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側近選抜試験(後編)
マーグ
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上を見上げると、メイニィアがそこにいた。
コウモリの翼を生やしている。
「メイニィア!」
「ランツェちゃんだけじゃないでしょ!あいつに因縁があるのは。メイニィアにも参戦する義務があるよ!」
メイニィアがランツェの肩に手を置いて、そう言った。
「・・確かに、そうだね」
ランツェは小さく頷いた。
「仲がいいのはいいけど・・早く手伝ってくれたら嬉しいけど」
レイラが剣を振り、マーグの攻撃を受けては、仕掛ける。
その繰り返しを行いながら、一定の状況を保っているようだ。
「はい」
メイニィアはお得意の変形武器(今は片手剣の形をしている)を構えた。
「わかりました」
ランツェも槍を構えた。
お互いに戦闘準備は整ったようだ。いつでも、一斉攻撃を仕掛けられる。
「行くよ。メイニィアは、ランツェちゃんに合わせる。好きに暴れていいよ」
「うん、そう言うなら」
「状況が悪いけど、報告があるよ、2人共」
振り返ると、ギガントが駆けつけてきていた。
「そうか!誰か分かったのか!」
ヴィトンは変異生物の相手をしながら、会話を続ける。
「もちろん!だから、報告しに帰ってきた」
ギガントは自信満々に鼻を鳴らしている。調査は順調に終了したようだ。
だが、一つ問題がある。
「それで、その人物の確保はどうするんだ!・・おっ!」
変異生物が爪を立てて、引き裂こうとしてきている。
ヴィトンはそれを槍で受け、押し返した。
「それだが、状況が状況で。急いで、ここに駆けつけてきたから。まだ確保はできていない!」
ギガントは弾き飛ばされた変異生物に岩を飛ばす。
「フンッ。『フレイム・ポール』」
リオネは少し離れた場所から、炎魔法で援護をする。
変異生物は悲鳴を上げ、倒れ込んだ。
一匹づつ倒していく。
「じゃあ、誰が行くんだ?」
「・・自分が行く!資料を渡して」
名乗り出たのは、リオネだ。
「確かに・・リオネなら。でも、いいのか。この戦いを譲ってくれて」
「いいんだ。それに2人の方が戦闘の相性もいいだろうから」
「そう。なら、はい。これ」
ギガントは、バッグから茶色い封筒を取り出した。
リオネは取り出して、急いで目を通した。
「(・・やっぱり)よし、行ってくる。ここは任せた」
そう言うと、さっそうと去っていった。
「はぁ、何でこんな事を・・戦闘に参加したいのにな。あの殺人鬼の首を吹き飛ばしてやりたいのにな」
ルイスが怠そうにしながら、観客の避難を手伝っている。
「まぁまぁ、これも大事な貢献の一種だと思って・・おい、ルイス!後ろ!」
「分かってる!よいしょっと!」
ルイスは後ろを振り向き、剣で変異生物の胴を一刀両断した。
「よっと!流石、ルイス。さぁ、今の内に逃げてください!」
反対側で誘導をしていたラムが駆けつけてきていた。
「ラム。そっちの避難は済んだようだな」
「もちろん。それでこっちは?」
「じきに終わる!」
観客席を見渡すが、9割のほどの避難は済んでいる。
何十名かの犠牲は出てしまっているが。
「避難が済んだあとはどうするんだ?」
「それについてだけど、レイラ様は戦闘に介入は禁止だとおっしゃられていた。避難が済んだあとは、他の一般戦闘員は全員撤退するようにと」
「そうか・・残念だな」
ルイスが分かりやすく落ち込んでいる。
「まぁまぁ。それだけ、レイラ様は皆のことを考えているってことだ」
闘技場上空では、魔法弾が飛び交い、武器と武器が激しくぶつかり合っている。
「はぁ!マーグ、貴様!」
ランツェが目にも止まらぬスピードで槍を振り回している。
普通の戦士程度では防ぎきれないだろう。
「そんな雑な攻撃では勝てないぞ」
「うるさい!」
ランツェの攻撃スピードが更に加速する。
「良い攻撃だが、まだまだだ、な!」
マーグが力を入れると、いとも簡単に弾き飛ばされてしまった。
「うっ!」
「安心しろ、急所は避けてやる!」
体制を崩してしまった。
そこにマーグの槍の先が迫ってくる。
「上も気をつけたほうがいいんじゃない!」
メイニィアが上から斧を両手で握りしめ、振り下ろしてきた。
「ちっ!」
マーグの槍に斧がぶつかった。
「メイニィア・・」
槍の軌道をずらすことに成功した。
マーグは舌打ちをしながら、少しだけ距離をとったようだ。
「攻め過ぎたらだめだよ。あいつと正面からやっても、まともな戦いはできないよ」
「だったら・・ここは私の魔法の出番ね」
後ろから、ランツェのフレイムショットの5倍もの大きさの炎弾が飛んできた。
スピードも一瞬だった。
その魔法弾はマーグの腕に直撃した。
「レイラ様!」
「2人の戦いに剣を挟みたくないのだけど・・私にも戦わせてもらうわよ。国民を殺されておいて、黙っているわけには、いかないからね」
「レイラ様がそう言うなら・・」
メイニィアとランツェは振り返って、うなづいた。
レイラが協力してくれるのなら、復讐も今日で終えることが可能かもしれない。
しかも、総合軍准将、メイニィア、もいる。
「いいねぇ。テネレの女王と戦える日が来るとは・・嬉しいね」
