲れが溜まった気がした。
風呂場へ戻ってもう一度湯船に浸かるとオリオンが入って来た。
「中を空に出来ましたか?」
「……たぶん? 言われた通りにはしたぞ」
「ああ……!」
ぎゅっと私を抱きしめるのはいいのだが、オリオンが引っ付いた時に硬い物が私の横腹に当たって、見るといきり立った橘だった。
意外と大きい……これを私が受け入れるのか? 裂けるんじゃないか……?
「は、入る気がしない……」
「え? ああ、これですか。今更逃げるなんて無しですよ? 私のこれは期待に膨らんでるんですから」
膨らみ過ぎだろ!
私達は風呂を出て脱衣所に行った。着替えの寝巻きを着たあとゲートを開いて私の部屋に戻った。部屋に戻った途端ぴたりとくっ付いてくるオリオンに髪を乾かすように命令して、その後に茶入れをさせた。
私は長椅子に座りお茶を飲んだ。これから致す事を考えると緊張しているのか喉が渇いた。
「こうして時間を引き延ばそうとしても無駄ですからね? 一度だけ致すと言った約束を、きちんと守って頂きますからね?」
オリオンが念を押す様に言うので私も言いたくは無いが言った。
「時間を延ばそうとしている訳では無い、心の準備中だ。私はお前の様に男が好きという人間では無い、心の準備をする時間位寄越せ」
「隣に座って良いですか?」
「勝手に座れ」
オリオンは隣に座り、私の手を取り両手で包むように握った。
射る様に真っ直ぐに見つめてくるその青い瞳を見ると、私は居心地が悪く感じた。
さっさと致すべき事を済まして終了させたい気持ちになった。
私は立ち上がり寝台の上に腰掛け、サイドテーブルに置いてある潤滑剤やサイラスの帽子が目に入って一瞬怖気づいた。
その様子を見ていたのかオリオンが言った。
「大丈夫、優しくしますから」
「蜜花の女に言うような言葉を言うな。私は男だぞ」
私が自分で寝巻きを脱ごうとすると手を止められた。
「ユリウス様の寝巻きを脱がすなんてイベントは、今後起こる可能性が無いに等しいので、ぜひ私にやらさせて下さい」
「なんでもいい、やるなら早くしろ」
私は自分の手を止めてオリオンに脱がせて貰う事にした。寝巻きを脱がすだけじゃなく、オリオンは私を触りながら脱がした。器用な奴だ。しかも触り方がねちっこい。私は寝台の中央にいつのまにかいた。そして押し倒されてキスをされている。
舌と舌を絡ませ、奴が私の舌を追いかけて来て吸う。
「……お前のキスは柑橘系の味がするな」
「歯磨き粉が柑橘系の物ですからね」
私の頬にキスをするとオリオンの両手は私の乳首を摘んでくねくねと弄っていた。
少しぴんと立ち上がった小さな乳首にオリオンは吸い付いた。
ちゅぽんと口を離してから聞いてくる。
「質問があります」
「? なんだ?」
「ユリウス様は一度だけ私の想いに応えてくれるとおっしゃいましたが、その一度と言うのはどういう意味なのでしょうか? 今晩一晩ですか? それともユリウス様の射精が一度という事ですか? もしくは私の射精が一度までという事でしょうか?」
私は少し考えた。一晩はさすがに無い。こんなやる気満々なオリオンと一晩など私が死にそうだ、考えられない。では私が一度射精したら……。これの場合私が達したのはいいが、オリオンが達しない場合もある。これもダメだ、無いな。と言う事はオリオンが一度射精して終了という事になる。まぁ、これでいいか。オリオンも出して終了なら満足するだろう。
「お前が一度出したら終了だ」
「そうですか。では、ユリウス様は何度でも達して良いのですね!」
めちゃめちゃ笑顔になったオリオン。……私はまたしても選択を間違えたのか?
