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エンドロールの後に
「あー、やっと定期テスト終わったー。これでもうゲームやりまくれるぞ!」
「何やんの? そういえば最近出た異世界系のリアルダイブのやつかなりおもしれーぞ」
浩一は友達の礼二と共に学校から同じ方向の家へと向かって帰路を歩いていた。
辺りに広がる田んぼには、多くのとんぼが飛び回っている。
「なんだっけ、それ」
「悪役令息もののやつだよ」
「ああ、なんか一昔前に流行ったっていうノベライズ系のゲームのやつね」
「ノベライズ系っつってもちゃんとしたRPGだぞ」
「で、ラスボスが馬鹿強いんだっけ?」
「ああ、馬鹿強え。だってリリースされてからもう1ヶ月も経つのにまだクリア報告ねえんだぜ? たった1ヶ月でプレイ時間400超えるような廃プレイ報告がされてるにも関わらずだ」
「それなのにメタスコア98だっけ?」
「ああ、笑えんだろ」
礼二は目の下にくまを作っていた。
聞いている限りでは勉強で作ったくまじゃなくてゲームに夢中になりすぎて作ったくまらしい。
「礼二今回のテストやばいんじゃね? ゲームばっかやってたんだろ?」
全然勉強してなかったとかテスト当日ほざいてる奴は、実際には高得点を叩き出す事が多いから基本的には信用できない。
だけど、礼二は本当のことを言っているぽかった。
「ああ、たぶん入学してから一番の低成績になっただろうな。ほんとに勉強していないもん。っていうかできなかった。ゲームがおもろすぎて」
「何がそんなにおもろいん?」
「いや、うーん…………。説明すんの難しいわ! やってみんと分からん系かな。システム自体はそんなに新しいものじゃないし、ストーリーだけがめちゃくちゃ面白いかって言われたらそうでもないんだよな」
「へー、そうなんだ」
そこまで面白いなら今日ゲームを購入してやってみようと心が動く。
世間ではあまりのそのゲームの人気に一種の社会現象とも言われはじめていた。
「でラスボス倒す算段はついてんの?」
「あーもちろんよ。俺が世界で最初のクリア報告者になってやるからな」
礼二は思ってもいないことを宣言する。
「いや、無理だろ……。そのラスボス、チートモリモリなんだろ」
「ああ、鬼畜オブザ鬼畜だな」
そのゲームのクリアを試行錯誤する動画がいくつも上がっており、知っていた。
倒せないことがすでにネタ化もされているのだが、不思議とプレイする者たちは倒せないボス戦を楽しそうにプレイした。
「ボスの名前はなんだっけ?」
「ボス? えっと…………」
礼二は天を仰ぎ記憶を呼び起こそうとしている。
田んぼが一面広がる田舎の平地を歩いており、西の空は太陽が沈みかけて真っ赤に染まっていた。
俺はこの真っ赤に染まる夕焼けを眺めるとなんだかノスタルジックな気分になる。
恥ずかしいから礼二にはそんなこと言えないけど。
だってこの夕焼けは太古の昔の俺たちの祖先も眺めてたんだぜ?
それはつまりこの夕焼けを昔の人と共有しているとも言えるんだ。
えーっと、なんて言ったらいいかよく分からないんだけど。
その瞬間だけが、時空から切り取られて共有されるとでも言うような……。
「ああ、やっと思い出した!」
礼二は嬉しそうに宣言する。
「ボスの名は……」
その時、歩道にある電信柱の電線からバシッと音が聞こえた。
その瞬間、なぜか空気がピリッと張り詰めたような気がした。
「グレイスだ!」
「グレイス……か」
俺はその名前の響きがなんとなく心に残り、ふと視線を夕焼けに向けた。
辺りの景色が赤く染まり、風に揺れる稲穂が柔らかくサラサラと音を立てている。
まるでその名前が、何かの予兆のように空に漂っているかのようだった。
「じゃ、家帰ってすぐダウンロードしよっと!」
俺は小声で小さく決意しながら、逸る気持ちを抑えるように歩みを早めた。
------------------------------------
読了ありがとうございます。
本作は最初は見切り発車ではじめて、最終話のなんとなくのイメージが出来たのは第18話のunknown0578を思いついたくらいでした。
本来、異世界物とSF物はあまり相性がよくないのでどう展開していくか悩んだ部分もありましたが、書き上げられてよかったです。
最後に、最終話で他作品から一部の台詞の引用をしていますので、その引用元だけ明記しておきます。
【Inspired by 銃夢】
生の始まりは化学反応にすぎず、人間存在はただの記憶情報の影にすぎず、魂は存在せず、精神は神経細胞の火花にすぎず、神のいない無慈悲な世界でたった一人で生きなければならぬとしても……なお……なお、我は意志の名の元に命ずる。
「生きよ」と。
