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第二章 公爵子息はみんなを幸せにして
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果ててしまっても、ふたりは離れられずにいた。
「そろそろ帰らないと……。お嬢様が怒るからね……」
「もう少しだけ一緒にいられないかな……?」
芝生の上、生まれたままの姿で美しい男ふたりはピロートークを楽しむ。
(できれば帰したくないけど……。マリアンヌを悲しませるのもいやだし……)
ジョルジュの胸中は複雑だった。
気がつけば、ウォルターを好きになっていた。自然に、息をするように。思い切って愛を伝え、受け入れられた。そして今は、ふたりになるとこうして愛し合わずにはいられない。彼にはマリアンヌという婚約者がいるのを知りながら。
マリアンヌは、自分たちが愛し合っているのを知っている。自分とウォルターを無理矢理引き離すようなことはしたくないから、見て見ぬ振りをしてくれている。だが、彼女もまたウォルターを心から愛している。
そして、ジョルジュもまた姉であるマリアンヌの幸せを願っていた。かつて気難しいお嬢様だった面影はもうない。今ではすっかり美しく社交的でできる女になっている。苦手なおしゃれや愛想を必死で練習した成果だ。
『女優の道は諦めるけど……。舞台に関わるやり方は他にもあるわ!』
才能の限界を感じて、役者をやっていくことは断念した。しかし、マリアンヌには脚本や指導の才能があった。頭を切り替えると、めきめきと頭角を現わした。今では、若くして名作をいくつも飛ばしている。そんな姉を好きだし自慢に思っている。
(ボクは……どうしたらいいんだろう……?)
美貌の公爵令息は、愛おしい男への思いと姉への負い目の間で葛藤し続ける。夜空を見上げれば、無数の星が美しい。だが、星たちは彼に何も言ってはくれなかった。
「なあジョルジュ。俺は幸せだ。君に愛してもらえて。君を好きになって」
「ウォルター……。うん、ボクも幸せだよ。ウォルターが一緒で……」
「だからさ……。誰も傷つかないですむ方法を一緒に考えよう。俺たちも、マリアンヌも幸せになれる道を」
「そうだね。ウォルターの言う通りだ。よく考えよう。みんなで幸せになれる道を」
ジョルジュは自然に笑顔になっていた。自分やマリアンヌが迷ったり悩んだりしたとき、いつも手を引いてくれたのが彼だ。
自慢ではないが、ウォルターにとってジョルジュ・フォルバンは大切な存在であると自負している。彼を幸せにしていると。ならば、マリアンヌも一緒に幸せにできないはずがない。美貌の友人が一緒ならできる。そう思えるのだ。
「そろそろ帰らないと……。お嬢様が怒るからね……」
「もう少しだけ一緒にいられないかな……?」
芝生の上、生まれたままの姿で美しい男ふたりはピロートークを楽しむ。
(できれば帰したくないけど……。マリアンヌを悲しませるのもいやだし……)
ジョルジュの胸中は複雑だった。
気がつけば、ウォルターを好きになっていた。自然に、息をするように。思い切って愛を伝え、受け入れられた。そして今は、ふたりになるとこうして愛し合わずにはいられない。彼にはマリアンヌという婚約者がいるのを知りながら。
マリアンヌは、自分たちが愛し合っているのを知っている。自分とウォルターを無理矢理引き離すようなことはしたくないから、見て見ぬ振りをしてくれている。だが、彼女もまたウォルターを心から愛している。
そして、ジョルジュもまた姉であるマリアンヌの幸せを願っていた。かつて気難しいお嬢様だった面影はもうない。今ではすっかり美しく社交的でできる女になっている。苦手なおしゃれや愛想を必死で練習した成果だ。
『女優の道は諦めるけど……。舞台に関わるやり方は他にもあるわ!』
才能の限界を感じて、役者をやっていくことは断念した。しかし、マリアンヌには脚本や指導の才能があった。頭を切り替えると、めきめきと頭角を現わした。今では、若くして名作をいくつも飛ばしている。そんな姉を好きだし自慢に思っている。
(ボクは……どうしたらいいんだろう……?)
美貌の公爵令息は、愛おしい男への思いと姉への負い目の間で葛藤し続ける。夜空を見上げれば、無数の星が美しい。だが、星たちは彼に何も言ってはくれなかった。
「なあジョルジュ。俺は幸せだ。君に愛してもらえて。君を好きになって」
「ウォルター……。うん、ボクも幸せだよ。ウォルターが一緒で……」
「だからさ……。誰も傷つかないですむ方法を一緒に考えよう。俺たちも、マリアンヌも幸せになれる道を」
「そうだね。ウォルターの言う通りだ。よく考えよう。みんなで幸せになれる道を」
ジョルジュは自然に笑顔になっていた。自分やマリアンヌが迷ったり悩んだりしたとき、いつも手を引いてくれたのが彼だ。
自慢ではないが、ウォルターにとってジョルジュ・フォルバンは大切な存在であると自負している。彼を幸せにしていると。ならば、マリアンヌも一緒に幸せにできないはずがない。美貌の友人が一緒ならできる。そう思えるのだ。
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