2 / 7
第一章
ここは?? ①
しおりを挟む「⋯⋯うっ⋯⋯こ⋯⋯ここは??」
何かがオレの額に落ちて目が覚める。
そっと辺りを見渡すと、床も壁も天井も部屋中全てが ”濃い” 緑色のタイルで貼られた一室だった。
所々ひび割れ、破片が散っている。
タイルはお世辞にも綺麗とは言えず、黒ずんだ油や埃にまみれ、隙間からはじっとりとした苔が覆っていた。
ふっと、頭上を見てみると天井には同じタイルに据え付けられた一本の蛍光灯がある。
それは、煤汚れ今にもチカチカと消えそうに点滅しながら光っていた。
よ~く目を凝らすとと、若干黄色がかったなんの液体か解らない物が、タイルの隙間から染み出て垂れ落ちていた。
「これが⋯⋯??」
あわてて、額に付いた液体を右腕の袖で拭う。
だが、 ”それ” は粘度が高くネチャネチャと伸びてしまいなかなか取れない。
オレは、半ば諦めると当然の疑問に辿り着く。
「⋯⋯しかし、どこだ??ここは」
ーー
ここが何処なのかわからない。
だけど、以前もここまで来た記憶が僕にはあった。
自分で来た覚えはないけど⋯⋯。
いつ、どうやってここまで来たかも覚えていない。
それでも、なぜかここまで来た記憶だけは微かにあった。
ーー
どこからか、生暖かさと冷たさの入り混ざった空気が頬を掠める。
辺りをもう一度見直すと1本の通路が目にとまった。
同じ汚い緑色のタイル貼りだ。
オレは立ち上がると、なぜか引き付けられるようにその通路へと向かう。
カツーーン
カツーーーン
革靴の音が妙に響き渡る。
何処かの地下にでもいるのだろうか⋯⋯。
その音は、通路の奥まで木霊した。
ただただひたすら真っ直ぐに続く通路。
その先は暗くてよく見えない。
距離にしてどれくらいあるだろう。
数百メートルはあるだろうか⋯⋯。
そのまま、暗闇に吸い込まれてしまうのではないか??
そんな、くだらない事すら脳裏をよぎる。
(⋯⋯行ってみるか)
いつまでも、ここにいても仕方がない。
オレは、進んでみることにする。
湿気がこもり、どこかカビ臭い。
しばらく進んでいくと、奥の方から ”ペタッ ペタッ” と音をさせながら、何かが近づいてくる。
暗闇に目が多少は慣れてきたとはいえ、まだハッキリとは見えない。
音も反響してしまい距離すらいまいち掴む事ができなかった。
「ん??⋯⋯何だあれは??」
それは、左右に揺れながらゆっくり、ゆっくり近づいてきた。
オレは、それから目を離すことなくゆっくり歩き続ける。
ペタッ
ペタッ
ペタッ
やがて、肉眼でしっかり確認できるほど近付くと、それははっきり見えた。
(⋯⋯うっ!?)
それは⋯⋯
首と両手が切り落とされ、傷口をでたらめに縫合された子(?)だった。
身長は130センチぐらいだろうか。
衣服なんて何一つない。
裸足で ”ペタッペタッ” いわせていた。
両腕を前に伸ばし、左右に揺れながらゆっくりと近寄ってくる。
ーー触れるな! かわせっ!!
と、何処かから声が聞こえたかの様に、オレはそう自分に言い聞かす。
なぜだか、理由はわからない。
ただ、そうすることが正しいんだと思えて仕方がなかった。
オレは壁に張り付きかわすように、そして絶対に触れないように避けると通り過ぎるのを待った。
静かに。
ただただ静かに。
しかし、身体は意志と反するように心臓の音を激しくする。
“それ” に聞こえてしまうのではないかと、緊張が走った。
オレは、慌てて両手で自分の胸を押さえつけると、ジッと通り過ぎてくれるのを祈る。
5メートル
4メートル
・
・
・
1メートル
ペタッ ペタッ
祈りが通じたのか、その子(?)は、何事もなかったかのようにそのままオレの目の前を通り過ぎていった。
揺れながら⋯⋯
ペタッ
ゆっくり⋯⋯
ペタッ
ゆっくりと⋯⋯⋯⋯
その音は、遠ざかっていく。
「あれは⋯⋯いったいなんなんだ??」
疑問ばかりが頭をよぎる。
しかし、何故か不思議とあまり恐怖心がわかない。
(首が⋯⋯首から上が無かったぞ。見間違⋯⋯いや、違う。オ⋯⋯オレは、どうかしちまったのか?)
だが、ここで立ち止まっていても仕方がない。
更に進むことにする。
いや、本来は戻るべきなのではないか??
あの子は、この先から来た。つまり、この先に⋯⋯。
一瞬、歩みを止めようとしたが、足は前へと進む。
何がオレをこんなに掻き立てるのか、とにかく前に進むことが正しいんだと思えて仕方がない。
とは言え、やはり少々気になりそっと振り返ると、その子(?)はそのまま更に進んで行き、やがて遠く見えなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる