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第一部ヴァルキュリャ編 第一章 ベルゲン
お前はもう酔っている
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ド ド ド ド ド
僥倖っ……! なんという僥倖……!
ド ド ド
幸せだ! ソルベルグ家最高だ!
ド ド ド ド ド ド
海鮮は新鮮でぷりっぷり! 生臭さのするものなんて一つもない。
なんだか分からない魚だけど、どれもほのかな甘味があって、とろけるように胃袋に吸い込まれていく。
タクミさんのところでも堪能して驚いたけれど、ここの料理も、比較的香辛料が多用されていた。
魚も肉も塩漬けとか香辛料たっぷりの薫製加工とか、セウダ周辺の内陸町とは全然違う。
旨い。なんだよ! こーゆー美味いのがあるなら、みんな広めろよ!
俺の中で香辛料の価値は爆上がりだ。
スパイス・ロードだっけ? 香辛料が貴重な交易品だとか言ってた世界史を実感する。
俺は黙々と飲食に興じた。
昼に続いて、贅沢すぎる日だ。
何より、ビールだぞ! ビール!
キンっキンに冷えてはないがな!
角杯は飲みかけでテーブルに置くことが出来ない。
片手で持ち続けるか、即座飲み干しなのだが、一杯あたりの量がちょうど一~ニ口に調整されている。
飲み干した空の杯を置いておくと、新しい杯を持ってきてくれる。
完全飲み放題じゃねぇか!!
ヒャッハーッ
「エルドフィン殿、そろそろ少し、控えては」
ドォォォーーーンッ
新しい杯を受け取った俺の右腕を、誰かが掴んで止めた!
ゴッゴッゴッゴッゴッ……
俺の腕を止めたのはお前か、ジトレフゥ!
ブワァァァッッッ!!
振り払おうとするが、振り払えねぇ。
見れば、スゲー腕筋ッ。敵う気がしねぇッ!
ズズズズズ
だが断る!!
ど素人の小僧が、この『エルドフィン』に意見するのかねッ!
「うるっせぇな、んだょ」
「この晩餐は相当の御厚意だ。しばらく滞在するのだし、こちらも気遣いすべきではないか」
「はぁ?」
「ずっと食べ飲み通しだ」
食事が始まってから、アセウスは誰かしらと喋っていた。
当然席を離れることも多く、飲み食いもゆっくりペースになっていた。
飲み会あるあるで、アセウスから上座側のテーブルの上には、まだまだ豪華な食事が十分に残っている。
親族側もジトレフから下座側も歓談しながらのペースのようだ。
次の料理が出されるタイミングに、ちょうどいい具合で皿が片付く、そんな感じだった。
ジトレフのやつも、こんな時には社交性を見せられるらしく、話しかけてきたソルベルグ家の面々との会話をそつなくこなしていた。
ジトレフの癖に。すっげー気に入らねぇ。
俺はご馳走最優先だ。
周りの人間には目もくれず、食べたいものをひたすら食いまくる。
話しかけられても、面倒だからテキトーに流した。
そのうち皆きづく。あぁ、こいつは話しかけても無駄だ。
そして、俺はますます食べ飲みに集中できるというわけだ。
俺の前のテーブルの皿だけ、何回転かしている。
「歓迎の宴だってぇいってたじゃねぇか。遠慮する方が失礼んじゃねぇか?」
「だから今まで止めずにいた」
「じゃぁいまさら止めんなよ。さすがに俺も腹いっぺぇだょ」
「それならいい。これは私が貰おう」
「はぁあ? てめぇ飲みてぇなら自分で貰ぇばいーだろ? 人の酒、奪んんなっっ」
角杯を奪い取ろうとするジトレフの右手に負けじと、俺は両手で角杯を握りしめた。
ジトレフのやつ、珍しく困った表情してやがる、ざまぁみろ! ぜってぇやんねぇっっ。
角杯を全力で自分の方に引き寄せると、ジトレフのイケメンまで付いてきた!
要らねぇわ! ちけぇよ! 手ぇ放せっっ!
偉そうな低音ボイスで俺の頬まで揺れんだろーがぁっ。
「エルドフィン殿、自分では分からないのかも知れないが……多分、酔っている」
「ぶぁーっかかお前ぇ? 『たぶぅん、酔っているー』って自信のないケンシロウかよ。『お前はー、たぶぅんんー、酔っているー』っアいタタタタタタ! ってチャラケンじゃんっ! チャラケンジトレフぅーっ」
「エルドフィン殿、落ち着いて欲しい。騒ぎを起こす訳にはいかない」
ばっかじゃねーの? こいつ。
ぶぁーか、ぶぁーか!
酔っ払い相手に落ち着けぇー、騒ぎはいや~ん、困っちゃったぁーって顔してさ。
俺ぁおとなしく飲みたがってるだけじゃん、好きに飲ませてさっさと潰しちまえば静かになるんだよ。
それをさぁ……
「あぁあ、そかー。おまぇ、酒とか、酔っ払いとか、知らねぇんだ? だろ?」
「……酒を何杯も飲んだことはない。酔ったこともない」
「だーぃせーいかいー! ぶぁっかだなーっなぁんも知らねぇでよぉ! でもいっかー、俺やっさしぃーしー? 気分ょくなってきたから、教えてやんょー」
わんこビール状態で量がわかんなくてぇー、
やっっぱっペース早過ぎたんかなぁ?
さっき全身に力振り絞ったせいで回ったかぁー?
がーっと飲んで飲むの止めると、吸収始まるのかとたんに酔い回ったりもするんよなぁー。
えぇーっしないー? 俺はするぉー?
でも、どぉでもいいわぁ!
ふふふぅんっ。ふわふわしてきたぁっ!!
