緑の世界は続くよ!!どこまでも!!

巴崎 サキ

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第一章

ここは?? ①

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「⋯⋯うっ⋯⋯こ⋯⋯ここは??」

 何かがオレの額に落ちて目が覚める。

 そっと辺りを見渡すと、床も壁も天井も部屋中全てが  ”濃い”  緑色のタイルで貼られた一室だった。

 所々ひび割れ、破片が散っている。
 タイルはお世辞にも綺麗とは言えず、黒ずんだ油や埃にまみれ、隙間からはじっとりとした苔が覆っていた。


 ふっと、頭上を見てみると天井には同じタイルに据え付けられた一本の蛍光灯がある。
 それは、すす汚れ今にもチカチカと消えそうに点滅しながら光っていた。
 よ~く目を凝らすとと、若干黄色がかったなんの液体か解らない物が、タイルの隙間から染み出て垂れ落ちていた。



「これが⋯⋯??」



 あわてて、額に付いた液体を右腕の袖で拭う。

 だが、 ”それ”  は粘度が高くネチャネチャと伸びてしまいなかなか取れない。

 オレは、半ば諦めると当然の疑問に辿り着く。

「⋯⋯しかし、どこだ??ここは」


ーー
 ここが何処なのかわからない。

 だけど、以前もここまで来た記憶が僕にはあった。

 自分で来た覚えはないけど⋯⋯。

 いつ、どうやってここまで来たかも覚えていない。

 それでも、なぜかここまで来た記憶だけは微かにあった。




ーー
 どこからか、生暖かさと冷たさの入り混ざった空気が頬をかすめる。

 辺りをもう一度見直すと1本の通路が目にとまった。

 同じ汚い緑色のタイル貼りだ。

 オレは立ち上がると、なぜか引き付けられるようにその通路へと向かう。


 カツーーン




 カツーーーン




 革靴の音が妙に響き渡る。



 何処かの地下にでもいるのだろうか⋯⋯。

 その音は、通路の奥まで木霊した。

 ただただひたすら真っ直ぐに続く通路。

 その先は暗くてよく見えない。

 距離にしてどれくらいあるだろう。

 数百メートルはあるだろうか⋯⋯。

 そのまま、暗闇に吸い込まれてしまうのではないか??

 そんな、くだらない事すら脳裏をよぎる。

(⋯⋯行ってみるか)



 いつまでも、ここにいても仕方がない。

 オレは、進んでみることにする。



 湿気がこもり、どこかカビ臭い。



 しばらく進んでいくと、奥の方から  ”ペタッ ペタッ”  と音をさせながら、何かが近づいてくる。

 暗闇に目が多少は慣れてきたとはいえ、まだハッキリとは見えない。

 音も反響してしまい距離すらいまいち掴む事ができなかった。


「ん??⋯⋯何だあれは??」


 それは、左右に揺れながらゆっくり、ゆっくり近づいてきた。

 オレは、それから目を離すことなくゆっくり歩き続ける。


ペタッ



  ペタッ



    ペタッ





 やがて、肉眼でしっかり確認できるほど近付くと、それははっきり見えた。




(⋯⋯うっ!?)



 それは⋯⋯


 首と両手が切り落とされ、傷口をでたらめに縫合された子(?)だった。

 身長は130センチぐらいだろうか。

 衣服なんて何一つない。


 裸足で ”ペタッペタッ” いわせていた。


 両腕を前に伸ばし、左右に揺れながらゆっくりと近寄ってくる。



ーー触れるな! かわせっ!!


 と、何処かから声が聞こえたかの様に、オレはそう自分に言い聞かす。


 なぜだか、理由はわからない。


 ただ、そうすることが正しいんだと思えて仕方がなかった。




 オレは壁に張り付きかわすように、そして絶対に触れないように避けると通り過ぎるのを待った。

 静かに。
 ただただ静かに。

 しかし、身体は意志と反するように心臓の音を激しくする。

 “それ” に聞こえてしまうのではないかと、緊張が走った。

 オレは、慌てて両手で自分の胸を押さえつけると、ジッと通り過ぎてくれるのを祈る。


 5メートル


 4メートル


  ・
  ・
  ・
 1メートル


 ペタッ ペタッ


 祈りが通じたのか、その子(?)は、何事もなかったかのようにそのままオレの目の前を通り過ぎていった。




 揺れながら⋯⋯


 ペタッ



   ゆっくり⋯⋯



 ペタッ



     ゆっくりと⋯⋯⋯⋯



 その音は、遠ざかっていく。



「あれは⋯⋯いったいなんなんだ??」


 疑問ばかりが頭をよぎる。

 しかし、何故か不思議とあまり恐怖心がわかない。


(首が⋯⋯首から上が無かったぞ。見間違⋯⋯いや、違う。オ⋯⋯オレは、どうかしちまったのか?)


 だが、ここで立ち止まっていても仕方がない。
 更に進むことにする。

 いや、本来は戻るべきなのではないか??

 あの子は、この先から来た。つまり、この先に⋯⋯。

 一瞬、歩みを止めようとしたが、足は前へと進む。

 何がオレをこんなに掻き立てるのか、とにかく前に進むことが正しいんだと思えて仕方がない。

 とは言え、やはり少々気になりそっと振り返ると、その子(?)はそのまま更に進んで行き、やがて遠く見えなくなった。
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