1 / 1
勇者に求愛されて断ったら、強制的に強くてニューゲームされたお話
しおりを挟む
「僕の伴侶になってくれないだろうか」
金髪碧眼、いかにも正統派で嫌味な程に美しい顔立ちをした男に求愛されたのは、同じく男であるカイトだった。
眩いほどの金髪をさらさらと靡かせた男、勇者カルロスは数週間前に魔王を倒した英雄だ。そして求愛された男は、カルロスのパーティーで魔法騎士として戦いに参加していたカイトだ。
この世界では珍しくない茶色い髪に少しくすんだ暗めの黄色の目、存外白い肌以外は極々平凡でどこのモブに出しても恥ずかしくない。醜くもないが容姿端麗というほどでもない、すぐに人々の記憶から薄れてゆきそうな男。
そんなカイトという人間は巻き込まれ体質と言うべきか、本人は地味で大人しく厄介ごとに巻き込まれないように、必死かつ真面目に生きているつもりの青年だ。しかし癖もアクも強い個性の塊のような一定層からの興味を引く、嫌なモテ体質があるようだ。
「…………」
ありきたりと言われてしまえばそれまでだが、カイトには前世の記憶がある。勇者だの魔王だの魔法だのが存在するこの世界は、カイトにとっては異世界と言うもので、彼は突然この世界にやってきた異世界人だ。
最上海斗(もがみかいと)は生前、どこにでもいるありふれた中小企業で働く28歳の社畜であった。
その日、終電があと十数分で終わるというぎりぎりのタイミングで退社したカイトは、疲労困憊した身体に鞭打って全力疾走し、非常に運悪く街灯が消えかけた大通りで立て続けに3台のトラックに撥ねられてこの世を去った。凄惨の一言に尽きる。
運命の女神かこの世界の神なのか、哀れみをかけてくれた尊きものは海人、もといカイトを異世界に転生させてくれたらしい。どこかの村の夫婦の元に赤ん坊として生を受けた彼は、しばらくの間この中世と魔法を掛けあわせたような世界を楽しんだ。
「カイト?」
カイトとカルロスは同じ村出身の所謂幼馴染というもので、昔のカルロスは非常に純朴で引っ込み思案な内気な美少年だった。
そんな時代も今は昔、全てにおいて完璧な天下の勇者様となった彼が、もじもじと初心な様子でカイトの反応を待っている。これがそこらへんの村娘や同じパーティーの女子、もしくはどこぞの国のお姫様であったとしても、簡単に彼に落ちてしまうだろう。
しかし、カイトの恋愛対象は今のところ女性であり、男性の方は未開発だ。きっと彼はこれまでの人生において、その方向性については想像したこともなかっただろう。
それ以上にカイトは知っている。カルロスが自分以外全員女子のハーレムパーティーを作り上げ、夜な夜な宿屋で代わる代わるメンバーと性交をしていたということを。平たく言うと情事の声が五月蠅すぎて、叩き起こされたことも幾度となくあった。
勇敢な戦士ほど性欲もすさまじいというのは小耳にはさんでいたので、そこは「まあ男ですものね」とカイトは流してやる気でいた。しかし、問題なのは他のパーティーのカイトに対する態度の悪さだ。
魔法使いクレア、シーフのユミラにエルフにして聖女という異例の能力を持つエミリア。彼女らは何故かカイトを冷遇した。
「あなたはこのパーティーにふさわしくないんじゃないかしら?」
「そろそろ国に帰ったらよろしいんじゃなくて?」
「お前は本当に目障りだな......カルロスの負担になるなよ」
女性ということを差し引いても、あまり体力に恵まれていない彼女らの代わりに荷物持ちをしてやっているのはカイトだ。そして、防御力も低い彼女らが物理攻撃を受けそうになった時の壁になっているのも、カイトとカルロスである。
陰湿なことに、カルロスが居ない時ばかりを狙って彼女らはカイトに嫌がらせをしてくる。
もしこの仕打ちを受けているのが普通のか弱い女子であれば、陰湿で真綿を絞めるようないびりによって、心がズタボロになって病んでしまうのではないだろうか。
しかし、元社畜でブラック企業に長年勤めていたカイトにとって、魔法使いもシーフも聖女すらも『仕事ができない奴らの戯言』と流していた。
異世界転生時には、能力が付与されるのがどうやら一般的らしい。カイトは騎士でありながら強力な魔法も使えるため魔法剣という独自の戦い方を身につけた。そして攻撃魔法だけではなく補助や回復魔法も難なく使えるため、魔力の枯渇や死なない限りは自分の傷ぐらい回復も容易く行える。
また、ここだけの話ではあるが盗みや錠前外しなども比較的得意分野だ。
そのため勇者とカイトがいれば魔王討伐も実は事足りたが、王命で招集された彼女らにもプライドがあるだろう。あわせて、彼は空気の読める社畜であったがため、自分が行うべき最低限の仕事をし能力をあまり表に出すことはしなかった。
冷遇と当てこすりと言葉の暴力を天秤にかけても、役割の分散は彼にとっては数少ないメリットだったのだ。
「あっ♡あっ♡あぁあん♡やぁん、カルロス様ぁ♡」
「やぁん♡あっあっあ♡激しい、すごいぞ♡カルロス♡奥に当たってる、あっあっあやだぁ、潮吹いちゃうぅうう♡」
「あぁあああ♡勇者様すごおぃ♡あぁあクレアのおまんこ♡こわれちゃう♡」
宿屋でのこれがなければ、それなりに良い職場もといパーティーと言えたかもしれない。カイトは自身のレベルが上がり、錬金術を体得すると早急に「静寂の耳栓」「震動型目覚まし」というアイテムを作り、旅の間は非常に重宝することになった。
カイトは一度「パーティーを抜けさせてもらえないか」とカルロスに打診をかけたことがある。理由は一身上の都合、としたいところだが納得もするまい。事実とは異なりカイトとしても非常に不本意だが「パーティーのレベルに俺がついてゆけなくなった」と自らを戦力外として淡々と告げた。
その結果、カイトはカルロスに3日間付きまとわれることになった。逃がさないとばかりにしがみつかれ抱き付かれ、食事をとる時はカルロスの膝に乗せられてまるで恋人のように屈辱的な朝昼晩飯を取らされた。夜は夜で風呂から眠るまで彼がべったり張り付いて、益々クレア、ユミラ、エミリアからのヘイトを買うことになった。
カルロスという男は武力以外によっぽど頭が足りないのか、カイトと女性メンバーが不仲になっていることなど気づいてもいないようであった。
ハーレムメンバー達の管理もできないのかと、カイトはカルロスも仕事ができないやつ分類を心の中で行おうとしていたが、脱退宣言をした次の日から「同じ仲間、そして誰よりも戦力になっているカイトに少しは敬意を示してほしい」とカルロスは3人に告げていた。
「どうして彼に冷たく当たるんだ?僕は悲しい」
