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第29話 巫女の真実
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「ぐっ、あっ……まだだ……まだアタシは……ッ!」
倒れたアリシア。しかし、彼女は自らの負けを認めることなく、ボロボロの体を必死に起こそうとする。
だが、オレから受けたダメージは致命傷であり、彼女が戦えないのは明白。
それでもなお、立ち上がろうとするアリシアにオレは問わずにはいられなかった。
「……なぜだ、アリシア。どうしてそこまでするんだ?」
「シュリを……守るためよ……」
「守る? 一体何から守るって言うんだ?」
「それは――」
「私達『聖十騎士団』いえ、四聖皇ネプチューン様から、ということでしょうね」
その場にオレやアリシアとも異なる第三者の声が響いた。
声のした方を振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。
銀色の鎧に身を包んだ美しい女性。
だが、彼女が纏う雰囲気はオレが知るいつもの彼女とはまるで違っていた。
「アリス……」
「ご苦労様です。ブレイブ君。巫女シュリをよくぞここまで守っていただきました」
そう言ってアリスはオレとシュリを一瞥した後、地に倒れ伏すアリシアを見る。
「まさか、あなたが裏切り者だったとは。私達の仲間になったのも今日この日のため、いいえ、彼女――あなたの友人であるシュリさんが巫女として選ばれた日からあなたは彼女を救出するために我々の仲間になったということですね」
「…………」
アリシアは答えない。
ただ憎しみの目を持ってアリスを睨むだけ。
「どういうことなんだ、アリス。アリシアがこんなことをした理由をあなたは知っているのか?」
「ブレイブ君。巫女シュリを守り抜いたあなたに新たな任務を下します」
オレの質問に答えることなく、アリスは新たな命令をオレに下した。
だが、それは耳を疑うようなありえない命令であった。
「そこにいる巫女シュリを――殺しなさい」
「……は?」
一瞬、オレは聞き間違いかと思った。
あの温厚で優しく、オレを導いてきたアリスがオレにシュリを殺せと。
何かの間違い、聞き違いだと、そう思った。
「聞こえませんでしたか? すでに彼女の役割は終わりました。いえ、これから終わります。そのためにも『特級騎士』ブレイブ。彼女を、巫女シュリをこの場で殺しなさい」
だが、アリスは答えた。はっきりと。
あまりに冷たく、そして、当然のごとく。
シュリの命を奪えと、まるで機械のようにオレにそう命じた。
「どういう……ことだよ、アリス……」
オレの問いにアリスは答えない。
だが、代わりにそれに答えたのは地べたに倒れ伏したアリシアであった。
「これが答えよ、ブレイブ……。巫女は、この国に……いいや、この国を統べる神・ネプチューンへと捧げられる供物なのよ……」
「え?」
アリシアの答えに息を呑むオレ。
ネプチューンに捧げられる供物? それは一体……?
「百五十年前……。この世界を救った英雄『四聖皇』が神として祭り上げられるようになって、彼らが人類を統治する以外である一つの命令アタシ達に強制したの……。それが数十年ごとに現れる『巫女』と呼ばれる存在を捧げること……」
「巫女……」
そのワードにオレは思わずシュリを見る。
だが、シュリは唇を強く噛み締めたまま俯き、その顔をオレに見せなかった。
「――そう。これは我々聖十騎士団の神でもある『四聖皇』ネプチューン様からの命令。巫女と呼ばれる存在がこの世界に現れた際、その者をこの聖都に招き、儀式の準備が整った後、その者を殺し、魂を天へと捧げること。それがネプチューン様が望むこの世界の“平穏”。私達、聖十騎士は結成以来、その儀式を常に繰り返し続けた」
「繰り返し続けたって……じゃあ、これまでの巫女も!?」
「ええ、全員例外なく、皆命を捧げてもらいました」
まるで虫や動物を供物に捧げるようにアリスはハッキリとそう断言した。
バカな……。
人間を、ましてこんな少女の命をそんな簡単に捧げろというのか?
しかも、それが『四聖皇』ネプチューン。いや、あの俊の命令っていう、ただそれだけのために?
