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プロローグ
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01
「女将さん、本当にいいんですか...?」
「志乃って呼んで下さいな...。それより、決して無理はしないでくださいね。
途中でやめたくなったらいつでもそう言ってください」
甲斐田洋一は、小料理屋”化野”の女将、巳巻志乃と、小料理屋の二階にある座敷に敷いた布団の中にいた。
その部屋は、志乃の部屋というわけではなさそうだ。と洋一は思う。なんと言うか、やたら気が利いている感じなのだ。わざわざ小さな冷蔵庫が置かれていたり、枕元にティシュの箱があったり、あまつさえ、枕元に置いてあるきれいな和紙で出来た箱にはコンドームが入っていた。
ラブホテルを和室にしたらこんな感じだろうか?昔の居酒屋や小料理屋の二階では、娼婦やナンパした女と一夜を過ごすために、宿泊施設があつらえられていたというのを何かで読んだことがある。
現代では旅館業法なんかに触れないか?と考えて、すぐに無粋なことと思いなおす。
それを言うなら、ソープランドは建前だが売春をする場ではない。たまたまそこで会った男女がセックスをしているだけという建前だ。あくまで建前だが。大事なことなので2回ry。
この部屋も、酔いつぶれたとかで泊まって朝帰りをするための部屋ということか。心づけという名目でいくばくかの金を払う形とすれば、充分に採算を取れるということなのだろう。
「途中でやめたくなるなんてありえないですよ...。
志乃さん、きれいだし、色っぽいし...」
「ふふ...。嬉しいこと言ってくれますね♡
じゃあ、たっぷりサービスしちゃいますからね。はむ...。れろお...」
そう言った志乃は、洋一の湯巻の胸元をはだけ、胸板にキスを浴びせる。強く吸いつかれてキスマークがついてしまうが、洋一は嬉しささえ感じていた。洋一の気が乗って来たのを感じたらしい志乃は、舌を突き出して乳首にねっとりと這わせていく。
「あああ...!志乃さん...気持ちいいよ...!」
「んふふ...。れろれろ...。嬉しいです♡
乳首はくすぐったいとか恥ずかしいとか言う殿方は多いですけど、私は殿方の乳首が大好きで...♡
はあああ...ちゅぱっ...れろおお...」
突き出された志乃の舌が、まるで別の生き物のように乳首を這いまわる感触に、洋一は全身に電流が走っているかのような感触を感じる。
なにより、志乃の湯巻姿が視覚から洋一を興奮させていく。ファッションの一つとして日常化している浴衣とは違い、純粋に湯を使い、眠るためのもの。染められていない白一色の服を、30代の大人の美人という感じの志乃が身に着けている。
それは、自分とセックスをするための装いという感じがいかにもして、どうしようもなく卑猥な気分になってしまうのだ。
「洋一さん。乳首...気持ちいいんですね...。こっちもこんなに熱く固くなって...。
ちゅうっ!はむ...れろお...♡」
「志乃さん...はい...気持ちいいです...!」
志乃が洋一の乳首に強く吸いつきながら、洋一の陰茎に手を這わせる。湯巻の下はなにも着ていないから、勃起してしまっているのはごまかしようがない。
洋一は、湯巻の前が開かれ、陰茎が取り出されてしごかれるに任せる。志乃の冷たく滑らかな手の感触が心地いい。
一方の志乃も、自分の愛撫で洋一が陰茎を荒々しく勃起させていることに悦んでいた。掌に感じる熱くて固い感触に、志乃の女の部分はすでに潤い始めていた。
「もっと...もっと感じて下さいね...はむ...」
なんてテクニックだ。と洋一は思う。乳首と陰茎を同時に責められることに加えて、志乃の体との密着感がすごく心地いい。志乃は体がすごく柔らかいらしく、豊かで白い胸の膨らみも、すべすべの太ももも、密着させたまま器用に洋一を愛撫して来るのだ。
「ふふふ...。これが蛇妖の愛撫です。
もっと気持ち良くなってくださいね...。ほら...♡」
「ううう...志乃さん...」
志乃が乳首にちろちろと舌を這わせながら、もう一方の乳首を指でつまみ巧みに刺激する。もちろん、陰茎を絶妙な強さと速さでしごく手は止まらない。
なにより、積極的にいやらしく胸の膨らみと太ももを密着させて来る感触がたまらない。
「あら...もうびくびくしてますねえ...♡
どうします?このまま出しちゃいます?それとも...お〇んこに入れたいですか...?」
「その...お〇んこに...」
洋一の返答に、志乃が妖艶に微笑む。蛇が笑うことがあれば、こんな感じだろうか。洋一はそんなことを思う。