どこぞの真面目な学級会みたいなやりとりに、女三人も気まずそうにしている。カイトに対するこれまでの行いを反省しているかどうかはわからないが、カルロスに嫌われるのは困るのだろう。彼女らにとって恥辱とも言える行為、カルロスはカイトの前に三人を連れてきて、頭を下げさせた。
けれどもその日から、嫌がらせはイジメに発展した。
イジメといっても、魔力体力戦闘力、ついでに知力の面において全てが彼女より上のカイトは、五月蠅い虫がブンブン騒いでいるなぐらいの感想しか持ち合わせていなかったが。
ただ、これが常人であれば自殺まで追い込まれているレベルで、彼女らのしたことは陰湿そのものだった。
この頃になると夜は防音とプロテクトの防御魔法を張って就寝につき、彼の備品などは決して手放さないように空間魔法を用いて貴重品はそこに保管するようになった。
その結果、非常に高度な転送や時空の彼方から隕石を振り下ろす攻撃魔法も体得したが、無論カイトは彼女らに感謝はしておらず、善良で愚かな勇者は彼にとって憎悪の対象になりかけていた。
「……」
過去を思い返し、カイトはだんだん腹が立ってきた。小さい頃はそれなりに仲の良かった幼馴染だ。元々断るつもりではいたが、それでも穏便に済ませる予定だったがそれも撤回だ。確実に断るため、彼は今更言っても仕方がないことを理由として、求愛を断ることにしたのだ。
「カルロス……」
「うん」
「……ごめん、俺。結婚するなら清らかな人が理想なんだ。女の人なら処女、男の人なら処女で童貞。だからカルロスは無理」
無論、真っ赤な嘘である。男に対しては未知数だが前世でカイトは「職場の女上司がマゾ社員を性的にイジメるシリーズ」というAVの大ファンであり、経験豊富でちょっときつめな美人に強引に攻められたいという欲求があった。
そのためなら自身のアナル処女を捧げても構わないという逆アナル寛容女攻め愛好家だが、この性癖に至るまでブラック企業で散々いじめられ歪んできたという悲しい背景があることだけは、どうか記憶のどこかに留めておいてほしい。忘れても別に問題はないが。
「えっ……」
ショックを受けた風に顔から表情が抜け落ちたカルロスだが、宿屋で散々女、それもその手の職業ではなくパーティーの女たちを抱いていた男にショックを受けられる謂れはないだろう。
「それに……これはもうどうでもいいんだけど」
人がこの手の台詞を吐く時、大体どうでもよくはない。
「俺……知ってたんだ。俺以外は全員ハーレムパーティーのメンバーだったんだろ?」
「……それは」
「実はさ、カルロスが抱いてたクレア、ユミラ、エミリアには結構酷い目にあってて。俺だからよかったかもしれないけど、常人は自殺するレベルだよあれ!?」
「え、注意したのに。彼女たちはあの後もやめなかったのか……?」
あれで嫌がらせが収まるわけないだろう、無能な学級担任かお前はとカイトはこの世界の人間に言っても通用しない前世の常識を心の中にぐっと押し込み、あくまでしおらしく続ける。
「この先カルロスが妻を複数持とうが、どんな恋愛していてもいいけど。もし、もし何かの間違いで仮に君と付き合った場合、お前があの酷いことをした三人を抱いた男なんだって思うと、とてもじゃないけど無理かな」
ここにはカイトの心からの「女どもの管理もできない糞無能が」という嫌味もたっぷり含めている。
「……さようならカルロス、俺のいないところで、どうかお幸せに」
腐っても勇者だ。瞬発力も脚力もカイトより高い。彼は有無を言わさずしおらしく別れの言葉を告げると、そのまま転移魔法を用いて告白された村、二人の生まれ故郷の広場から数百キロ離れた他所の国へ逃亡した。
「……」
カルロスはカイトの後を追わずに、ただうなだれて地面を見つめている。宝石のような碧眼からは目の光が失われており、聖と呼ぶにふさわしい勇者のオーラはきれいさっぱり消え失せていた。
次の日、魔王討伐に成功した英雄たちのうち、クレア、ユミラ、エミリアの三人が惨たらしく切り殺されたというニュースが国をまたいでカイトの耳へも届いた。
遺体は酷く破損しており、残酷なことに乳房も女性器もズタズタに切り裂かれ、女性器に関しては剣で差し込まれ、何度も突き刺された跡が残っていたのだという。まるで挿入を繰り返し行われたかのように。
勇者パーティーのメンバーと言うことで嫉妬なども疑われたが、曲がりなりにも魔王討伐メンバーの精鋭だ。彼女らのような強い人間をこのようにできる者も限られてくるだろう。
話はそれだけでは終わらず、勇者は同国の第一王女と婚姻を結ぶはずだったが、それも解消した。カルロスに心底惚れていた王女は泣き崩れ目は腫れあがり、そこに王女の威厳はなくただの失恋した一人の女だったと市井にまで噂が流れた。
清らかなままの離縁ではあるが、打ちひしがれる娘の姿と王家の娘を袖にされコケにされた屈辱で大層怒り狂った王は、カルロスを処刑しようと目論んだ。
しかし、彼は魔王を討伐した勇者だ。幾千人の騎士たちが切り裂かれ焼き尽くされ、雷で黒焦げにされた姿を目の当たりにし、愚かな王はようやく勇者を手離すことにしたらしい。
勇者はその後、南の洞穴にあるというフェニックスの巣穴へと旅立った。
フェニックスの巣穴と聞き、カイトは嫌な予感を覚えずにはいられなかった。フェニックスは不死の象徴だが、この世界では時を巻き戻す神としても崇拝されている。
フェニックスは卵を産まず、老いた際は自らその身を燃やし新しい身体へ生まれ変わる習性より、同じ生を繰り返すところから来ている。
また、フェニックスの尾に聖の力を宿す者が血を注ぐと、時戻しの薬になるという。これに関してはフェニックス自体が神話生物であり、長いこと人間の目に姿を現さなかったものだから、話の信ぴょう性としては実に怪しいものだが。
その日カイトは、寝るのが怖いと思った。理由なき恐怖、本能が彼の背筋をぞわりとさせて眠るなと訴えかけてくる。実際に数日は睡魔に抗い濃いコーヒーや興奮剤などでやり過ごしてきたが、とうとう限界がやってきた。
自室でばたりと倒れた彼は、ぐるぐると睡魔だけではないどこかに引きずり落とされるような時空の歪みを全身で感じ取り、瞬時に暗闇の奥底に意識を手離した。
「カイト!」
気付けばそこは懐かしい村の広場。二度と足を踏み入れることは無いと思っていた懐かしい我が故郷、そして彼を呼び止める声はまだ若かりし頃の父親だ。
「父さん……」
「悪いが、今日は藁集めを手伝っておくれ。ほら、ご近所のカルロスも一緒に」
父の後ろで恥ずかしそうにもじもじしている美少年は、まだ心身ともに清らかな頃のカルロスだった。
「え……ああ、うん。よろしくねカルロス」
「うん、よろしく!」