「ブレイブ君。君にその巫女の護衛を任せていたのは、この一月、儀式の準備を行うため。そして、今夜その儀式は完成しました。ネプチューン様のいる『聖皇城』にて、ネプチューン様が巫女の魂を取り込む準備が完了しました。あとはただそこにいる巫女を殺すだけ。それで全てが達成されます」
そう言ってアリスは腰に差していた剣を抜き、それをオレの足元へと突き刺す。
「さあ、『特級騎士』ブレイブ。私の専属騎士として、あなたへの最後の命令です。その剣を持って巫女シュリの命を奪いなさい。そうすればネプチューン様もその功績を認め、あなたを『聖十騎士』の一人として迎えるでしょう」
「…………」
聖十騎士。
ずっと目指していた目標。
四聖皇ネプチューンの元へとたどり着くためのチケット。
それが、これで手に入る。
この剣を、シュリの体に突き立てるだけで。
オレはアリスの投げたその剣の柄に手をかける。
その瞬間、右足を誰かが掴んだのを感じた。
「……て、……や、めて……くれ……ブレイ、ブ……」
振り向くと、そこには地面に倒れたままのアリシアが、力ない様子でオレの右足を必死な様子で掴んでいる姿があった。
「頼む……殺さ、ないで……殺さないで……彼女は……アリシアは……アタシの、アタシの大事な……大事な、友達、なんだぁ……!」
顔をあげる。
その顔は涙でぐちゃぐちゃに濡れて、泥と涙と鼻水とで、とても先程まで精錬に戦っていた聖十騎士の女性とは思えなかった。
そこにいたのはただ親友の命を助けてくれと、必死に頭を下げ、泣き喚くただの少女。あまりに儚い、哀れな子供の泣き顔であった。
「…………」
オレは答えない。
ただ剣を握り、目の前のシュリを見つめる。
「……ブレイブさん」
その瞬間、俯いていたシュリが顔をあげる。
その表情を見て真っ先にオレの中に浮かんだ感情は驚愕であった。
なぜなら、そこに映ったシュリの表情は決して恐怖に怯えるものでもなく、悲しみに包まれたものでもなく、まるで満ち足りたかのような笑顔であったのだから。
「先ほどの花火、ありがとうございました。約束守ってもらって。すっごく綺麗でした」
「シュリ……!」
「これで思い残すことはない……なんていうと嘘になるけれど、うん。私、すっごく満足してます。本当にありがとう。またどこかで、違う形であなたに会えると嬉しいです。さようなら――真人さん」
「――!」
瞬間、シュリが見せた表情は紛れもなくオレが知る花澄と同じものであった。
無論、そのことをシュリ本人が気づいた様子もなく、覚悟を決めたように彼女は瞳を瞑る。
「……アリス。一ついいかな。四聖皇ネプチューンはなぜ、巫女を殺せと命ずるんだ?」
「理由なんかない。神が命じるのなら我々はそれに従うだけ」
「つまり“理由もなく神は巫女を殺せ”とそう言っているのか?」
「……彼らは神であり英雄よ。かつてこの世界を救った救世主。その彼らがこの世界の平穏のために『巫女』という人柱を要求するのなら、我々はそれに従うしかない。事実、この百五十年。この聖都を初め『四聖皇』の加護を受けた国に魔物をはじめとしたあらゆる驚異が降り注ぐことはなかったよ。たった一人の犠牲でこれほどの長くの平和が維持できるのなら『巫女』はそれだけで存在意義があるんじゃないの」
「その平和ってのも本当に“巫女を殺すことで得られるものなのか”?」
「…………」
アリスは答えない。
いや、その答えを彼女ですら知らないはずだ。
つまりは、そういうこと。
『四聖皇』ネプチューンが『巫女』を殺すように命じているが、その目的がなんなのか、理由がなんなのか、真実を知る者は誰もいないはず。
にも関わらず、この国の全員が、聖十騎士団がそれに従っているのは単に連中がかつてこの世界を救った英雄、神だから。
そんな“ちっぽけな理由”でだ。
「だったら、オレはもう従わない。アンタ達の、聖十騎士団の、いやネプチューンの命令にはもう頷きはしないよ」
その一言に目の前に立つシュリが瞳を開く。
その目は驚きに見開き、オレを見つめたまま、彼女の瞳からはポロポロと涙がこぼれる。
「ブレ、イブ……」
そしてまた、地面に倒れたアリシアもぐちゃぐちゃな顔のまま涙を流しながらオレを見上げる。
オレはそんな二人を庇うように背中を向け、オレは剣を構える。
