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聖騎士伝説
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イヴが何でもしてくれて、本当に一日何もしなくてよくなった。
貸してくれた「聖騎士伝説」の本に触れた。
表紙には剣を上に上げて、全身が光り輝いている聖騎士の姿が描かれている。
光をまとい、闇を照らす英雄そのものの姿だった。
ページをゆっくりと捲り、俺はその物語の中に入った。
魔導士が世界の人口の半分以上いた時代の物語のようだ。
最初の一文は「生き残った我々が聖騎士についてここに記す」と書かれていた。
彼は裕福な家で生まれた少年で、とても強い魔力を秘めていた。
彼が心の中で思えば何でも魔術が出てきて、周りは天才だと口を揃えて言っていた。
しかし彼は天才だと言われても自分の力をひけらかす事はなかった。
魔力が弱く、困っている人を見ると放っておけず人のために自分の強い力を使う人だった。
だから周りの人達も妬む人は少なく、皆彼に頼っていた。
彼はどんどん大人に成長して、女性を惹き付ける美男子になった。
美しい黒髪、黒い瞳は皆を夢中にさせてお誘いも増えていった。
そんな彼に一目惚れをした一人の少女がいた。
彼女はこの国のお姫様で、幼少期の頃…彼の力に助けられた一人だった。
お姫様は彼を自分の騎士に任命してずっと傍にいる事が出来た。
彼はまだ聖騎士ではなく、新人騎士としてお姫様の護衛だけではなくいろんな雑務をこなすようになった。
きっかけは強引だったかもしれないが、彼はお姫様を通してこの世界を守る事を誇りに感じていた。
名前だけ傍にいるだけの状態が続き、お姫様はもっと彼といたいという気持ちがどんどん膨れ上がっていた。
彼がしたように自分も人の役に立ちたい、そう思うようになっていった。
彼はこの国を守るために、お姫様は人の役に立つために…目的は違うが互いにだんだんと惹かれ合っていた。
新人だった騎士は、お姫様の直属の騎士に正式になりお姫様を守るために尽くした。
そんなある日、空がだんだん侵食するように暗くなった。
まだ夜でもないのに、暗闇の中…空が大粒の涙を流した。
その涙は地面に着地すると、あらゆる形に姿を変えた。
鋭い爪を持ったり、獣の姿だったり、明らかに人の形をしていない化け物だった。
その化け物の中心にいた男は、真っ黒な肌に真っ赤な瞳で怯える人達を見つめていた。
腕には紋様が浮かび上がり、それは刺青のようだった。
男に吸い寄せられるように化け物が近付いてきて、男に向かって鋭い爪を振り下ろした。
仲間割れかと思ったが、男は余裕な笑みを浮かべて化け物を喰らっていた。
「魔騎士になりたい奴は俺を殺してみろ、俺はその度に強くなる」
この男の存在が魔騎士なのだと、我々は初めて耳にした。
そして、おぞましい化け物を喰らい男はとうとう国の人々も襲い始めた。
それを合図に化け物達も人々を襲い、国は一瞬で地獄と化した。
彼とお姫様が来た頃には街はパニックになり、避難誘導する騎士と避難場所に押し寄せる人達で溢れていた。
彼は剣を引き抜き、化け物に向かって走っていった。
斬りつけ、進み…化け物の中心にいる男に近付いた。
男は素手で簡単に彼の剣を受け止めて、弾き飛ばした。
彼は受け身の魔術も出来ないほどの速さで民家の窓に当たりそのままガラスが割れ、家の中で倒れた。
強い魔力がある彼でもどうする事も出来ない、それは絶望だった。
彼が勝てない相手なら、いったい誰が勝てると言うのか。
その時、彼の目の前に見えたのは魔物に襲われそうになっているお姫様だった。
お姫様を守ると誓ったあの日を思い出して、彼は足を震わせながら立ち上がった。
彼の体には眩い光がまとっていて、まるで神様が乗り移ったかのように神々しいものだった。
剣を握り直して、民家から出るとお姫様を襲おうとした魔物を一掃した。
その動きには無駄がなく、誰もが魅入ってしまうほどだった。
剣を男に向けると、光をまとった剣に男は真っ赤な瞳を光らせて彼に向かって腰に下げていた黒い剣を引き抜いた。
一撃で攻撃が決まる、唾を飲み…周りの人達は勝敗を静かに見届けた。
そして、光の剣を上に向けて真っ黒な空に太陽を取り戻した。
彼が勝利した、魔騎士は光の剣で腹を貫かれ…砂となって消えた。
魔導士達を救った英雄、光の力を使い魔を照らす聖騎士が誕生した日だった。
聖騎士と最初に言ったのは王様だった、それから皆が聖騎士様と呼ぶようになった。
魔騎士が生んだ化け物は魔物と呼ばれるようになり、国の外にうじゃうじゃいるらしい。
空が晴れた日から、人々は魔物を見る事が出来なくなった。
聖騎士だけがその姿を見る事が出来て、教えてくれた。
