異世界で僕…。

3章4話

日が暮れて街の散歩を終わらせた僕とカオスはラグレシアの工房に行ってブラボーステーション6の製作状況を確認しに行った。

ナイア兄さんは必死にブラボーステーション6を作っていてレヴィがサポートしていた。

ラグレシアもその作業を興味深々に見ながら手伝っていて…いつもナイア兄さんの隣にベタついていたバルちゃんとバムが珍しく居なかった。

「ナイア兄さん…お疲れ様」

「あら！若様♪」

「おお！ハルト、無事でよか…いや…お疲れ様！」

「……う、うん」

その言い直しを聞いて僕はナイア兄さんに完全に嵌められた事を確信した。

でも…何故か不思議とこの人は憎めない…。

「よし！カオス様、完成しました！ふぅ…なんとか間に合ったな」

「えっ？もう完成したの？」

僕が知っているブラボーステーションと本当にそっくりだった。

「出来したぞ！これでムラビトクエストが出来るんだな！」

「はい！どうぞ、この赤いのはカオス様の専用機です」

なにそれ…誰かの専用モビルスーツみたいだね…。

「早速やってみよう！」

カオスは嬉しそうにブラボーステーションの電源を入れた。

「こ、こいつ…動くぞ！」

…それは赤い専用機の宿敵の言葉だ。

「IDは…galaxydestroyerっとパスワードが0000001だったな…」

なにその物騒なIDは！

それにパスワード簡単過ぎるでしょ！

あと口に出しながら入力したらいけないよ！

はぁはぁ…この神…ツッコミ所があり過ぎて見過ごせない。

それに口に出せないから余計にストレスが溜まる！

「よぉし！始めよう？…………おい！ナイア！前のデータがないぞ？どいう事だ？」

起動したゲームはなにもない完全初期状態だった。

「しまった！データを転送する事を忘れてました！カオス様…もうちょっとお待ち下さい」

「うむ…ナイアの努力に免じて待つとしよ…だが…早くしろよ」

「ありがとうございます…ハルト…ちょっといいか？」

「ん？なに？」

「ここに座ってくれ」

フランケンシュタインの映画に出て来るような椅子をナイア兄さんが出して僕はそこに座った。

その椅子に座ると手足にクランプがかかって身動きが取れなくてなった。

「えっ？なに？動けない！」

「すまん…ハルトの魂の中の記録を取り出すから、ちょっと我慢してね…レヴィ！頼む…」

「えっ？我慢ってどいう事？レヴィ！何を…やめて！」

「若様…ごめんなさい！えい」

「うぎゃあー！」

レヴィが椅子に電流を流して感電した僕は痺れて体が激しく痙攣した。

[データのアップロードを開始中、55…70…88…91…94…99…99.1…99.2…99.23」

おいこら！最後に凄く遅くなっているじゃないか！おかしいだろ！

[データ転送エラー]

「うむ…転送失敗だ、レヴィもう一度出力をちょっと上げろ」

「ちょ、ちょっと！やめて！」

「若様…本当にごめんなさい！えい！」

「うぎゃぁぁあああ！」

それを6回繰り返してやっとアップロードは終わった。

その後、ナイア兄さんがお詫びで僕にもブラボーステーション6を作ってくれた。

時間が空いた時一緒に遊ぼうと思ってアバターも作っておいた。

そしてカオスとナイア兄さんはブラボーステーション6を持って居城の一部屋をゲーム部屋にして…引き篭もった。