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別の異世界
宿るモノ
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閉店後、先生は蒼とサンダーと話にまた店にやってきた。
「やっ!来たよ。ロートンさん。」
「いつも言ってますが、さん付けはやめてください。先生!」
ロートンは腕組みをして少し照れくさそうにしながら言った。それに対し、先生は髪をかき、笑顔で「ごめんごめん、ロートンくん。癖になっててね。・・・それで、二人はどこにいるのかな」
「2階の客室にいますよ、先生。それとできれば、僕も話に混ざらせてもらえないですか」
「全然いいよ。別に隠すことでもないしね。案内よろしくね、ロートンくん」
先生は、’ロートンくん’のところを少しだけ嫌味ったらしく言った。
「はいはい、わかりましたよ。」ロートンは少しイラつきながら、先生を2階の客室まで案内した。
「先生が来たよ。蒼くん、サンダーくん」
「さっきぶりだね、サンダーちゃん。そして、はじめましてだね。蒼くんであってるよね」と言いながら先生は、軽く手をふっている。
「それで、二人に話すことって何ですか?先生。」
「今から話すところだって、焦らさないでくれよ。ロートンくん」
ロートンは、まだ少しイライラしながらも「お茶いれてきますね」と言いながら、部屋のすみのほうに移動した。
「そういえば、まだ、名前を言ってなかったね。私は、ヴィトン。よろしくね。さて、いきなりだけど、二人とも。まず、2つくらい質問させてもらいたいのだけど。」
二人は顔を見合わせ、少し考えた上で答えを出した。
「わかりました。ヴィトンさん。できる限り答えます」。蒼は警戒しながらもそう言った。
「まず、君たちに宿っているものは何だい?」
その質問にサンダーは目の色を変えて反応したが、蒼は ’何のことだ’ というふうに腕組みしながら首を傾げている。
「蒼が知らないはずがないだろう。その刀に宿っているもののことだよ。」とサンダーが小声で告げると、蒼は何のことかわかったようで、首を縦に振った。
「私に宿っているものは、白虎だ」と、サンダーが先に質問に答えた。
「白虎・・か。(何だ。白虎って)蒼くんは?」
「聞いた話によりますと、3代くらい前の祖先らしいです。」
蒼は、なんのことか、わかったとはいえども、最近宿したばかりで、そのことについて、まだよくわかっていない。
「そうか。次の・・」
ヴィトンが2つ目の質問をしようとしたとき、ロートンが4人分のお茶を持ってやってきた。
「話の邪魔をしてすみません。お茶をお持ちしました、先生。」
「ありがとう、ロートンくん。」
サンダーは1つ目の質問で気になったところがあるため、聞いてみることにした。
「どうして、宿っていることがわかるんだ。」
ヴィトンは、その疑問に変わらない落ち着いた口調で返した。
「まず私の質問に答えてほしい、サンダーちゃん。そっちの質問はそれからだよ。」
ロートンは3人の話についていけないのか、ずっと黙りこんで、お茶をすすっている。
「君たちはどういう経緯でバーで働くことになったんだい?今日だけだが」
二人は、経緯の7割は覚えている。それは、ここに来る前、二人がいた国(村)は、3人の人物に襲われていた。そして、二人の前に立ちはだかった3人のうちのひとり ’ネオン’ という名の人物と遭遇した。奮闘したが、最終的に敗れ、気絶してしまっていたこと。これらの事をサンダーはヴィトンに全て伝えることにした。蒼も ’何がおきているのか’ それを知るためにも話すのは仕方がないと思った。
「それで、気がついたらここで目覚めた。そういうことだね。」
「あぁ。そうだ。」と言い、サンダーは頷いた。横で蒼も軽くうなずいている。
「・・ロートンくん。二人をどこで見つけたんだい」
「この店の横に路地がありますよね。そこで倒れた状態で見つけたので、運び入れたのですよ、先生。」
ヴィトンは顎に指を置き、深く考え始めた。
「そういえば、さっきの疑問点に答えてくれますか。」
「そうだったね。理由は2つある。」
ヴィトンの言う理由のひとつは、ヴィトン自身にも宿っているから。もうひとつの理由は、単純にこんなホイホイとバーに何かを宿している人がいるはずがないと違和感を感じたから、というだ。
「ヴィトン先生にも宿っているんだ。何が宿っているんだ」
「四大精霊の一人であり、風を司る・・シルフだよ」
ヴィトンが説明しようとするのを妨げて、ロートンが説明をした。
「ちょっと、自分のことくらい私に説明させてよ。ロートンくん」
「ごめんなさいね、先生。話に入る隙がなくて、入るなら今しかないと思ってしまって」
ロートンは手を頭に当ててニッコリしてそう言った。
「今からはロートンくんでも分かる話をするから、安心してくれ。今から、二人に渡したいものがあるんだ。見ても驚かないでくれよ。」
ヴィトンはそう言うと、カバンから2枚のA4サイズの紙を取り出して、テーブルの上に置いた。そして、蒼とサンダーの前に差し出してきた。その紙の内容を見たロートンは驚きながらも、少しだけ羨ましそうにしている。