マーグが舌を出し、薄気味悪い笑みを浮かべている。
コウモリの翼を生やしている。
「メイニィア!」
「ランツェちゃんだけじゃないでしょ!あいつに因縁があるのは。メイニィアにも参戦する義務があるよ!」
メイニィアがランツェの肩に手を置いて、そう言った。
「・・確かに、そうだね」
ランツェは小さく頷いた。
「仲がいいのはいいけど・・早く手伝ってくれたら嬉しいけど」
レイラが剣を振り、マーグの攻撃を受けては、仕掛ける。
その繰り返しを行いながら、一定の状況を保っているようだ。
「はい」
メイニィアはお得意の変形武器(今は片手剣の形をしている)を構えた。
「わかりました」
ランツェも槍を構えた。
お互いに戦闘準備は整ったようだ。いつでも、一斉攻撃を仕掛けられる。
「行くよ。メイニィアは、ランツェちゃんに合わせる。好きに暴れていいよ」
「うん、そう言うなら」
「状況が悪いけど、報告があるよ、2人共」
振り返ると、ギガントが駆けつけてきていた。
「そうか!誰か分かったのか!」
ヴィトンは変異生物の相手をしながら、会話を続ける。
「もちろん!だから、報告しに帰ってきた」
ギガントは自信満々に鼻を鳴らしている。調査は順調に終了したようだ。
だが、一つ問題がある。
「それで、その人物の確保はどうするんだ!・・おっ!」
変異生物が爪を立てて、引き裂こうとしてきている。
ヴィトンはそれを槍で受け、押し返した。
「それだが、状況が状況で。急いで、ここに駆けつけてきたから。まだ確保はできていない!」
ギガントは弾き飛ばされた変異生物に岩を飛ばす。
「フンッ。『フレイム・ポール』」
リオネは少し離れた場所から、炎魔法で援護をする。
変異生物は悲鳴を上げ、倒れ込んだ。
一匹づつ倒していく。
「じゃあ、誰が行くんだ?」
「・・自分が行く!資料を渡して」
名乗り出たのは、リオネだ。
「確かに・・リオネなら。でも、いいのか。この戦いを譲ってくれて」
「いいんだ。それに2人の方が戦闘の相性もいいだろうから」
「そう。なら、はい。これ」
ギガントは、バッグから茶色い封筒を取り出した。
リオネは取り出して、急いで目を通した。
「(・・やっぱり)よし、行ってくる。ここは任せた」
そう言うと、さっそうと去っていった。
「はぁ、何でこんな事を・・戦闘に参加したいのにな。あの殺人鬼の首を吹き飛ばしてやりたいのにな」
ルイスが怠そうにしながら、観客の避難を手伝っている。
「まぁまぁ、これも大事な貢献の一種だと思って・・おい、ルイス!後ろ!」
「分かってる!よいしょっと!」
ルイスは後ろを振り向き、剣で変異生物の胴を一刀両断した。
「よっと!流石、ルイス。さぁ、今の内に逃げてください!」
反対側で誘導をしていたラムが駆けつけてきていた。
「ラム。そっちの避難は済んだようだな」
「もちろん。それでこっちは?」
「じきに終わる!」
観客席を見渡すが、9割のほどの避難は済んでいる。
何十名かの犠牲は出てしまっているが。
「避難が済んだあとはどうするんだ?」
「それについてだけど、レイラ様は戦闘に介入は禁止だとおっしゃられていた。避難が済んだあとは、他の一般戦闘員は全員撤退するようにと」
「そうか・・残念だな」
ルイスが分かりやすく落ち込んでいる。
「まぁまぁ。それだけ、レイラ様は皆のことを考えているってことだ」
闘技場上空では、魔法弾が飛び交い、武器と武器が激しくぶつかり合っている。
「はぁ!マーグ、貴様!」
ランツェが目にも止まらぬスピードで槍を振り回している。
普通の戦士程度では防ぎきれないだろう。
「そんな雑な攻撃では勝てないぞ」
「うるさい!」
ランツェの攻撃スピードが更に加速する。
「良い攻撃だが、まだまだだ、な!」
マーグが力を入れると、いとも簡単に弾き飛ばされてしまった。
「うっ!」
「安心しろ、急所は避けてやる!」
体制を崩してしまった。
そこにマーグの槍の先が迫ってくる。
「上も気をつけたほうがいいんじゃない!」
メイニィアが上から斧を両手で握りしめ、振り下ろしてきた。
「ちっ!」
マーグの槍に斧がぶつかった。
「メイニィア・・」
槍の軌道をずらすことに成功した。
マーグは舌打ちをしながら、少しだけ距離をとったようだ。
「攻め過ぎたらだめだよ。あいつと正面からやっても、まともな戦いはできないよ」
「だったら・・ここは私の魔法の出番ね」
後ろから、ランツェのフレイムショットの5倍もの大きさの炎弾が飛んできた。
スピードも一瞬だった。
その魔法弾はマーグの腕に直撃した。
「レイラ様!」
「2人の戦いに剣を挟みたくないのだけど・・私にも戦わせてもらうわよ。国民を殺されておいて、黙っているわけには、いかないからね」
「レイラ様がそう言うなら・・」
メイニィアとランツェは振り返って、うなづいた。
レイラが協力してくれるのなら、復讐も今日で終えることが可能かもしれない。
しかも、総合軍准将、メイニィア、もいる。
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マーグが舌を出し、薄気味悪い笑みを浮かべている。
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