初めて見た時、冷たく見えたほどの志乃の美貌は、ある種爬虫類を想起させるものがあったのだ。まあ、話してみると気さくで優しい女将さんだったのだが。
「んむ...。
じゃあ、私のお〇んこを味わってくださいね♡
あ、他の女の人じゃ満足できなくなったらごめんなさいねえ♡」
志乃は器用に口で陰茎にコンドームを装着してしまい、さりげなく剣呑な言葉を紡ぎながら湯巻を脱いで美しい裸をさらす。
志乃の裸は幻想的なほど白く美しかった。胸の膨らみは、ややたれ気味なのが却って卑猥に見える。ジムに通ってでもいるのだろうか。腹はたるんだ感じはなく、きちんと縦に割れている。
「はああ...。ううううううううううん♡
洋一さんのお〇んちん...すごく大きい!♡」
志乃は洋一にまたがると、一気に腰を落とす。
セックスにも好き好きはあるが、志乃は一気に陰茎を迎え入れるのが好きだった。蜜壺が一気に陰茎の形に拡がり、奥がずんと突かれる感覚が大好きなのだ。
「はあはあ...これが志乃さんのお〇んこ...!すごい...吸い込まれる...!」
「ふふふ...洋一さんのお〇んちんが素敵だから...。ぱくって食べちゃうんですよ...♡
ああ...すごい!♡」
洋一は志乃の蜜壺の感触に圧倒されていた。信じられないことだが、陰茎が奥へ奥へとものすごい力で吸い込まれて行くのだ。
まるで蜜壺が別の生き物であるかのようだった。
これも蛇妖ならではなのだろうか?洋一はそんなことを思う。
「志乃さんのお〇んこって小さいんだね。きつきつじゃない...?」
「も...もう...!恥ずかしいこと言わないで...!♡
違いますよ...。洋一さんのが大きすぎるんです...♡あむっ...!♡」
そう言った志乃は、器用に全身を洋一に密着させ、ねっとりと唇を重ねて来る。
蛇の交尾は目撃すると縁起が悪いと言われるが、こんな感じだろうか?すごくいいじゃないか!洋一はそう思う。
まるでヨガのインストラクターか体操選手のように体が柔らかい志乃が、ぴったりと体を密着させてセックスをしてくる感触は、ものすごく心地よかった。
志乃も、信じられないほどの体の相性の良さに、戸惑いを通り越して恐怖さえ抱いていた。このままでは、自分はこの人なしでは生きていけなくなってしまうのではないか。そんな感覚さえ覚える。
「あん!ああああんっ!♡すごく気持ちいい!♡
お〇んこが...お〇んちんの形に拡がっちゃう...!ああああんっ!♡」
志乃は内心焦り始めていた。
ちょっといい男だし、自分が妖怪であると知らされてなお動じなかったから。戯れに相手をしてやろうと。その程度の感じで枕を共にしたはずだった。
しかし、この男の陰茎の大きさと心地よさはどうだ。このままでは自分が征服されてしまう。自分の蜜壺がこの男専用に形を変えられてしまう。この男でなければ決して満足できなくなってしまう。
大げさでなく、本気でそう思えるほどの圧迫感と充足感、そして快感なのだ。
「志乃さん...俺もう...もう...!」
「いいですよ!♡出しちゃうんですね...?
好きな時に出してください!♡ほらほら!♡」
洋一は志乃の蜜壺の感触に、射精を我慢できなくなっていた。彼も童貞というわけではないが、意思に反して絞り取られるほどに具合のいい蜜壺というのは初めてだった。
射精の衝動を全く我慢できないのだ。
志乃にとってもそれは幸いなことだった。このままでイかされてしまえば、身も心も洋一のものになってしまうという恐怖は杞憂だったようだ。
「志乃さん!くううう...」
「ああああ...♡
出てますね...♡...どくどくって...!すごくびくびくしてますねえ...♡」
洋一は快感に打ち震えた。こんな気持ちいい射精は初めてだったのだ。
志乃の、”他の女の人じゃ満足できなくなったらごめんなさいねえ”という言葉が真実味を持った気がした。
一方志乃は、オーガズムとは別の満足感と充足感を感じていた。理屈ではなく、洋一が射精してくれたことが素直に嬉しかったのだ。こんな経験は、彼女の長い生で初めてかも知れなかった。
「志乃さん...。んん...」
「きゃっ...。洋一さあん...♡はむ...ちゅっちゅっ...♡」
志乃は唐突に洋一にきつく抱きしめられていた。それは志乃にとって完全に不意打ちになった。
「志乃さん...ちゅっ...あむ...」
「洋一さん...洋一さん...♡ちゅうっ...んんん...♡れろお...♡」
ああ...どうしよう...?これ...やばいかも...。
志乃は戸惑った。洋一にきつく抱きしめられて舌を貪られる感覚に、女の芯が悦んで、勝手に高まっていくのが分かる。
だめだめ!心地よ過ぎる...。幸せ過ぎる...。こんなキスされたら...。
「洋一さん...!♡ちゅむっ...♡ああ...どうしよう...!♡私...!
