ゲイホストだったけど、異世界でカリスマ男妾になるから 外伝 愛しい子供たちは今日も美しく淫らです

ブラックウォーター

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第三章 豪商の跡取りは競技も恋も負けられない

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「97,98、99……100」
 ポン。ポン。乾いた小気味のいい音が、庭に響く。11歳のアイザックがリフティングをしている。100回など大人でも難しいのに、大したものといえた。
「気がすんだかしら?」
「うわ……!」
 後ろから声をかけられ、少年はボールを落としてしまう。
「アイザック。お勉強はどうしたのかしら?」
 義母であるエリザベスが笑顔で言うが、目が笑っていない。彼女は優しくも厳しい。実父である里実から預かっている子に責任があるのだ。
「母様……いやこれは……。息抜きというかなんというか……」
 アイザックは小さくなって言う。
 歳を重ねても、美貌が衰えるどころか妖艶にさえなっていく義母。いつも優しく穏やかだが、怒ると怖いのを知っている。
「息抜きは課題をこなしてからではないかしら?この間の語学の小テスト、何点だったか忘れたわけではないでしょうね?」
(母様……お顔が怖いです……)
 少年は心臓をわしづかみにされた気分だった。言い訳できない。栄えある商家であるバーミンガム家の子として恥ずべき点数だった。
「課題が終わるまで没収します」
 使用人であり、サッカーのコーチでもあるアントニオがボールを拾い上げる。ふたつ上の13歳。暗めの金髪と褐色の肌が美しい少年だ。
「アントニオ……。君までひどいよ……」
 アイザックは自分が孤立無援なのだと悟った。
「俺は奥様と旦那様からアイザックを任されているんです。お勉強なさらないのを見過ごすわけにはいきません」
 アントニオはボールを脚で転がしながら応じる。どうやら潔くお勉強する他なさそうだ。
「わかったよ。後でドリブルの相手してよ」
「もちろん。ちゃんと課題をこなせたらいくらでもお相手しますよ」
 金髪褐色肌の少年が意地悪く微笑む。
 アイザックは仮にも里実とエドワードの子だ。頭は決して悪くない。むしろ、サッカーの試合では司令塔を務められるほどに知恵が回る。やればできる子なのだ。やれば。お勉強が嫌いという致命的な欠点さえなかりせば。課題は当面終わらないことを、アントニオは確信していた。
「みんなひどいなあ……」
 少年は情けない顔になる。
「ちゃんとお勉強しないあなたが悪いんです。行きますよ」
「ボクはサッカー選手になりたいんです。家は頭のいいグロリアかジョナサンが継ぐんだろうし……。少しくらい勉強ができなくたって……」
「サッカーリーグでも、読み書きもまともにできない選手は雇ってもらえないと思いますよ。あなた、手紙を書いていても誤字脱字が多いし、今のままでは書類選考も通らないと思いますけど。母様は」
 子どもの言い訳を正論で返され、アイザックは何も言えなくなってしまう。
 
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