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1章
7 リアリティ
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「あ、あのさ……助けてくれたんだよね。あ、ありがとう」
衝撃による胸の痛みに堪えていると、シノさんから少し戸惑うようにお礼を言われる。
一度見捨てようとした事は言えないから、「どうか気にしないでください」とだけ伝える。
「だけどその言葉使いと態度は、どういう事?」
「あー、それは後で話します。それより今はこの男を何とかしないと」
「それは──そうだね。でもごめん、ちょっと聞きたい事あるから待ってて」
聞きたい事か。
僕も分からない事だらけだから山程あるんだけど……目の前の男は涙と鼻水を出しながら呻いていて。
その上、泥と血にまみれたその顔からは、嘘か本当かなんて見極められそうもない。
そもそも帰れるなら僕は帰っちゃうし、なにか聞きたいならシノさんどうぞ。
「……それなら、騎士団はどの方角から来るか、それと最初に言ってた信号ってなんなの?」
シノさんは声を冷たく低くして、地面に這いつくばっている男にそう問いかける。
「て、テメェら……わ、分かってんのか? テメェらは!! この国を守る騎士に手を上げたんだぞっ!?」
「──は? 分かっていないのはお前の方。まさか無事に帰れるなんて思ってる? そんな訳ない! お前が仲間を呼んだせいで私は──!」
シノさんの震えながらも怒りに満ちた声に、騎士はようやく事態を悟ったのか、ごくりと唾を飲む。
――私は?
「あ、でもそれは僕が知ってるので大丈夫ですよ」
「…………なんで知ってるのよ」
まあまあ、長くなるから質問の答えだけ説明するね。
『信号』――スカウト職が覚えるスキルの一種だ。
自身の魔力を空に打ち上げて味方にメッセージを伝えるみたい。一定の時間で消えちゃうけど、もう1人向こうにスカウト職がいれば魔力の痕跡を辿るのは簡単なんだとか。
それと色は結構変えられるから、騎士団ならいろんな取り決めしてるだろう、と伝える。
「じゃあ……その取り決めの内容が読めない私達は、信号に干渉出来ないんだね。でも来る方向さえ分かれば……うん、何とか出来そうだし私ももういいかな」
え、何とか出来るの? シノさんが無事に済む方法…………思い付かない。
「――っ! ま、待て! 俺を殺せば団は間違いなくこの村を滅ぼすぞ!? 逆にお、俺に任せてもらえりゃ連中を説得してきてやる、どうだ?」
そしてこっちもすごいな……なんて言うか、命乞いも本格的だ。
「説得って、出来るの? 本当に?」
「っ! あ、ああ! この村には手を出させねぇと約束する。こ、これでも俺は貴族の息子で――王様にだって顔が――」
なんか無茶苦茶な事まで言い始めてる……いやいいんだけどさ。
「それなら……あ、でも条件が一つ、これだけ教えて下さい」
「は、はあッ!? アンタこんなの――」
「分かった! なんでも答えてやる。言ってみろ」
焦ったように被せてくる騎士。
シノさんの気持ちも分かるけど、このまま対立したら厄介な事になるからさ……。
「ま、魔物が出たってこの辺りですか? どんな魔物だったのでしょうか……?」
「……ああ? あぁ、そういう事か、それはな――」
村が心配と、怯えたように聞くと男は少し考えるかのように俯く。どう話せば有利になるかとか、頭の中で必死に思い描いているんだろう。
──あっさり気を抜きすぎだよ。
「やっぱりそれも知ってるからいいや」
手に持った物を男の首に向かって振り下ろす。思考にリソースを割いた男は、自慢の耐久性を発揮出来ない。
切れ味の鋭いナイフは吸い込まれるようにあっさりと、首を貫いた。
ふぅ……良かった。
騎士ってやつはどいつもこいつも防御力が高くて、対立なんてしてたら本当に厄介で――え?
「……え、えええぇ……」
「…………え? えええええっ!?」
僕の行動にシノさんが引いてる。
いや身構えてたら僕の力じゃ簡単に殺せないし! 回復手段もあるこの世界で見逃す訳ない!
そ、そんな事より――
なんで死体が残ったままなの……?
