世界樹の下で

瀬織董李

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お久し振りですオネェ様①

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 「あら? ヴェルちゃんじゃない?」

 ふらふらと店を渡り歩いていた中。突然後ろから声をかけられた。

 げ。この声この喋り方で、私の事をヴェルと呼ぶのは一人しか居ない。

「あー。アリスト様お久し振りでございますです……」

 このオカマちゃん口調で話すのはアヴァール・アリスト子爵。泣く子も笑うアリスト商会の会頭様だ。

「アリスト様だなんて他人行儀よしてちょうだい。貴女と私の仲じゃないの」

「どんな仲ですか。きっぱりはっきり赤の他人でしょう」

 うふふ、と笑う姿は顔だけ見たらお化粧とかもしてて女の人に見えなくもないが、体つきは男そのものだ。着てる服も襟を大きく開けてヒラヒラレース付けて中性的に仕立ててある。流石にスカートじゃないけど、キュロットっぽいの履いてるんでパッと見はわからない。

 ちなみにビジネスオネェだ。商会の仕事の関係で女性を相手にする事が多いので、身につけた技らしい。この世界って例の神様の趣味か、LGBTには寛容なのよね。確か前世のヨーロッパじゃ異性装も禁忌だったから。

「どうしたの王都なんかに来ちゃって。何か買い出し?」

 ああ、そうか。暫く会ってなかったもんね。私が村から出てくる頃には、この人来なくなってたからな。

 私とアリスト子爵との出会いは私の故郷の村でだ。まだ爵位を継ぐ前の彼は、比較的王都に近い村々を行商で回る商隊に付いて回る事があった。 

 そんなある日、いつもの様に畑で水やりしていた私に驚き、興味を引かれて声をかけたアリスト様に、知らない人!=不審者!!という短絡思考の元、水鉄砲をかましたのが最初だった。勿論親共々土下座して平謝りしましたとも。でも彼は急に声をかけた自分が悪いと言って笑って許してくれたのだ。

 それ以来何故か妙に気に入られ、村に来る旅にお土産を持ってきてくれる彼に、家族はもしかして玉の輿!?と喜んだが無い無い。あれはどう考えても面白そうな玩具かペットの扱いで、いつもさっきみたいにからかわれてた。持ってきてくれるおみやげも飴玉とかクッキーとかだったから、餌付けされてる気分だったし。まあ全部食べたけど。だから嫌いじゃ無いけどちょっと苦手なのよね。

 そんな彼も、ある時から村にはやってこなくなった。先代が亡くなり爵位と会頭の座を引き継いだからだ。それからは会ってなかった。正直言えば忘れてた。薄情と言われたら言い返せないレベルかもね。

「ま、立ち話もなんだから、時間あるなら向こうのカフェでお茶しない?」

「奢りならいきます」

「……全然変わってないようで何よりだわ」

 肩を竦めながら呆れたように言わないでください。
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