んんんっ...うううううううううううううううううんっ!♡」
志乃は自分の体の官能をコントロールできず、洋一と唇を貪り合いながらのオーガズムに達していた。
本当にどうしよう...。私、もう洋一さんにはまっちゃったかも...。キスでイかされるなんて初めて...。
「志乃さんは、可愛いね...」
「もう、生意気です...!でも、私も洋一さんのお〇んぽ...好きになっちゃったかも...」
そう言った志乃には、自分でもわかっていた。もう自分は洋一を好きで好きでどうしようもなくなっていると。洋一の陰茎だけではない。一度抱かれただけなのに、洋一の全部を好きになってしまったと。
でも、それを伝えるには時期尚早であるように思えた。
人間と妖怪の関係というのは、それだけ難しいものなのだ。
02
話は8日ほど遡る。
その日は金曜日だった。職場で少し嫌なことがあった甲斐田洋一は、なんとなくアパートに帰りたくなくて、町をさまよっていた。
アパートに帰れば、否応なく日常のことを思い出さなくてはならなくなる。仕事、プライベートの人間関係、毎月の支払い...。
今日はつぶれるまで飲もうと決めていた。軍資金は昼間のうちに下してある。高級クラブだって払える。
そんなことを思っていたが、洋一はいつの間にか見知らぬ路地に入り込んでしまっていた。
「おかしい、ここってうちの職場の近所だよな...?」
スマホを取り出して地図を確認しようと思うが、それもめんどくさい。まあ、住宅街とオフィス街の中間というところで、人が生活している痕跡はある。迷っても最悪タクシーを呼んで帰ればいいだろうと思って、洋一は酒が飲める場所を探すことにした。
そんなとき、今日の気分にぴったりのイメージの小料理屋が見つかる。暖簾に描かれた文字は”化野”たしか”あだしの”と読むはずだ。
洋一は迷うことなく暖簾をくぐり、引き戸を開いて店に入る。
「こんばんわ」
「いらっしゃい...。あ...」
女将らしい、30代と思しい黒髪で色白の美人の、”あ...”という言葉に続いて、店の客たちから警戒心と猜疑心に満ちた視線を浴びせられる。
あれ...俺なんか悪いことした...?よく見たら、客は女性ばかりだ。もしかして今日は女子会でも開かれていたのだろうか?
「あの...今日ってもしかして貸し切りとか?」
「い...いえ、そういうわけではないのですけど...。
どうぞ...」
女将はあからさまに固い表情でおしぼりをカウンターの上に出してくる。
「おあいそ...」
「じゃあ、女将さんまた...」
「ごちそうさま」
店の中にいた客たちが一斉に引き上げていく。洋一は、なんともいたたまれない感触を覚えた。
「なんにしますか?」
「え...ああ...。ビールと...湯豆腐をとりあえず」
女将の言葉にそう応じるが、洋一は不安でいっぱいだった。自分は来てはいけないところに来てしまったのではないかという不安に。
「どうぞ」
そう言って瓶ビールを差し出してくる、栗毛の仲居の女の子の表情は硬かった。ますます、自分はここにいてもいいのかという気持ちになって来る。
「あの...もしかして俺、お邪魔でした...?」
「その...そういうことはありませんよ...?
