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第四章 褐色肌の歌い手はジゴロ……?
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「なによ!あたしのフリードリヒからはなれてよ!」
「ちがうもん!フリードリヒはウチのだもん!」
ロビンシュタイン家に隣接する公園は、今日も修羅場だった。
「あんたなんか!あんたなんか!」
「うっさい!あなたこそーっ!」
最初は口喧嘩だった3歳の幼女ふたりは、やがて取っ組み合いになってしまう。
で、喧嘩の原因である色男君はというと……。
「…………」
自分を巡って争う女の子ふたりを、なにもせず見ているだけだ。
「こらっ!やめなふたりとも!公園は喧嘩するところじゃないんだよ!」
フリードリヒの腹違いの(?)でふたつ上の兄、エドゥアルドが仲裁に入る。
「だってえ……。フリードリヒのこといちばんすきなのはあたしだもん……」
「うそだよ。ウチがさきになかよくなったのに……ターシャがあとから……」
しっかりもののエドゥアルドは、小さい子どもたちのまとめ役で通っている。彼に注意されると、大抵の子どもは大人しくなる。
「とにかく喧嘩はだめだ。仲良くできないならおうち帰りな」
3歳の幼女たちにとっては、5歳のお兄さんはとても逆らえる相手ではない。簡単に譲り合える問題ではない。さりとて、まだ帰りたくない。ここは一時休戦するべき。幼いなりに知恵を働かせ、それ以上争うのをやめる。
「フリードリヒ。お前もお前だ。目の前で女の子ふたりが喧嘩してるんだぞ?喧嘩の原因はお前さんなんだし、ぼけっと見てちゃだめだろ」
エドゥアルドは3歳の弟に向き直る。
「いや……。だってふたりがかってにぼくのことすきだっていいだして……。ぼくはどっちがいいともいってないよ」
まったく責任を感じていない顔で、しれっとフリードリヒが応じる。
「お前なあ……。そういう言い方ないだろう……」
エドゥアルドは言葉を失う。3歳にしてジゴロで罪な男である弟に、どう言ったものか。どうすればもう少し誠意や気遣いを学んでくれるか。さっぱりわからなかった。ついでに、建前としてはフリードリヒの言うことにも一理あるから始末に負えない。
「なにあれ……。かわいいけどもう修羅場……?」
「おしゃまなお嬢さんの恋愛ごっこだと思いたいが……」
屋敷のテラスから公園の様子を見下ろして、カトリーンとミカエルが苦笑する。
ミカエルと里実の子にしてカトリーンの猶子でもある3歳の男の子、フリードリヒ・ロビンシュタイン。どういうわけか3歳にしてやたらとモテるのだ。先ほどのように彼を巡って喧嘩が起きるのも今日が初めてではない。
「フリードリヒ。ぼくらとブランコしようよ」
「フリードリヒ。またおすなのおしろつくってよ」
今度はふたりの男の子が3歳のジゴロを誘いに来る。
予想通りというか、ふたりの間に火花が散る。フリードリヒは異性にだけでなく、同性にも信じられないほどモテるのだ。
「フリードリヒ。ぼくらとあそぶんだよね?」
「ちがうよ。すなばでボクたちとあそぶんだお!」
また修羅場になりそうな予感だった。
「そういわれてもなあ……」
肝心のジゴロな3歳児は、曖昧な態度に終始する。それが喧嘩の原因になっているとわかっているのかいないのか。
「あのなあ……。こういうときはお前がちゃんとどっちか決めろよ」
エドゥアルドの注意も、弟にはどこ吹く風だった。
(3歳であのモテぶりと修羅場製造機……。末が恐ろしい……。我が子ながら……)
ミカエルはそう思わざるを得なかった。そして、時を経てその危惧は現実のものになる。
「ちがうもん!フリードリヒはウチのだもん!」
ロビンシュタイン家に隣接する公園は、今日も修羅場だった。
「あんたなんか!あんたなんか!」
「うっさい!あなたこそーっ!」
最初は口喧嘩だった3歳の幼女ふたりは、やがて取っ組み合いになってしまう。
で、喧嘩の原因である色男君はというと……。
「…………」
自分を巡って争う女の子ふたりを、なにもせず見ているだけだ。
「こらっ!やめなふたりとも!公園は喧嘩するところじゃないんだよ!」
フリードリヒの腹違いの(?)でふたつ上の兄、エドゥアルドが仲裁に入る。
「だってえ……。フリードリヒのこといちばんすきなのはあたしだもん……」
「うそだよ。ウチがさきになかよくなったのに……ターシャがあとから……」
しっかりもののエドゥアルドは、小さい子どもたちのまとめ役で通っている。彼に注意されると、大抵の子どもは大人しくなる。
「とにかく喧嘩はだめだ。仲良くできないならおうち帰りな」
3歳の幼女たちにとっては、5歳のお兄さんはとても逆らえる相手ではない。簡単に譲り合える問題ではない。さりとて、まだ帰りたくない。ここは一時休戦するべき。幼いなりに知恵を働かせ、それ以上争うのをやめる。
「フリードリヒ。お前もお前だ。目の前で女の子ふたりが喧嘩してるんだぞ?喧嘩の原因はお前さんなんだし、ぼけっと見てちゃだめだろ」
エドゥアルドは3歳の弟に向き直る。
「いや……。だってふたりがかってにぼくのことすきだっていいだして……。ぼくはどっちがいいともいってないよ」
まったく責任を感じていない顔で、しれっとフリードリヒが応じる。
「お前なあ……。そういう言い方ないだろう……」
エドゥアルドは言葉を失う。3歳にしてジゴロで罪な男である弟に、どう言ったものか。どうすればもう少し誠意や気遣いを学んでくれるか。さっぱりわからなかった。ついでに、建前としてはフリードリヒの言うことにも一理あるから始末に負えない。
「なにあれ……。かわいいけどもう修羅場……?」
「おしゃまなお嬢さんの恋愛ごっこだと思いたいが……」
屋敷のテラスから公園の様子を見下ろして、カトリーンとミカエルが苦笑する。
ミカエルと里実の子にしてカトリーンの猶子でもある3歳の男の子、フリードリヒ・ロビンシュタイン。どういうわけか3歳にしてやたらとモテるのだ。先ほどのように彼を巡って喧嘩が起きるのも今日が初めてではない。
「フリードリヒ。ぼくらとブランコしようよ」
「フリードリヒ。またおすなのおしろつくってよ」
今度はふたりの男の子が3歳のジゴロを誘いに来る。
予想通りというか、ふたりの間に火花が散る。フリードリヒは異性にだけでなく、同性にも信じられないほどモテるのだ。
「フリードリヒ。ぼくらとあそぶんだよね?」
「ちがうよ。すなばでボクたちとあそぶんだお!」
また修羅場になりそうな予感だった。
「そういわれてもなあ……」
肝心のジゴロな3歳児は、曖昧な態度に終始する。それが喧嘩の原因になっているとわかっているのかいないのか。
「あのなあ……。こういうときはお前がちゃんとどっちか決めろよ」
エドゥアルドの注意も、弟にはどこ吹く風だった。
(3歳であのモテぶりと修羅場製造機……。末が恐ろしい……。我が子ながら……)
ミカエルはそう思わざるを得なかった。そして、時を経てその危惧は現実のものになる。
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