その切っ先は――聖十騎士アリスへと向けられる。
「……いいのかい? そんなことをすれば君は聖十騎士への昇格権を失う。それどころかこの国に背く大罪人として処分されるよ」
「別にかまわないさ。そもそも、オレが聖十騎士団を目指したのは『四聖皇』――ネプチューンの喉元に食らいつくためだ。つまり命令に背こうが従おうが、結局行き着く先は同じ。なら、オレが納得できる方でオレの目的を達成する」
そう告げた瞬間、アリスは息を呑む。
やがて、何かに納得したように笑みを浮かべる。
「そっか。なんかあるんだろうなぁっては思っていたけれど、まさか四聖皇様を狙っていたなんて……ははっ、まったく君ってやつは本当に予測不可能な新人だね」
けれど、と静かにアリスは腰にかけていたムチを取り出す。
いつかの時のようにその鞭に雷を帯びさせ、地面を叩きつける。
それだけで彼女を中心とした地面がえぐられる。
「聖十騎士の一人として大罪人となった君を見過ごすわけにはいかない。そこにいる巫女と裏切り者の処分も私が担う。ブレイブ君、覚悟はいいかな?」
「当然だろう。こっちはもう吹っ切れてんだ。このままアンタを倒して、そのまま聖皇城へ乗り込むつもりだよ。アリス」
そうオレが答えるとアリスはわずかに寂しそうに笑い、その目に氷のような殺意を宿す。
「それじゃあ、君は敵だ。ここで私が殺す」
その瞬間、聖都に存在する全ての聖十騎士はオレの敵となった。
倒れたアリシア。しかし、彼女は自らの負けを認めることなく、ボロボロの体を必死に起こそうとする。
だが、オレから受けたダメージは致命傷であり、彼女が戦えないのは明白。
それでもなお、立ち上がろうとするアリシアにオレは問わずにはいられなかった。
「……なぜだ、アリシア。どうしてそこまでするんだ?」
「シュリを……守るためよ……」
「守る? 一体何から守るって言うんだ?」
「それは――」
「私達『聖十騎士団』いえ、四聖皇ネプチューン様から、ということでしょうね」
その場にオレやアリシアとも異なる第三者の声が響いた。
声のした方を振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。
銀色の鎧に身を包んだ美しい女性。
だが、彼女が纏う雰囲気はオレが知るいつもの彼女とはまるで違っていた。
「アリス……」
「ご苦労様です。ブレイブ君。巫女シュリをよくぞここまで守っていただきました」
そう言ってアリスはオレとシュリを一瞥した後、地に倒れ伏すアリシアを見る。
「まさか、あなたが裏切り者だったとは。私達の仲間になったのも今日この日のため、いいえ、彼女――あなたの友人であるシュリさんが巫女として選ばれた日からあなたは彼女を救出するために我々の仲間になったということですね」
「…………」
アリシアは答えない。
ただ憎しみの目を持ってアリスを睨むだけ。
「どういうことなんだ、アリス。アリシアがこんなことをした理由をあなたは知っているのか?」
「ブレイブ君。巫女シュリを守り抜いたあなたに新たな任務を下します」
オレの質問に答えることなく、アリスは新たな命令をオレに下した。
だが、それは耳を疑うようなありえない命令であった。
「そこにいる巫女シュリを――殺しなさい」
「……は?」
一瞬、オレは聞き間違いかと思った。
あの温厚で優しく、オレを導いてきたアリスがオレにシュリを殺せと。
何かの間違い、聞き違いだと、そう思った。
「聞こえませんでしたか? すでに彼女の役割は終わりました。いえ、これから終わります。そのためにも『特級騎士』ブレイブ。彼女を、巫女シュリをこの場で殺しなさい」
だが、アリスは答えた。はっきりと。
あまりに冷たく、そして、当然のごとく。
シュリの命を奪えと、まるで機械のようにオレにそう命じた。
「どういう……ことだよ、アリス……」
オレの問いにアリスは答えない。
だが、代わりにそれに答えたのは地べたに倒れ伏したアリシアであった。
「これが答えよ、ブレイブ……。巫女は、この国に……いいや、この国を統べる神・ネプチューンへと捧げられる供物なのよ……」
「え?」
アリシアの答えに息を呑むオレ。
ネプチューンに捧げられる供物? それは一体……?
