3 / 3
第3話 捨て石
しおりを挟む
クレトを呼び止めたのは、銀色のブレスレットを付けた見覚えのない男子生徒であった。金髪でカールした髪の毛、嫌味をわざと含むような口調でそう言った。
男子生徒の言う、さっき、とは真冬と話していたことで間違いないだろう。
ーーとんだトラブルメーカーだな
「きィみごときが何の媚びを売りたいか知らないけど、彼女に接しようなんて身の程をわきまえたらどうなんだィ?ーー捨て石の分際でねェ」
「ーーお前が関係のない第三者であるならそんなことを言われる筋合いがない訳だが。それともお前、あいつと特別な関係だったりするのか?」
「ーーふっ、ヤレヤレ。達者な口だねェ、そういうところを言っているのサ。ボクはちゃんと線引きをしようって話をしているんだよ、代表生と捨て石のねェ?」
‥‥‥はぁー、帰りたい
ここまでの会話でクレトは既に目の前の男に対する興味を完全に失っていた。こういうやつはどこにでもいる、ただ絡まれた自分の運が悪かっただけ。適当に受け流してさっさと場を去る、そのことしか頭にはなかった。
「あーー、すまんすまん。要するにお前の恋路を俺が邪魔しちゃってた訳か。もう関わらないから後は好きに告るなり、振られるなりやってくれ」
そう言って、クレトはその場を去ろうとする。
「‥‥‥な、なるほど。り、理解力が足りてないようじゃないか」
ーーん、ん?俺なんかマズイ事言ったか?
男子生徒はピクピクと口角を上げながらそう言うと、全身に濃いオーラを発した。どうやら武技を発動したとみて間違いないだろう。
流石は代表生と言ったところか、男子生徒は一瞬にして間合いを詰めるとクレトへ拳を繰り出す。
ーーそれにしても捨て石か
適合者の世界にはある風潮が存在する。
実際のところ表には出ないが有能な適合者のために他の適合者は犠牲なる事は仕方ないといったものだ。有能な適合者育成にはどうしても時間がかかってしまう。そのために能力の低い適合者が犠牲となり時間稼ぎとなる存在、それゆえに捨て石と禁止用語となっているものの呼ばれることは確かにあった。
ーーとはいえ、これをどうしたものか
現在クレトには彼の放つ打撃がコンマ送りで視えていた。
このままかわすのは容易い。
しかし、それでは男子生徒の気は収まらないであろう。
入学初日に揉め事を起こすのが一番の問題かーーであるなら
仕方ないか‥‥‥
そう考えるとクレトは彼の攻撃を受けたーー否、受けたふりをした。
男子生徒の拳が自分に触れたと同時にそのまま後ろに飛び地面に転がって倒れる。それによって彼の気分を満たしてやることにしたのだ。
「ーーふっ、捨て石の分際で調子づくからこうなるんだ」
そう捨てゼリフを残して、ある種の満足感を得たのか男子生徒は去って行く。
クレトは男子生徒がいなくなったのを見測ると何事もなかったように立ち上がり、ため息を一つ残して帰宅への道へ戻って行った。
「ーーふぅん、あの子おもしろいじゃない」
校舎の中から偶然その様子を見ていた1人が薄っすら口角を上げてそう呟やいた。
** ** **
「ーーふぅ、やっと着いた」
クレトが家に着いた頃には既に辺りは暗く、扉を開けた家の中は真っ暗だった。彼の家はひと家族生活するのにも十分すぎるほどの広さを持つ一軒家。
だが、廊下の電気をつけても彼を出迎える者はいない。下駄箱に用意されているのも彼の靴のみ。
しかしクレトが靴を脱ぎ玄関から上がると、彼の影からーーそう、後ろからということではなく、本当にクレト自身の影から、大きな口を開けあくびしながら現れたのは金髪の幼女の姿。
「くぅ~、ようやく外の空気が吸えたわい」
突如、自らの影から現れた存在にもかかわらず、クレトは驚く様子もなく部屋着に着替えてリビングのソファーに腰を下ろす。
影より現れた幼女体型の金髪の少女の名はラストレアル・ヴリコラティオス・クリル。
小さな体型に可愛らしい顔をしているが、実際はクレトが異世界にいたとき契約を交わした吸血鬼である。
