クールな後輩は実は俺のことが大好きだったらしい。

伏梛

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6. 信徒と不幸

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「今日の供物当番はどなた?」
「たしか村長じゃなかったか。きっといま獅子様のところに行けば──。」



 突然だが、この村において俺の言葉が通じるのは、皆の言う村長……つまり眠っていた俺を呼び起こした青年のみである。青年と呼び続けるのもお互いに苦だということで名前を尋ねると、彼は千と名乗っていた。
 とはいえ、再び信仰を得た手前俺がたとえ村全員と会話してみたいと願い、間違ってやってみても、法力がたっぷりと余るくらいには容易なことなのだが。

「んん……。」

 しかし、不思議だ。

「獅子様、どうかしましたか? すごくお悩みのように見えます。」
「何故千にのみ常時発動なのかと悩んでいたが……まあそんなことはどうでも良い。」
「常時発動……はて。」

 意識していなくとも通ずるのは結局大した理由ではないだろうし、理由があったとしても問題ではない。
 なんといってもこの獅子はここの所、もっと重大な悩みを抱えているのである。そう、余りある法力を「だったらやってみっか」と無駄遣いすることも惜しむような問題が。

「なぜお前はそんなに……その、何もないところでこけたり、その反動で資産をドブに落としたり、それが重要な取引の前日だったりするんだ?」
「すみません……! やはり村の財産を失くしてしまったことにお怒りで……。」
「そんなしょうもないことで怒ったりはしない。そして例の落とした貨幣は拾って洗っておいたぞ、そこだ。ただ……はぁ、質問を変えよう。千の不幸体質は生まれつきか?」

 千の魂は薄らと紫色に包まれている。
 それは内側から溢れ出るものではなく、まるで必死に彼の魂を守るように外から纏わりついているようだ。
 それを剥がしてやりたい衝動に駆られるも、今の獅子の力では策を見出すどころか、それが日に日に濃くなっているのか、それとも薄くなっているのかを判断することすらできない。

「はい、俺は昔から……俺自身や、俺が関わるだけで全てが不幸に見舞われてしまうようで。初めて逢った時も言ったでしょう? 俺の手で苔を取り除いたら、代わりに木が生えてくるかもって。」
「あの時は正直冗談だと思っていたが、改めて考えると……そうだな、確かにそう言っていた。とりあえず、村の人々も含め加護は強めておく。」

「──とにかく、お前にできることは風水の良い場所で過ごし、日々体を清めることくらいだろう。」
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