ただ、この店一元さんは珍しいものですから」
女将がきさくな笑顔で湯豆腐を差し出して来るが、洋一にはどうも気まずい感覚が消えなかった。
結局、もともとカウンターだけの小さな店に自分一人で飲んでいる状況はどうにも場違いな感じがした。洋一はその日は、ビールと湯豆腐だけでその店、”化野”を後にしたのだった。
一週間後、どうにも”化野”が気になった洋一は再び同じ道を進んでいた。奇妙な感覚だった。同じ場所をグルグル回っているような感じもするのに、景色がいちいち微妙に違う。それに、住所表示がないから、自分が今どの辺にいるのか全く分からない。
極めつけに、もう数時間歩き回っているように体感しているのに、時計の針は10分と経っていない。
なにかがおかしいと洋一はさすがに思い始める。
だが、どうしてももう一度”化野”に行かずにはいられなかった。あの美人の女将さんに会いたいという素直な願望もあった。
果たして、見覚えのある路地を認め、その先に”化野”を見つける。
「やっとついたか」
嬉しさに突き動かされるまま暖簾をくぐり、店に入る。店の中には素直に美人と言っていい女性たちがいた。今度こそ女子会だろうか?
そう思うが、洋一の姿を認めたとたん、怪訝な顔、あるいは慌てたそぶりで、女性たちは席を立って勘定を済ませると店を出ていく。
「あ...あの...。もしかしてご迷惑でした?」
ビールと揚げ豆腐を注文した洋一は、思い切って女将に聞いてみる。この店の雰囲気とつまみのうまさは気に入っているが、もし自分が原因で他の客が寄り付かないようならなんとかしなければならない気がしたのだ。
女将は少し考える仕草をして、ためらいがちに口を開く。
「お客さん、人間ですよね?
見た感じ20代前半て風だけど、実は何百年も生きてるとか、他の人には出来ない妖術とか幻術とかできる類の人じゃないよね?」
「はい...?」
女将は、話が分からず間抜けな返答を返す洋一に構わず、話を切り出す。
この路地は、妖怪と呼ばれる人外の種族が集まる場所で、本来は人間は入ってこれないはずであること。
先ほどまでこの店にいた客は全員妖怪で、人間に対して警戒心を持っていること。
「妖怪...ですか...。本当に...?」
「私は蛇妖...。蛇の化身です。このように...」
女将が髪をアップにしていた髪留めを口にくわえて長く美しい髪を下し、目を閉じて何かに集中し始める。
「これは...」
洋一は息を呑む。女将の美しい黒髪の一部が、蛇の姿に変わり、舌をちろちろとさせ始めたからだ。一瞬自分が酔っているせいかとも思ったが、その蛇の造形は見事だった。これは現実だ。
「お客さん、悪いことは言いません。ここは妖怪のたまり場です。
以後、近づかないことを勧めます」
断定的なその女将の物言いに、洋一はむっとする。
なるほど、さっきまでいた客たちが妖怪で、自分は招かれざる客というわけか。
だが、邪険にされているという以上に、意味もなく怖がられているというのが面白くなかった。
なにより、洋一は志乃を普通に美しいと思えていた。蛇に変化した髪も、不思議だが怖いとは思わなかった。
なにより、志乃が髪留めを口にくわえた、いわゆる”くわえ髪留め”のしぐさがどうしようもなく琴線に触れたのだ。こんなに色っぽくあざとい仕草がこの世にあるのだろうかと、感動さえ覚えていた。
「嫌です!俺はまたこの店に来ます!」
その返答に、女将と仲居はきょとんとする。
「どうしてです...?
ここよりもっと楽しいところはいっぱい...」
「ここの湯豆腐や揚げ豆腐は美味しいし、美人の女将さんや仲居さんにまた会いたいからです!
