勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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このままでは生き埋めになってしまうと思い、咄嗟に魔王としての魔力を解き放った。
それによって瓦礫を吹き飛ばすことに成功すると、急いで外へ出た。
幸いにも怪我人は出なかったようだが、被害は少なくなかったみたいだ。
(それにしても、さっきのは何だったんだ?)
不思議に思っていると、不意に声を掛けられた。
見ると、そこにいたのは先程助けた少女だった。
「大丈夫でしたか?」
心配そうな表情を浮かべている彼女に大丈夫だと答えると、改めて礼を言った後、自己紹介をした。
彼女もそれに応えるように名乗ってくれた。
「私はフィリアと申します」
その名前を聞いた時、どこかで聞いた覚えがあったような気がしたが、どこでだったか思い出せなかった。
まあ、気のせいだろうと思い直して話を続けることにした。
こうしてお互いの紹介を終えたところで本題に入ることにした。
まずは彼女の目的について聞くことにする。
すると意外な答えが返ってきた。
何でも俺の弟子になりたいのだという。
それを聞いて驚いたものの、冷静に考えてみると悪い話ではないと思ったので了承することにした。
その後、詳しい話を聞くことになったのだが、その内容を聞いてさらに驚くことになるとは思わなかった。
何故なら、彼女が話してくれた内容はあまりにも衝撃的だったからだ。
まず最初に聞かされたのは、自分が魔族であることや、魔王を倒した後の世界に興味を持ったことなどだった。
そして次に語られた内容こそが、俺が最も聞きたかったことでもあったのだ。
つまり、どうして俺に弟子入りしたいのかということだ。
その理由については、彼女自身の口から説明されることとなった。
曰く、自分は人間に憧れているのだという。
今まで見てきた人間たちは、誰もが自分勝手で、欲望のままに行動する者ばかりだったが、中にはそうでない者もいたことを知っていたからだそうだ。
その中でも特に興味を抱いたのが俺だったという訳だ。
正直言って意外だった。
まさか魔族である彼女が、人間に好意を抱くことがあるなんて思ってもみなかったのだ。
だが、同時に嬉しくもあった。
何せ、初めて自分を受け入れてくれる存在に出会えたような気がしたからだ。
そう思うと自然と涙が溢れてきて止まらなくなった。
そんな俺を見て慌てた様子のフィリアだったが、すぐに落ち着くように促してくれたおかげで冷静さを取り戻すことができた。
それからしばらく経ってようやく落ち着いた頃を見計らって話しかけてきた。
「落ち着きましたか?」
その問いに頷いて答えると、今度はこちらから質問を投げかけることにした。
まず初めに気になったことを聞いてみることにした。
それは、なぜ俺を選んだのかということだった。
普通ならばもっと優秀な人材がいるはずだと思うのだが、何故わざわざ俺なのかという疑問を抱いていたからだ。
その問いに対してフィリアはこう答えた。
――あなたの魂に惹かれたからです。
その言葉を聞いた瞬間、ドキッとした。
というのも、彼女の目が真剣そのものだったからだ。
冗談を言っているような雰囲気ではなかったため、本気で言っているのだろうと判断した俺は続きを促した。
すると、彼女は語り始めた。
「実はですね、私には前世の記憶があるんですよ」
そう言うと、少し間を置いてから続けた。
「とは言っても、完全に覚えているわけではないんですけどね」
そう言いながら苦笑する彼女だったが、
その表情からはどこか寂しさのようなものを感じ取れた気がした。
そこで詳しく聞いてみることにしたのだが、どうやらあまり話したくはない様子だったため、
無理強いするのはやめておくことにした。
その代わりに別の質問をすることにしたんだ。
「それで、具体的にはどんな風に前世を思い出したんですか?」
そう尋ねると、彼女はゆっくりと話し始めた。
「あれは、私がまだ子供の頃のことでした……」
そう言って語り始めたのは、彼女の過去に関することだった。
それによると、彼女には幼い頃に両親を亡くしたという過去があり、その後は親戚の家に引き取られたらしい。
しかし、そこでの生活は決して幸せなものではなかったようだ。
なぜなら、彼女は忌み子として嫌われていたからである。
理由はわからないが、とにかく気味悪がられていたらしい。
そのため、いつも一人で過ごしていたようだ。
そんな生活を続けていたある日のこと、事件は起こった。
なんと、両親が事故死したという報せが届いたのである。
突然のことに驚きつつも、葬式に参加するために教会へ向かったのだが、そこで待ち受けていたのは更なる悲劇であった。
何と、引き取り手が見つからなかったのだ。
理由はわからない。
もしかすると、自分のせいなのかもしれないと思った彼女は、逃げるようにしてその場を後にした。
それから数日間、行く宛もなく彷徨っていたところ、ある人物に出会ったことで運命が大きく変わることとなる。
その人物とは誰だったのか?
翌日、俺は早速出かける準備を始めた。
といっても、荷物はそれほど多くないし、必要なものは全て収納魔法でしまってあるので問題ない。
あとは持っていくだけだ。
支度を終えると、さっそく出発することにした。
家を出る前にもう一度だけ振り返る。そこには誰もいない空間が広がっているだけだった。
それを寂しく思いながらも、前を向いて歩き出すことにした。
目的地は決めていないが、とりあえず街を出ることにしようと思う。
いつまでもここにいるわけにはいかないからな。
それに、この街にはもう用はないしな。
そんなことを考えながら歩いているうちに、いつの間にか街の外に出ていたようだ。
目の前に広がる草原を眺めながら、これからどうしようかと考えていた、その時、不意に声をかけられた。
振り返るとそこには一人の女性が立っていた。
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