首から溢れた赤黒い液体が、地面の土を泥濘に変えていく。……生々しい肉の塊が、そこにある。
え……本当になんでぇ……? 初プレイ時は光のエフェクトが出るだけで消えてくれてたじゃん!!
思わず再度ログアウトを試みる。メニューの何処を探しても見つからない。
オプションの欄にはっ――各種ゲーム機能設定……UIだけは無駄に豪華で腹立つ!
ダメだああああ!! やっぱり帰る条件が分からないいい!!
「……ねえ」
「あ、ごめんなさい、今は少し考えたくて……」
「いや、その青いの……なんか見ないほうがいいの?」
「……ん?」
「ステータスとか丸見えなんだけど」
…………AIがメニュー画面の事に触れてくるんじゃないよ!!
これもうあれだ……エレが言ってた新型AI、間違いない。
「ありがとうございます。ちょっと頭から抜けてて……気を付けます」
「そもそもそれなんなのよ……」
……なんかさ、ここに来てから感じた不思議を考えるとさ……ラインナップが尋常じゃないんだよ!
少なくとも運営以上の存在が関わってなきゃ全部あり得ない事じゃん!!
これってまさか……ゲームによく似た世界に、い、異世界転生……? なんてバカみたいな考えまで浮かんできちゃったよ!!
待て待て待て、こういう時は目の前の問題を1つ1つ片付けて落ち着くんだ。そう――あ、明るくいこう!
えーと先ずは胸の回復を――と思ったけどそっか……メニュー画面が見られてるのか。少し辛いけど、念のため一人になってからにしよう。
だから次は――何も持っていないと不安だから、この辺にある物はひと通り回収でもするか……あれ? そんな場合?
いやいい――今は落ち着くのが最優先だ。
うん、初プレイ時と同じく容量はそこまで気にしなくて良さそうだ。リストは――
・始まりの家の残骸A
・始まりの家の残骸B
・始まりの家の残骸C
・
・
・
……見づらい! やめやめ、汚れてない物以外はここに置いていこう。
「…………」
ドサドサと、全身から大量の家だったものを出していると、横のシノさんが無言で何かを言いたげにしている。この説明もまた今度ね。
さて、気を取り直して。次は――着替えたいな……そんな場合じゃないのは百も承知だけど、こんなボロ布じゃ現代人の僕には耐えられない……騎士の着ているものは頂いておこう。
男に手を添えて収納と心で唱えると、騎士の着ていたもの全てがインベントリに取り込まれる。
「………………」
血の赤と、白い肌のコントラストが悪趣味に際立って、シノさんが言葉を失っている。
いちいち反応を窺う僕にイラついているのか、組んだ腕には力がこもっていた。
ふぅ……僕より混乱してる人を見ると落ち着くなあ……。
なので説明はしない。
最後にこの遺体をなんとかしないと。ここには村の誰かに案内されて来た感じだったし、いつ誰かが様子を見に来てもおかしくない。急がないと。
うーん、これもちょっと嫌だけどインベントリに入れておけばいいか。収納っと。……あれ? 収納!
……なんか反応しなくなったな。収納!
ちょっと、まさか……これだけ倫理にケンカ売ってるゲームの癖に……
「死体はアイテム扱いでいいでしょうよぉ!!」
「…………死体はアイテム扱いでいいでしょうよ?」
しまった違うんだよ。このゲームを作ったヤツが、急にいい子ぶってるのが鼻についただけで……。
…………だけどさ、ここに流れてる血液くらいなら回収出来るんじゃないか?
