世界樹の下で

瀬織董李

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お久し振りですオネェ様③

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「まあ、とにかく貴女が元気そうで良かったわ。ちょっとは気になってたのよね」

「ちょっと、ですか」

「だってねえ。色々と餌付けしてたのに急に行けなくなっちゃって、おやつ欲しさに暴れたりしてないかしら?って」

 暴れる、って私は猿かい。うきー!

「いくらなんでも酷いですよ。ついさっきまでアリスト様の事忘れてたくらいですから」

 ふーんだ。私だってちょっとは反撃出来るもんね!大抵あとでやり込められるけど。

「薄情ねえ。あんなに可愛がってあげたのに」

「玩具にしてた、の間違いでは?」

 あはは、うふふ、と笑いあう。すんませんカフェの店員さん。これが私たちの通常運転なんですー引かないでー。

「ま、それはそうとヴェルちゃん、服ならうちの店だったら割引してあげるわよ」

「マジですか!?……ってアリスト様んとこって高級品ばっかりじゃないですか? 別におしゃれ着買う訳じゃないんですけど。探してるのは動きやすくて多少汚れても目立たないやつですね」

 旅の途中じゃ頻繁に洗濯出来ない以上は、多少の汚れは目をつぶるしかない。

「また色気の無いこと言って。そんなんじゃイイ男捕まえられないわよ」

 うう。結局堂々巡りだなあ。この人いい人ではあるんだけど、お節介だから。しょうがないので旅に出る、という事だけ話す。

「なんだ。それならそうと言えばいいじゃないの」

「色々と事情があるんですってば」

「しょうがないわね。まあ、事情ってのが何かは聞かないけど、まさか変な事に巻き込まれてるんじゃないでしょうね?」

 うーん、変な事といえば変な事だけど。今でもホントは行きたくないしねえ。だけど行く気まんまんな魔法バ……いや、高貴なるお方が付いてくる以上はもう開き直るしかない。

「大丈夫ですよ。細かいことは言えませんが、宰相様の指示なので」

 宰相様から言われたのは嘘じゃないしー。私が魔法を複数使えるのが内緒なのと、やたら豪華なオマケが付いてくるだけだしー。

 いきなり大物の名前が出た事にアリスト様の目が大きく見開かれる。

「貴女それって……いえ、いいわ。聞いたらアタシの方がヤバい気がするわ」

「そうしといてください」

 上手いこと勘違いしてくれたのでそのままにする。ヤバいのはアリスト様じゃなくて私だというのは勿論言わない。

「とにかくそれなら、庶民向けに最近力入れているお店あるわ。生地も上布とまではいかない麻とか綿がメインだから。なんならアタシが作ってもいいわよ? 出立はいつ?」

「一週間後です」

「ちょ、もっと早く支度しなさいよ!」

「しょうがないじゃないですかー。私だっていつ行くか聞かされたの昨日ですよ?」

「……流石に一週間に何着もは無理ね。まあいいわ。出来るだけ用意してあげる」

 ただでさえ忙しいだろうに、私の服を作って貰うのは非常に気が引けるが、やる気になったこの人を止める手段を私は知らない。

「ま、時間無いし寸法は目寸でいいでしょ。うーん…………サイズは○○ピー△△ブー☆☆ザー……ってトコかしら? プッ……お子さま体型も変わってないわねえ」

「!? な、なんでわかるんですか!?」

 もうヤだ商人スキル……
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