勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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だからといって諦めるつもりはないぞ!
必ず倒してみせるさ。
そう意気込んで向かって行くと相手のリーダー格の
男が声をかけてきた。
その男は全身鎧に身を包んでいるせいで顔までは
分からないが恐らく男だろうと思われた。
そいつは低い声で唸るように言った後でこう続けたんだ。
「貴様には恨みはないがここで死んでもらうことになる」
それを聞いて鼻で笑ってやったさ。
何故なら俺には勝算があったからだ。
何せ俺にはチート能力があるんだからさ。
負けるはずがないと思っていたんだよ。
そしてそいつに向けて手を翳すとこう叫んだんだ。
「ファイヤーボール!!」
その瞬間、俺の手の先から炎の球が現れて飛んで行ったかと思うと男の腹に命中して爆発したんだ。
男は悲鳴をあげる間もなくその場に倒れ伏してしまったんだ。
それを見た仲間達は慌てて逃げ出したようで一目散に逃げていったよ。
それを見てニヤリと笑う俺だったのだが、
次の瞬間には驚愕することになったんだ。
なんと倒したはずの男が立ち上がってきたんだ。
これには流石に動揺を隠しきれなかったんだが、
それでも諦めずに攻撃を続けた結果、
どうにか倒すことができたんだ。
そして今度は女の方にターゲットを絞ることにしたんだ。
彼女に向けて手を翳すと、先ほどと同じように呪文を唱えた。「ウインドカッター!」
次の瞬間、手の先から風の刃が出現して飛んでいくと、
女の身体を切り裂いた。
女は苦痛に顔を歪めながら膝をつくとそのまま
倒れ伏してしまう。
それを見て安堵した瞬間だった。
不意に後ろから殺気を感じたので振り返るとそこには
先ほど倒したはずの男が立っていたのだ。
その姿はボロボロで瀕死の状態だったが、
何故か余裕の笑みを浮かべているではないか。
そこで俺は理解したよ。
こいつが不死身の能力を持ってるんだってことをね。
だからもう一度倒してやることにしたんだ。
でも何度倒しても復活してくるんだよ。
それを繰り返しているうちにだんだんと疲れてきた頃になってようやく、倒すことができたんだが、
それでも 尚、起き上がってきたからビックリしたよ。
(このままではキリがないな)
そう思った俺は切り札を使うことにしたんだ。
「魔王さま直伝、重力魔法!」
その瞬間、男の頭上に魔法陣が出現し、
そこから黒い光が降り注いだんだ。
その光は男を包み込むとそのまま地面に押しつけていった。
男は必死に逃れようともがいたが無駄だったようで
やがて動かなくなった。
(ふぅ……なんとか倒せたか)
安堵の溜息を漏らした俺はその場に座り込むとゆっくりと
目を閉じるのだった。
その後、男の死体は跡形もなく消滅してしまっていた。
恐らく死んだ瞬間に肉体ごと消滅したのだろうと予想した。
そして、俺は再び女の方に向き直った。
彼女は今もなお苦しんでいる様子だったので、
解毒剤を飲ませてやることにしたんだ。
と言ってもただではないんだけどね。
まあ、金を払ってもいいと思ってるくらいだよ。
なんせこっちは殺されかけたんだからそれくらい当然の権利だろ?
そう思いながら小瓶に入った液体を手渡したんだけど、
受け取ってくれなかったんだよね。
仕方がないから無理やり押し付けてやったんだけど、
やっぱり飲んでくれないんだよ。
どうしようかと思っていたら不意に声をかけられたんだ。
顔を上げるとそこにはルミナスの姿があったんだ。
「それを彼女に飲ませてください」
と言うもんだから言われた通りにしたよ。
すると、みるみるうちに顔色が良くなっていったんだ。
どうやら効果は抜群だったようだね。
ホッとしたのも束の間、今度はリリアが起き出して
話しかけてきたんだよ。
「なあ、あんた達はいったい誰なんだ?」
リリアの質問に対してどう答えたものかと悩んでいたら、
横からルミナスが口を挟んできたんだ。
ルミナスはリリアに向かってニッコリ微笑むとこう言ったんだ。
「私はルミエールと申します。そちらのリュート君とは昔からの友人なんですよ」
それを聞いたリリアの顔がパッと明るくなるのがわかった。
俺の方を見ると、満面の笑みを浮かべて握手を求めてきたんだ。どうやら俺の事を信用してくれたみたいだな。
そう思うとなんだか嬉しくなってきたぜ。
まあ、それも当然か。
なんたって俺は勇者様なんだからな。
(……ううっ、)
周りから聞こえてくる呻き声や悲鳴に 耐え切れず、
耳を塞ぎたくなる。
だが、そんなことは許されない。
何故なら俺は、魔王なのだから。
たった一人で、沢山の人間を屠らねばならないのだ。
そんな使命感を胸に、魔王は武器を構えるのだった……。
そして、俺は剣を振るうと、近くにいた人間たちを切り裂いた。
肉を切り裂き、骨を断つ感触に酔いしれる。
(ははっ、これだよこれ!)
これが、俺が求めていたものだ。
今までの戦いは何だったのかと思うぐらい爽快だった。
あっという間に敵の数が減っていくのを感じる。
ああ、なんて楽しいんだろう。
もっと戦いたい。
そうしてしばらく戦った後、やっと敵がいなくなった。
「ふん、大したことなかったな」
そう呟いていると、後ろから声をかけられた。
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