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手にはフルートを持っていることからおそらく音楽が
得意なんだろうと思われる。
そういえばあの後リリアたちに何か魔法を掛けてた
みたいだけどあれはなんだったのかな?
まあ気にしなくてもいいか……。
そう考えていると今度は隣から声がしたんだ。
何事かと思って見るとそこには彼女が立っていたのだ。
「おはようございます、リュート」
彼女は丁寧にお辞儀をするとニコリと微笑んだんだ。
その笑顔はとても可愛らしく思わずドキッとしたぜ。
それにしてもなんで俺の名前を知ってるんだろう?
不思議に思っていると彼女が教えてくれたんだ。
「あなたのお名前ぐらい、覚えていますよ」
それを聞いて嬉しくなった俺は、彼女との会話を楽しんだんだ。
途中何度か、魔族の少女たちに変身させられそうになったが、
何とか耐え抜いたぜ。
それにしてもあいつらが俺にやたら優しい気がするんだよな。
気のせいだろうか?
まぁいいや、今はとりあえずダンジョンに向かうとしようかな……。
そう思って村を出ると早速モンスター達と遭遇したんだ。
スライムやゴブリンなど下級モンスターばかりだったから、
それほど苦戦はしなかったよ。
ただ、もう少し手応えのある敵が欲しいところだな。
と思っていたら今度は巨大なドラゴンが現れたんだ。
さすが上級モンスターだけあって手強かったね。
「おらおら、どうした! まだまだいくぜ!」
俺は必死に攻撃を繰り出すが、なかなか当たらない。
だが、それでも諦めずに攻撃し続けた結果、
ついにダメージを与えることができたんだ。
よしっ!これで勝てるぞ。
そう思ったのも束の間、ドラゴンは最後の力を振り絞って
魔法を放ってきたんだ。
その威力は凄まじく俺のHPを一気に削ってしまった。
魔族の力をフル稼働させた俺は、その勢いでドラゴンを仕留めた。
目を開けると、目の前にリリアの顔があった。
そして彼女は俺に抱きつきながらこう言ったんだ。
「わぁ、凄いですね!」
続いて背後からルミエールが話しかけてきた。
「すごーい! あんな強い敵を倒しちゃうなんて、尊敬しちゃうわ!」
そして最後に、サユリがニッコリ微笑みながら 言った。
「さすがリュートさんですね!」
それを聞いて、改めて自分の力に自信を持つことが出来たんだ。
こうして、無事にダンジョンを攻略した。
俺は意気揚々と村に 帰ったのだった。
そして村の人たちから様々な歓待を受けた後、
やっと宿屋でゆっくりする時間が出来たんだが、
ここで疑問が湧いてくるんだよな。
魔族の少女たちの姿をくらまされちまったからさ。
あいつら一体何処に消えたんだろう?
うーん、気になるな……。
だが考えても仕方ないので諦めて寝ることにするか。
おやすみなさーい。
翌日、朝早く目が覚めた俺は早速ダンジョンに向かうことにした。
昨日手に入ったばかりの新しい武器を装備して
意気揚々と出発だ。
そして数時間後、とうとう目的地に到着したんだ。
問題はここからだ。
果たしてモンスターを倒せるのだろうか、
そう考えていた時だった。
突然声をかけられたんだよ。
驚きつつ振り返るとそこには魔族の少女がいたんだ。
彼女は微笑みながら話しかけてくると俺にこう言ってきたんだ。「あなた強いわね!」
それを聞いて嬉しくなった俺は、彼女に話しかけたんだけど彼女の返答を聞いて唖然としたんだよね。
ドラゴンを倒したことで自信をつけた俺は意気揚々と
村に戻ることにしたんだ。
村に戻ると早速人々が出迎えてくれて、
ご馳走やら何やらで大歓迎してくれたんだよ。
いやぁ、こういうのってやっぱり嬉しいもんだよな。
なので出されたものは全て残さず食べることにしたぜ。
そんなこんなでその日は寝ることになったんだ。
翌朝、起きて早速ダンジョンへ向かうことにするか。
目的地に到着し、さっそく探索を始めたんだが、
やはり魔族が潜んでいたのかモンスターたちが
襲ってくるんだよね。
うおっと!
危ないところだったぜ。
なんて思いつつも何とか倒したよ。
それからも次々と出てくるモンスターたちを倒しつつ、
進んでいくと、突然何者かの気配を感じたんだ。
もしかしてと思い振り返るとそこにいたのは、
なんと、あの魔族の少女だったんだよ。
「こんにちは、リュートさん」
彼女は笑顔で挨拶してきたけど、こっちはそれどころ、
じゃなかったぜ。
(うわっ、なんでこんなとこにいんだよ。つーかよく見たらこいつサユリじゃんか!)
慌てて逃げようとする俺だったが、
あっさり捕まえられてしまったんだ。
そしてそのまま押し倒されてしまったんだ。
俺は必死で抵抗したが所詮無駄な努力ってやつだったぜ。
まぁそんなわけで結局最後までされてしまったわけだが、
「おい、お前何してくれてんだ!」
俺が叫ぶと、 彼女は不思議そうな顔をしつつ言った。
「は?あなたリュートでしょ?」
そう言われて俺はハッとした。
どうやら変身していたことを忘れていたようだぜ。
やっちまったなぁと思いつつも、それでも何とか
気持ちを切り替えて再びダンジョンの探索を
開始することにしたんだ。
だが今度は魔族の少女がいないかとビクビク
しながら進んだよ。
幸いにも襲われずに無事最奥部まで到達することができたんだ。そこには大きな扉が待ち構えていたんだが、
扉を開ける前に少し休憩することにしたんだよね。
そこにさっきの魔族の少女が現れたんだよ。
「こんにちは」
「げぇっ! またお前かよ!」
俺は思わず叫んでしまった。
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