スキル『睡眠』で眠ること数百年、気づくと最強に~LV999で未来の世界を無双~

雪月花

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第27話 明かされる正体

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「あっちは広場か……!」

 シュナをさらった影を追いつめると、そこは奇しくも今夜花火を見る予定の広場であった。
 見ると、広場には闇に隠れるように数人の男達がシュナを地面に置き、何かを待っている様子であった。

「……本当にここか?」

「ああ、もうすぐあの方が来るはずだ」

「では、それまでは我々が巫女を――」

「そこまでだ!!」

 連中が何かを話している時にオレが割って入る。
 それに気づいた連中がオレの方を振り向く。

「例の騎士か」

「ふんっ、巫女をこの聖都に連れてくる時といい、旅芸人の一団の時といい、つくづく我々の邪魔をする」

「なに?」

 男が吐いたそのセリフにオレは眉をひそめる。
 こいつら、今なんて言った? 巫女をこの聖都に連れてくる時と、あの旅芸人の時だと?
 ということは両方とも巫女を狙って、こいつらがやったことか!?
 これまでの事件の思わぬ関連性にオレは迷わず武器を構える。

「そういうことか。お前らがなんなのかは倒したあとに聞かせてもらおう」

「ふんっ、四聖皇の犬と成り下がったキサマら騎士にかける言葉などない。巫女は我々がもらうッ!」

 そう言って一斉に飛びかかる連中。
 確かにその動きは以前オレが相手にしたあの賊達や旅芸人よりもはるかに洗練された動きであった。
 だが、たとえどのような達人であろうと今のオレに敵うことは不可能。
 なぜなら、この一ヶ月。オレは十分な睡眠をとることでドラゴン討伐時よりもレベルがさらに上昇している。
 現在のオレのレベルは――『981』。
 限りなく最強に近い最強。故にこの程度の連中、片手で十分。

「一閃ッ!」

 気合と共に放ったオレの斬撃は真空波を纏い、飛びかかった悪漢をことごとく切り裂き、地に伏させる。

「お、おのれ……神に従う騎士が……ッ」

 何人かは意識があるようだが、今の一撃で事実上戦闘不可能。
 オレはそのまま倒れたままのシュリに近づく。

「シュリ、無事か?」

「うっ……あっ、ブレイブさん。よかった……きっと助けに来てくれるって信じてました」

「当然だよ。君を守る約束だし、なによりまた一緒に花火を見ないとね」

「あはは、そうですね」

 そう言っていつもの無邪気な笑みを浮かべるシュリ。
 これでようやく巫女であるシュリを狙う事件は終わったと、そう思った瞬間であった。

「その手を離せ。特級騎士ブレイブ」

 凍えるような声が背後より聞こえる。
 振り向くと、そこに立っていたのは全身を銀色の鎧に纏った一人の騎士。
 あいつは確かこの聖都に来る時にシュリの護衛をするべく現れた聖十騎士。名前は――

「アリシア……」

 オレの腕の中でシュリがそう呟く。
 そして、その名を呼ばれた騎士は銀の兜をこちらに向け、一切の感情を感じさせぬ冷たい口調で告げる。

「まったく……貴様にはほとほと邪魔をされる。わざわざ私が巫女の護衛に“遅れて参じた”にも関わらず、賊を払い、旅芸人に扮した刺客を返り討ちにして、最後には私の近衛部隊まで倒すとはな」

「なに?」

 その騎士――アリシアが吐いたセリフはあまりに不可解であった。
 今、こいつなんて言った? こいつが放った刺客? 巫女を狙って? それはつまり――

「さあ、そこにいる巫女を渡せ。特級騎士ブレイブ。彼女はこの聖都にいるべき人間ではない」

「そういうことか……。お前が、巫女を、シュリを狙い続けた黒幕かッ!」

 聖十騎士アリシア。それは思わぬ主犯格であり、黒幕の存在であった。
 だが、こいつが黒幕だとわかった以上、シュリをこいつに渡すわけにはいかない。オレは剣を構え、目の前のアリシアに向ける。
 しかし、それを見た瞬間、オレの背後にいたシュリが慌てた様子でオレの腕を引っ張る。

「!? だ、だめ! だめだよ! やめて、ブレイブさん! あの人を――アリシアを傷つけないで!!」

「はっ? な、何言ってんだよ! シュリ! 今のあいつのセリフを聞いただろう! あいつは君を奪いに来たんだ! ひょっとしたら君の命を狙っているのかもしれない! いくら聖十騎士でも、これは許される行為ではないだろう! それにオレは同じ聖十騎士のアリスから君を守れと命令された。その命令がある限り、たとえ他の聖十騎士が相手だろうと君を奪わせはしない!」

 そう言ってアリシアに剣を向けるオレであったが、そのオレのセリフを聞いたアリシアはため息混じりに呟いた。

「命令か。やはり、貴様は命令でしかシュリを守れない。言ったはずだ、その程度の覚悟の奴にシュリは守れないと」

「……え?」

 突然、目の前の騎士から思わぬセリフを言われた。
 なぜならそれは先程、オレがここへ向かう際、ある人物に言われたセリフ。問われたものであったから。

「お前、まさか……」

 震える声でオレは目の前の騎士を見る。
 やがて、冷たい夜風がオレ達の頬をなでると、それまで銀色の兜に覆われた騎士がその仮面を脱ぎ捨てる。
 その下から現れたのはまるで夕焼けの炎のように真っ赤な髪。
 紅蓮の髪をなびかせ、冷たい瞳でオレとシュリを見つめるのはその少女は――まぎれもないあのアリアであった。
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