雨のように大量に現れたんだ、きっと全て倒す事は出来ないだろう。
聖騎士はいつ外の魔物がこちらにやってくるのか怯える人達のために、強力な結界を張ってくれた。
聖騎士の光の力で魔物は寄り付かなくなり、やっと戦いは終息した。
魔物に殺された犠牲者はあまりにも多く、勝ったとはいえ聖騎士は一度も良かったとは思わなかった。
この戦いで世界で魔導士の人口は半分まで減り、魔導士を喰った魔物は姿を変えていて強くなっていた。
後に分かった事だが、魔物は人間をあまり襲わないという情報がある。
魔物は食欲旺盛だった、だから魔導士は喰われたんだ。
人間より魔導士を好み、魔導士の力を手に入れる。
この先、魔導士は魔物に喰われてどんどん人口を減らすだろう。
姿が聖騎士にしか見えない魔物は知らぬ間に魔導士を殺すだろう。
聖騎士はこの国を守る役目があり、遠く離れた他の国の魔導士まで守る事が出来ない。
この国には聖騎士がいる、それだけでこの国は幸せだ。
一つの国に魔導士を集めればいい、この本を広めて…救世主がいると世界に教えなくてはいけない。
敵国への牽制にもなる、悪い話ではないと思った。
お姫様についても話そう、彼女も聖騎士と同じ存在だと知ったのは聖騎士が国を救った後だった。
命は失われなかったが、負傷者もかなりの数いた。
魔導士の常識として、治癒の魔術は自分にしか大きな効果はない。
体液に治癒の力があり、与える事で治癒が出来るが深い傷には効かない。
生きていても死んでいくのを待つしかない人達は苦しんでいた。
死にたくない、助けて、助けて…悲痛の叫びは、軽傷の人の手当てをしていたお姫様にも届いた。
近くにいるのに助けられない、お姫様は美しい涙を流していた。
その瞬間、お姫様の手が聖騎士のように光り輝いていた。
その光を傷口に近付けると、斬られた傷がみるみると塞がっていった。
それは強い治癒の魔術だった、誰も持っていない奇跡の力でお姫様は人々を救った。
彼女を聖女だと助けられた人達は呼び、その名も広まった。
魔物を倒す事が出来る聖騎士、聖騎士をサポートする聖女は国の壁画も作られるほどに魔導士達の中心人物になった。
やがて二人は結婚して、この国は彼らによって永遠に守られる事となった。
本を読み終わり、閉じて自分の腕に触れる。
魔騎士は魔物に狙われているんだ、魔物も自分が魔騎士になりたいから…
じゃあ俺の腕が魔導士の腕だから魔物は俺を喰らおうとしていた?
腕だけで、俺を食べても何の力も手に入らないのに…
俺よりイヴの方が危険だ、イヴは腕以外は魔騎士の力を持っていると思っている。
貸してくれた「聖騎士伝説」の本に触れた。
表紙には剣を上に上げて、全身が光り輝いている聖騎士の姿が描かれている。
光をまとい、闇を照らす英雄そのものの姿だった。
ページをゆっくりと捲り、俺はその物語の中に入った。
魔導士が世界の人口の半分以上いた時代の物語のようだ。
最初の一文は「生き残った我々が聖騎士についてここに記す」と書かれていた。
彼は裕福な家で生まれた少年で、とても強い魔力を秘めていた。
彼が心の中で思えば何でも魔術が出てきて、周りは天才だと口を揃えて言っていた。
しかし彼は天才だと言われても自分の力をひけらかす事はなかった。
魔力が弱く、困っている人を見ると放っておけず人のために自分の強い力を使う人だった。
だから周りの人達も妬む人は少なく、皆彼に頼っていた。
彼はどんどん大人に成長して、女性を惹き付ける美男子になった。
美しい黒髪、黒い瞳は皆を夢中にさせてお誘いも増えていった。
そんな彼に一目惚れをした一人の少女がいた。
彼女はこの国のお姫様で、幼少期の頃…彼の力に助けられた一人だった。
お姫様は彼を自分の騎士に任命してずっと傍にいる事が出来た。
彼はまだ聖騎士ではなく、新人騎士としてお姫様の護衛だけではなくいろんな雑務をこなすようになった。
きっかけは強引だったかもしれないが、彼はお姫様を通してこの世界を守る事を誇りに感じていた。
名前だけ傍にいるだけの状態が続き、お姫様はもっと彼といたいという気持ちがどんどん膨れ上がっていた。
彼がしたように自分も人の役に立ちたい、そう思うようになっていった。
彼はこの国を守るために、お姫様は人の役に立つために…目的は違うが互いにだんだんと惹かれ合っていた。
新人だった騎士は、お姫様の直属の騎士に正式になりお姫様を守るために尽くした。
そんなある日、空がだんだん侵食するように暗くなった。
まだ夜でもないのに、暗闇の中…空が大粒の涙を流した。
その涙は地面に着地すると、あらゆる形に姿を変えた。
鋭い爪を持ったり、獣の姿だったり、明らかに人の形をしていない化け物だった。
その化け物の中心にいた男は、真っ黒な肌に真っ赤な瞳で怯える人達を見つめていた。
腕には紋様が浮かび上がり、それは刺青のようだった。