いけませんか!?」
洋一はつい大きな声を出してしまう。だが仕方ないと思う。女将が、そして仲居や客たちも、少し変わった存在であることに変わりはないと思う。
だが、それだけの理由でここに来てはいけないというのは、仲間はずれにされたような感じで納得が行かなかったのだ。
「お客さん、変わってますねえ...」
女将のそれまでの冷たい宝石のようだった顔に、一転して柔らかく愛嬌のある笑みが浮かぶ。
その後、洋一は女将にも酒を勧め、酔った洋一と女将は意気投合してしまった。
洋一が子供のころ、父親の転勤でそれまで住んでいた土地から引っ越して、引っ越し先の地元の子供から宇宙人のようにあしらわれた過去を話すと、女将は素直にシンパシーを感じてくれたのだ。
「洋一さんて不思議な方ですね...。
ねえ...。私とちょっといいことしませんか?♡」
洋一に対する素直な好感と、酔っていた勢いもあってそう誘った言葉。
これが、小料理屋”化野”を、女将である志乃を、そしてその周辺の者たちを良くも悪くも変えていくきっかけとなったのだった。
つづく
「女将さん、本当にいいんですか...?」
「志乃って呼んで下さいな...。それより、決して無理はしないでくださいね。
途中でやめたくなったらいつでもそう言ってください」
甲斐田洋一は、小料理屋”化野”の女将、巳巻志乃と、小料理屋の二階にある座敷に敷いた布団の中にいた。
その部屋は、志乃の部屋というわけではなさそうだ。と洋一は思う。なんと言うか、やたら気が利いている感じなのだ。わざわざ小さな冷蔵庫が置かれていたり、枕元にティシュの箱があったり、あまつさえ、枕元に置いてあるきれいな和紙で出来た箱にはコンドームが入っていた。
ラブホテルを和室にしたらこんな感じだろうか?昔の居酒屋や小料理屋の二階では、娼婦やナンパした女と一夜を過ごすために、宿泊施設があつらえられていたというのを何かで読んだことがある。
現代では旅館業法なんかに触れないか?と考えて、すぐに無粋なことと思いなおす。
それを言うなら、ソープランドは建前だが売春をする場ではない。たまたまそこで会った男女がセックスをしているだけという建前だ。あくまで建前だが。大事なことなので2回ry。
この部屋も、酔いつぶれたとかで泊まって朝帰りをするための部屋ということか。心づけという名目でいくばくかの金を払う形とすれば、充分に採算を取れるということなのだろう。
「途中でやめたくなるなんてありえないですよ...。
志乃さん、きれいだし、色っぽいし...」
「ふふ...。嬉しいこと言ってくれますね♡
じゃあ、たっぷりサービスしちゃいますからね。はむ...。れろお...」
そう言った志乃は、洋一の湯巻の胸元をはだけ、胸板にキスを浴びせる。強く吸いつかれてキスマークがついてしまうが、洋一は嬉しささえ感じていた。洋一の気が乗って来たのを感じたらしい志乃は、舌を突き出して乳首にねっとりと這わせていく。
「あああ...!志乃さん...気持ちいいよ...!」
「んふふ...。れろれろ...。嬉しいです♡
乳首はくすぐったいとか恥ずかしいとか言う殿方は多いですけど、私は殿方の乳首が大好きで...♡
はあああ...ちゅぱっ...れろおお...」
突き出された志乃の舌が、まるで別の生き物のように乳首を這いまわる感触に、洋一は全身に電流が走っているかのような感触を感じる。
なにより、志乃の湯巻姿が視覚から洋一を興奮させていく。ファッションの一つとして日常化している浴衣とは違い、純粋に湯を使い、眠るためのもの。染められていない白一色の服を、30代の大人の美人という感じの志乃が身に着けている。
それは、自分とセックスをするための装いという感じがいかにもして、どうしようもなく卑猥な気分になってしまうのだ。
「洋一さん。乳首...気持ちいいんですね...。こっちもこんなに熱く固くなって...。
ちゅうっ!はむ...れろお...♡」
「志乃さん...はい...気持ちいいです...!」
志乃が洋一の乳首に強く吸いつきながら、洋一の陰茎に手を這わせる。湯巻の下はなにも着ていないから、勃起してしまっているのはごまかしようがない。
洋一は、湯巻の前が開かれ、陰茎が取り出されてしごかれるに任せる。志乃の冷たく滑らかな手の感触が心地いい。
一方の志乃も、自分の愛撫で洋一が陰茎を荒々しく勃起させていることに悦んでいた。掌に感じる熱くて固い感触に、志乃の女の部分はすでに潤い始めていた。
「もっと...もっと感じて下さいね...はむ...」
なんてテクニックだ。と洋一は思う。乳首と陰茎を同時に責められることに加えて、志乃の体との密着感がすごく心地いい。志乃は体がすごく柔らかいらしく、豊かで白い胸の膨らみも、すべすべの太ももも、密着させたまま器用に洋一を愛撫して来るのだ。
「ふふふ...。これが蛇妖の愛撫です。
もっと気持ち良くなってくださいね...。ほら...♡」
「ううう...志乃さん...」
志乃が乳首にちろちろと舌を這わせながら、もう一方の乳首を指でつまみ巧みに刺激する。もちろん、陰茎を絶妙な強さと速さでしごく手は止まらない。