まぁ、いい。あとは致すだけだ。オリオンが射精したら終了だ。さっさと済ませよう。
オリオンが射精して終了。
私の予定ではそうだった。だがさっきから1刻後、私はオリオンに一物をしゃぶられて二回も達していた。もちろんオリオンはまだ一度も達していない。
今も私の一物を手で扱きながらたまに口で弄んでいる。
「結構溜まっていたのですね、私に言って下さればすぐ抜きましたのに」
「んっ、側室がいるんだから、お前に言う訳ないだろうがっ」
「……それもそうですよね」
「お前、菊は使わないのか?」
私はすぐに菊に入れて終了すると思っていたのでこの事態は予想外だった。
「……性欲だけなら入れて出して終了ですよ。だけど、私はユリウス様の体だけじゃない、全てが好きなんだ。一度だけという制約があれど、貴方を好きに出来るなら、とことん貴方の体を楽しみたい。一度出して終了なんて、そんな簡単には行かせませんよ?」
私も男だ、気持ちの良い事は好きだ。射精は気持ち良い。しかし、私ばかり達していてはいつまでたっても閨事は終わらない。
私はオリオンに反対を向けと言った。
「まさか……私のを、お口でなさるおつもりですか?」
「お前にしゃぶられてイカされるだけじゃ、いつまでたっても終わらないだろうが」
私とオリオンは椋鳥の体勢になった。お互いがお互いの一物をしゃぶり合う事の出来る体勢だ。
だがしかし……目の前にぶらさがっている大きなこれをとてもじゃないがしゃぶる気になれないでいた。
まだアリア様のは可愛らしくて、小さくて口の中に程よく収まるサイズだったが……オリオンの物は大人なので当然口には収まらない大きさだ。
「無理をしなくて良いですよ? 貴方が男色じゃないのは分かってますから」
私は意を決してオリオンのそれを口に含んだ。オリオンの物を支える手が少し震えた。
「あっ、くっ……ユリウス様!」
オリオンのそれは、風呂に入ったばかりなせいか石鹸の匂いと味がした。
良く考えたら、このままオリオンをイカせる事が出来れば菊を使わなくてもいいではないか。私はオリオンを早くイカせようと目一杯しゃぶった。舌も使って吸い上げて、手で扱いたりもした。口の中に苦い味が広がる。先走り汁だ。
口の中が多少苦いが、私は構わずオリオンの物をしゃぶり続けた。
早くイカせる魂胆だったが見破られてしまった様で、オリオンに手を止められた。
「待って下さい! そんなにされては達してしまいます、イクなら貴方の菊で行きたい!」
「……分かった」
オリオンは潤滑剤の入っている瓶を取り、手にそれをたっぷりと垂らした。
それを仰向けに寝ている私の菊周りに塗った。そのあと少し腰を持ち上げられて指で菊を広げられ、そこにたっぷりと液をたらして中を指で掻き回した。
「……気持ち悪い」
「もう少ししたら良くなりますよ」
オリオンは私の額に軽くキスをした。女にするような仕草はよせと言ったのに、聞いていない様だ。
指でぐちゅぐちゅと菊周りを撫で回される。
「そろそろ指を入れますね」
一々聞かなくてもいいのに……私は頷いた。先程中を掻き回された気持ち悪さが甦る。中指が入れられて暫くそのまま留まっている。
「私の指に集中してみて下さい。ここにある事を感じる様にして下さいね」
「?」
「いいから、やってみて下さい」
私は言われた通りにした。すると不思議で菊の周りの筋肉や中の状態まで感じる様になった。
「慣れたみたいだからもう一本増やしますよ」
人差し指も追加で入れられた。ちょっと苦しいがそれより、出したい気分の方が大きかった。本来出す部分に物を入れているのだから当たり前なのだが……。
オリオンは二本の指を入れて暫く動かさないでいたが、徐々に水平に指を広げたり、奥の方に指を這わせたりしだした。
「むずむずする」
「我慢です」
次第に指を上に向けてとんとんと刺激するように動かされた。最初は特に何にも感じなかったがそこに意識を集中させる様に言われてやってみると変な気分になってきた。その中の部分に指が当たって擦れると気持が良い。ぞわぞわと背筋に鳥肌が立つような感覚。そこをもっと弄って欲しいと思ったが刺激はリズムを取って行われていた。
「うっ、ああぁ……」
オリオンが私の反応を見て青い瞳をきらきらさせる。
「感じてくれているのですね……?」
「女に言うような言葉はやめろと言っただろうが……」
「嬉しくて、つい」
オリオンは私の腹に軽くキスをした。
「もういいでしょう、私も我慢出来ません」
オリオンは自分の一物にサイラスの帽子を被せ私に覆いかぶさった。
「ゆっくり入れますからね」
それはぬぷりと私の菊に入り込んで来た。硬くて熱い物の感触が伝わってくる。
息を止めてしまったせいか私の菊がきゅっとしまった。
「ユリウス様、深呼吸をして下さい。締まりすぎて私が痛い」
「……分かった」
私は深呼吸をして菊を緩めるよう努力した。そこを緩めるとぬるぬると硬く大きい物が私の中に入り込んで来る。滑りは液のせいで良いが下腹が苦しい。
大人の私でこうだぞ? アリア様は相当苦しいんじゃないだろうか……。
結合している場所を見るとまだ亀頭の半分しか入っていなかった。
それでこの苦しさだと!?
