隣の芝は青く見える、というけれど

瀬織董李

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従兄弟(王太子視点)

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「先程の発言により、此度の騒動の大元がアルフレードの不貞である事は明らか。従ってサテッリテ侯が破棄を認めたのであれば速やかに婚約破棄を承認せねばなるまいて」

 叔父の言動行動に、何度も頭を悩ませてきた父は、今回の事を良い機会だと考えたのかもしれない。微かに、ほんの微かに見下す様な笑みをのせ父が叔父に告げると、それに気付いたのだろう。さすがに泣く事は無いが大声で喚き散らし始めた。その様子を見て、これまであまり叔父との交流が無かった貴族達の顔が引き攣っている。

 まあ、そんな叔父の事はどうでもいい。手続きをした訳ではないが、これだけ大勢の前での宣言を無かったことには出来ない。しかも国王の承認付きだ。二人の婚約は正式に破棄されたといってもいい。ならば私は私の望みを叶えるべく動きだすだけだ。

 そっと立ち上がり、両親に顔を向けるとにこやかな笑みを返された。母上……扇に隠して親指立てるの止めてください。

 若干気恥ずかしさを感じつつはやる気持ちを押さえながら壇上から降りると、足音に気付いたアルフレードが振り返り驚いた顔を見せた。

従兄上あにうえ!?」

 先程まで自分の父親が錯乱する様を呆然と見ていたアルフレードだったが、私が笑みを浮かべて近付くのを見て、何か危害を加えられると感じたのか、ルーチェ嬢を庇うように身体の向きを変えた。私にとって彼らなど、路傍の石にも等しいというのに。

「従兄上が何をしようと、僕はルーチェを渡しません!!」

「そ、そうです!!私はアル様を愛しているのです」

「そうか。勝手にしたらいい」

「「え!?」」

 「聞こえなかったのか?勝手にしろと言ったんだ」

 もう取り繕う必要もないからな。カルラの計画に乗るために、どうでもいい女のご機嫌取りは苦痛でしか無かった事を考えると、今は何と清々しい気分だろうか。

「え、あ、従兄上はルーチェ嬢を妃に望んでいるのでは無かったのですかっ!?」

 面白いように狼狽えるアルフレードを見て、胸がすく思いだ。

「私が。いつ。その娘を。望んだというのだ?」

 軽く鼻で笑うと、段々と理解したのだろう。青ざめていく顔を横目に、私はホール中央の壇上とは反対側へと足を進めた。喚く叔父を見て、呆れた視線を向けているカルラの前で跪く。私に気付いたカルラの頬がほんのりと赤く染まった。

「……クラウディオ様」

「カルラ・サテッリテ嬢。私、フォレスタ王国王太子クラウディオ・フォレスタと、結婚してください」

 そっとカルラの左手を取り、薬指に口づけると、周りから小さく悲鳴が上がった。
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