特異日

詩悠

文字の大きさ
1 / 1

長崎の特異日

しおりを挟む
 「特異日」というのをご存知だろうか。

 
 「特異日」とは「前後の日と比べて、偶然とは思われない程の高い確率で、特定の気象状態(天気、気温、日照時間など)が現れる日のことである。」

         ー引用  Wikipedia



 有名なところでは、
 
 東京の晴れの特異日で、十月十日がある。
 1964年の東京オリンピックは東京の晴れの特異日である、十月十日に合わせ開会式を執り行われた話は聞いたことがある人も多いのではないだろうか。
 
 他にも色々あるが、当然のように特異日は地域差がある。

 東京の晴れの特異日だから、北海道や沖縄も同じ日に晴れの特異日とは限らない。
 

 調べたわけではなく、私の感覚的なもので勝手に特異日だと思っている日が数日ある。
 あくまで、私の感覚だから、詳しく調べると違っているということがあるかも知れない。
 ただ、勝手に特異日だと、私がそう思っているという話。

 今年は桜の開花が例年より早かった。テレビのニュースなどでさんざん言われていたから、覚えている人もいるだろう。
 なにも開花が早かったのは桜だけではなく、木蓮もツツジも早かった。藤の花にいたっては一ヶ月近く早く咲いた感じを受けた。
 梅雨入りも驚くほど早かったが、秋雨前線が来るのも同じように早かった。

 中休みを何回か挟んで降り続いた雨は地区に寄っては平年の降水量の四割超の雨が一週間で降った所もあるほど。
 感染症による自粛と大雨とがダブルブッキングした今年のお盆、それでも、例年通り晴れた日があった。

 それは八月九日。
 この日は長崎に原爆が投下された日。
長崎の公立校は夏休み中の登校日である。小学校から中学校、高校まで、曜日に関係なく登校し、必ず平和集会という授業がある。
 小学校から高校を卒業するまでの九年間、幼稚園や保育園でも平和集会がある所はあるから、もっと長くこの日に何かしらの教育を受けている人たちはいるだろう。
 今は違うのかも知れないが、毎年、原爆の悲惨さを繰り返し映像とともに語られる平和集会。悲惨さだけを語っても戦争回避にはならないのではないか、むしろトラウマになりそうだ、なんて、思いながら参加していたのは私が捻くれた子どもだったからかも知れない。
 
 その日は毎年、よく晴れていた。

 今年も八月九日は晴れていた。

 秋雨前線と台風の影響で七日から雨が降りだし、八日も雨が降っていた。十日もどしゃ降りと小休止の曇りとが繰り返した一日だった。
 なのに、九日は朝から晴れていて、子どもたちは元気に歩いて学校へ登校したし、原爆が投下された十一時には夏らしいとてもよい天気だった。
 毎年、よく晴れた空を見上げて、1945年のこの日に雨、せめて曇りだったら、歴史は変わっていたのにと思う。

 
 もう一日、特異日だと思う日がある。

 それは八月十五日。

 精霊船流しの日である。
 
 この日は晴れなくてもどしゃ降りになることがない。台風の予想が出た年も十五日を避けるかのように遅れてくるし、雨が降ってもせいぜい傘をさすかどうか迷うぐらいの小雨におさまる程度。
 今年の長崎は十四日に大雨特別警報が朝から発令されるほどの大雨。
 なのに、十五日には雨は止み、精霊船流しに影響の出ない天候だった。
 翌十六日は曇り予報だったにもかかわらず、朝からよく雨が降った。
 ほんとに十五日だけ曇り、夕方に少し小雨が降ったものの、精霊船流しは今年も無事に送られた。
 ホッとした人も多いことだろう。


 科学が発達した現代。それでも「特異日」なんて不思議なことがあるんだなと改めて思った今年のお盆だった。

 


 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

言いたいことは、それだけかしら?

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【彼のもう一つの顔を知るのは、婚約者であるこの私だけ……】 ある日突然、幼馴染でもあり婚約者の彼が訪ねて来た。そして「すまない、婚約解消してもらえないか?」と告げてきた。理由を聞いて納得したものの、どうにも気持ちが収まらない。そこで、私はある行動に出ることにした。私だけが知っている、彼の本性を暴くため―― * 短編です。あっさり終わります * 他サイトでも投稿中

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

処理中です...