異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ

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第12話・魔法の絨毯

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俺たちはそのままアリババ・・・さんを先頭に俺とアラジンさん、シンドバッドさんはカフェを出た。
外に出るとカフェの前の広場を埋め尽くすくらいのアリババさんと同じ格好をした人達がいた。
カフェからは他のお客さんが顔を出してその異様な光景を見ている。
「こ、これは??」
「この人たちは私の私設兵だよぉ。大丈夫、怖くないよぉ」
「あのシンドバッドさんって何者??」
まぁ王宮っていうくらいだから何となく察しはつくけど、ちょっと疑ってる。自分の考えを。
「天使は名前以外も記憶が曖昧ですか?」
アラジンさんが本当に心配そうな顔で聞いてくる。
「え、うん、まぁ・・・・」
「シンドバッドは王です。この都市の。フルネームをシンドバッド・グランドといいます」
やっぱり王様だったーーー!!
当たっちゃったーーー!!
しかし、よく見る異世界転生の王様とはだいぶ違うな。
漫画とかラノベだと王様ってまで分かるテンプレの格好したおじさんなのに。
「クロちゃんは知らなかったぁ??」
「あ、いや記憶がなくて、すみません!」
「いやいやぁ謝らなくて良いよぉ。もっともっと名前広めなきゃなぁ。ね、アリババ」
「そんな気全然ないのに言わないでください。兵の士気に関わります!」
「私は平和主義だからぁ」
「ほら無いじゃないですか!」
で、俺たちはそのままシンドバッドさんたちと一緒にカフェに来た道を逆に辿って大通りに出た。
通りを歩いてた人達、通り沿いの家の人々が夜中なのにかなりの人数がこちらを見ている。
「では、移動は・・・」
「私の『友人』だ。私がお連れするよぉ」
そういうとシンドバッドさんは巻物を取り出し中身を確認した。
「魔法の絨毯!!」
シンドバッドさんがそういうと巻物から畳12畳くらいの絹製で緑色の生地に金色の横糸が入った絨毯が現れた。
「さぁ乗ってぇ」
え、何これ。まさかあの有名なのやつでは?
「さ、天使」
アラジンさんが先に乗り手を差し出す。
「あ、ありがとうございます」
俺はその手を取り絨毯に乗る。
「やっさしい~ねぇアラジン」
「・・・・普通ですよ」
「じゃあアリババ。私達は先に行くからぁ」
「はい!お気をつけて!」
「さぁ行くよぉ!飛べぇ魔法の絨毯!!」
シンドバッドさんの掛け声とともに魔法の絨毯は空高く飛び上がり、グランドの街を一望する高さまで上がった。
「おおおお~~~~~!!!」
俺はこの世界に来てから一番の大声を上げた。
「どうだいぃクロちゃん、乗り心地はぁ?」
ジェットコースターとも飛行機とも違う浮遊感!心地良過ぎる!これが世界の子供達が憧れた魔法の絨毯!!
「最高です!!」
「アハハァ良かったぁ!」
程よい暖かさの風を切り魔法の絨毯は街を飛ぶ。
「天使、普通に座って大丈夫ですよ」
「え、あっはい!」
俺は魔法の絨毯が飛んでからずっと四つ這いスタイル。いやだって怖いもん!
「その姿を後ろから眺めてても良いんですけど」
「普通に座ります!」
即座にあぐらスタイルに切り替えた。
「アラジンさん、慣れてますね」
「まぁ初めてではないので」
はぁ~やっぱりアラジンさんとシンドバッドさんは結構仲良いのか。
「この絨毯はさぁアラジンと一緒に行ったグランドの友好都市の王子ホサイン君から頂いたんだぁ。あの旅は楽しかったねぇアラジン」
「えぇ貴方が七つの海を制覇した時ですね」
「大冒険だったよぉ」
おぉ~そんな話が!聞きたいな~七つの海制覇の話とかオタク心くすぐり過ぎでしょ!
「さぁもう着くよぉ」
え~もう着くのー、もうちょっと魔法の絨毯を堪能したかった。
街を抜け、風を切り、分厚い雲を抜けると目の前にはさっきまで街が小さく見えるくらいの黄金と白で作られた王宮が現れた。
俺の世界でいうとタージマハル的な。
「着いたらアラジン、クロちゃん。全部を話してもらうよぉ」
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