異世界坊主の成り上がり

峯松めだか(旧かぐつち)

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4章 助けた少女とその後

第173話 祝福の花と言う依頼(一般人視点)

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「ん? 祝福の花? これ出てるのか? 誰のだ?」
 依頼の掲示板に珍しい依頼が並んでいた、結婚式の際、新婚組に投げつける花びらや蕾を集める仕事だ、基本的にやっかみ組が腹いせに投げつける蕾は半額以下、祝福組が投げつける花びらを納品した場合が倍額で買取と成る。
 一般開放依頼なので、初心者や、子供達がこぞって花を集めて来る依頼だ。小遣い稼ぎに子供達が安全地帯限界までうろつく事が有るので、近場を歩く冒険者が結構気にしている。
 買取は安いが、蕾自体も其れなりに配られるため、特に祝福する気が無い日和見中立派が手持無沙汰に成ると投げたりもするので、にぎやかしとしてそれなりに準備されていたりもする。
 更に、冒険者の裏ルールとして、蕾や重い花を投げつけ、新郎を倒した場合、つまり教会に辿り着く前に、前に進む気力を無くしたり、気絶させた場合は、其の結婚が祝福されて居ないものと言う事で、結婚式が無かったものと成って、別れると言う事に成って居たりもするので、意外と蕾も大事であったりもするのだが。
 夫婦仲、嫁や旦那が明らかに不幸そうで、ご近所の評判が悪い状態だった場合、本気で妨害用の蕾と仕留める様の大物だけが飛び交う羽目に成るので、ご近所付き合いは大事である。
 明らかに不仲の場合、揃って歩く時に明らかに隙間が空くので、外面だけ取り繕っても無駄である。
 そんな人の隙、海戦山千のおばちゃん部隊が見逃す筈も無い・・・
 因みに、満場一致で妨害の場合、最大サイズでは人の頭サイズの巨大な蕾が雨霰と降り注ぐ事に成る。純粋に大きい日輪草と、大きい上に匂いが酷い腐肉草は凶器だ・・・
「ギルマスの所のエリス嬢と、和尚、灯ちゃんに解体場の主の研究者アカデ、其れとこの間から家に居るクリスって言う家政婦? だったかな?」
 情報通の一人がやたらと具体的に説明する。
 依頼表には書き込まれて居ないが、こう言った物は誰かしら知って居る物だ。
 と言うか、書かれて居ないだけで、大抵聞けば職員からも普通に教えてくれる。
 目出度い事なので隠す事では無いのだ。
「ガンダーラのあいつ等か、そういや、結婚式はしてないんだな?」
 そもそも結婚式の場合はこの依頼でご祝儀をばら撒く事に成る為、其れなりに余裕の有る状態じゃ無いと、こういった大々的に行われると言うのは少なかったりする。
 ばら撒くご祝儀が無い場合、つつしまやかに無料や格安依頼で花を集めるので、かなり寂しかったりするのだ。
「普通、閨の七夜で済ませるしね」
「そだが、むしろ領主の一人娘何だから遣らない方が可笑しい位の話だったな」
「ここ暫く忙しかったからそれ所じゃ無いってのが正直な所だろうね」
「其れもそうか、和尚の奴等が来てから一気に忙しかったしな」
 前回領主から続くゴブリンうち漏らし発覚による各地に冒険者や職員が派遣されてしまい、圧倒的に人手が足りなくなって居残り組は緊急依頼で駆け回る羽目に成ったり、帰って来たと思ったら、突貫工事で防衛壁の構築や、空堀の為に延々と穴を掘らされたり、そんな矢先にゴブリンの大量発生で、更にその後の被害復興やら片付けやらで、冒険者もギルド職員も、領主であるギルマスも目の下にクマを作って仕事をしていたので、それ所では無かったのだろう。
「んじゃ如何する? どっち集める?」
 聞くまでも無い質問をする。
「素直に花だろう?」
「むしろ蕾集める意味が無いだろう、仲良さそうだし」
 大規模襲撃の時に、隠れる事も無いと言う様子でそれぞれ手を握って物陰で休憩して居るあの3人には、正直本気で羨望の目がそこら中から注がれて居たのだ。
 今更不仲な様子も無い、指輪やら首輪やら、掘り返すとあのバカップルの様子は幾らでも出て来る。
「あの時世話に成ったしな・・・」
 一人が、暗に古傷を目立つようにアピールする、大量発生時にゴブリンの毒矢を受け、下手したら傷口が腐って、腕ごと落とす羽目に成ったり、冒険者として廃業一歩手前だったりもした所を助けられている。
 冒険者は義理堅いのだ。
「蕾だな、4人も娶りやがって、あの禿さえ居なけりゃ彼奴等俺の所に・・・」
 そんな作戦会議中、少し遠くで気に入らない発言をするのが居た。
「ああ?!」
 思わず其方を剥いた所、自分達が手を出すまでも無く、別の冒険者に胸ぐらをつかまれてがくがくと振り回されていた。
 胸ぐら掴んで居るのは、この辺では比較的古株の女冒険者だ、興奮するとうっすらと顏に出る古傷がトレードマークだ。
 和尚が治療しなかった場合、アレでは済まなかったと言うのは皆が知る事なので、本気であの時は感謝して居ると、その後の飲み会の席でボヤいていた。
 本当に奇麗に傷が繋がって居るので、真っ赤に成る様な酒の席や、こう言った興奮した時に良く見ないと傷だと見えない。
 ちゃんと嫁の貰い手も居たので、いくら感謝してもしきれないらしい。
 この辺で長く居る組は何だかんだで彼奴等には世話に成っている関係上、こういった事を言うのは、あの騒ぎの後にふらっと現れた新入りだ。
 エリス嬢や灯がナンパされているのは良く目撃されて居るが、問答無用であっという間にあしらわれて居るので、只の風物詩として、皆生暖かく見守っているのだが。
 表立ってあいつ等を批判した場合こうなるのかと、彼奴等の人望に感心して居たりもする。


 後日
 結婚式当日、懲りて居なかった新入り組やら妨害組、やっかみ組が盛大に祝福組に殴られて居たのは順当な結果である。
 この花と蕾を投げるのはどっちを投げても怒られる事は無い無礼講なのだが、同時に、多少の小競り合いは見逃されるため、派閥毎でこういった事に成るのは良くある事だ。
 アレを一緒に防衛した組が居る間は、彼奴等の妨害は許さん、大人しく祝福してろ。
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