最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン

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第15話 パワハラ勇者

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「なんで伝書鳩の返事が今になるんだ! 俺は人類を救う為に奮闘してるんだぞ! 俺からの連絡はいついかなる時でも一分一秒を惜しんですぐに返せ! 例えそれが親の死に目であってもだぁあああ!!」

 アルフレッドは激昂して、近くに転がっていたペンを秘書の一人に投げつけた。

 村の一青年に過ぎなかったアルフレッドが、試練の洞窟から勇者の剣を引き抜いたのはわずか5日前のことだ。
 すぐさま王に報告がされ、こうして私のような勇者専属の秘書隊が急遽編成されたという訳だった。
 秘書隊の任務は勇者アルフレッドの円滑な業務の遂行のサポートである。
 勇者の業務とは魔王討伐だ。
 
「痛っ…………申し訳ありません。今後気をつけます」
「……いつまで、そこに突っ立っている? 目障りだからさっさと下げれぇ!!」

 アルフレッドは悪鬼のような顔をしてまたペンを投げつける。
 秘書の一人はそそくさとこちらに戻ってきた。

「おい、大丈夫か?」

 気落ちしている様子の同僚に声をかける。

「いや、大丈夫だ。にしても……くそっ。深夜に伝書鳩なんか来ても気づかねえよ」
「だよな。一体なんだよあいつ、ついこの前まで村の平民だったんだろ? 大貴族でもあそこまで横暴じゃねえぞ!」

 秘書隊は、国の官務に携わっている人間から選抜して抜粋されている。
 人族の存続に関わることから、優秀な人間たちが集められていた。

「全く何様だっていうんだよな。聞いたかあの馬車事件」
「なんだそれ?」
「ダンジョンを攻略するための視察で馬車で向かったらしいんだけどさ」
「ああ」
「なんかダンジョンの手前100メートルぐらいで止まったらしいんだよ。ダンジョンっていきなり魔物が飛び出してくることもあるからちょっと手前に止まるように気を遣ったらしいんだけどよ」
「それが何か? 何も問題ないように思えるけど」

 応えながらコーヒーを口につける。
 
「あのアルフレッドの野郎、激怒したらしいんだよ。勇者の俺に余計な距離を歩かせるなんて何事だってな」
「なんだそりゃ。たかだか100メートルだろ!」
「こっちは気を利かせてるのそんなことでキレられたらたまらねえよ! 全く、勇者の秘書隊なんて立候補するんじゃなかったよ」
「ああ、俺も後悔してる。まさか勇者があんなクソ野郎だなんてな」

 二人は勇者室にちらりと視線を向ける。
 アルフレッドの指定で『勇者室』とドアに金メッキされたプレートが貼り付けられていた。

「それにダンジョン攻略も金かけてS級冒険者つれて寄生してやってんだろ?」
「らしいな。効率化かなんかしらないけど、勇者だったら自分も力で攻略してみろってんだよ」

 激しく同意を示して顔を上下に動かす。

「そう言えばお前、勇者助成金を集めろって言われてんだろ? 大丈夫なのかよ」

 勇者助成金などアルフレッドに指示されるまでは聞いたことがなかった。
 はじめて命じられたときは耳を疑ったものだ。
 首を振りながら答える。

「大丈夫じゃねえよ。有力商人を回ってお金を集めろってな。魔王討伐後に魔族の領地の分割統治の際に商地の優先取得権を与えるからそれを餌にしろって。その金でいい装備揃えるんだとさ」
「いいのかよ、そんなの。違法だろうし、王様の許可取ってるのか?」
「たぶん取ってねえよ。あいつは自分が法律みたいなやつだからな」
「後々揉めるの確定じゃんか」
「ああ、だから気が重いよ」
 
 途中まで記入した書類を束にして、バインダーに閉じる。

「正直俺は転職を考えてる。将来の安定を考えて官職についたけど、ここまでの激務と精神的負担が続いたら割に合わないからな。体壊したら元も子もないし……」

 秘書についてから日々の業務はいつも深夜にまで及んでおり、睡眠時間も削られていた。
 それでいて勇者のアルフレッドは定時にはきっかり業務を終了するのだった。
 
「おい、そんなこというなよ。秘書隊に参加したばかりだろ、もう少し頑張っていこうぜ」
「ああ、頑張ってはみるけどな…………あのパワハラ勇者の元でどこまでやれるか正直自信がない」
「俺だったらいつでも愚痴は聞くし相談に乗るからな」
「ああ、ありがとう」

 その時――
 
「おい、ちょっと来い!!」

 アルフレッドのヒステリックな怒鳴り声が秘書室に響き渡った。
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