ぱぁあと明るい笑みを浮かべる彼は、とてもあのヤリチンハーレムパーティーの勇者とは思えない。今はこんなに可愛らしいカルロスも時が経てばあの糞ヤリチンになってしまうのか、とカイトは内心溜息を吐いた。
彼らが16歳になった頃、王命によりカルロスとカイトは城へと向かう。ここまでは前回と同じ流れだ。招集された理由は魔王討伐だが、今回はメンバーが違った。魔法使いもシーフも、これはもう聖女と呼べるのかも謎だが、同等の役割をするエルフも皆男性だった。
そして取ってつけたようにというべきか、3人の新しい仲間には恋人や伴侶がいた。
「勇者、カイト。お前たちにも誰かいい人はいないのか?」
「こらシーフ、そんなこと聞くものではありませんよ」
「デリカシーがないなぁお前は」
旅も中盤に差し掛かった頃、前回の悪質なアマゾネスどもとは異なり、3人の新メンバーは皆気のいい者たちだった。あまりに居心地がよすぎて魔王城まであっという間に時が過ぎ去っていくように感じられるほど、カイトにとって旅は楽しかったようだ。
思えばこちらの方が良かったのかもしれない。あの女悪質な三人衆に対してカイトもまだ思うところはあるが、前回と同じように旅をしていたのであれば、魔王討伐後に何者かに惨たらしく殺されていた可能性があるのだから。
強くてニューゲーム状態かつ、協力的で心強い仲間達との戦闘は心身ともに負担が軽減され、前回よりも短期間で魔王を倒すことができた。
「僕の伴侶になってくれないだろうか」
魔王討伐から数週間後、彼らの生まれ故郷である村の広場……ではなく、勇者の部屋でカイトは求愛を受けていた。
さて困ったことになった。今回の勇者はどこに出しても恥ずかしくないほど潔癖で清楚な童貞の中の童貞だ。最早童帝という称号を与えてもよいぐらいだろう。
旅先で言い寄る女は数知れずだが、そんな美女たちも勇者は「僕には心に決めた人がいる」と一蹴しその度に少し遠くを見るように空に眼差しを向ける。それがお決まりの断り方だった。
これがあからさまにカイトに視線を絡ませるなどすれば、彼も警戒できただろうがカルロスはカイトとは、親友として適切な距離を取り「その気」を感じ取らせることはなかった。まるで、彼も記憶を保持したまま人生二周目を歩んでいるかのように。
「カイト……僕、綺麗な体だよ?君の言う通りの姿になったんだ」
「!?」
壁際に押し付けられて手首を掴まれて、首筋に鼻先をくっつけてそのまま耳元で囁いている。ふわりとしたハーバルとレモンの香りがふわりと鼻に漂う。どうやらイケメンという者は香りまで美しいようだ。
「許してね……前回の僕も、本当なら清らかな身体のまま、君に想いを告げたかったんだ」
眉目秀麗な勇者カルロスは、裏とも呼べる王命でとんでもない任務を課せられていた。それは、強い女との間にできるだけ沢山の子を成すこと。そのためにパーティーはカルロスとカイト以外女性で構成され、旅先で子を孕ませてもなんの問題も無いように調整されていた。カイトの見立て通り、魔王との戦闘はカルロスとカイト二人が居れば事足りるように。
また、女には処女性を神聖視する癖に男のヤリチンについては、よくない病気でももらっていない限り、咎められることがないらしい。何人かの雌胎に子種を埋め込んだのなら、王は最後に自分の娘を結婚させ、経験豊富となった勇者を入り婿にでもさせるつもりだったらしい。
例のアマゾネス3人もその裏任務は知っており、最初の内は子を宿すことに専念していたようだが、何せあの勇者の美貌だ。
彼女たちはすっかり本気になってしまい、自分たちは繁殖牝馬ほどの役割しかもっていないにもかかわらず勇者に執着し愛を囁き続けた。本来であれば結ばれるはずのない禁断の愛、燃え上がるにはちょうど良い設定なんだろう。
同じく種馬扱いの勇者は、そんな女たちに対して残酷なまでに何の感情も湧かず、行為の最中はひたすら淫靡に乱れるカイトの姿を妄想して自身の剛直を勃ち上がらせ涙ぐましい努力をしていた。
「今、さらっととんでもないこと言わなかったか」
「ん、何が?」
すりすり鼻を摺り寄せて甘える姿は超大型犬のようだが、その視線や触り方は明らかに欲と熱を孕んでいる。いくらカイトがチート能力を持っていても、流石に勇者は格が違うため囚われてしまえば逃げることもできない。
「僕の恋人や妻にでもなれるつもりでいた、あの人たちには本当に滑稽……気の毒だったけど……まさか、君に嫌がらせをしていたなんて。でももう大丈夫だから」
「うーん」
確かに今は同じパーティーでもないのだ。今後も会うことはないのだろう。けれどもカイトの頭には少しの違和感が引っかかっていた。
「(そういえば、一周目と違って王の顔が違った気がする)」
王の名前は同じにもかかわらず、声や姿が異なっていた。親戚程度には似ていたかもしれないが、完全に前回の王とは別人だったとカイトは記憶している。そのおかげで種付け目的の性悪女たちの地獄みたいなハーレムパーティーが出来上がらなかった点を見ると、今回の王のほうがはるかにまともなのだろう。
「それに僕、知っているんだ」
「何が……」
『職場の女上司がマゾ社員を性的にイジメるシリーズ』
「!?」
『逆アナルに興味があるんだって?』
「!!!」
うふふといたずらっぽく笑うカルロスを前に、カイトは固まる。何故わが友カルロスが自身の生前大変お世話になったAVシリーズのタイトルと、それから隠し通したはずの性癖を知っているのだろうか。
「カイトの恋愛対象が女性なのも僕は知ってる。だけどさ。玩具より本物、味わってみたくない?僕は女性にはないすごいモノを持っているし、君を気持ちよくさせられるよ」
いやらしく舌なめずりをしながら、腰や尻にすりすりと擦りつけられるカルロスのカルロスは既にギンギンに臨戦態勢となっており、嫋やかさすら感じられる美しい顔とは不釣り合いな、凶悪なそれがぼろんと窮屈そうなズボンから出された。
色は確かに綺麗だが、サイズはとても初々しいと呼べるものではなく、さらに言うならば可愛くもない。
「……!?一鷹君?」
「え、誰?」
それは、前世でカイトが愛用していた特大サイズのディルド『一鷹君』と非常に酷似していた。懐かしさと欲求不満のあまり、カイトはカルロスのペニスに近寄りそっと触れ「一鷹君、一鷹君」と頬ずりまでし始める。
カルロスから、プチリと何かが切れる音が聞こえた。
「あっあっあ♡なんで、や、いきなり激しく♡だめぇ、やっやぁあ♡もっと優しく♡あぁあん♡」
「一鷹って誰!?」
怒りのあまり慣らすのもそこそこに、カルロスはカイトのズボンをずり下ろし、立ちバックの姿で後孔に肉棒を突き立てて、それから出し入れを繰り返す。そこが存外すんなり受け入れてくちゅくちゅいやらしい音が響き渡ることすらも、カルロスの心とペニスを苛立たせた。