「ーーのぅ、主様よ。いくら妾と主様が切りたくともとも切りきれないカタ~い契約であるとはいえ、初対面の女子に性欲の限りを尽くすようでは、妾も妬いてしまうぞよ」
そう言って、クレトの背後からそっと近寄り両腕をクレトに巻きつける。そして、耳元で少し息のかかるような声で
「ーー主様よ、妾はアレが欲しいのじゃ。一日中耐えておったが、もう我慢できんのじゃ、ほれ差し出せぇぃ」
クレトは一つため息を吐くと立ち上がった。
そしてクリル目掛けて袋を放り投げる。
「ーーほらよ!分かったから、そんなどこで覚えてきたかも分からないような言い方はやめろ」
「ーーかやかや、分かればよいのじゃ。おぉ、これよこれ。待ちわびたぞ!!」
そう言って袋を開くと入っていたのは大量の蒸しパン。それを満足気な笑みで次々に口に運んでいく。
「ーーいやはや、蒸しパンを開発した者は天才じゃ、天才じゃの!! このふわモチっ、むぅ~たまらぬのぉ」
持ち上がった腰をこのまま下ろすのは、どこかもったいなく感じたクレトはそのまま夕飯の支度を始めた。といっても、現代にはケータリングシステムの普及により、指定した時間に出来立ての料理が家に届けられるというサービスがある。クレトに料理を用意する者も用意する相手もこの家にはいない訳なのでこのシステムを利用していた。
食器を並べるだけであったが、夕飯の支度を終えたクレトは一口目を口にしようとする。
その時、リビングに電子音が鳴り響いた。
ーーこの音‥‥‥機密回線か
「AIロード、応答」
クレトがそう声を発すると、何もなかったはずの空間に平面の画面映像が写し出される。
そこに映っていたのは黒スーツを見にまといロングヘアの黒髪に眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな雰囲気をかもしだす女性。
クレトは口まであと少しだった箸を置くと、部屋着ながらも少しだけ姿勢をただして画面を正面に向く。
「ーーコードネーム・ジョーカー、任務です。準備でき次第、自警党までお越し下さい」
「ーー了解」
事が終えるとすぐに映像は消えた。
深いため息とともに残された食事に尻目をひきながら、着て間もない部屋着を着替え直す。代わりに着用するのは学校の制服ではなく、黒一色にまとまった闇夜にとけてしまうような服装。
「ーーおい、クリル!! 仕事だ」
「ーーほごっ‥‥‥仕方ないのぉ」
口の中をもごもご、とさせながらクリルは影の中へと戻っていく。残ったのは袋のみ、大量にあったはずの蒸しパンは既に彼女の胃袋へと消えていた。
そして、クレトはヘルメットを装着すると慣れた手つきでタイヤのない重力抵抗型バイクへと飛び乗った。
男子生徒の言う、さっき、とは真冬と話していたことで間違いないだろう。
ーーとんだトラブルメーカーだな
「きィみごときが何の媚びを売りたいか知らないけど、彼女に接しようなんて身の程をわきまえたらどうなんだィ?ーー捨て石の分際でねェ」
「ーーお前が関係のない第三者であるならそんなことを言われる筋合いがない訳だが。それともお前、あいつと特別な関係だったりするのか?」
「ーーふっ、ヤレヤレ。達者な口だねェ、そういうところを言っているのサ。ボクはちゃんと線引きをしようって話をしているんだよ、代表生と捨て石のねェ?」
‥‥‥はぁー、帰りたい
ここまでの会話でクレトは既に目の前の男に対する興味を完全に失っていた。こういうやつはどこにでもいる、ただ絡まれた自分の運が悪かっただけ。適当に受け流してさっさと場を去る、そのことしか頭にはなかった。
「あーー、すまんすまん。要するにお前の恋路を俺が邪魔しちゃってた訳か。もう関わらないから後は好きに告るなり、振られるなりやってくれ」
そう言って、クレトはその場を去ろうとする。
「‥‥‥な、なるほど。り、理解力が足りてないようじゃないか」
ーーん、ん?俺なんかマズイ事言ったか?