「百五十年前……。この世界を救った英雄『四聖皇』が神として祭り上げられるようになって、彼らが人類を統治する以外である一つの命令アタシ達に強制したの……。それが数十年ごとに現れる『巫女』と呼ばれる存在を捧げること……」
「巫女……」
そのワードにオレは思わずシュリを見る。
だが、シュリは唇を強く噛み締めたまま俯き、その顔をオレに見せなかった。
「――そう。これは我々聖十騎士団の神でもある『四聖皇』ネプチューン様からの命令。巫女と呼ばれる存在がこの世界に現れた際、その者をこの聖都に招き、儀式の準備が整った後、その者を殺し、魂を天へと捧げること。それがネプチューン様が望むこの世界の“平穏”。私達、聖十騎士は結成以来、その儀式を常に繰り返し続けた」
「繰り返し続けたって……じゃあ、これまでの巫女も!?」
「ええ、全員例外なく、皆命を捧げてもらいました」
まるで虫や動物を供物に捧げるようにアリスはハッキリとそう断言した。
バカな……。
人間を、ましてこんな少女の命をそんな簡単に捧げろというのか?
しかも、それが『四聖皇』ネプチューン。いや、あの俊の命令っていう、ただそれだけのために?
「ブレイブ君。君にその巫女の護衛を任せていたのは、この一月、儀式の準備を行うため。そして、今夜その儀式は完成しました。ネプチューン様のいる『聖皇城』にて、ネプチューン様が巫女の魂を取り込む準備が完了しました。あとはただそこにいる巫女を殺すだけ。それで全てが達成されます」
そう言ってアリスは腰に差していた剣を抜き、それをオレの足元へと突き刺す。
「さあ、『特級騎士』ブレイブ。私の専属騎士として、あなたへの最後の命令です。その剣を持って巫女シュリの命を奪いなさい。そうすればネプチューン様もその功績を認め、あなたを『聖十騎士』の一人として迎えるでしょう」
「…………」
聖十騎士。
ずっと目指していた目標。
四聖皇ネプチューンの元へとたどり着くためのチケット。
それが、これで手に入る。
この剣を、シュリの体に突き立てるだけで。
オレはアリスの投げたその剣の柄に手をかける。
その瞬間、右足を誰かが掴んだのを感じた。
「……て、……や、めて……くれ……ブレイ、ブ……」
振り向くと、そこには地面に倒れたままのアリシアが、力ない様子でオレの右足を必死な様子で掴んでいる姿があった。
「頼む……殺さ、ないで……殺さないで……彼女は……アリシアは……アタシの、アタシの大事な……大事な、友達、なんだぁ……!」
顔をあげる。
その顔は涙でぐちゃぐちゃに濡れて、泥と涙と鼻水とで、とても先程まで精錬に戦っていた聖十騎士の女性とは思えなかった。
そこにいたのはただ親友の命を助けてくれと、必死に頭を下げ、泣き喚くただの少女。あまりに儚い、哀れな子供の泣き顔であった。
「…………」
オレは答えない。
ただ剣を握り、目の前のシュリを見つめる。
「……ブレイブさん」
その瞬間、俯いていたシュリが顔をあげる。
その表情を見て真っ先にオレの中に浮かんだ感情は驚愕であった。
なぜなら、そこに映ったシュリの表情は決して恐怖に怯えるものでもなく、悲しみに包まれたものでもなく、まるで満ち足りたかのような笑顔であったのだから。
「先ほどの花火、ありがとうございました。約束守ってもらって。すっごく綺麗でした」
「シュリ……!」
「これで思い残すことはない……なんていうと嘘になるけれど、うん。私、すっごく満足してます。本当にありがとう。またどこかで、違う形であなたに会えると嬉しいです。さようなら――真人さん」
