シたい彼女と寝てたい彼女

とちのとき

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♡♀ 第六章 着飾る彼女と繋がる彼女 ♀Zzz

12話

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◆墓標畑を歩く私達は、まだまだ魔物に襲われる気配もなく順調に探索を進めていた。メリランダの勧めもあって、冒険者の亡骸が多く転がるこの区域で女物の装備を揃えられないか探していた。
 先ほどの冒険者達との戦闘もあって、弱点を補う事が大切なのは分かっている。しかし、そこは死んでも華の十代。魔物になろうとも中身はどこにでもいる乙女なのだ。服屋で品を選ぶように、エルテと見た目を相談しながらいつしか装備探しを楽しんでいた。
 ちょっとづつだけど、エルテが言葉を交わしてくれる様になったのが何より嬉しい。

 そんな二人を微笑ましく見守るメリランダは呟く。
 「私もお友達が居たら、こんな風に街で買い物を楽しんだりしていたのでしょうか・・・・」
 柄にもなくしんみりする彼女を見て、シホは声を掛ける。
 「メリランダって私達と普通に話してたから、友達の一人でも居ると思ってたけど・・・・」
 「この様な接し方が出来ているのは、お二人が死体だからかもしれません。幼い頃、お友達が出来た事もありましたが、私が墓守の一族と分かるとみんなすぐに去っていきました。それ以来、死体に語り掛けるのが癖で」
 「そうなんだ。私はもう友達になってた気でいたよ、魔物で良いならだけど」
 「シホさん・・・・」

 そんな話を聞いてエルテもメリランダに向かい言葉を漏らす。
 「私も生きてる頃は友達と呼べる友達は居なかった。自分の存在価値を確かめる為だけの付き合い」
 「ずっと気になっていたのですが、エルテさんのその自己肯定感が薄い様な言動は何故なのです?」

 エルテは自身の生い立ちを彼女に話した。

 「エルテさんは前王の娘・・・・。すると弟に殺された様なものですね・・・・」
 「まぁ、王家を家族だなんて思った事無いけど。それよりメリランダ・・・・、さっきは腕縫ってくれて、ありがとう」
 そう気恥ずかしそうに感謝をされると、メリランダは両手を頬に当てて口元を緩ませる。
 「ふふ、シホさんが惚れている理由が良く分かります。素直なエルテさんはとっても素敵ですね。そんな美少女死体二人に慕われる私は何て幸せなんでしょう。今夜は眠れません!眠れませんとも!」

 発情妄想少女を連れ、とりあえず装備を集め終えたシホ達は着替える事にした。すると二人の前でメリランダはちょこんと体育座りをする。
 シホは彼女の視線が気になった。
 「メリランダ?目が真剣なんだけど・・・・」
 「ああ、お気になさらず。お二人の生着替えを目に焼き付けようと思いまして」
 「どこまで欲望に素直なの⁉」
 「自分に正直に生きると決めておりますので」
 「羨ましいけど何か違うんだよな・・・・」
 上着に手を掛けようとしていたエルテは何かを思い出した。
 「そうだ、ここには変態が二人居たんだ。私、あっちで着替えてくる」
 岩陰に向かうエルテの背中に向かってシホは嘆く。
 「メリランダはともかく、私は変態じゃないんだってー!」

 結局二人はメリランダの目の届かない場所で別々に着替えた。装備を新たに二人が戻るとメリランダは感想を述べる。
 「お二人とも、現地調達にしては良いのではないですか?中々冒険者姿も似合ってますよ。特にエルテさんはレベル1のゾンビとは思えない凛々しさですね」

◆メリランダが言う様に、雰囲気の変わったエルテに私はまたもや見惚れてしまった。それと同時に、後どれ位彼女の美しい姿を見れるのだろうかと考えが過ぎる。
 死体である私達は近い将来朽ち果てるのだ。

 再び墓標畑を進みながらシホはメリランダに尋ねる。
 「ねえ、メリランダ?私達の体が腐らない方法とかってある?」
 「そうですねぇ、死体を美しく保つ事も仕事としている私達一族からしても、それは難しい課題ですね。腐敗を遅らせる事は可能ですが、根本的な解決方法ではありません。シホさん達に当てはまる条件で言えば、腐る前に上位種に成るといったところでしょうか」
 「上位種の不死系なら腐らないの?」
 「私も直接は見たことはありませんが、それなりの肉体組織を保っていると聞きます。シホさんの能力なら上位種を目指すことも可能かもしれませんよ?」
 シホはエルテに提案する。
 「エルテ、一緒に上位種目指さない?」
 「え、どうして?」
 「女の子だもん、どうせなら綺麗なままでいたいかなって」
 「それはそうかもしれないけど。私は・・・・」
 エルテはいつもの口癖を漏らしそうになったが、シホが自分を必要だと言ってくれた事を思い返し言葉を改めた。
 「やっぱりシホ達を見てたら、もう少し付き合ってあげてもいいかなって。それに守られてばかりじゃ悪いし・・・・」
 「そうと決まれば一緒に魔物狩り開始だよっ!」
 シホはエルテの手を取り魔物の群れへと向かって駆け出す。
 「待ってよ、シホ!私、剣なんて振った事無い」
 「大丈夫大丈夫!」

 その様子を少しだけ羨ましそうにメリランダは見守っていた。
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