男子生徒はピクピクと口角を上げながらそう言うと、全身に濃いオーラを発した。どうやら武技を発動したとみて間違いないだろう。
流石は代表生と言ったところか、男子生徒は一瞬にして間合いを詰めるとクレトへ拳を繰り出す。
ーーそれにしても捨て石か
適合者の世界にはある風潮が存在する。
実際のところ表には出ないが有能な適合者のために他の適合者は犠牲なる事は仕方ないといったものだ。有能な適合者育成にはどうしても時間がかかってしまう。そのために能力の低い適合者が犠牲となり時間稼ぎとなる存在、それゆえに捨て石と禁止用語となっているものの呼ばれることは確かにあった。
ーーとはいえ、これをどうしたものか
現在クレトには彼の放つ打撃がコンマ送りで視えていた。
このままかわすのは容易い。
しかし、それでは男子生徒の気は収まらないであろう。
入学初日に揉め事を起こすのが一番の問題かーーであるなら
仕方ないか‥‥‥
そう考えるとクレトは彼の攻撃を受けたーー否、受けたふりをした。
男子生徒の拳が自分に触れたと同時にそのまま後ろに飛び地面に転がって倒れる。それによって彼の気分を満たしてやることにしたのだ。
「ーーふっ、捨て石の分際で調子づくからこうなるんだ」
そう捨てゼリフを残して、ある種の満足感を得たのか男子生徒は去って行く。
クレトは男子生徒がいなくなったのを見測ると何事もなかったように立ち上がり、ため息を一つ残して帰宅への道へ戻って行った。
「ーーふぅん、あの子おもしろいじゃない」
校舎の中から偶然その様子を見ていた1人が薄っすら口角を上げてそう呟やいた。
** ** **
「ーーふぅ、やっと着いた」
クレトが家に着いた頃には既に辺りは暗く、扉を開けた家の中は真っ暗だった。彼の家はひと家族生活するのにも十分すぎるほどの広さを持つ一軒家。
だが、廊下の電気をつけても彼を出迎える者はいない。下駄箱に用意されているのも彼の靴のみ。
しかしクレトが靴を脱ぎ玄関から上がると、彼の影からーーそう、後ろからということではなく、本当にクレト自身の影から、大きな口を開けあくびしながら現れたのは金髪の幼女の姿。
「くぅ~、ようやく外の空気が吸えたわい」
突如、自らの影から現れた存在にもかかわらず、クレトは驚く様子もなく部屋着に着替えてリビングのソファーに腰を下ろす。
影より現れた幼女体型の金髪の少女の名はラストレアル・ヴリコラティオス・クリル。
小さな体型に可愛らしい顔をしているが、実際はクレトが異世界にいたとき契約を交わした吸血鬼である。
「ーーのぅ、主様よ。いくら妾と主様が切りたくともとも切りきれないカタ~い契約であるとはいえ、初対面の女子に性欲の限りを尽くすようでは、妾も妬いてしまうぞよ」
そう言って、クレトの背後からそっと近寄り両腕をクレトに巻きつける。そして、耳元で少し息のかかるような声で
「ーー主様よ、妾はアレが欲しいのじゃ。一日中耐えておったが、もう我慢できんのじゃ、ほれ差し出せぇぃ」
クレトは一つため息を吐くと立ち上がった。
そしてクリル目掛けて袋を放り投げる。
「ーーほらよ!分かったから、そんなどこで覚えてきたかも分からないような言い方はやめろ」
「ーーかやかや、分かればよいのじゃ。おぉ、これよこれ。待ちわびたぞ!!」
そう言って袋を開くと入っていたのは大量の蒸しパン。それを満足気な笑みで次々に口に運んでいく。
「ーーいやはや、蒸しパンを開発した者は天才じゃ、天才じゃの!! このふわモチっ、むぅ~たまらぬのぉ」
持ち上がった腰をこのまま下ろすのは、どこかもったいなく感じたクレトはそのまま夕飯の支度を始めた。といっても、現代にはケータリングシステムの普及により、指定した時間に出来立ての料理が家に届けられるというサービスがある。クレトに料理を用意する者も用意する相手もこの家にはいない訳なのでこのシステムを利用していた。
食器を並べるだけであったが、夕飯の支度を終えたクレトは一口目を口にしようとする。
その時、リビングに電子音が鳴り響いた。
ーーこの音‥‥‥機密回線か
「AIロード、応答」
クレトがそう声を発すると、何もなかったはずの空間に平面の画面映像が写し出される。
そこに映っていたのは黒スーツを見にまといロングヘアの黒髪に眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな雰囲気をかもしだす女性。
クレトは口まであと少しだった箸を置くと、部屋着ながらも少しだけ姿勢をただして画面を正面に向く。
「ーーコードネーム・ジョーカー、任務です。準備でき次第、自警党までお越し下さい」
「ーー了解」
事が終えるとすぐに映像は消えた。
深いため息とともに残された食事に尻目をひきながら、着て間もない部屋着を着替え直す。代わりに着用するのは学校の制服ではなく、黒一色にまとまった闇夜にとけてしまうような服装。
「ーーおい、クリル!! 仕事だ」
「ーーほごっ‥‥‥仕方ないのぉ」
口の中をもごもご、とさせながらクリルは影の中へと戻っていく。残ったのは袋のみ、大量にあったはずの蒸しパンは既に彼女の胃袋へと消えていた。
そして、クレトはヘルメットを装着すると慣れた手つきでタイヤのない重力抵抗型バイクへと飛び乗った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
わけありな教え子達が巣立ったので、一人で冒険者やってみた
名無しの夜
ファンタジー
教え子達から突然別れを切り出されたグロウは一人で冒険者として活動してみることに。移動の最中、賊に襲われている令嬢を助けてみれば、令嬢は別れたばかりの教え子にそっくりだった。一方、グロウと別れた教え子三人はとある事情から母国に帰ることに。しかし故郷では恐るべき悪魔が三人を待ち構えていた。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる