36 / 51
お久し振りですオネェ様①
しおりを挟む
「あら? ヴェルちゃんじゃない?」
ふらふらと店を渡り歩いていた中。突然後ろから声をかけられた。
げ。この声この喋り方で、私の事をヴェルと呼ぶのは一人しか居ない。
「あー。アリスト様お久し振りでございますです……」
このオカマちゃん口調で話すのはアヴァール・アリスト子爵。泣く子も笑うアリスト商会の会頭様だ。
「アリスト様だなんて他人行儀よしてちょうだい。貴女と私の仲じゃないの」
「どんな仲ですか。きっぱりはっきり赤の他人でしょう」
うふふ、と笑う姿は顔だけ見たらお化粧とかもしてて女の人に見えなくもないが、体つきは男そのものだ。着てる服も襟を大きく開けてヒラヒラレース付けて中性的に仕立ててある。流石にスカートじゃないけど、キュロットっぽいの履いてるんでパッと見はわからない。
ちなみにビジネスオネェだ。商会の仕事の関係で女性を相手にする事が多いので、身につけた技らしい。この世界って例の神様の趣味か、LGBTには寛容なのよね。確か前世のヨーロッパじゃ異性装も禁忌だったから。
「どうしたの王都なんかに来ちゃって。何か買い出し?」
ああ、そうか。暫く会ってなかったもんね。私が村から出てくる頃には、この人来なくなってたからな。
私とアリスト子爵との出会いは私の故郷の村でだ。まだ爵位を継ぐ前の彼は、比較的王都に近い村々を行商で回る商隊に付いて回る事があった。
そんなある日、いつもの様に畑で水やりしていた私に驚き、興味を引かれて声をかけたアリスト様に、知らない人!=不審者!!という短絡思考の元、水鉄砲をかましたのが最初だった。勿論親共々土下座して平謝りしましたとも。でも彼は急に声をかけた自分が悪いと言って笑って許してくれたのだ。
それ以来何故か妙に気に入られ、村に来る旅にお土産を持ってきてくれる彼に、家族はもしかして玉の輿!?と喜んだが無い無い。あれはどう考えても面白そうな玩具かペットの扱いで、いつもさっきみたいに誂われてた。持ってきてくれるおみやげも飴玉とかクッキーとかだったから、餌付けされてる気分だったし。まあ全部食べたけど。だから嫌いじゃ無いけどちょっと苦手なのよね。
そんな彼も、ある時から村にはやってこなくなった。先代が亡くなり爵位と会頭の座を引き継いだからだ。それからは会ってなかった。正直言えば忘れてた。薄情と言われたら言い返せないレベルかもね。
「ま、立ち話もなんだから、時間あるなら向こうのカフェでお茶しない?」
「奢りならいきます」
「……全然変わってないようで何よりだわ」
肩を竦めながら呆れたように言わないでください。
ふらふらと店を渡り歩いていた中。突然後ろから声をかけられた。
げ。この声この喋り方で、私の事をヴェルと呼ぶのは一人しか居ない。
「あー。アリスト様お久し振りでございますです……」
このオカマちゃん口調で話すのはアヴァール・アリスト子爵。泣く子も笑うアリスト商会の会頭様だ。
「アリスト様だなんて他人行儀よしてちょうだい。貴女と私の仲じゃないの」
「どんな仲ですか。きっぱりはっきり赤の他人でしょう」
うふふ、と笑う姿は顔だけ見たらお化粧とかもしてて女の人に見えなくもないが、体つきは男そのものだ。着てる服も襟を大きく開けてヒラヒラレース付けて中性的に仕立ててある。流石にスカートじゃないけど、キュロットっぽいの履いてるんでパッと見はわからない。
ちなみにビジネスオネェだ。商会の仕事の関係で女性を相手にする事が多いので、身につけた技らしい。この世界って例の神様の趣味か、LGBTには寛容なのよね。確か前世のヨーロッパじゃ異性装も禁忌だったから。
「どうしたの王都なんかに来ちゃって。何か買い出し?」
ああ、そうか。暫く会ってなかったもんね。私が村から出てくる頃には、この人来なくなってたからな。
私とアリスト子爵との出会いは私の故郷の村でだ。まだ爵位を継ぐ前の彼は、比較的王都に近い村々を行商で回る商隊に付いて回る事があった。
そんなある日、いつもの様に畑で水やりしていた私に驚き、興味を引かれて声をかけたアリスト様に、知らない人!=不審者!!という短絡思考の元、水鉄砲をかましたのが最初だった。勿論親共々土下座して平謝りしましたとも。でも彼は急に声をかけた自分が悪いと言って笑って許してくれたのだ。
それ以来何故か妙に気に入られ、村に来る旅にお土産を持ってきてくれる彼に、家族はもしかして玉の輿!?と喜んだが無い無い。あれはどう考えても面白そうな玩具かペットの扱いで、いつもさっきみたいに誂われてた。持ってきてくれるおみやげも飴玉とかクッキーとかだったから、餌付けされてる気分だったし。まあ全部食べたけど。だから嫌いじゃ無いけどちょっと苦手なのよね。
そんな彼も、ある時から村にはやってこなくなった。先代が亡くなり爵位と会頭の座を引き継いだからだ。それからは会ってなかった。正直言えば忘れてた。薄情と言われたら言い返せないレベルかもね。
「ま、立ち話もなんだから、時間あるなら向こうのカフェでお茶しない?」
「奢りならいきます」
「……全然変わってないようで何よりだわ」
肩を竦めながら呆れたように言わないでください。
1
あなたにおすすめの小説
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~
オレンジ方解石
ファンタジー
恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。
世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。
アウラは二年後に処刑されるキャラ。
桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる