Eternal Chains - 圧政の影

ペコかな

文字の大きさ
35 / 44
第8章: 王城突入

3. 国王との対峙

しおりを挟む
反乱軍が王城の廊下を駆け抜け、ついに彼らはセリオンが待ち構える王の間の扉の前にたどり着いた。

厚く重い扉の向こうには、長い間この国を支配してきた国王と、その背後で操る暗黒の支配者セリオンが待ち受けている。

彼らを倒さなければ、この国に平和は訪れない。


「ここが最後の砦だ。」
ガロンが剣を握りしめながら、冷静に言った。


「これまで多くの犠牲を払ってきたが、今こそその意味が証明される時だ。」
アンリが決意を込めて続けた。


リーシャは仲間たちに深く頷き、
「この扉を開ければ、全てが決まる。私たちはこの戦いを終わらせ、この国を解放するためにここに来た。共に戦おう」と静かに語りかけた。


シエラが緊張しながらも微笑んで言った。
「私たちはここまで来た。後戻りはないわ。全力で戦い抜きましょう。」


グレタは手を前に掲げ、呪文を唱えながら扉に向けて集中した。
「この扉を開けると同時に、敵の攻撃が始まるでしょう。皆、準備を整えて。」


リーシャは古代の剣を握りしめ、扉に向かって歩を進めた。
「私たちは共に、この最後の戦いを迎える。そして、勝利を手に入れます。」


その言葉に全員が頷き、リーシャは重厚な扉をゆっくりと押し開けた。


扉が開かれると、王の間には冷たく澄んだ空気が広がり、緊張感が漂っていた。


そこには、玉座に座る国王の姿があった。
しかし、その国王はかつての威厳を失い、無気力で空虚な目をしていた。


「この国王が…」アンリが驚きを隠せずに呟いた。


「彼は、すでにセリオンによって操られている。」
グレタが静かに言った。
「彼の魂は囚われ、ただの操り人形と化しているのです。」


リーシャはその国王に向かって歩を進め、剣を下ろして冷静に問いかけた。
「国王陛下、私はリーシャ。

あなたの王国を解放するために戦ってきました。
今ここで、あなたを解放し、この国に平和を取り戻すために来たのです。」


国王はその声に反応するかのように、ゆっくりと顔を上げた。

その目には焦点が合っておらず、まるで空虚な器のようだった。



「セリオン…私が…彼に…」
国王はかすれた声で、断片的な言葉を絞り出した。


リーシャは心の中で痛みを感じながらも、彼に続けて語りかけた。

「あなたの国は、セリオンの圧政によって苦しんでいます。
ですが、私たちはその圧政を終わらせるためにここにいます。
あなたもまた、自由を取り戻すことができるのです。」


その時、国王の影が不気味に揺れ動き、暗黒のオーラが王の間を覆い始めた。


影の中からセリオンが現れ、その邪悪な笑みを浮かべた。


「リーシャ、愚かなことを。」
セリオンは冷たく言い放った。
「この国王は私の支配下にある。彼の意志も魂も、全て私のものだ。お前がどれだけ叫ぼうと、無駄だ。」


リーシャは剣を構え、セリオンに向かって強く言った。
「セリオン、あなたの支配もここまでだ。私はこの剣の力で、あなたの呪縛を解き、この国王を解放する。」


セリオンは笑い声を上げ、

「お前ごときが私に勝てると思うのか?この国王はもはや私のしもべ。
彼を解放できる者など存在しない。お前たちもここで終わりだ。」と嘲笑した。


その瞬間、国王はセリオンの命令に従うかのように立ち上がり、玉座から降りてリーシャに向かって歩み寄った。

その目には何も感じられず、ただセリオンの命令に従うだけの存在となっていた。


「国王陛下…」リーシャは悲しげに呟いた。

「私はあなたを解放するためにここに来た。あなたの意志を取り戻し、この国を救うために…」


だが、国王は無言のまま、リーシャに向かって手を伸ばした。

その手には暗黒の力が宿っており、セリオンの魔力が彼を支配しているのが明らかだった。


「リーシャ、気をつけろ!」
ガロンが叫んだ。


リーシャは剣を握りしめ、国王の手を振り払おうとしたが、その瞬間、国王の目に一瞬だけ人間らしい苦悩が垣間見えた。

彼の中にまだ残っているわずかな意志が、セリオンの支配に抗おうとしていたのだ。


「私の中に…まだ…」
国王がかすれた声で呟いた。

「リーシャ…助けてくれ…」


リーシャはその言葉に応え、剣を高く掲げた。
「私はあなたを解放する、国王陛下。この剣の力で、セリオンの呪縛を断ち切ります!」


剣から放たれた光が、国王を包み込み、その暗黒の力を打ち消していった。


国王は一瞬、苦悶の表情を浮かべたが、その後、徐々に表情が和らぎ、セリオンの支配から解放されていくのが感じられた。


「リーシャ…ありがとう…」
国王はかすれた声で言い、ゆっくりと倒れ込んだ。


しかし、その瞬間、セリオンが怒りに満ちた声を上げた。
「愚かな…!お前が何をしようと、私の力は止められない!」


リーシャは剣を構え直し、セリオンに向かって力強く言った。
「セリオン、今こそあなたを倒し、この国を解放する時が来た。私はこの剣と共に、あなたの圧政を終わらせる!」


ガロン、アンリ、シエラ、そしてグレタもそれぞれの武器を構え、リーシャの側に立った。
「私たちは共に戦う。セリオン、ここでお前を倒す!」


セリオンは再び笑みを浮かべ、
「ならば、全てを終わらせてやる。」と不敵に言い放った。


こうして、リーシャと反乱軍の仲間たちは、最後の決戦に挑むべくセリオンとの対峙を始めた。


国王を解放したことで、彼らは新たな力と決意を得たが、セリオンの持つ圧倒的な魔力が、彼らに立ちはだかる。

最終決戦の幕が開かれ、彼らの運命は、この一戦にかかっていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...