「何やんの? そういえば最近出た異世界系のリアルダイブのやつかなりおもしれーぞ」
浩一は友達の礼二と共に学校から同じ方向の家へと向かって帰路を歩いていた。
辺りに広がる田んぼには、多くのとんぼが飛び回っている。
「なんだっけ、それ」
「悪役令息もののやつだよ」
「ああ、なんか一昔前に流行ったっていうノベライズ系のゲームのやつね」
「ノベライズ系っつってもちゃんとしたRPGだぞ」
「で、ラスボスが馬鹿強いんだっけ?」
「ああ、馬鹿強え。だってリリースされてからもう1ヶ月も経つのにまだクリア報告ねえんだぜ? たった1ヶ月でプレイ時間400超えるような廃プレイ報告がされてるにも関わらずだ」
「それなのにメタスコア98だっけ?」
「ああ、笑えんだろ」
礼二は目の下にくまを作っていた。
聞いている限りでは勉強で作ったくまじゃなくてゲームに夢中になりすぎて作ったくまらしい。
「礼二今回のテストやばいんじゃね? ゲームばっかやってたんだろ?」
全然勉強してなかったとかテスト当日ほざいてる奴は、実際には高得点を叩き出す事が多いから基本的には信用できない。
だけど、礼二は本当のことを言っているぽかった。
「ああ、たぶん入学してから一番の低成績になっただろうな。ほんとに勉強していないもん。っていうかできなかった。ゲームがおもろすぎて」
「何がそんなにおもろいん?」
「いや、うーん…………。説明すんの難しいわ! やってみんと分からん系かな。システム自体はそんなに新しいものじゃないし、ストーリーだけがめちゃくちゃ面白いかって言われたらそうでもないんだよな」
「へー、そうなんだ」
そこまで面白いなら今日ゲームを購入してやってみようと心が動く。
世間ではあまりのそのゲームの人気に一種の社会現象とも言われはじめていた。
「でラスボス倒す算段はついてんの?」
「あーもちろんよ。俺が世界で最初のクリア報告者になってやるからな」
礼二は思ってもいないことを宣言する。
「いや、無理だろ……。そのラスボス、チートモリモリなんだろ」
「ああ、鬼畜オブザ鬼畜だな」
そのゲームのクリアを試行錯誤する動画がいくつも上がっており、知っていた。
倒せないことがすでにネタ化もされているのだが、不思議とプレイする者たちは倒せないボス戦を楽しそうにプレイした。
「ボスの名前はなんだっけ?」
「ボス? えっと…………」
礼二は天を仰ぎ記憶を呼び起こそうとしている。
田んぼが一面広がる田舎の平地を歩いており、西の空は太陽が沈みかけて真っ赤に染まっていた。
俺はこの真っ赤に染まる夕焼けを眺めるとなんだかノスタルジックな気分になる。
恥ずかしいから礼二にはそんなこと言えないけど。
だってこの夕焼けは太古の昔の俺たちの祖先も眺めてたんだぜ?
それはつまりこの夕焼けを昔の人と共有しているとも言えるんだ。
えーっと、なんて言ったらいいかよく分からないんだけど。
その瞬間だけが、時空から切り取られて共有されるとでも言うような……。
「ああ、やっと思い出した!」
礼二は嬉しそうに宣言する。
「ボスの名は……」
その時、歩道にある電信柱の電線からバシッと音が聞こえた。
その瞬間、なぜか空気がピリッと張り詰めたような気がした。
「グレイスだ!」
「グレイス……か」
俺はその名前の響きがなんとなく心に残り、ふと視線を夕焼けに向けた。
辺りの景色が赤く染まり、風に揺れる稲穂が柔らかくサラサラと音を立てている。
まるでその名前が、何かの予兆のように空に漂っているかのようだった。
「じゃ、家帰ってすぐダウンロードしよっと!」
俺は小声で小さく決意しながら、逸る気持ちを抑えるように歩みを早めた。
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読了ありがとうございます。
本作は最初は見切り発車ではじめて、最終話のなんとなくのイメージが出来たのは第18話のunknown0578を思いついたくらいでした。
本来、異世界物とSF物はあまり相性がよくないのでどう展開していくか悩んだ部分もありましたが、書き上げられてよかったです。
最後に、最終話で他作品から一部の台詞の引用をしていますので、その引用元だけ明記しておきます。
【Inspired by 銃夢】
生の始まりは化学反応にすぎず、人間存在はただの記憶情報の影にすぎず、魂は存在せず、精神は神経細胞の火花にすぎず、神のいない無慈悲な世界でたった一人で生きなければならぬとしても……なお……なお、我は意志の名の元に命ずる。
「生きよ」と。
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うん‼︎
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その後楽しみ〜