「これは側近チーム選抜試験の推薦状だ。受けるか受けないかは二人次第だけどね」
「やっ!来たよ。ロートンさん。」
「いつも言ってますが、さん付けはやめてください。先生!」
ロートンは腕組みをして少し照れくさそうにしながら言った。それに対し、先生は髪をかき、笑顔で「ごめんごめん、ロートンくん。癖になっててね。・・・それで、二人はどこにいるのかな」
「2階の客室にいますよ、先生。それとできれば、僕も話に混ざらせてもらえないですか」
「全然いいよ。別に隠すことでもないしね。案内よろしくね、ロートンくん」
先生は、’ロートンくん’のところを少しだけ嫌味ったらしく言った。
「はいはい、わかりましたよ。」ロートンは少しイラつきながら、先生を2階の客室まで案内した。
「先生が来たよ。蒼くん、サンダーくん」
「さっきぶりだね、サンダーちゃん。そして、はじめましてだね。蒼くんであってるよね」と言いながら先生は、軽く手をふっている。
「それで、二人に話すことって何ですか?先生。」
「今から話すところだって、焦らさないでくれよ。ロートンくん」
ロートンは、まだ少しイライラしながらも「お茶いれてきますね」と言いながら、部屋のすみのほうに移動した。
「そういえば、まだ、名前を言ってなかったね。私は、ヴィトン。よろしくね。さて、いきなりだけど、二人とも。まず、2つくらい質問させてもらいたいのだけど。」
二人は顔を見合わせ、少し考えた上で答えを出した。
「わかりました。ヴィトンさん。できる限り答えます」。蒼は警戒しながらもそう言った。
「まず、君たちに宿っているものは何だい?」
その質問にサンダーは目の色を変えて反応したが、蒼は ’何のことだ’ というふうに腕組みしながら首を傾げている。
「蒼が知らないはずがないだろう。その刀に宿っているもののことだよ。」とサンダーが小声で告げると、蒼は何のことかわかったようで、首を縦に振った。
「私に宿っているものは、白虎だ」と、サンダーが先に質問に答えた。
「白虎・・か。(何だ。白虎って)蒼くんは?」
「聞いた話によりますと、3代くらい前の祖先らしいです。」
蒼は、なんのことか、わかったとはいえども、最近宿したばかりで、そのことについて、まだよくわかっていない。
「そうか。次の・・」
ヴィトンが2つ目の質問をしようとしたとき、ロートンが4人分のお茶を持ってやってきた。
「話の邪魔をしてすみません。お茶をお持ちしました、先生。」
「ありがとう、ロートンくん。」
サンダーは1つ目の質問で気になったところがあるため、聞いてみることにした。
「どうして、宿っていることがわかるんだ。」
ヴィトンは、その疑問に変わらない落ち着いた口調で返した。
「まず私の質問に答えてほしい、サンダーちゃん。そっちの質問はそれからだよ。」
ロートンは3人の話についていけないのか、ずっと黙りこんで、お茶をすすっている。
「君たちはどういう経緯でバーで働くことになったんだい?今日だけだが」
二人は、経緯の7割は覚えている。それは、ここに来る前、二人がいた国(村)は、3人の人物に襲われていた。そして、二人の前に立ちはだかった3人のうちのひとり ’ネオン’ という名の人物と遭遇した。奮闘したが、最終的に敗れ、気絶してしまっていたこと。これらの事をサンダーはヴィトンに全て伝えることにした。蒼も ’何がおきているのか’ それを知るためにも話すのは仕方がないと思った。
「それで、気がついたらここで目覚めた。そういうことだね。」
「あぁ。そうだ。」と言い、サンダーは頷いた。横で蒼も軽くうなずいている。
「・・ロートンくん。二人をどこで見つけたんだい」
「この店の横に路地がありますよね。そこで倒れた状態で見つけたので、運び入れたのですよ、先生。」
ヴィトンは顎に指を置き、深く考え始めた。
「そういえば、さっきの疑問点に答えてくれますか。」
「そうだったね。理由は2つある。」
ヴィトンの言う理由のひとつは、ヴィトン自身にも宿っているから。もうひとつの理由は、単純にこんなホイホイとバーに何かを宿している人がいるはずがないと違和感を感じたから、というだ。
「ヴィトン先生にも宿っているんだ。何が宿っているんだ」
「四大精霊の一人であり、風を司る・・シルフだよ」
ヴィトンが説明しようとするのを妨げて、ロートンが説明をした。
「ちょっと、自分のことくらい私に説明させてよ。ロートンくん」
「ごめんなさいね、先生。話に入る隙がなくて、入るなら今しかないと思ってしまって」
ロートンは手を頭に当ててニッコリしてそう言った。
「今からはロートンくんでも分かる話をするから、安心してくれ。今から、二人に渡したいものがあるんだ。見ても驚かないでくれよ。」
ヴィトンはそう言うと、カバンから2枚のA4サイズの紙を取り出して、テーブルの上に置いた。そして、蒼とサンダーの前に差し出してきた。その紙の内容を見たロートンは驚きながらも、少しだけ羨ましそうにしている。
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