僕が倒して発生した物、つまりこれだって戦利品だ。戦闘時には掛けてよし、蒔いてよし、吐いてよし。
プライベートでだって仮病に良し、偽装に良し、誰かを陥れるにも良しの超有能アイテムだ。
これが回収出来ないようなら世界中のアイテムコレクター達からのクレームが――あ、既に炎上しきったゲームだった。
とにかく、ろくな物を持っていない今の僕には目の前の血溜まりがお宝に見えてきた。これなら――
「収納!」
気合いを入れて叫ぶと、そこには血の跡なんて無かったかのような綺麗な死体と――
「……ふ、ふふ、ふふふ……」
という、シノさんの今日初めての、キャパオーバーによる乾いた笑顔があった。
リアリティがあるって……大変だ。
衝撃による胸の痛みに堪えていると、シノさんから少し戸惑うようにお礼を言われる。
一度見捨てようとした事は言えないから、「どうか気にしないでください」とだけ伝える。
「だけどその言葉使いと態度は、どういう事?」
「あー、それは後で話します。それより今はこの男を何とかしないと」
「それは──そうだね。でもごめん、ちょっと聞きたい事あるから待ってて」
聞きたい事か。
僕も分からない事だらけだから山程あるんだけど……目の前の男は涙と鼻水を出しながら呻いていて。
その上、泥と血にまみれたその顔からは、嘘か本当かなんて見極められそうもない。
そもそも帰れるなら僕は帰っちゃうし、なにか聞きたいならシノさんどうぞ。
「……それなら、騎士団はどの方角から来るか、それと最初に言ってた信号ってなんなの?」
シノさんは声を冷たく低くして、地面に這いつくばっている男にそう問いかける。
「て、テメェら……わ、分かってんのか? テメェらは!! この国を守る騎士に手を上げたんだぞっ!?」
「──は? 分かっていないのはお前の方。まさか無事に帰れるなんて思ってる? そんな訳ない! お前が仲間を呼んだせいで私は──!」
シノさんの震えながらも怒りに満ちた声に、騎士はようやく事態を悟ったのか、ごくりと唾を飲む。
――私は?
「あ、でもそれは僕が知ってるので大丈夫ですよ」
「…………なんで知ってるのよ」
まあまあ、長くなるから質問の答えだけ説明するね。
『信号』――スカウト職が覚えるスキルの一種だ。
自身の魔力を空に打ち上げて味方にメッセージを伝えるみたい。一定の時間で消えちゃうけど、もう1人向こうにスカウト職がいれば魔力の痕跡を辿るのは簡単なんだとか。
それと色は結構変えられるから、騎士団ならいろんな取り決めしてるだろう、と伝える。
「じゃあ……その取り決めの内容が読めない私達は、信号に干渉出来ないんだね。でも来る方向さえ分かれば……うん、何とか出来そうだし私ももういいかな」
え、何とか出来るの? シノさんが無事に済む方法…………思い付かない。
「――っ! ま、待て! 俺を殺せば団は間違いなくこの村を滅ぼすぞ!? 逆にお、俺に任せてもらえりゃ連中を説得してきてやる、どうだ?」
そしてこっちもすごいな……なんて言うか、命乞いも本格的だ。
「説得って、出来るの? 本当に?」
「っ! あ、ああ! この村には手を出させねぇと約束する。こ、これでも俺は貴族の息子で――王様にだって顔が――」
なんか無茶苦茶な事まで言い始めてる……いやいいんだけどさ。
「それなら……あ、でも条件が一つ、これだけ教えて下さい」
「は、はあッ!? アンタこんなの――」
「分かった! なんでも答えてやる。言ってみろ」
焦ったように被せてくる騎士。
シノさんの気持ちも分かるけど、このまま対立したら厄介な事になるからさ……。
「ま、魔物が出たってこの辺りですか? どんな魔物だったのでしょうか……?」
「……ああ? あぁ、そういう事か、それはな――」
村が心配と、怯えたように聞くと男は少し考えるかのように俯く。どう話せば有利になるかとか、頭の中で必死に思い描いているんだろう。
──あっさり気を抜きすぎだよ。
「やっぱりそれも知ってるからいいや」
手に持った物を男の首に向かって振り下ろす。思考にリソースを割いた男は、自慢の耐久性を発揮出来ない。
切れ味の鋭いナイフは吸い込まれるようにあっさりと、首を貫いた。
ふぅ……良かった。
騎士ってやつはどいつもこいつも防御力が高くて、対立なんてしてたら本当に厄介で――え?
「……え、えええぇ……」
「…………え? えええええっ!?」
僕の行動にシノさんが引いてる。
いや身構えてたら僕の力じゃ簡単に殺せないし! 回復手段もあるこの世界で見逃す訳ない!