「優しぃーやっさすぃーい俺様が、酒の飲み方についておせぇてゃるおっっ」
僥倖っ……! なんという僥倖……!
ド ド ド
幸せだ! ソルベルグ家最高だ!
ド ド ド ド ド ド
海鮮は新鮮でぷりっぷり! 生臭さのするものなんて一つもない。
なんだか分からない魚だけど、どれもほのかな甘味があって、とろけるように胃袋に吸い込まれていく。
タクミさんのところでも堪能して驚いたけれど、ここの料理も、比較的香辛料が多用されていた。
魚も肉も塩漬けとか香辛料たっぷりの薫製加工とか、セウダ周辺の内陸町とは全然違う。
旨い。なんだよ! こーゆー美味いのがあるなら、みんな広めろよ!
俺の中で香辛料の価値は爆上がりだ。
スパイス・ロードだっけ? 香辛料が貴重な交易品だとか言ってた世界史を実感する。
俺は黙々と飲食に興じた。
昼に続いて、贅沢すぎる日だ。
何より、ビールだぞ! ビール!
キンっキンに冷えてはないがな!
角杯は飲みかけでテーブルに置くことが出来ない。
片手で持ち続けるか、即座飲み干しなのだが、一杯あたりの量がちょうど一~ニ口に調整されている。
飲み干した空の杯を置いておくと、新しい杯を持ってきてくれる。
完全飲み放題じゃねぇか!!
ヒャッハーッ
「エルドフィン殿、そろそろ少し、控えては」
ドォォォーーーンッ
新しい杯を受け取った俺の右腕を、誰かが掴んで止めた!
ゴッゴッゴッゴッゴッ……
俺の腕を止めたのはお前か、ジトレフゥ!
ブワァァァッッッ!!
振り払おうとするが、振り払えねぇ。
見れば、スゲー腕筋ッ。敵う気がしねぇッ!
ズズズズズ
だが断る!!
ど素人の小僧が、この『エルドフィン』に意見するのかねッ!
「うるっせぇな、んだょ」
「この晩餐は相当の御厚意だ。しばらく滞在するのだし、こちらも気遣いすべきではないか」
「はぁ?」
「ずっと食べ飲み通しだ」
食事が始まってから、アセウスは誰かしらと喋っていた。
当然席を離れることも多く、飲み食いもゆっくりペースになっていた。
飲み会あるあるで、アセウスから上座側のテーブルの上には、まだまだ豪華な食事が十分に残っている。
親族側もジトレフから下座側も歓談しながらのペースのようだ。
次の料理が出されるタイミングに、ちょうどいい具合で皿が片付く、そんな感じだった。
ジトレフのやつも、こんな時には社交性を見せられるらしく、話しかけてきたソルベルグ家の面々との会話をそつなくこなしていた。
ジトレフの癖に。すっげー気に入らねぇ。
俺はご馳走最優先だ。
周りの人間には目もくれず、食べたいものをひたすら食いまくる。
話しかけられても、面倒だからテキトーに流した。
そのうち皆きづく。あぁ、こいつは話しかけても無駄だ。
そして、俺はますます食べ飲みに集中できるというわけだ。
俺の前のテーブルの皿だけ、何回転かしている。
「歓迎の宴だってぇいってたじゃねぇか。遠慮する方が失礼んじゃねぇか?」
「だから今まで止めずにいた」
「じゃぁいまさら止めんなよ。さすがに俺も腹いっぺぇだょ」
「それならいい。これは私が貰おう」
「はぁあ? てめぇ飲みてぇなら自分で貰ぇばいーだろ? 人の酒、奪んんなっっ」
角杯を奪い取ろうとするジトレフの右手に負けじと、俺は両手で角杯を握りしめた。
ジトレフのやつ、珍しく困った表情してやがる、ざまぁみろ! ぜってぇやんねぇっっ。
角杯を全力で自分の方に引き寄せると、ジトレフのイケメンまで付いてきた!
要らねぇわ! ちけぇよ! 手ぇ放せっっ!
偉そうな低音ボイスで俺の頬まで揺れんだろーがぁっ。
「エルドフィン殿、自分では分からないのかも知れないが……多分、酔っている」
「ぶぁーっかかお前ぇ? 『たぶぅん、酔っているー』って自信のないケンシロウかよ。『お前はー、たぶぅんんー、酔っているー』っアいタタタタタタ! ってチャラケンじゃんっ! チャラケンジトレフぅーっ」
「エルドフィン殿、落ち着いて欲しい。騒ぎを起こす訳にはいかない」
ばっかじゃねーの? こいつ。
ぶぁーか、ぶぁーか!
酔っ払い相手に落ち着けぇー、騒ぎはいや~ん、困っちゃったぁーって顔してさ。
俺ぁおとなしく飲みたがってるだけじゃん、好きに飲ませてさっさと潰しちまえば静かになるんだよ。
それをさぁ……
「あぁあ、そかー。おまぇ、酒とか、酔っ払いとか、知らねぇんだ? だろ?」
「……酒を何杯も飲んだことはない。酔ったこともない」
「だーぃせーいかいー! ぶぁっかだなーっなぁんも知らねぇでよぉ! でもいっかー、俺やっさしぃーしー? 気分ょくなってきたから、教えてやんょー」
わんこビール状態で量がわかんなくてぇー、
やっっぱっペース早過ぎたんかなぁ?
さっき全身に力振り絞ったせいで回ったかぁー?
がーっと飲んで飲むの止めると、吸収始まるのかとたんに酔い回ったりもするんよなぁー。
えぇーっしないー? 俺はするぉー?
でも、どぉでもいいわぁ!
ふふふぅんっ。ふわふわしてきたぁっ!!
「優しぃーやっさすぃーい俺様が、酒の飲み方についておせぇてゃるおっっ」
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