「――!」
瞬間、シュリが見せた表情は紛れもなくオレが知る花澄と同じものであった。
無論、そのことをシュリ本人が気づいた様子もなく、覚悟を決めたように彼女は瞳を瞑る。
「……アリス。一ついいかな。四聖皇ネプチューンはなぜ、巫女を殺せと命ずるんだ?」
「理由なんかない。神が命じるのなら我々はそれに従うだけ」
「つまり“理由もなく神は巫女を殺せ”とそう言っているのか?」
「……彼らは神であり英雄よ。かつてこの世界を救った救世主。その彼らがこの世界の平穏のために『巫女』という人柱を要求するのなら、我々はそれに従うしかない。事実、この百五十年。この聖都を初め『四聖皇』の加護を受けた国に魔物をはじめとしたあらゆる驚異が降り注ぐことはなかったよ。たった一人の犠牲でこれほどの長くの平和が維持できるのなら『巫女』はそれだけで存在意義があるんじゃないの」
「その平和ってのも本当に“巫女を殺すことで得られるものなのか”?」
「…………」
アリスは答えない。
いや、その答えを彼女ですら知らないはずだ。
つまりは、そういうこと。
『四聖皇』ネプチューンが『巫女』を殺すように命じているが、その目的がなんなのか、理由がなんなのか、真実を知る者は誰もいないはず。
にも関わらず、この国の全員が、聖十騎士団がそれに従っているのは単に連中がかつてこの世界を救った英雄、神だから。
そんな“ちっぽけな理由”でだ。
「だったら、オレはもう従わない。アンタ達の、聖十騎士団の、いやネプチューンの命令にはもう頷きはしないよ」
その一言に目の前に立つシュリが瞳を開く。
その目は驚きに見開き、オレを見つめたまま、彼女の瞳からはポロポロと涙がこぼれる。
「ブレ、イブ……」
そしてまた、地面に倒れたアリシアもぐちゃぐちゃな顔のまま涙を流しながらオレを見上げる。
オレはそんな二人を庇うように背中を向け、オレは剣を構える。
その切っ先は――聖十騎士アリスへと向けられる。
「……いいのかい? そんなことをすれば君は聖十騎士への昇格権を失う。それどころかこの国に背く大罪人として処分されるよ」
「別にかまわないさ。そもそも、オレが聖十騎士団を目指したのは『四聖皇』――ネプチューンの喉元に食らいつくためだ。つまり命令に背こうが従おうが、結局行き着く先は同じ。なら、オレが納得できる方でオレの目的を達成する」
そう告げた瞬間、アリスは息を呑む。
やがて、何かに納得したように笑みを浮かべる。
「そっか。なんかあるんだろうなぁっては思っていたけれど、まさか四聖皇様を狙っていたなんて……ははっ、まったく君ってやつは本当に予測不可能な新人だね」
けれど、と静かにアリスは腰にかけていたムチを取り出す。
いつかの時のようにその鞭に雷を帯びさせ、地面を叩きつける。
それだけで彼女を中心とした地面がえぐられる。
「聖十騎士の一人として大罪人となった君を見過ごすわけにはいかない。そこにいる巫女と裏切り者の処分も私が担う。ブレイブ君、覚悟はいいかな?」
「当然だろう。こっちはもう吹っ切れてんだ。このままアンタを倒して、そのまま聖皇城へ乗り込むつもりだよ。アリス」
そうオレが答えるとアリスはわずかに寂しそうに笑い、その目に氷のような殺意を宿す。
「それじゃあ、君は敵だ。ここで私が殺す」
その瞬間、聖都に存在する全ての聖十騎士はオレの敵となった。
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