「僕のことは!清らかさを理由に振ったくせに!自分こそ何人も男を咥え込んだんじゃないの!?」
「ちが、ちがうっ!いつも、自分でいじってたからぁ♡だめ、だめ、やだぁ♡」
前世で恋人いない歴=年齢であり一鷹君と離れ離れになったカイトは、それでも彼?のことを忘れられず、性欲を吐き出したい時は愛用のディルドを思い出しながら指で慰めていたのだという。ある意味一途といえば一途だ。
そんなところに現れた一鷹君に瓜二つの幼馴染、のペニスではあるが。運命の出会いを果たすという点では、ある意味BLの転生もの展開としては王道ではないだろうか。
なお、だいたいこの手の話で出てくる前世の男は当て馬役が多い。
「やっ♡あっ♡あぁあ♡カルロス、はげしい、いやぁ♡あん♡だめだめだめぇ♡」
ばちゅんぱちゅんと湿った音を響かせて奥を突かれ善がるカイトの姿に、カルロスのボルテージと性欲は上りに上がり、オーディエンスの精子達も狂喜乱舞している。ぶちゅりと生々しい音を立ててカルロスはカイトの中に白濁を注ぎ込むが、カイトは内腿をがくがくと震わせて力なく壁に掴まり立ちをしている。
つうと後穴から零れ落ちる白い液は扇情的で、勃起したままふるふる切なげに震えているカイトのそこを慰めるように、カルロスはそっと握りしめる。
「あぁあっ、今いったばかりだから♡だめ、おかしくなる、から♡ぁあんっ!」
「おかしくなっていいよ♡ここも弄ってあげる」
「やぁあ乳首だめぇ♡あぁあっあっやぁっはぁん♡」
くりくり胸の尖りを指の先端で擦られ弄られこねくり回されてしまい、同時にペニスも扱かれてカイトは壊れた蛇口のように力なく白濁を吐き出した。射精と呼ぶにはあまりにも威力がない情けない姿はお漏らしのようで、恥ずかしいと顔を覆い隠すカイトの耳元で「可愛い♡」とカルロスは甚振るように甘い声で囁いてやった。
「あっあっあっあ♡あぁああっ♡もうやら、だめ♡だめぇ、おしり、おひりこわれちゃう♡」
「おしりじゃなくておまんこでしょ?♡カイトのここすっかり雌穴になってる♡」
あの女たちとの義務だけで行っていた行為とはまるで違う。愛する者とのセックスはこんなにも気持ちいいものなのかと、カルロスはカイトの全身にキスの嵐を落として最愛の身体を貪り尽す。
最初は初々しくも抵抗するように舌で押し戻されていたキスも、快楽で馬鹿になった頭では到底抗い切れないのだろう、次第に受け入れるようになり今は舌を絡ませながらその身を繋げ、どちゅんどちゅんと肉と体液の擦り合わせを上下でおこなっている。
カイトもカルロスもキスハメが気に入ったのか、呼吸の続く限り二人は唇と舌を絡ませ合った。
ベッドに押し倒され体勢を変え両足を開かされ、ありとあらゆる体位でカイトはカルロスに子種を注ぎ込まれ続けている。セックスという言葉が上品に聞こえる程度に、容赦なく獣の交尾のようなそれは夜通し続いた。
「……カイト、一鷹って誰」
「俺が愛用していたディルド君です」
良い奴でした、と懐かし気に過去を思い返そうとするカイトの顔を両手の平で挟み込み、勇者は無理やりその顔を自分側に引き寄せる。むすりと頬を膨らませ拗ねたカルロスは、そのままカイトの唇を奪う。
「んむうぅ、もうだめ、だって」
「どうして」
「……また、したくなる」
頬を染め今度こそ顔を逸らすカイトの姿に、カルロスは「ふふ」と先ほどとは打って変わって満面の笑みを作ると、首筋に執着の証を二つ三つくっつけた。
「一鷹さん、いままでカイトの面倒を見てくれてありがとうございました。でも、これからは僕がカイトの傍にいるので、成仏してください」
「一鷹殺すな」
一鷹君は某アダルトグッズ会社の売れ筋商品だ。その手のロングセラーと言っても過言ではない。アダルトグッズ会社を一つ潰す気かと窘めるが、この男であればそれもやりかねないとカイトは思った。
「カルロス、眠い……積もる話は今度にして、俺、寝る……」
「ん♡ わかったよカイト。ゆっくりおやすみ」
目元に唇を落とされて、それが眠りの合図であるかのようにカイトは瞼を閉じるとすーすー寝息を立て始めた。
カルロスは転生者ではないが、対象者の脳内に侵入し、ある程度の過去の記憶を遡ることができる。『職場の女上司がマゾ社員を性的にイジメるシリーズ』については、そこで知りえた情報というわけだ。ただ、人間だれしも触れられたくない過去もあるわけで、深層心理の奥の奥、閉ざされて鍵が掛けられているような記憶については流石にカルロスも見ることができない。一鷹君もそのたぐいであったのだろう。
彼は、過去の愚かな自分を恥じた。種馬になることは了承済みだったが、その結果彼が最も愛するカイトを失いそうになることと、カイトを蔑ろにした女三人の暴走を知らず、そして止めることができなかった自身を呪った。
「カイトはおバカで、賢いね……」
前回と違ってあの王がいないことと、女三人衆がいないことに気付いていたとは。今回彼は、周囲の人間の記憶を弄り、そして王の遺伝子を別人レベルで「良い方へと」組み替えた。勇者とはそういうこともできるのかとカルロスはすこしばかり自分の力を恐れたが、それもすぐに掻き消えた。
そして、例えまだ罪を犯していないとはいえあの三人をカイトに会わせるつもりはなかったため、クレア、ユミラ、エミリアの三人は秘密裏に処分をした。元々淫乱の気はあった三人だ、高級とは名ばかりの娼館へ彼女らは送られた。両手両足を切断された大人の玩具として。
気の毒とは微塵も思わない。それは前世の恨みからだけではなく、あの三人はすでに幼少のみぎりより自分たちの容姿の良さと魔力などの力で、気に入らない子達をいびり貶めて、酷い目に合わせていたからだ。
前回では凄惨な死にざまを、今回は殺すまでもないだろうとカルロスは考えた。それでも十分すぎるほどに残虐ではあるが。
「勇者様」
娼館に送りつける際、あわや大惨事というところで三人から助け出したいじめられっ子達にそう呼ばれたカルロスは、無言で子供達の頭を撫でるとその場を去った。
そんな今の彼は、どうにかしてカイトの初めての男?である一鷹君の記憶を消せないか、上手い事一鷹との蜜月をカルロスとのそれに置き換えることができないかと考えを巡らせていた。
……恐らく、彼ならきっとやるのだろう。狂人にとっての存在意義は、最早カイトしかないのだから。
金髪碧眼、いかにも正統派で嫌味な程に美しい顔立ちをした男に求愛されたのは、同じく男であるカイトだった。
眩いほどの金髪をさらさらと靡かせた男、勇者カルロスは数週間前に魔王を倒した英雄だ。そして求愛された男は、カルロスのパーティーで魔法騎士として戦いに参加していたカイトだ。
この世界では珍しくない茶色い髪に少しくすんだ暗めの黄色の目、存外白い肌以外は極々平凡でどこのモブに出しても恥ずかしくない。醜くもないが容姿端麗というほどでもない、すぐに人々の記憶から薄れてゆきそうな男。
そんなカイトという人間は巻き込まれ体質と言うべきか、本人は地味で大人しく厄介ごとに巻き込まれないように、必死かつ真面目に生きているつもりの青年だ。しかし癖もアクも強い個性の塊のような一定層からの興味を引く、嫌なモテ体質があるようだ。
「…………」
ありきたりと言われてしまえばそれまでだが、カイトには前世の記憶がある。勇者だの魔王だの魔法だのが存在するこの世界は、カイトにとっては異世界と言うもので、彼は突然この世界にやってきた異世界人だ。
最上海斗(もがみかいと)は生前、どこにでもいるありふれた中小企業で働く28歳の社畜であった。
その日、終電があと十数分で終わるというぎりぎりのタイミングで退社したカイトは、疲労困憊した身体に鞭打って全力疾走し、非常に運悪く街灯が消えかけた大通りで立て続けに3台のトラックに撥ねられてこの世を去った。凄惨の一言に尽きる。
運命の女神かこの世界の神なのか、哀れみをかけてくれた尊きものは海人、もといカイトを異世界に転生させてくれたらしい。どこかの村の夫婦の元に赤ん坊として生を受けた彼は、しばらくの間この中世と魔法を掛けあわせたような世界を楽しんだ。
「カイト?」
カイトとカルロスは同じ村出身の所謂幼馴染というもので、昔のカルロスは非常に純朴で引っ込み思案な内気な美少年だった。
そんな時代も今は昔、全てにおいて完璧な天下の勇者様となった彼が、もじもじと初心な様子でカイトの反応を待っている。これがそこらへんの村娘や同じパーティーの女子、もしくはどこぞの国のお姫様であったとしても、簡単に彼に落ちてしまうだろう。
しかし、カイトの恋愛対象は今のところ女性であり、男性の方は未開発だ。きっと彼はこれまでの人生において、その方向性については想像したこともなかっただろう。
それ以上にカイトは知っている。カルロスが自分以外全員女子のハーレムパーティーを作り上げ、夜な夜な宿屋で代わる代わるメンバーと性交をしていたということを。平たく言うと情事の声が五月蠅すぎて、叩き起こされたことも幾度となくあった。
勇敢な戦士ほど性欲もすさまじいというのは小耳にはさんでいたので、そこは「まあ男ですものね」とカイトは流してやる気でいた。しかし、問題なのは他のパーティーのカイトに対する態度の悪さだ。
魔法使いクレア、シーフのユミラにエルフにして聖女という異例の能力を持つエミリア。彼女らは何故かカイトを冷遇した。
「あなたはこのパーティーにふさわしくないんじゃないかしら?」
「そろそろ国に帰ったらよろしいんじゃなくて?」
「お前は本当に目障りだな......カルロスの負担になるなよ」
女性ということを差し引いても、あまり体力に恵まれていない彼女らの代わりに荷物持ちをしてやっているのはカイトだ。そして、防御力も低い彼女らが物理攻撃を受けそうになった時の壁になっているのも、カイトとカルロスである。
陰湿なことに、カルロスが居ない時ばかりを狙って彼女らはカイトに嫌がらせをしてくる。
もしこの仕打ちを受けているのが普通のか弱い女子であれば、陰湿で真綿を絞めるようないびりによって、心がズタボロになって病んでしまうのではないだろうか。
しかし、元社畜でブラック企業に長年勤めていたカイトにとって、魔法使いもシーフも聖女すらも『仕事ができない奴らの戯言』と流していた。
異世界転生時には、能力が付与されるのがどうやら一般的らしい。カイトは騎士でありながら強力な魔法も使えるため魔法剣という独自の戦い方を身につけた。そして攻撃魔法だけではなく補助や回復魔法も難なく使えるため、魔力の枯渇や死なない限りは自分の傷ぐらい回復も容易く行える。
また、ここだけの話ではあるが盗みや錠前外しなども比較的得意分野だ。
そのため勇者とカイトがいれば魔王討伐も実は事足りたが、王命で招集された彼女らにもプライドがあるだろう。あわせて、彼は空気の読める社畜であったがため、自分が行うべき最低限の仕事をし能力をあまり表に出すことはしなかった。
冷遇と当てこすりと言葉の暴力を天秤にかけても、役割の分散は彼にとっては数少ないメリットだったのだ。
「あっ♡あっ♡あぁあん♡やぁん、カルロス様ぁ♡」
「やぁん♡あっあっあ♡激しい、すごいぞ♡カルロス♡奥に当たってる、あっあっあやだぁ、潮吹いちゃうぅうう♡」
「あぁあああ♡勇者様すごおぃ♡あぁあクレアのおまんこ♡こわれちゃう♡」
宿屋でのこれがなければ、それなりに良い職場もといパーティーと言えたかもしれない。カイトは自身のレベルが上がり、錬金術を体得すると早急に「静寂の耳栓」「震動型目覚まし」というアイテムを作り、旅の間は非常に重宝することになった。
カイトは一度「パーティーを抜けさせてもらえないか」とカルロスに打診をかけたことがある。理由は一身上の都合、としたいところだが納得もするまい。事実とは異なりカイトとしても非常に不本意だが「パーティーのレベルに俺がついてゆけなくなった」と自らを戦力外として淡々と告げた。
その結果、カイトはカルロスに3日間付きまとわれることになった。逃がさないとばかりにしがみつかれ抱き付かれ、食事をとる時はカルロスの膝に乗せられてまるで恋人のように屈辱的な朝昼晩飯を取らされた。夜は夜で風呂から眠るまで彼がべったり張り付いて、益々クレア、ユミラ、エミリアからのヘイトを買うことになった。
カルロスという男は武力以外によっぽど頭が足りないのか、カイトと女性メンバーが不仲になっていることなど気づいてもいないようであった。
ハーレムメンバー達の管理もできないのかと、カイトはカルロスも仕事ができないやつ分類を心の中で行おうとしていたが、脱退宣言をした次の日から「同じ仲間、そして誰よりも戦力になっているカイトに少しは敬意を示してほしい」とカルロスは3人に告げていた。
「どうして彼に冷たく当たるんだ?僕は悲しい」
どこぞの真面目な学級会みたいなやりとりに、女三人も気まずそうにしている。カイトに対するこれまでの行いを反省しているかどうかはわからないが、カルロスに嫌われるのは困るのだろう。彼女らにとって恥辱とも言える行為、カルロスはカイトの前に三人を連れてきて、頭を下げさせた。
けれどもその日から、嫌がらせはイジメに発展した。
イジメといっても、魔力体力戦闘力、ついでに知力の面において全てが彼女より上のカイトは、五月蠅い虫がブンブン騒いでいるなぐらいの感想しか持ち合わせていなかったが。
