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幕間

ヤクモの独り言

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 手のひらに乗せた小さな木箱、そこに丸めた植物の葉を入れると、ヤクモは鼻をふんふん鳴らした。
 もうすぐ約束の刻限である。
 何度繰り返しても、この瞬間はワクワクする、そうヤクモは思った。
 時が来て、木箱の中が光を放つ。
 そして、光が消えた後には先程ヤクモが入れたのとは違う、丸められた植物の葉が残されていた。
 くるくると広げると、葉には文字が書かれている。
 毎日定刻に行われる、魔術師メイガスとの往復書簡である。
 
 ヤクモは魔術師メイガスが大好きだった。
 魔術師メイガスの近くにいると、面白いことがたくさんあるからだ。
 100%人間なのに、魔物よりも興味深いこと・・を次々に見せてくれるって、一体どんな存在なんだろう。
 人間ひと好きなヤクモにとって、それはそれは美味しすぎる・・・・・・のだ。
 

「まぁた、面白いものを見せてくれるもすねぇ~」


 魔術師メイガスが初めて「友人」と紹介した二人を思い出し、ヤクモは目を細めた。
 類は友を呼ぶ、なのか。
 魔術師メイガスほどではないが、十二分に個性的だった。
 ヤクモは、人前では黙っていないといけないことも多いから、この地点ポイント小屋では自由に喋ることにしていた。
 別の言葉を。
 人間には言葉には聞こえないから、誰かに聞かれても大丈夫なのだ。
 

「《罪の責務アセウス》に彷徨う炎エルドフィン。二人とも100%じゃないとか、ビックリなのしょ~。まぁた会いたいもすねぇ~。明日会うんですけど!」


 にゃはっと笑うと、ヤクモはふかふかの寝床にぽぉんと跳び乗り、身体を丸めた。
 
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