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平和な午後
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子どもたちは普段は昼間家にいないの。
でも、定期的に昼間も家にいることがあるわ。
学校というものが休みなんですって。
わざわざ子どもたちだけ集めるって、人間のすることは面白いわよね。
今日も仲良く……とはちょっと言い難いわね……外で元気に遊んでいるわ。
「兄ちゃん! お母さんに片付け終わるまで、ハナの面倒見といてって言われたじゃん。 本、読むの止めてよ!」
「ハナの遊んでるの見てるだろ。」
アオはどこにでも本を持っていくの。今も庭の岩に座って、本を読んでいるわ。
青空の下で読むのはきっと気持ちのいいことよね。
アオの視線はずっと本に釘付けで、ハナもユウもちらりとも見ないの。潔いくらいの態度だわ。
「見てない! ずっと本しか見てないじゃん!一緒に遊んでよ!! お母さんに言いつけるよ!!!」
アオはやっと顔を上げたと思ったら、
「はぁ」
盛大にため息ついたの。
ユウはますます怒っちゃうけど、仕方のないことね。
ほぼ毎週のように繰り返すこのやり取り、どうにかならないものかしら?
そう思って遠まきに見てたら、
「カぁァ カぁァ」
ユウが鴉の鳴き真似をはじめたわ。
「あっ!! おまえやめろって! 鴉がよって来るだろ!!!」
「最近、鴉が返事してくれるようになったんだよ。」
「うわっ! もう来たし!!」
上空に鴉が二羽鳴きながら飛んでいるわ。まるで、今鳴いた鴉を探しているかのよう。
「遊んでくれたら、鳴き真似やめてあげるから!」
「ハイハイ」
アオはやっと立ち上がったけれど、視線は本に向けられたまま、読みながら、くすり、と笑っているわ。
よっぽど面白いのね。
隙をついてアオの持っている本をユウが取り上げて、走りだしたわ。
「マぁマぁ~!」
つげ口というものね。
「外に本は持って行かないように。三十分ぐらい本を読まずに兄弟仲良く遊びなさいよ。 その後で、また続きを読んだらいいでしょう?」
「はい」
本を没収されて、だいぶご機嫌ナナメなアオ。
これでアオと遊べるとご機嫌なユウ。
ハナは……わたしを抱きしめようとにそっと近づいてきたけれど、もちろん、わたしは早くから気づいていたわ。
抱きしめられる直前にハナの腕をするりと華麗に躱して逃げるの。捕まったりなんてしないわ。
ふふふ 今日も平和な一日ね。
でも、定期的に昼間も家にいることがあるわ。
学校というものが休みなんですって。
わざわざ子どもたちだけ集めるって、人間のすることは面白いわよね。
今日も仲良く……とはちょっと言い難いわね……外で元気に遊んでいるわ。
「兄ちゃん! お母さんに片付け終わるまで、ハナの面倒見といてって言われたじゃん。 本、読むの止めてよ!」
「ハナの遊んでるの見てるだろ。」
アオはどこにでも本を持っていくの。今も庭の岩に座って、本を読んでいるわ。
青空の下で読むのはきっと気持ちのいいことよね。
アオの視線はずっと本に釘付けで、ハナもユウもちらりとも見ないの。潔いくらいの態度だわ。
「見てない! ずっと本しか見てないじゃん!一緒に遊んでよ!! お母さんに言いつけるよ!!!」
アオはやっと顔を上げたと思ったら、
「はぁ」
盛大にため息ついたの。
ユウはますます怒っちゃうけど、仕方のないことね。
ほぼ毎週のように繰り返すこのやり取り、どうにかならないものかしら?
そう思って遠まきに見てたら、
「カぁァ カぁァ」
ユウが鴉の鳴き真似をはじめたわ。
「あっ!! おまえやめろって! 鴉がよって来るだろ!!!」
「最近、鴉が返事してくれるようになったんだよ。」
「うわっ! もう来たし!!」
上空に鴉が二羽鳴きながら飛んでいるわ。まるで、今鳴いた鴉を探しているかのよう。
「遊んでくれたら、鳴き真似やめてあげるから!」
「ハイハイ」
アオはやっと立ち上がったけれど、視線は本に向けられたまま、読みながら、くすり、と笑っているわ。
よっぽど面白いのね。
隙をついてアオの持っている本をユウが取り上げて、走りだしたわ。
「マぁマぁ~!」
つげ口というものね。
「外に本は持って行かないように。三十分ぐらい本を読まずに兄弟仲良く遊びなさいよ。 その後で、また続きを読んだらいいでしょう?」
「はい」
本を没収されて、だいぶご機嫌ナナメなアオ。
これでアオと遊べるとご機嫌なユウ。
ハナは……わたしを抱きしめようとにそっと近づいてきたけれど、もちろん、わたしは早くから気づいていたわ。
抱きしめられる直前にハナの腕をするりと華麗に躱して逃げるの。捕まったりなんてしないわ。
ふふふ 今日も平和な一日ね。
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