ただ、これが常人であれば自殺まで追い込まれているレベルで、彼女らのしたことは陰湿そのものだった。
この頃になると夜は防音とプロテクトの防御魔法を張って就寝につき、彼の備品などは決して手放さないように空間魔法を用いて貴重品はそこに保管するようになった。
その結果、非常に高度な転送や時空の彼方から隕石を振り下ろす攻撃魔法も体得したが、無論カイトは彼女らに感謝はしておらず、善良で愚かな勇者は彼にとって憎悪の対象になりかけていた。
「……」
過去を思い返し、カイトはだんだん腹が立ってきた。小さい頃はそれなりに仲の良かった幼馴染だ。元々断るつもりではいたが、それでも穏便に済ませる予定だったがそれも撤回だ。確実に断るため、彼は今更言っても仕方がないことを理由として、求愛を断ることにしたのだ。
「カルロス……」
「うん」
「……ごめん、俺。結婚するなら清らかな人が理想なんだ。女の人なら処女、男の人なら処女で童貞。だからカルロスは無理」
無論、真っ赤な嘘である。男に対しては未知数だが前世でカイトは「職場の女上司がマゾ社員を性的にイジメるシリーズ」というAVの大ファンであり、経験豊富でちょっときつめな美人に強引に攻められたいという欲求があった。
そのためなら自身のアナル処女を捧げても構わないという逆アナル寛容女攻め愛好家だが、この性癖に至るまでブラック企業で散々いじめられ歪んできたという悲しい背景があることだけは、どうか記憶のどこかに留めておいてほしい。忘れても別に問題はないが。
「えっ……」
ショックを受けた風に顔から表情が抜け落ちたカルロスだが、宿屋で散々女、それもその手の職業ではなくパーティーの女たちを抱いていた男にショックを受けられる謂れはないだろう。
「それに……これはもうどうでもいいんだけど」
人がこの手の台詞を吐く時、大体どうでもよくはない。
「俺……知ってたんだ。俺以外は全員ハーレムパーティーのメンバーだったんだろ?」
「……それは」
「実はさ、カルロスが抱いてたクレア、ユミラ、エミリアには結構酷い目にあってて。俺だからよかったかもしれないけど、常人は自殺するレベルだよあれ!?」
「え、注意したのに。彼女たちはあの後もやめなかったのか……?」
あれで嫌がらせが収まるわけないだろう、無能な学級担任かお前はとカイトはこの世界の人間に言っても通用しない前世の常識を心の中にぐっと押し込み、あくまでしおらしく続ける。
「この先カルロスが妻を複数持とうが、どんな恋愛していてもいいけど。もし、もし何かの間違いで仮に君と付き合った場合、お前があの酷いことをした三人を抱いた男なんだって思うと、とてもじゃないけど無理かな」
ここにはカイトの心からの「女どもの管理もできない糞無能が」という嫌味もたっぷり含めている。
「……さようならカルロス、俺のいないところで、どうかお幸せに」
腐っても勇者だ。瞬発力も脚力もカイトより高い。彼は有無を言わさずしおらしく別れの言葉を告げると、そのまま転移魔法を用いて告白された村、二人の生まれ故郷の広場から数百キロ離れた他所の国へ逃亡した。
「……」
カルロスはカイトの後を追わずに、ただうなだれて地面を見つめている。宝石のような碧眼からは目の光が失われており、聖と呼ぶにふさわしい勇者のオーラはきれいさっぱり消え失せていた。
次の日、魔王討伐に成功した英雄たちのうち、クレア、ユミラ、エミリアの三人が惨たらしく切り殺されたというニュースが国をまたいでカイトの耳へも届いた。
遺体は酷く破損しており、残酷なことに乳房も女性器もズタズタに切り裂かれ、女性器に関しては剣で差し込まれ、何度も突き刺された跡が残っていたのだという。まるで挿入を繰り返し行われたかのように。
勇者パーティーのメンバーと言うことで嫉妬なども疑われたが、曲がりなりにも魔王討伐メンバーの精鋭だ。彼女らのような強い人間をこのようにできる者も限られてくるだろう。
話はそれだけでは終わらず、勇者は同国の第一王女と婚姻を結ぶはずだったが、それも解消した。カルロスに心底惚れていた王女は泣き崩れ目は腫れあがり、そこに王女の威厳はなくただの失恋した一人の女だったと市井にまで噂が流れた。
清らかなままの離縁ではあるが、打ちひしがれる娘の姿と王家の娘を袖にされコケにされた屈辱で大層怒り狂った王は、カルロスを処刑しようと目論んだ。
しかし、彼は魔王を討伐した勇者だ。幾千人の騎士たちが切り裂かれ焼き尽くされ、雷で黒焦げにされた姿を目の当たりにし、愚かな王はようやく勇者を手離すことにしたらしい。
勇者はその後、南の洞穴にあるというフェニックスの巣穴へと旅立った。
フェニックスの巣穴と聞き、カイトは嫌な予感を覚えずにはいられなかった。フェニックスは不死の象徴だが、この世界では時を巻き戻す神としても崇拝されている。
フェニックスは卵を産まず、老いた際は自らその身を燃やし新しい身体へ生まれ変わる習性より、同じ生を繰り返すところから来ている。
また、フェニックスの尾に聖の力を宿す者が血を注ぐと、時戻しの薬になるという。これに関してはフェニックス自体が神話生物であり、長いこと人間の目に姿を現さなかったものだから、話の信ぴょう性としては実に怪しいものだが。
その日カイトは、寝るのが怖いと思った。理由なき恐怖、本能が彼の背筋をぞわりとさせて眠るなと訴えかけてくる。実際に数日は睡魔に抗い濃いコーヒーや興奮剤などでやり過ごしてきたが、とうとう限界がやってきた。
自室でばたりと倒れた彼は、ぐるぐると睡魔だけではないどこかに引きずり落とされるような時空の歪みを全身で感じ取り、瞬時に暗闇の奥底に意識を手離した。
「カイト!」
気付けばそこは懐かしい村の広場。二度と足を踏み入れることは無いと思っていた懐かしい我が故郷、そして彼を呼び止める声はまだ若かりし頃の父親だ。
「父さん……」
「悪いが、今日は藁集めを手伝っておくれ。ほら、ご近所のカルロスも一緒に」
父の後ろで恥ずかしそうにもじもじしている美少年は、まだ心身ともに清らかな頃のカルロスだった。
「え……ああ、うん。よろしくねカルロス」
「うん、よろしく!」
ぱぁあと明るい笑みを浮かべる彼は、とてもあのヤリチンハーレムパーティーの勇者とは思えない。今はこんなに可愛らしいカルロスも時が経てばあの糞ヤリチンになってしまうのか、とカイトは内心溜息を吐いた。
彼らが16歳になった頃、王命によりカルロスとカイトは城へと向かう。ここまでは前回と同じ流れだ。招集された理由は魔王討伐だが、今回はメンバーが違った。魔法使いもシーフも、これはもう聖女と呼べるのかも謎だが、同等の役割をするエルフも皆男性だった。