男に吸い寄せられるように化け物が近付いてきて、男に向かって鋭い爪を振り下ろした。
仲間割れかと思ったが、男は余裕な笑みを浮かべて化け物を喰らっていた。
「魔騎士になりたい奴は俺を殺してみろ、俺はその度に強くなる」
この男の存在が魔騎士なのだと、我々は初めて耳にした。
そして、おぞましい化け物を喰らい男はとうとう国の人々も襲い始めた。
それを合図に化け物達も人々を襲い、国は一瞬で地獄と化した。
彼とお姫様が来た頃には街はパニックになり、避難誘導する騎士と避難場所に押し寄せる人達で溢れていた。
彼は剣を引き抜き、化け物に向かって走っていった。
斬りつけ、進み…化け物の中心にいる男に近付いた。
男は素手で簡単に彼の剣を受け止めて、弾き飛ばした。
彼は受け身の魔術も出来ないほどの速さで民家の窓に当たりそのままガラスが割れ、家の中で倒れた。
強い魔力がある彼でもどうする事も出来ない、それは絶望だった。
彼が勝てない相手なら、いったい誰が勝てると言うのか。
その時、彼の目の前に見えたのは魔物に襲われそうになっているお姫様だった。
お姫様を守ると誓ったあの日を思い出して、彼は足を震わせながら立ち上がった。
彼の体には眩い光がまとっていて、まるで神様が乗り移ったかのように神々しいものだった。
剣を握り直して、民家から出るとお姫様を襲おうとした魔物を一掃した。
その動きには無駄がなく、誰もが魅入ってしまうほどだった。
剣を男に向けると、光をまとった剣に男は真っ赤な瞳を光らせて彼に向かって腰に下げていた黒い剣を引き抜いた。
一撃で攻撃が決まる、唾を飲み…周りの人達は勝敗を静かに見届けた。
そして、光の剣を上に向けて真っ黒な空に太陽を取り戻した。
彼が勝利した、魔騎士は光の剣で腹を貫かれ…砂となって消えた。
魔導士達を救った英雄、光の力を使い魔を照らす聖騎士が誕生した日だった。
聖騎士と最初に言ったのは王様だった、それから皆が聖騎士様と呼ぶようになった。
魔騎士が生んだ化け物は魔物と呼ばれるようになり、国の外にうじゃうじゃいるらしい。
空が晴れた日から、人々は魔物を見る事が出来なくなった。
聖騎士だけがその姿を見る事が出来て、教えてくれた。
雨のように大量に現れたんだ、きっと全て倒す事は出来ないだろう。
聖騎士はいつ外の魔物がこちらにやってくるのか怯える人達のために、強力な結界を張ってくれた。
聖騎士の光の力で魔物は寄り付かなくなり、やっと戦いは終息した。
魔物に殺された犠牲者はあまりにも多く、勝ったとはいえ聖騎士は一度も良かったとは思わなかった。
この戦いで世界で魔導士の人口は半分まで減り、魔導士を喰った魔物は姿を変えていて強くなっていた。
後に分かった事だが、魔物は人間をあまり襲わないという情報がある。
魔物は食欲旺盛だった、だから魔導士は喰われたんだ。
人間より魔導士を好み、魔導士の力を手に入れる。
この先、魔導士は魔物に喰われてどんどん人口を減らすだろう。
姿が聖騎士にしか見えない魔物は知らぬ間に魔導士を殺すだろう。
聖騎士はこの国を守る役目があり、遠く離れた他の国の魔導士まで守る事が出来ない。
この国には聖騎士がいる、それだけでこの国は幸せだ。
一つの国に魔導士を集めればいい、この本を広めて…救世主がいると世界に教えなくてはいけない。
敵国への牽制にもなる、悪い話ではないと思った。
お姫様についても話そう、彼女も聖騎士と同じ存在だと知ったのは聖騎士が国を救った後だった。
命は失われなかったが、負傷者もかなりの数いた。
魔導士の常識として、治癒の魔術は自分にしか大きな効果はない。
体液に治癒の力があり、与える事で治癒が出来るが深い傷には効かない。
生きていても死んでいくのを待つしかない人達は苦しんでいた。
死にたくない、助けて、助けて…悲痛の叫びは、軽傷の人の手当てをしていたお姫様にも届いた。
近くにいるのに助けられない、お姫様は美しい涙を流していた。
その瞬間、お姫様の手が聖騎士のように光り輝いていた。
その光を傷口に近付けると、斬られた傷がみるみると塞がっていった。
それは強い治癒の魔術だった、誰も持っていない奇跡の力でお姫様は人々を救った。
彼女を聖女だと助けられた人達は呼び、その名も広まった。
魔物を倒す事が出来る聖騎士、聖騎士をサポートする聖女は国の壁画も作られるほどに魔導士達の中心人物になった。
やがて二人は結婚して、この国は彼らによって永遠に守られる事となった。
本を読み終わり、閉じて自分の腕に触れる。
魔騎士は魔物に狙われているんだ、魔物も自分が魔騎士になりたいから…
じゃあ俺の腕が魔導士の腕だから魔物は俺を喰らおうとしていた?
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