なにより、積極的にいやらしく胸の膨らみと太ももを密着させて来る感触がたまらない。
「あら...もうびくびくしてますねえ...♡
どうします?このまま出しちゃいます?それとも...お〇んこに入れたいですか...?」
「その...お〇んこに...」
洋一の返答に、志乃が妖艶に微笑む。蛇が笑うことがあれば、こんな感じだろうか。洋一はそんなことを思う。
初めて見た時、冷たく見えたほどの志乃の美貌は、ある種爬虫類を想起させるものがあったのだ。まあ、話してみると気さくで優しい女将さんだったのだが。
「んむ...。
じゃあ、私のお〇んこを味わってくださいね♡
あ、他の女の人じゃ満足できなくなったらごめんなさいねえ♡」
志乃は器用に口で陰茎にコンドームを装着してしまい、さりげなく剣呑な言葉を紡ぎながら湯巻を脱いで美しい裸をさらす。
志乃の裸は幻想的なほど白く美しかった。胸の膨らみは、ややたれ気味なのが却って卑猥に見える。ジムに通ってでもいるのだろうか。腹はたるんだ感じはなく、きちんと縦に割れている。
「はああ...。ううううううううううん♡
洋一さんのお〇んちん...すごく大きい!♡」
志乃は洋一にまたがると、一気に腰を落とす。
セックスにも好き好きはあるが、志乃は一気に陰茎を迎え入れるのが好きだった。蜜壺が一気に陰茎の形に拡がり、奥がずんと突かれる感覚が大好きなのだ。
「はあはあ...これが志乃さんのお〇んこ...!すごい...吸い込まれる...!」
「ふふふ...洋一さんのお〇んちんが素敵だから...。ぱくって食べちゃうんですよ...♡
ああ...すごい!♡」
洋一は志乃の蜜壺の感触に圧倒されていた。信じられないことだが、陰茎が奥へ奥へとものすごい力で吸い込まれて行くのだ。
まるで蜜壺が別の生き物であるかのようだった。
これも蛇妖ならではなのだろうか?洋一はそんなことを思う。
「志乃さんのお〇んこって小さいんだね。きつきつじゃない...?」
「も...もう...!恥ずかしいこと言わないで...!♡
違いますよ...。洋一さんのが大きすぎるんです...♡あむっ...!♡」
そう言った志乃は、器用に全身を洋一に密着させ、ねっとりと唇を重ねて来る。
蛇の交尾は目撃すると縁起が悪いと言われるが、こんな感じだろうか?すごくいいじゃないか!洋一はそう思う。
まるでヨガのインストラクターか体操選手のように体が柔らかい志乃が、ぴったりと体を密着させてセックスをしてくる感触は、ものすごく心地よかった。
志乃も、信じられないほどの体の相性の良さに、戸惑いを通り越して恐怖さえ抱いていた。このままでは、自分はこの人なしでは生きていけなくなってしまうのではないか。そんな感覚さえ覚える。
「あん!ああああんっ!♡すごく気持ちいい!♡
お〇んこが...お〇んちんの形に拡がっちゃう...!ああああんっ!♡」
志乃は内心焦り始めていた。
ちょっといい男だし、自分が妖怪であると知らされてなお動じなかったから。戯れに相手をしてやろうと。その程度の感じで枕を共にしたはずだった。
しかし、この男の陰茎の大きさと心地よさはどうだ。このままでは自分が征服されてしまう。自分の蜜壺がこの男専用に形を変えられてしまう。この男でなければ決して満足できなくなってしまう。
大げさでなく、本気でそう思えるほどの圧迫感と充足感、そして快感なのだ。
「志乃さん...俺もう...もう...!」
「いいですよ!♡出しちゃうんですね...?
好きな時に出してください!♡ほらほら!♡」
洋一は志乃の蜜壺の感触に、射精を我慢できなくなっていた。彼も童貞というわけではないが、意思に反して絞り取られるほどに具合のいい蜜壺というのは初めてだった。
射精の衝動を全く我慢できないのだ。
志乃にとってもそれは幸いなことだった。このままでイかされてしまえば、身も心も洋一のものになってしまうという恐怖は杞憂だったようだ。
「志乃さん!くううう...」
「ああああ...♡
出てますね...♡...どくどくって...!すごくびくびくしてますねえ...♡」
洋一は快感に打ち震えた。こんな気持ちいい射精は初めてだったのだ。
志乃の、”他の女の人じゃ満足できなくなったらごめんなさいねえ”という言葉が真実味を持った気がした。
一方志乃は、オーガズムとは別の満足感と充足感を感じていた。理屈ではなく、洋一が射精してくれたことが素直に嬉しかったのだ。こんな経験は、彼女の長い生で初めてかも知れなかった。
「志乃さん...。んん...」
「きゃっ...。洋一さあん...♡はむ...ちゅっちゅっ...♡」
志乃は唐突に洋一にきつく抱きしめられていた。それは志乃にとって完全に不意打ちになった。
「志乃さん...ちゅっ...あむ...」
「洋一さん...洋一さん...♡ちゅうっ...んんん...♡れろお...♡」
ああ...どうしよう...?これ...やばいかも...。
志乃は戸惑った。洋一にきつく抱きしめられて舌を貪られる感覚に、女の芯が悦んで、勝手に高まっていくのが分かる。
だめだめ!心地よ過ぎる...。幸せ過ぎる...。こんなキスされたら...。
「洋一さん...!♡ちゅむっ...♡ああ...どうしよう...!♡私...!
