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第14話
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鈴木穂香曰く、美智ちゃんと達也は最近、頻繁に二人で出かけているらしい。
その現実から目を背けたくもなるが、ここで憑依を用いてやってやろうと意気込んでいる俺からしたら、むしろそれは絶好の機会だと無理やり納得する。
もう、彼らは俺に内緒でそこまで関係が発展していたのだ。
それは今までと同じだ。
俺の知らぬところで俺の好きな子は、他の好きな人を見つけて、各々の青春を謳歌する。
仲間外れは誰か。
俺である。
憑依を用いて、彼らに揺さぶりをかけることは出来るが、俺も本気で彼らを離すことが出来るとはこれまでの過程を鑑みれば、そんなことを安直に考えるほど馬鹿ではない。
しかし、このまま我が青春というつぼみにもなっていない花が実る気配すらなく、時代という風に吹かれて散っていくのはあまりに悲しい。
あがいてみたくもなるではないか?
そう考えれば、憑依を行使し、彼らのスケジュールを聞き出していた。
そして、決戦の日程はすぐに決まった。
直近で彼らがデートをする今週の休日である。天気予報は晴れマークを出し、俺個人の予定もない。
無論、予定などほぼない。彼女も友達もいない。というよりもその友達一に抜け駆けされた次第だ。
金曜日の帰りに珍しく俺と鈴木という珍しい組み合わせで帰ることになった。それはまた、あの二人が用事があるだのと言って、二人きりで帰り道とは逆の繁華街に向かう電車の切符を購入していたからだ。
彼女は沈黙を愛する女性なのか、それともただ俺と話すことなどないのか黙って俺と並進する。
しかしながら、この鈴木も整った顔立ちをしているため、こんなフウに不愛想で、お堅い口調でなければ今頃モテていただろうに。まぁ、俺への冷たい表情を考えれば、彼女が笑顔で快活に話す姿など想像も出来ないが。
と、どうでもいい事を考えながら彼女と歩いていると、ふと彼女の口が開く。
「なに?」
馬鹿な考えと同時に、彼女の顔をマジマジと見つめている自分に気が付く。
「いや、なんでもない。にしても最近、あの二人は何か予定でもあるのか一緒に帰る頻度も減った気がするな」
「そう?普通じゃない?このまま大学に上がるだけだし、暇を持て余している生徒がああいうことに時間を費やすのは至極当たり前のようだけど」
「あ、そう。明日もだろ?そんな四六時中、一緒にいたいもんかねぇ」
「そうなんでしょ。私には分からないわ」
彼女はフッと短く息を吐くと、また俺から視線を外して、公道の白線からはみ出ないように歩く。その模範的ともいえる行動が彼女の性格を物語っている。
「そういえば、鈴木はどこの学部なんだ?」
俺は何気なく聞いただけだが、鈴木は何かに足を取られたのか、何もないところで躓いた。
そして態勢を立て直すと、こちらに見向きもしないで、「言いたくない」と一言漏らした。彼女の頬がその瞬間、赤く染まっていく光景は、白い空を赤く染めていく夕焼けのようで、俺はつい見入ってしまう。
「まぁ、鈴木のことだ。なんか将来のことを見据えて決めたんだろ?」
「………えっと。そ、そうね。その通りよ」
と答え、この時の俺には何が彼女を動揺させたのか分からなかった。
その現実から目を背けたくもなるが、ここで憑依を用いてやってやろうと意気込んでいる俺からしたら、むしろそれは絶好の機会だと無理やり納得する。
もう、彼らは俺に内緒でそこまで関係が発展していたのだ。
それは今までと同じだ。
俺の知らぬところで俺の好きな子は、他の好きな人を見つけて、各々の青春を謳歌する。
仲間外れは誰か。
俺である。
憑依を用いて、彼らに揺さぶりをかけることは出来るが、俺も本気で彼らを離すことが出来るとはこれまでの過程を鑑みれば、そんなことを安直に考えるほど馬鹿ではない。
しかし、このまま我が青春というつぼみにもなっていない花が実る気配すらなく、時代という風に吹かれて散っていくのはあまりに悲しい。
あがいてみたくもなるではないか?
そう考えれば、憑依を行使し、彼らのスケジュールを聞き出していた。
そして、決戦の日程はすぐに決まった。
直近で彼らがデートをする今週の休日である。天気予報は晴れマークを出し、俺個人の予定もない。
無論、予定などほぼない。彼女も友達もいない。というよりもその友達一に抜け駆けされた次第だ。
金曜日の帰りに珍しく俺と鈴木という珍しい組み合わせで帰ることになった。それはまた、あの二人が用事があるだのと言って、二人きりで帰り道とは逆の繁華街に向かう電車の切符を購入していたからだ。
彼女は沈黙を愛する女性なのか、それともただ俺と話すことなどないのか黙って俺と並進する。
しかしながら、この鈴木も整った顔立ちをしているため、こんなフウに不愛想で、お堅い口調でなければ今頃モテていただろうに。まぁ、俺への冷たい表情を考えれば、彼女が笑顔で快活に話す姿など想像も出来ないが。
と、どうでもいい事を考えながら彼女と歩いていると、ふと彼女の口が開く。
「なに?」
馬鹿な考えと同時に、彼女の顔をマジマジと見つめている自分に気が付く。
「いや、なんでもない。にしても最近、あの二人は何か予定でもあるのか一緒に帰る頻度も減った気がするな」
「そう?普通じゃない?このまま大学に上がるだけだし、暇を持て余している生徒がああいうことに時間を費やすのは至極当たり前のようだけど」
「あ、そう。明日もだろ?そんな四六時中、一緒にいたいもんかねぇ」
「そうなんでしょ。私には分からないわ」
彼女はフッと短く息を吐くと、また俺から視線を外して、公道の白線からはみ出ないように歩く。その模範的ともいえる行動が彼女の性格を物語っている。
「そういえば、鈴木はどこの学部なんだ?」
俺は何気なく聞いただけだが、鈴木は何かに足を取られたのか、何もないところで躓いた。
そして態勢を立て直すと、こちらに見向きもしないで、「言いたくない」と一言漏らした。彼女の頬がその瞬間、赤く染まっていく光景は、白い空を赤く染めていく夕焼けのようで、俺はつい見入ってしまう。
「まぁ、鈴木のことだ。なんか将来のことを見据えて決めたんだろ?」
「………えっと。そ、そうね。その通りよ」
と答え、この時の俺には何が彼女を動揺させたのか分からなかった。
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