私はオリオンを見た。非常に良い笑顔をしている。
「ん? どうしました? 痛いですか?」
「……痛くは無いが、苦しい」
「亀頭が全部入れば後は楽ですから、もうちょっとの我慢です」
やはり私は早まったようだ。オリオンが満足すれば私が救われた気になるだと?
私とオリオンは別の人間だ。こいつが満足したからと言って私が救われる訳が無い。
このアリア様への想いは受け入れられず、永遠に彷徨うだけだ……。
私の選択は間違っていた。男の物を受け入れるなど……私は血迷っていた、馬鹿だ。
そんな事を考えている時だった、すうっとオリオンの腕が私の背を抱きしめた。
「……叶わぬ想いだと思っていました。ユリウス様、私を受け入れてくれて……ありがとうございます。貴方を愛して良かった……!!」
気が付くと私の瞳から涙が零れていた。
私がアリア様にその言葉を言いたかった。
私の心は今、辛く苦しい、だが、私に日々の楽しみ、嬉しさ、喜び、他にも色々なものを与えてくれたのも彼女だった。私は彼女と楽しく過ごした時間を思い出した。
そして今、凄く悲しい。
これが失恋という物なのか……。
オリオンが私の涙に舌を這わせ舐めた。
「……痛いのですか?」
「痛くなど無い! 私の気が変わらない内に、さっさとやって終わらせろ!」
私は両手で顔を隠した。私の頭をオリオンがそっと撫でる。
その後、私に言われた通り腰を進めて来た。深く突かれて擦られると予想もしてなかった快感に打ち震えた。稲妻に打たれたようなビリビリとした痺れた快感が菊の中から拡がっていき、体ががくがくと震えだす。
何だこれはっ!? 突然の感覚に驚きと恐怖を覚えた。
「あぁあああ!」
「ユリウス様、気持良いのですね? ああ! 私も貴方の中が気持良くて堪らない!」
「くっ、はぁああ!」
「我慢しなくていいですよ、私もイキそうですから一緒にイキましょう」
「こ、んな…うっ、男で達するなど……!」
「大丈夫です、誰も見てません。見てるとしたらそれは……神だけです」
オリオンは一層腰の動きを早め、私の中のある部分を執拗に突き上げた。
「ああ、凄く気持が良いです……ユリウス様、愛しています! これからもずっと貴方のお傍に!」
「うるさい、黙れ! ぁぁああ、イ……クっ、うっ!」
二人で同時に射精した。私の液がオリオンの胸や腹にべたっと纏わりついている。
オリオンは自分の体をアクアウォッシュしてから、一物を私の中から出した。
サイラスの帽子をゴミ箱に捨ててから、自分のあれと私をアクアウォッシュした。
私が体から力が抜けてそのままくたっと横になっていると、オリオンがどさっと隣に寝転がって私を抱きしめて、舌を入れるキスをした。
力が抜けているのでされるがままになっているが……。
「勘違いするなよ? 私はお前を好きになったわけでは無いからな」
「でも、私が勝手に貴方を愛するのは……自由ですよね?」
「それは……好きにしろ」
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