勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
31 / 236

31.

しおりを挟む
続けて、二撃、三撃と連続で繰り出される攻撃を紙一重で避けながら、反撃の機会を窺う。
(流石は父さんだ、隙が無い)
そう思いながら様子を伺っていると、相手が距離を取ったところで動きを止めるのを見て好機だと判断すると一気に距離を詰めた。
しかし次の瞬間には腹部に強い衝撃を受けており、その場に蹲ってしまう。
何が起こったのか分からず混乱していると今度は後頭部に強い衝撃を受けてしまいそのまま意識を失ってしまった。
目が覚めるとベッドの上に寝かされていたことに気づくと同時に先程までの記憶を思い出す。
そしてそれと同時に自分が敗北したことを悟ると悔しさが込み上げてきた。
(くそっ! なんで俺は勝てないんだ!)
心の中でそう叫ぶと涙が溢れてきて止まらなくなってしまった。
「あらあら、そんなに泣かなくても大丈夫よ、貴方はよく頑張ったわ」
そんな声が聞こえたかと思うと頭を撫でられていることに気づいた。
「ねぇさんなんで」
「あら、姉さんだなんて嬉しいこと言ってくれるわね」
そう言って微笑むと抱き締められた。
暖かく柔らかな感触に包まれていると心が安らいでいくのを感じた。
「さぁ、行きましょう」
そう言われて手を引かれるとそのまま連れて行かれてしまう。
それから暫くの間、歩くことになったのだが、その間ずっと無言のままだった。
やがて、目的地に到着するとそこには見知らぬ女性が立っていた。
彼女はこちらを見るなり微笑んでくる。
「初めまして、ルーティアと結婚する事になりました、サラナよ、宜しくね、リュート」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします、えっと、その、母さんって呼んでもいいですか?」
「ええ、いいわよ、その代わり私も貴方のことを息子として愛させてもらいますからね」
そう言いながら抱きしめてくれる。
その温もりはとても心地よく、心地よかった。
こうして、新たな家族が増えた。
そして、その後、俺は魔王城へと連れ戻された。
これから、どうなるのか不安ではあったが、今は目の前の事に集中すべきだと思ったので、まずは、剣術を磨く事にした。
その日から毎日、修行に明け暮れた。
「あれ、父さん、今日は姉さんの姿じゃないんだね」
「ああ、今日は別の用事があってな」
「そうなんだ」
会話を終えて、練習を始めることにした。
いつも通り素振りから始める。
それをひたすら繰り返すだけだが、これがなかなか難しい。
まず、剣をしっかりと握る事が難しいし、腕の力も必要になるからだ。
(よし、やるぞ)
気合いを入れて挑むとすぐに息が上がってくる。
それでも諦めずに続けていくうちに少しずつコツを掴み始めていった。
それが嬉しくて更にペースを上げようとした時、声をかけられた。
「頑張っているようじゃな」
「あ、師匠!」
そこには、アウルムの姿があった。
彼がここに来た理由は一つしか無いだろう。
「稽古をつけてください」
その言葉を聞いた瞬間、ニヤリと笑うとこう言った。
「良かろう、ではかかって来るが良い」
そう言われたので、全力で斬りかかる。
だが、あっさりと避けられてしまった上にカウンターまで貰ってしまった。
地面に倒れ伏した状態で見上げると、こちらを見下ろす姿があった。
その姿はまるで獲物を狙う肉食獣のような目をしていて恐怖を感じたがそれ以上に尊敬の念を抱いた。
だからこそ、自分も強くなろうと思った。
それからというもの、毎日のように、訓練に励むようになった。
そんなある日、魔王城に来客が訪れた。
その人物は、かつて魔王だった男で、今は隠居して余生を楽しんでいるという。
なんでも、俺に用があるらしいので会いに行くことにした。
「お前が、新しい魔王候補の少年か、ふむ、確かに素質はあるようだな」
そんなことを言いながら俺の体をジロジロと見てくる。
正直、あまりいい気分ではなかったのだが、我慢することにする。
「それで、お父上は何処かな」
「今、留守にしてまして」
そう言うと、少し考える素振りを見せてから、こう言ってきた。
「そうか、なら仕方ない、出直すとしよう」
それだけ言うと、帰って行った。
それから数日後、再び現れた。
どうやら、父親の居場所を突き止めたらしい。
そこで、一緒について来て欲しいと言われたので、仕方なくついていくことにしました。
そこは、とある森の中にある古びた洋館でした。
中に入ると、一人の少女が出迎えてくれました。
「ようこそ、おいでくださいました、私はアカリと申します」
「はじめまして、リュートと言います」
お互いに挨拶を交わすと、中に案内されます。
部屋の中に入ると、そこには二人の人物がいました。
一人は少女でもう一人は男性です。
二人はこちらに気づくと挨拶をしてきました。
こちらも自己紹介を済ませたところで、早速本題に入ります。
「さて、単刀直入に言います、魔王の座を賭けて勝負してください」
そう言うと、少女は微笑み、男性は溜息を漏らしていました。
ですが、ここで引き下がるわけにはいきません。
なぜなら、父親が今までで最強の魔王だからです。
なので、絶対に負けるわけにはいきませんでした。
たとえ、相手が伝説の英雄の一人だとしても、勝つ自信がありました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...