そして取ってつけたようにというべきか、3人の新しい仲間には恋人や伴侶がいた。
「勇者、カイト。お前たちにも誰かいい人はいないのか?」
「こらシーフ、そんなこと聞くものではありませんよ」
「デリカシーがないなぁお前は」
旅も中盤に差し掛かった頃、前回の悪質なアマゾネスどもとは異なり、3人の新メンバーは皆気のいい者たちだった。あまりに居心地がよすぎて魔王城まであっという間に時が過ぎ去っていくように感じられるほど、カイトにとって旅は楽しかったようだ。
思えばこちらの方が良かったのかもしれない。あの女悪質な三人衆に対してカイトもまだ思うところはあるが、前回と同じように旅をしていたのであれば、魔王討伐後に何者かに惨たらしく殺されていた可能性があるのだから。
強くてニューゲーム状態かつ、協力的で心強い仲間達との戦闘は心身ともに負担が軽減され、前回よりも短期間で魔王を倒すことができた。
「僕の伴侶になってくれないだろうか」
魔王討伐から数週間後、彼らの生まれ故郷である村の広場……ではなく、勇者の部屋でカイトは求愛を受けていた。
さて困ったことになった。今回の勇者はどこに出しても恥ずかしくないほど潔癖で清楚な童貞の中の童貞だ。最早童帝という称号を与えてもよいぐらいだろう。
旅先で言い寄る女は数知れずだが、そんな美女たちも勇者は「僕には心に決めた人がいる」と一蹴しその度に少し遠くを見るように空に眼差しを向ける。それがお決まりの断り方だった。
これがあからさまにカイトに視線を絡ませるなどすれば、彼も警戒できただろうがカルロスはカイトとは、親友として適切な距離を取り「その気」を感じ取らせることはなかった。まるで、彼も記憶を保持したまま人生二周目を歩んでいるかのように。
「カイト……僕、綺麗な体だよ?君の言う通りの姿になったんだ」
「!?」
壁際に押し付けられて手首を掴まれて、首筋に鼻先をくっつけてそのまま耳元で囁いている。ふわりとしたハーバルとレモンの香りがふわりと鼻に漂う。どうやらイケメンという者は香りまで美しいようだ。
「許してね……前回の僕も、本当なら清らかな身体のまま、君に想いを告げたかったんだ」
眉目秀麗な勇者カルロスは、裏とも呼べる王命でとんでもない任務を課せられていた。それは、強い女との間にできるだけ沢山の子を成すこと。そのためにパーティーはカルロスとカイト以外女性で構成され、旅先で子を孕ませてもなんの問題も無いように調整されていた。カイトの見立て通り、魔王との戦闘はカルロスとカイト二人が居れば事足りるように。
また、女には処女性を神聖視する癖に男のヤリチンについては、よくない病気でももらっていない限り、咎められることがないらしい。何人かの雌胎に子種を埋め込んだのなら、王は最後に自分の娘を結婚させ、経験豊富となった勇者を入り婿にでもさせるつもりだったらしい。
例のアマゾネス3人もその裏任務は知っており、最初の内は子を宿すことに専念していたようだが、何せあの勇者の美貌だ。
彼女たちはすっかり本気になってしまい、自分たちは繁殖牝馬ほどの役割しかもっていないにもかかわらず勇者に執着し愛を囁き続けた。本来であれば結ばれるはずのない禁断の愛、燃え上がるにはちょうど良い設定なんだろう。
同じく種馬扱いの勇者は、そんな女たちに対して残酷なまでに何の感情も湧かず、行為の最中はひたすら淫靡に乱れるカイトの姿を妄想して自身の剛直を勃ち上がらせ涙ぐましい努力をしていた。
「今、さらっととんでもないこと言わなかったか」
「ん、何が?」
すりすり鼻を摺り寄せて甘える姿は超大型犬のようだが、その視線や触り方は明らかに欲と熱を孕んでいる。いくらカイトがチート能力を持っていても、流石に勇者は格が違うため囚われてしまえば逃げることもできない。
「僕の恋人や妻にでもなれるつもりでいた、あの人たちには本当に滑稽……気の毒だったけど……まさか、君に嫌がらせをしていたなんて。でももう大丈夫だから」
「うーん」
確かに今は同じパーティーでもないのだ。今後も会うことはないのだろう。けれどもカイトの頭には少しの違和感が引っかかっていた。
「(そういえば、一周目と違って王の顔が違った気がする)」
王の名前は同じにもかかわらず、声や姿が異なっていた。親戚程度には似ていたかもしれないが、完全に前回の王とは別人だったとカイトは記憶している。そのおかげで種付け目的の性悪女たちの地獄みたいなハーレムパーティーが出来上がらなかった点を見ると、今回の王のほうがはるかにまともなのだろう。
「それに僕、知っているんだ」
「何が……」
『職場の女上司がマゾ社員を性的にイジメるシリーズ』
「!?」
『逆アナルに興味があるんだって?』
「!!!」
うふふといたずらっぽく笑うカルロスを前に、カイトは固まる。何故わが友カルロスが自身の生前大変お世話になったAVシリーズのタイトルと、それから隠し通したはずの性癖を知っているのだろうか。
「カイトの恋愛対象が女性なのも僕は知ってる。だけどさ。玩具より本物、味わってみたくない?僕は女性にはないすごいモノを持っているし、君を気持ちよくさせられるよ」
いやらしく舌なめずりをしながら、腰や尻にすりすりと擦りつけられるカルロスのカルロスは既にギンギンに臨戦態勢となっており、嫋やかさすら感じられる美しい顔とは不釣り合いな、凶悪なそれがぼろんと窮屈そうなズボンから出された。
色は確かに綺麗だが、サイズはとても初々しいと呼べるものではなく、さらに言うならば可愛くもない。
「……!?一鷹君?」
「え、誰?」
それは、前世でカイトが愛用していた特大サイズのディルド『一鷹君』と非常に酷似していた。懐かしさと欲求不満のあまり、カイトはカルロスのペニスに近寄りそっと触れ「一鷹君、一鷹君」と頬ずりまでし始める。
カルロスから、プチリと何かが切れる音が聞こえた。
「あっあっあ♡なんで、や、いきなり激しく♡だめぇ、やっやぁあ♡もっと優しく♡あぁあん♡」
「一鷹って誰!?」
怒りのあまり慣らすのもそこそこに、カルロスはカイトのズボンをずり下ろし、立ちバックの姿で後孔に肉棒を突き立てて、それから出し入れを繰り返す。そこが存外すんなり受け入れてくちゅくちゅいやらしい音が響き渡ることすらも、カルロスの心とペニスを苛立たせた。
「僕のことは!清らかさを理由に振ったくせに!自分こそ何人も男を咥え込んだんじゃないの!?」
「ちが、ちがうっ!いつも、自分でいじってたからぁ♡だめ、だめ、やだぁ♡」
