世界樹の下で

瀬織董李

文字の大きさ
21 / 51

旅の仲間が現れた!②

しおりを挟む
「いや、宰相が言った魔法の習熟度が見たいというのは、嘘では無いよ?どの属性のどんな魔法が使えるのか。三属性なんて僕の知る限りでは居ないからね。とても興味があるね」

「はぁ……」

 まあ、ここに来ちゃった以上は腹くくるしかないかなあ。でも、気になるのはさっき言った聖女と同じの様ってどういう事なんだろ?

「言葉通りだよ?君も聖女と同じ世界からやって来たのではないのかい?」

「え。ど、どういう意味ですか!?」

「僕の顔を知っている様だったからね。僕は弟と違って聖女の馴れ馴れしい態度には辟易していたけれど、彼女の話す異界の様子には興味があった。だから出来る限り話を聞いたよ。彼女はこの世界を『乙女げーむ』と呼び、弟を『攻略対象』と呼んでいた。僕の事は、『攻略対象じゃないけど『いけめん』の王子だから』ってすり寄ってきていたね」

 なにやってんだ聖女様は。イケメンならなんでもいいなんて、それはもうヒロインじゃなくてウザインだよ。

「『乙女げーむ』とは一体何だと思ったが、彼女の話から推測すると、どうも何か基本的な台本があって、時々選択肢により流れが変わる芝居のようなものらしいね。この世界は彼女にとって舞台であり、彼女はその芝居の主役兼選択者、そして弟はその芝居の『登場人物』だったという訳だ。まあ、結果をみればただの妄想の様な気がしなくもないけれど」

 ここまで話してランクス殿下は、口が渇いたのか一口お茶を飲む。憎たらしいくらい様になってるなあ。というか、イケメンはなにやっても似合うってやつかしらん。

「この国は王太子が継ぐし、既に王子も居る。僕は元々人前に出るのがあまり好きではなかったから、いずれ継承権を放棄する方向で、『塔』で魔法の研究の道を選んでいたんだよ。何故人から魔法の力が消えていくのか、とかね。故に僕は夜会や茶会にほとんど出ていなかったから、貴族でも僕の事を忘れている者も居るくらいなんだ。なのに、聖女も君も、僕の顔を見てすぐに誰だかわかった様だった。だから君の反応や、君の能力を鑑みて、君は聖女と同じなのでは?と推測したんだが」

 ……おかしいなあ。現宰相様といいこの人といい、なんでこんなに能力ある人達がモブだったんだろう。女の嘘に騙されて野盗にまで成り下がる様な男共より、よっぽど『登場人物』に相応しいんだけどなあ。まあ、聖女様が『シナリオ攻略』に失敗したせいなのかもしれないけど。私、あのゲームでバッドエンド見たこと無いからなあ。

 ここまで聡い人に、全部誤魔化せる自信ないなあ。

「えーと、同じ、というのは多分ちょっと違います。聖女様は向こうの世界から『やって来た』んですよね?私は向こうの世界で色々とあって死んじゃって、こっちに生まれ変わったんです。まあ、記憶が残ってるんですけど」

 あはは。流石に、『あんたんとこの世界の神様にうっかりで殺されたんで、代わりにチート貰ってこっちの世界に生まれ変わった』とは言えないわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

処理中です...