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一章 46話
しおりを挟むルル姉の暴走によって主神の聖域が強く揺れて崩壊が始まった。
「どうしたんだよ!ルル姉!ルル姉!」
「ルナ!やめんか!何も聞いておらんか…くっ!」
そのあとルル姉の全身から黒い影のようなものが発生して渦となり、その中心から穴のような空間が現れた。
そして、その中にルル姉はそこに吸い込まれて、僕は慌ててそこに飛び込もうとしたが接近する事も出来ずに弾かれた。
「ルル姉!一体何がどうなって…」
「遅かったか!既に乗っ取られている可能性も…ガラーウ!なに呆然としておる!」
「は、はい!!」
ガラーウが謁見の間から出てしばらく、大きい金属の音が鳴り響いた。
「鐘の声?」
「多分、天界の主神の鐘だよ…天界の大神達に緊急事態の時招集を知らせる鐘…これは只事ではなさそうだね…なんだこの歪な空間は?」
バルちゃんはその警戒しながらその空間に調べたがそれがなにかわからない様子だった。
「主神様、ルル姉に何が起きてるんですか?!」
僕はルル姉の豹変と今の現状がどうなっているか分からずに主神に問い詰めた。
使徒達は怒っていたが主神様は彼らを下がらせて…話しをしてくれた。
「ルナの中には大昔消滅した創世の神の一人である無の神…その魂のかけらが宿っておる…怒りに我を失いかけ侵蝕を許してしまったようだ」
「あの時、変な気配!あれだったんですか!」
「ルナは強大な力を持って生まれて、原始の神の一柱である破壊の業を受け継いた、それゆえ未熟な体に紛れ込もうとする亡霊達が絶えなかった」
「ルル姉にそんな事が…」
「見た通り活発なルナは手に負えなく、余はルナを守る為に厳しくするしかなかったが…ある日、こっそり抜け出したルナに無の神の魂が入り込んでしまったのだ…」
「そうだったんですか…」
強大力を誇った創世の神の一人であっても、その魂のかけらのみではルル姉に悪さをする事は出来なかった。
しかし、それを逆手に取った無の神は時間をかけてルル姉の力を少しずつ吸収し、かなり修復していたらしく、主神はルル姉を刺激し過ぎないように気を使っていたと話してくれた。
「それで帰って早々無限光ですか…」
「そ、それは…つい!そもそもそれは貴様のせいだ!それはともかく、不覚だった…もう少し早くガラーウを止めるべきだった…」
主神は無限光を放った事を僕のせいにしたあと話を逸らして、ルル姉の事で拳を握り悔やんでいた…。
「嘘だろ!やつは消滅したはず…なら!これって無の空間というのか?」
「ああ…その通りだ」
その言葉を聞いたバルトゥールは驚いた表情でその空間から離れた。
「バルちゃん!なんだ?それは?」
「奴は大昔、下界を一度滅ぼそうとしてもう二人の創世の神の手によって消滅された神だよ…これが無の空間ならこの下界を全て呑み込で…終わる」
「それだけじゃない…ルナの万物の破壊が発動している、このままだとこの天界、邪神界、冥界まで…終わる」
「なんだと!嘘をつくな!いくらやつが強い力を持っているとしても…」
「……」
「本当の事のようね…やっとお兄ちゃんと会えたのに…こんなところで!」
バルトゥールは主神の悲痛な表情を見てその事を信じ、空間を破壊しようとしたが主神に止められた。
「待て!刺激すれば何が起こるか分からん!まずこれに光の結界を張って一時的ににでも止めるしかないがどれほど持つかわからん」
主神は広がるその空間に六角形の光の空間の中に封じると無の空間の膨張が止まった。
「主神よ!この時間の淀みは何事ですか!!」
鐘音を聞いた神々はぞろぞろ主神の間に入って、その中に三馬鹿神と一緒に慌ているラズリックさんの姿も見えた。
最後に冥界の女神メタファールが息を切らして何がの袋を背負って入って来た…。
多分、アレだ!レイラミンチ…なんとか間に合ったようだ。
「ラズリックさん!ルル姉があの空間に…」
「恐れたことが起きてしまいましたね…ルナ様…」
ラズリックさんはルル姉の事情を知っていたようで悲しそうな表情でその空間を見て、神々も騒ぎ出した。
「これは一体なんだ?」
「なにかどうなっている?」
「狼狽えるな…解決方法をみんなで探すのが先だろ…」
一人の神が大神達を落ち着かせて主神の前に出て来た。
「大神代表として発言を許して貰おう…」
「緊急事態だ、仕来りなど良いボルグランよ…」
「わかった、主神よ、一体何があった?この事態をどう収拾つける?これでは破壊の女神ごと消滅させるしか手は無いぞ?こうなら無いため貴方様に任せたのに…」
燃えるような真っ赤な髪にムキムキな筋肉の身体をしている男…。
闘志の神ボルグランはヒゲを触りながら主神を問い詰めると鐘をならして戻って来たガラーウは主神の背後で縮こまっていた。
「すまぬ…ボルグラン、世の不覚でこの事態になった…」
「ボルグラン様!主神様は悪くありません!私が主神の御前で不敬な態度や禁忌を犯した破壊の女神の罪を問い詰めただけです…まさかこんな事が起きるとは…」
主神は謝罪して頭を下げると慌ててガラーウがボルグランの前に出て弁明すると主神を庇う為に正直に話した。
それを聞いた大神達は呆れた顔でガラーウを見てため息をした。
「ガラーウよ、貴様は何様だ?…」
「え?…」
「貴様程度の者が破壊の女神の罪を問うだと?そんな事ができたら我々が先にやってるわい!この身の程知らずがぁぁ!」
「ひぃー!!」
闘志の神ボルグランは激怒して怒鳴るとガラーウはその言葉の意味がわからないような表情で戸惑っている。
「主神すら兄という血縁がなければ破壊の女神に…」
「ボルクラン…」
「うむ…すまん」
兄ではなかったら主神すらって言葉を聞いてルル姉には色々隠された秘密が多いと感じた。
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