前世で恋人いない歴=年齢であり一鷹君と離れ離れになったカイトは、それでも彼?のことを忘れられず、性欲を吐き出したい時は愛用のディルドを思い出しながら指で慰めていたのだという。ある意味一途といえば一途だ。
そんなところに現れた一鷹君に瓜二つの幼馴染、のペニスではあるが。運命の出会いを果たすという点では、ある意味BLの転生もの展開としては王道ではないだろうか。
なお、だいたいこの手の話で出てくる前世の男は当て馬役が多い。
「やっ♡あっ♡あぁあ♡カルロス、はげしい、いやぁ♡あん♡だめだめだめぇ♡」
ばちゅんぱちゅんと湿った音を響かせて奥を突かれ善がるカイトの姿に、カルロスのボルテージと性欲は上りに上がり、オーディエンスの精子達も狂喜乱舞している。ぶちゅりと生々しい音を立ててカルロスはカイトの中に白濁を注ぎ込むが、カイトは内腿をがくがくと震わせて力なく壁に掴まり立ちをしている。
つうと後穴から零れ落ちる白い液は扇情的で、勃起したままふるふる切なげに震えているカイトのそこを慰めるように、カルロスはそっと握りしめる。
「あぁあっ、今いったばかりだから♡だめ、おかしくなる、から♡ぁあんっ!」
「おかしくなっていいよ♡ここも弄ってあげる」
「やぁあ乳首だめぇ♡あぁあっあっやぁっはぁん♡」
くりくり胸の尖りを指の先端で擦られ弄られこねくり回されてしまい、同時にペニスも扱かれてカイトは壊れた蛇口のように力なく白濁を吐き出した。射精と呼ぶにはあまりにも威力がない情けない姿はお漏らしのようで、恥ずかしいと顔を覆い隠すカイトの耳元で「可愛い♡」とカルロスは甚振るように甘い声で囁いてやった。
「あっあっあっあ♡あぁああっ♡もうやら、だめ♡だめぇ、おしり、おひりこわれちゃう♡」
「おしりじゃなくておまんこでしょ?♡カイトのここすっかり雌穴になってる♡」
あの女たちとの義務だけで行っていた行為とはまるで違う。愛する者とのセックスはこんなにも気持ちいいものなのかと、カルロスはカイトの全身にキスの嵐を落として最愛の身体を貪り尽す。
最初は初々しくも抵抗するように舌で押し戻されていたキスも、快楽で馬鹿になった頭では到底抗い切れないのだろう、次第に受け入れるようになり今は舌を絡ませながらその身を繋げ、どちゅんどちゅんと肉と体液の擦り合わせを上下でおこなっている。
カイトもカルロスもキスハメが気に入ったのか、呼吸の続く限り二人は唇と舌を絡ませ合った。
ベッドに押し倒され体勢を変え両足を開かされ、ありとあらゆる体位でカイトはカルロスに子種を注ぎ込まれ続けている。セックスという言葉が上品に聞こえる程度に、容赦なく獣の交尾のようなそれは夜通し続いた。
「……カイト、一鷹って誰」
「俺が愛用していたディルド君です」
良い奴でした、と懐かし気に過去を思い返そうとするカイトの顔を両手の平で挟み込み、勇者は無理やりその顔を自分側に引き寄せる。むすりと頬を膨らませ拗ねたカルロスは、そのままカイトの唇を奪う。
「んむうぅ、もうだめ、だって」
「どうして」
「……また、したくなる」
頬を染め今度こそ顔を逸らすカイトの姿に、カルロスは「ふふ」と先ほどとは打って変わって満面の笑みを作ると、首筋に執着の証を二つ三つくっつけた。
「一鷹さん、いままでカイトの面倒を見てくれてありがとうございました。でも、これからは僕がカイトの傍にいるので、成仏してください」
「一鷹殺すな」
一鷹君は某アダルトグッズ会社の売れ筋商品だ。その手のロングセラーと言っても過言ではない。アダルトグッズ会社を一つ潰す気かと窘めるが、この男であればそれもやりかねないとカイトは思った。
「カルロス、眠い……積もる話は今度にして、俺、寝る……」
「ん♡ わかったよカイト。ゆっくりおやすみ」
目元に唇を落とされて、それが眠りの合図であるかのようにカイトは瞼を閉じるとすーすー寝息を立て始めた。
カルロスは転生者ではないが、対象者の脳内に侵入し、ある程度の過去の記憶を遡ることができる。『職場の女上司がマゾ社員を性的にイジメるシリーズ』については、そこで知りえた情報というわけだ。ただ、人間だれしも触れられたくない過去もあるわけで、深層心理の奥の奥、閉ざされて鍵が掛けられているような記憶については流石にカルロスも見ることができない。一鷹君もそのたぐいであったのだろう。
彼は、過去の愚かな自分を恥じた。種馬になることは了承済みだったが、その結果彼が最も愛するカイトを失いそうになることと、カイトを蔑ろにした女三人の暴走を知らず、そして止めることができなかった自身を呪った。
「カイトはおバカで、賢いね……」
前回と違ってあの王がいないことと、女三人衆がいないことに気付いていたとは。今回彼は、周囲の人間の記憶を弄り、そして王の遺伝子を別人レベルで「良い方へと」組み替えた。勇者とはそういうこともできるのかとカルロスはすこしばかり自分の力を恐れたが、それもすぐに掻き消えた。
そして、例えまだ罪を犯していないとはいえあの三人をカイトに会わせるつもりはなかったため、クレア、ユミラ、エミリアの三人は秘密裏に処分をした。元々淫乱の気はあった三人だ、高級とは名ばかりの娼館へ彼女らは送られた。両手両足を切断された大人の玩具として。
気の毒とは微塵も思わない。それは前世の恨みからだけではなく、あの三人はすでに幼少のみぎりより自分たちの容姿の良さと魔力などの力で、気に入らない子達をいびり貶めて、酷い目に合わせていたからだ。
前回では凄惨な死にざまを、今回は殺すまでもないだろうとカルロスは考えた。それでも十分すぎるほどに残虐ではあるが。
「勇者様」
娼館に送りつける際、あわや大惨事というところで三人から助け出したいじめられっ子達にそう呼ばれたカルロスは、無言で子供達の頭を撫でるとその場を去った。
そんな今の彼は、どうにかしてカイトの初めての男?である一鷹君の記憶を消せないか、上手い事一鷹との蜜月をカルロスとのそれに置き換えることができないかと考えを巡らせていた。
……恐らく、彼ならきっとやるのだろう。狂人にとっての存在意義は、最早カイトしかないのだから。
248
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
異世界で勇者をやったら執着系騎士に愛された
よしゆき
BL
平凡な高校生の受けが異世界の勇者に選ばれた。女神に美少年へと顔を変えられ勇者になった受けは、一緒に旅をする騎士に告白される。返事を先伸ばしにして受けは攻めの前から姿を消し、そのまま攻めの告白をうやむやにしようとする。
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
めっちゃ最高でした、、
ありがとうございます!