浮気する人とはもう恋愛出来ないので婚約破棄します~その後、義父に愛されて可愛がられて、蜜愛な住処~

一ノ瀬 彩音

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「実はな、リリィ、君に渡したい物があるんだ」
「私にですか? それは一体なんでしょう」
「これなんだが」
アンダレシュは懐からイヤリングを取り出してリリィに差し出した。
リリィはそのイヤリングを見て驚く。
「これは!?」
アンダレシュは照れくさそうにしている。
「受け取ってくれるか」
リリィは目に涙を浮かべながら答えた。
「はいっ」
リリィはアンダレシュの差し出すイヤリングを受け取った。そして自分の耳につけてみる。
アンダレシュはその様子をじっと見つめている。
「似合いますか?」
「ああ、とても良く似合っているよ」
「ありがとうございます」
リリィは嬉しさのあまり涙を流している。
アンダレシュはそんなリリィを優しく抱きしめる。
「泣くことはないじゃないか、これからもっと楽しいことが起こるんだから」
「そうですね、でもちょっと感動してしまいまして」
「そうか」
「ええ」
「さあ、冷めない内に食べよう、せっかくのご馳走が台無しになってしまう」
「そうですわね、いただきましょう」
「ああ」
二人は向かい合って座り、食事を始める。
「ああ、美味しいです」
「本当だ、こんな美味しいものは食べたことがないな」
二人は幸せいっぱいの様子で食事を楽しんでいる。
「ところで貴方、そのイヤリングはどうしたんですか? 見たところかなり高価なもののようですけど」
「前にダンジョンで宝箱を見つけたことは覚えてるかい」
「はい、確か金貨5000枚ぐらいのやつですよね」
「あれは売らずに残してあるんだけど、その中にあったんだよ」
「なるほど、そういうことでしたか」
「ああ、君へのプレゼントにどうかと思ったんだ」
「嬉しいです、大切にしますね」
「ああ、そうしてくれ」
「でも私ばかり貰ってばかりで申し訳ないです」
「気にしないでくれ、俺は君に喜んでもらえるだけで満足だから」
「ありがとうございます、でも何かお返しをしたいのですが」
「それなら俺にして欲しいことを言ってくれないか、出来る限り叶えるつもりだ」
「そうですか、では一つお願いがあります」
「なにかな」
「私、まだ妊娠初期なので激しい運動は控えるように言われています。
ですから今までのように毎日はできないと思います。
ですからその代わりに週に一回、貴方の気が済むまで抱いて下さい」
「わかった、約束しよう」
「ありがとうございます、楽しみにしていますね」
二人はその後も楽しく会話をしながら夕食を食べ続けた。
次の日。リリィはいつも通り朝早くに目を覚ますと、隣で寝息を立てているアンダレシュに話しかけた。
「おはようございます」
アンダレシュはまだ眠そうにしながらも挨拶を返す。
リリィは自分の体の変化に気がついた。
「あら、どうしたのかしら、昨日までなかったはずなのに」
リリィは寝間着を脱いで下着姿になると、鏡の前に立って確認する。
そこには妊娠によって膨らみ始めた乳房があった。
「まあ、妊娠したら胸が大きくなるというのは聞いたことがありましたが、
まさかここまでとは、嬉しい誤算ですね」
リリィは少し大きくなった自分の乳房に触りながら言う。
「んっ、あんまり強く揉むと痛いわね」
リリィは次にお腹の方を見る。
「うーん、お腹はあまり変化がないみたいだけど、そういえばそろそろ悪阻が始まる頃かしら」
リリィは朝食の準備に取り掛かることにした。
リリィは着替えを済ませると、厨房に入っていく。
今日はオーク肉を使ったスープを作ろうと考えていたのだ。
リリィはオーク肉を一口サイズに切り分け、塩コショウで下味をつけてフライパンで焼き始める。
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