んんんっ...うううううううううううううううううんっ!♡」
志乃は自分の体の官能をコントロールできず、洋一と唇を貪り合いながらのオーガズムに達していた。
本当にどうしよう...。私、もう洋一さんにはまっちゃったかも...。キスでイかされるなんて初めて...。
「志乃さんは、可愛いね...」
「もう、生意気です...!でも、私も洋一さんのお〇んぽ...好きになっちゃったかも...」
そう言った志乃には、自分でもわかっていた。もう自分は洋一を好きで好きでどうしようもなくなっていると。洋一の陰茎だけではない。一度抱かれただけなのに、洋一の全部を好きになってしまったと。
でも、それを伝えるには時期尚早であるように思えた。
人間と妖怪の関係というのは、それだけ難しいものなのだ。
02
話は8日ほど遡る。
その日は金曜日だった。職場で少し嫌なことがあった甲斐田洋一は、なんとなくアパートに帰りたくなくて、町をさまよっていた。
アパートに帰れば、否応なく日常のことを思い出さなくてはならなくなる。仕事、プライベートの人間関係、毎月の支払い...。
今日はつぶれるまで飲もうと決めていた。軍資金は昼間のうちに下してある。高級クラブだって払える。
そんなことを思っていたが、洋一はいつの間にか見知らぬ路地に入り込んでしまっていた。
「おかしい、ここってうちの職場の近所だよな...?」
スマホを取り出して地図を確認しようと思うが、それもめんどくさい。まあ、住宅街とオフィス街の中間というところで、人が生活している痕跡はある。迷っても最悪タクシーを呼んで帰ればいいだろうと思って、洋一は酒が飲める場所を探すことにした。
そんなとき、今日の気分にぴったりのイメージの小料理屋が見つかる。暖簾に描かれた文字は”化野”たしか”あだしの”と読むはずだ。
洋一は迷うことなく暖簾をくぐり、引き戸を開いて店に入る。
「こんばんわ」
「いらっしゃい...。あ...」
女将らしい、30代と思しい黒髪で色白の美人の、”あ...”という言葉に続いて、店の客たちから警戒心と猜疑心に満ちた視線を浴びせられる。
あれ...俺なんか悪いことした...?よく見たら、客は女性ばかりだ。もしかして今日は女子会でも開かれていたのだろうか?
「あの...今日ってもしかして貸し切りとか?」
「い...いえ、そういうわけではないのですけど...。
どうぞ...」
女将はあからさまに固い表情でおしぼりをカウンターの上に出してくる。
「おあいそ...」
「じゃあ、女将さんまた...」
「ごちそうさま」
店の中にいた客たちが一斉に引き上げていく。洋一は、なんともいたたまれない感触を覚えた。
「なんにしますか?」
「え...ああ...。ビールと...湯豆腐をとりあえず」
女将の言葉にそう応じるが、洋一は不安でいっぱいだった。自分は来てはいけないところに来てしまったのではないかという不安に。
「どうぞ」
そう言って瓶ビールを差し出してくる、栗毛の仲居の女の子の表情は硬かった。ますます、自分はここにいてもいいのかという気持ちになって来る。
「あの...もしかして俺、お邪魔でした...?」
「その...そういうことはありませんよ...?
