GOD EYE-十の秘玉と封印されし魔神-

天樹 一翔

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大地の玉、争奪戦Ⅲ

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 その頃の数十分前――。

 水野家のプライベート飛行船で、海を渡っていた蒼雷一向。

「フェリペスか~、バロガンさんに会えるかな」

 蒼雷はそう言いながらトランプ表向きで2枚置く。描かれている絵柄はクローバーの2ルサンとスペードの2ルサン

七色の雷操者アルレーズで一番の怪力と聞いた」

 夜炎はそう言いながらカードを二枚裏向きで置く。夜炎の手元にあるカードは0枚。

 ここで先程までの雑談がピタリと止む。

「蒼雷が一回ジョーカー引いたんだよね?」

「お蔭様で、俺の手札は8枚だ。不知火に見破られたからよ」

 蒼雷はそう言いながら不貞腐れている。

「神瞳君は確実に1枚は所有しているけど。もしかしたらまだもう1枚持っている可能性もあるよね」

「そうやってジョーカーの枚数をかく乱させようとしているでしょ? 雪菜ちゃん」

 玲と雪菜はそう言って睨みあっていると。

「お! 女の戦いが始まった」

「もういいか。上がるぞ俺は――」

「待って!」

 玲と雪菜が同時にそう言うと、迫力が凄まじかったので夜炎は思わず「あ……ああ」と声を漏らす。

「今回のトークフェーズ糞長いな。俺はパスだからな。裏向きの札が、ジョーカーとマーク有りのカードじゃなく、ただのペアのカードだったら、俺の手札はまた増えちまう」

「蒼雷はいいよ。それが普通だもん。よし、雪菜ちゃんジャンケンをしよう。勝った人が不知火君の上がりカードが、アンサーする」

「いいわ。望むところ!」

 そして、最初はグーの合図で出したジャンケンで勝ったのは雪菜だった。

「夜炎君には上がらさせない! ダウトよ!」

 夜炎が裏向きにしていたカードを公開。ハートの5ネルトラとクローバーの5ネルトラ

「嘘――」

 蒼雷は置かれているカードを全て裏側に揃えてから、こっそりとまとめて渡す。玲はほっとして胸を撫でおろしていた。渡されたカードの内容を見て雪菜は驚愕した。ジョーカーがたった10枚の中に、2枚も入っていたからだ。

 それを見ていた玲と夜炎は、ニヤニヤと笑みを浮かべていたので、皆が全く疑っていないトークフェーズの時に、裏向きで捨て札ゾーンに置かれてたのだ。

 これで夜炎以外が残り、蒼雷と玲と雪菜で戦うことになる。

 山札を引くドローフェーズ山札から引いたカードと同じカードを探すスタンバイフェーズペアのカードorジョーカーとその他のカードを表か裏で捨てるセットフェーズ捨てたカードがジョーカーだったかを審議するトークフェーズ全員パスorプレイヤーの誰かがダウトと宣言アンサーフェーズダウト宣言されたプレイヤーは裏側のカードを公開するリザルトフェーズ

 と、このような流れでゲームを進行する。カードの枚数は合計10枚。そのうちジョーカーが4枚という内訳になっており、ゲーム性として、セットフェーズの際に、全て裏側にして出し、わざとトークフェーズを発生させて、かく乱させる戦法もある。夜炎はこれで1位抜けとなった。

 そして、結果的には雪菜が最下位の敗北となった。落ち込んでいる雪菜に、まあまあと肩を叩く玲。

「バロガンさんは怪力ってレベルじゃないんだけどな。ただの力のみで、10メートルの岩山を破壊したり、口からライトニングフラッシュ吐いたり、正直訳分からねえよ。まあ、戦った時のあの人は、一番魔物に近いかもな。けれども魔物っぽいせいか、魔物狩りが趣味のキルシュさんに、ボコボコにされたらしい。まあジェラを倒す前の話だけどな」

「相性ってやつか」

「そうだな。戦闘ってのは基本的に相性だ。それでいくと、ロードゲート先生がオールラウンダーだとしたら、その下にアルガロスさんとスペルダーがいる感じかな。俺はその三人の下位互換って感じだ。魔力に波がありすぎる」

「なるほどな」

 蒼雷と夜炎がそう会話していると、窓際に座る玲と雪菜が「何だろう?」と窓の外を指していた。

 雲より下を飛行しているので、もうすぐ着きそうな自然大国フェリペスから、爆発したかのように光が衝突しているようだった。

「あれはどう考えても赤い雷のライトニングフラッシュだよな」

「神瞳――いけるか?」

「任せろ。
「全てを見通す眼。全てに適応する眼。全てを支配する眼を備えし瞳。聖霊、光神セイレーンよ我に力を与え給え。発動、神の瞳ゴッドアイ

 蒼雷は青色の雷を纏い、両方の瞳は薄めの茶色から蒼色に変色した。魔力には圧倒的な重圧プレッシャーがかけており、近くにいる三人は、一週間前なら対峙できないほどだった。しかし、修行したことにより、蒼雷の魔力が大きくとも、冷静さを保つことができる。

 しかし――飛行船の運転手だけは違った。感じたことが無い膨大な魔力量に、白の手袋が透明の色に変色し始めている。

「お前――戦わないときに限って魔力量多くないか?」

「うるさいな集中させろ。 千里眼オラクルアイ

 バロガンの魔力を感じ取った蒼雷は、バロガンの光景を捉えた。そして、目を瞑りながら口を開く。

「バロガンさんが放っているのはデストロイ・ライトニングフラッシュだな」

「お前が以前見せた、ライトニングドラゴンウェーブと同じクラスの難易度の魔法だよな」

「だな。で――近くにいる魔力は――また、見たこと無い奴だな。バロガンさんと同じような体格をしてやがる。200cm以上の褐色肌の大男で、フットボール選手みたいな筋肉質な体。んでもって、顔は目元以外を包帯でぐるぐる巻きにしてやがるな」

「いかにもって感じね」

 雪菜はそう言うと、玲は「強そう――」という言葉と同時に、不安も一緒に吐き出したようにも思える。

「他には人はいないな」

「一人だけで来たって馬鹿な話は無いだろう」

 夜炎の推測に頷く蒼雷。

「ザギロスは頭が切れるから、恐らく今回も来ているはずなんだよな。でも、バロガンさんが自分の森を易々と侵入させる訳ないし、恐らく何らかの魔法で行動制限をされて、森への侵入をさせたんだろうな」

「自信に満ちた推測だな」

 蒼雷の脈、心音などから聞こえる音があまりにも普通過ぎた。多少なりとも乱れてもいい筈が、いつも蒼雷だったからだ。

「あの人、ジェラとの戦争の時、闇の支配者ダークルーラーの一万人くらいをパンチとキックだけで無双していた人だぜ? そんな人が相手が例え、闇の支配者ダークルーラーの幹部複数人に襲いかかられても、まともに戦っている限りは、そう簡単に不意を突かれねえよ。ただの突きを地面にするだけで地割れ起こしたりするし」

「べ、別次元だわ――迅鳴先生は、光の速さでビュンビュン動くし、何なのアナタ達――」

「いや、引くなよ。褒めろよ」

 蒼雷はそう言いながら 神の瞳ゴッドアイを解除した。

「気合入れていくぞ」

 蒼雷の言葉に、夜炎、玲、雪菜は各々返事をした。



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