そ、そんな事より――
なんで死体が残ったままなの……?
首から溢れた赤黒い液体が、地面の土を泥濘に変えていく。……生々しい肉の塊が、そこにある。
え……本当になんでぇ……? 初プレイ時は光のエフェクトが出るだけで消えてくれてたじゃん!!
思わず再度ログアウトを試みる。メニューの何処を探しても見つからない。
オプションの欄にはっ――各種ゲーム機能設定……UIだけは無駄に豪華で腹立つ!
ダメだああああ!! やっぱり帰る条件が分からないいい!!
「……ねえ」
「あ、ごめんなさい、今は少し考えたくて……」
「いや、その青いの……なんか見ないほうがいいの?」
「……ん?」
「ステータスとか丸見えなんだけど」
…………AIがメニュー画面の事に触れてくるんじゃないよ!!
これもうあれだ……エレが言ってた新型AI、間違いない。
「ありがとうございます。ちょっと頭から抜けてて……気を付けます」
「そもそもそれなんなのよ……」
……なんかさ、ここに来てから感じた不思議を考えるとさ……ラインナップが尋常じゃないんだよ!
少なくとも運営以上の存在が関わってなきゃ全部あり得ない事じゃん!!
これってまさか……ゲームによく似た世界に、い、異世界転生……? なんてバカみたいな考えまで浮かんできちゃったよ!!
待て待て待て、こういう時は目の前の問題を1つ1つ片付けて落ち着くんだ。そう――あ、明るくいこう!
えーと先ずは胸の回復を――と思ったけどそっか……メニュー画面が見られてるのか。少し辛いけど、念のため一人になってからにしよう。
だから次は――何も持っていないと不安だから、この辺にある物はひと通り回収でもするか……あれ? そんな場合?
いやいい――今は落ち着くのが最優先だ。
うん、初プレイ時と同じく容量はそこまで気にしなくて良さそうだ。リストは――
・始まりの家の残骸A
・始まりの家の残骸B
・始まりの家の残骸C
・
・
・
……見づらい! やめやめ、汚れてない物以外はここに置いていこう。
「…………」
ドサドサと、全身から大量の家だったものを出していると、横のシノさんが無言で何かを言いたげにしている。この説明もまた今度ね。
さて、気を取り直して。次は――着替えたいな……そんな場合じゃないのは百も承知だけど、こんなボロ布じゃ現代人の僕には耐えられない……騎士の着ているものは頂いておこう。
男に手を添えて収納と心で唱えると、騎士の着ていたもの全てがインベントリに取り込まれる。
「………………」
血の赤と、白い肌のコントラストが悪趣味に際立って、シノさんが言葉を失っている。
いちいち反応を窺う僕にイラついているのか、組んだ腕には力がこもっていた。
ふぅ……僕より混乱してる人を見ると落ち着くなあ……。
なので説明はしない。
最後にこの遺体をなんとかしないと。ここには村の誰かに案内されて来た感じだったし、いつ誰かが様子を見に来てもおかしくない。急がないと。
うーん、これもちょっと嫌だけどインベントリに入れておけばいいか。収納っと。……あれ? 収納!
……なんか反応しなくなったな。収納!
ちょっと、まさか……これだけ倫理にケンカ売ってるゲームの癖に……
「死体はアイテム扱いでいいでしょうよぉ!!」
「…………死体はアイテム扱いでいいでしょうよ?」
しまった違うんだよ。このゲームを作ったヤツが、急にいい子ぶってるのが鼻についただけで……。
…………だけどさ、ここに流れてる血液くらいなら回収出来るんじゃないか?
僕が倒して発生した物、つまりこれだって戦利品だ。戦闘時には掛けてよし、蒔いてよし、吐いてよし。
プライベートでだって仮病に良し、偽装に良し、誰かを陥れるにも良しの超有能アイテムだ。
これが回収出来ないようなら世界中のアイテムコレクター達からのクレームが――あ、既に炎上しきったゲームだった。
とにかく、ろくな物を持っていない今の僕には目の前の血溜まりがお宝に見えてきた。これなら――
「収納!」
気合いを入れて叫ぶと、そこには血の跡なんて無かったかのような綺麗な死体と――
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