ただ、この店一元さんは珍しいものですから」
女将がきさくな笑顔で湯豆腐を差し出して来るが、洋一にはどうも気まずい感覚が消えなかった。
結局、もともとカウンターだけの小さな店に自分一人で飲んでいる状況はどうにも場違いな感じがした。洋一はその日は、ビールと湯豆腐だけでその店、”化野”を後にしたのだった。
一週間後、どうにも”化野”が気になった洋一は再び同じ道を進んでいた。奇妙な感覚だった。同じ場所をグルグル回っているような感じもするのに、景色がいちいち微妙に違う。それに、住所表示がないから、自分が今どの辺にいるのか全く分からない。
極めつけに、もう数時間歩き回っているように体感しているのに、時計の針は10分と経っていない。
なにかがおかしいと洋一はさすがに思い始める。
だが、どうしてももう一度”化野”に行かずにはいられなかった。あの美人の女将さんに会いたいという素直な願望もあった。
果たして、見覚えのある路地を認め、その先に”化野”を見つける。
「やっとついたか」
嬉しさに突き動かされるまま暖簾をくぐり、店に入る。店の中には素直に美人と言っていい女性たちがいた。今度こそ女子会だろうか?
そう思うが、洋一の姿を認めたとたん、怪訝な顔、あるいは慌てたそぶりで、女性たちは席を立って勘定を済ませると店を出ていく。
「あ...あの...。もしかしてご迷惑でした?」
ビールと揚げ豆腐を注文した洋一は、思い切って女将に聞いてみる。この店の雰囲気とつまみのうまさは気に入っているが、もし自分が原因で他の客が寄り付かないようならなんとかしなければならない気がしたのだ。
女将は少し考える仕草をして、ためらいがちに口を開く。
「お客さん、人間ですよね?
見た感じ20代前半て風だけど、実は何百年も生きてるとか、他の人には出来ない妖術とか幻術とかできる類の人じゃないよね?」
「はい...?」
女将は、話が分からず間抜けな返答を返す洋一に構わず、話を切り出す。
この路地は、妖怪と呼ばれる人外の種族が集まる場所で、本来は人間は入ってこれないはずであること。
先ほどまでこの店にいた客は全員妖怪で、人間に対して警戒心を持っていること。
「妖怪...ですか...。本当に...?」
「私は蛇妖...。蛇の化身です。このように...」
女将が髪をアップにしていた髪留めを口にくわえて長く美しい髪を下し、目を閉じて何かに集中し始める。
「これは...」
洋一は息を呑む。女将の美しい黒髪の一部が、蛇の姿に変わり、舌をちろちろとさせ始めたからだ。一瞬自分が酔っているせいかとも思ったが、その蛇の造形は見事だった。これは現実だ。
「お客さん、悪いことは言いません。ここは妖怪のたまり場です。
以後、近づかないことを勧めます」
断定的なその女将の物言いに、洋一はむっとする。
なるほど、さっきまでいた客たちが妖怪で、自分は招かれざる客というわけか。
だが、邪険にされているという以上に、意味もなく怖がられているというのが面白くなかった。
なにより、洋一は志乃を普通に美しいと思えていた。蛇に変化した髪も、不思議だが怖いとは思わなかった。
なにより、志乃が髪留めを口にくわえた、いわゆる”くわえ髪留め”のしぐさがどうしようもなく琴線に触れたのだ。こんなに色っぽくあざとい仕草がこの世にあるのだろうかと、感動さえ覚えていた。
「嫌です!俺はまたこの店に来ます!」
その返答に、女将と仲居はきょとんとする。
「どうしてです...?
ここよりもっと楽しいところはいっぱい...」
「ここの湯豆腐や揚げ豆腐は美味しいし、美人の女将さんや仲居さんにまた会いたいからです!
いけませんか!?」
洋一はつい大きな声を出してしまう。だが仕方ないと思う。女将が、そして仲居や客たちも、少し変わった存在であることに変わりはないと思う。
だが、それだけの理由でここに来てはいけないというのは、仲間はずれにされたような感じで納得が行かなかったのだ。
「お客さん、変わってますねえ...」
女将のそれまでの冷たい宝石のようだった顔に、一転して柔らかく愛嬌のある笑みが浮かぶ。
その後、洋一は女将にも酒を勧め、酔った洋一と女将は意気投合してしまった。
洋一が子供のころ、父親の転勤でそれまで住んでいた土地から引っ越して、引っ越し先の地元の子供から宇宙人のようにあしらわれた過去を話すと、女将は素直にシンパシーを感じてくれたのだ。
「洋一さんて不思議な方ですね...。
ねえ...。私とちょっといいことしませんか?♡」
洋一に対する素直な好感と、酔っていた勢いもあってそう誘った言葉。
これが、小料理屋”化野”を、女将である志乃を、そしてその周辺の者たちを良くも悪くも変えていくきっかけとなったのだった。
つづく
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