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水の都
リバイル領地の1番端、馬車に揺られること3日で目的の場所にやって来た。道中は獣に襲われそうになったりもしたがリタの寵愛発動で難を逃れた。
「リタ!ルシア!着きましたよー!」
「おはようごじゃーます!」
声を真っ先に上げたのは寝ぼけているルシアだった。その隣でナッツを枕にして寝ているリタはまだ夢の中だ。
水の都カシストガーデン…街の周りを水の通っている堀で囲われその内側に高い壁がそびえ立つ。門は二ヶ所あり南門は陸で行けるが北門だと水位を上げた堀を舟で渡って入る。それぞれ入る為の関税が違う為、一般の人は陸で入る方を選ぶ。
「見て!鳥さんがお魚くわえてるー!お水もきれー!」
テンションの上がってきたルシアがリタを揺すって起こそうとする。
キューィ…
ナッツも上体を持ち上げる。
「んー?お魚くわえたどら猫はもう追っかけません!諦めてくださーい!」
寝ぼけている様だ。どこかで聞いた事あるフレーズだ。門の前で馬車を預けて門の中に入る。
「じゃあ、宿屋探しだね!荷物置いたら探索しよ!」
エルが笑顔で声を掛ける。街の中に入ると獣は首輪とリードを付けないと外出出来ないのでリタが首輪にリードを付ける。
キューィ(悲しい声)
「ごめんね、後で美味しい物食べよう!」
キュキューィ!
「良い子良い子」
ナッツを優しく撫でるルシア。
街の掲示板に駆け寄るリタがふむふむと首を上下に動かしている。
「こっちの南門の方は陸地が多いから色々直ぐに見つかりそうだけど、ここ!北門の東側に水の上に宿屋がある!ここにしない?」
「なにそれー!」
「僕は構わないよ、行ってみようか!」
掲示板に集まって、最初の問題が解決すると善は急げとばかりに水上宿屋まで向う。途中までは歩いて移動したが、近くなると舟を一隻レンタル屋で借りた。舟はボートに似て男の人一人で簡単に漕げる様だ。
「舟高くなかった?」
「大丈夫だったよ!750ラピくらいかなぁ」(1ラピ=20円)
「結構したんだね!旅の資金大丈夫?」
「大丈夫、足りなくなったらまた僕が働くよ!」
「私も内職するからね?」
「ありがとう!」
舟を宿屋の停泊場所に舟を着け、エルのエスコートで2人舟を降りる。ロープで舟を固定すると途端にルシアが走り出す。ナッツを連れている為速く走れないのでエルの歩幅が狭くなるだけだ。
「すっごぉーーーい!」
大きく息を吸った後、歓喜混じりにその場で飛び跳ねる。
「これなに?」
「こんな所に舵が付いてる」
ルシアの手の届く所に取り付けられた舵はオブジェなのだろう。左右に回るがそれだけだ。
「取舵いっぱーい!」
「とりかじ?とりさん?」
「フフッ、左に回してみて」
純粋なルシアの頭をポンとしながら優しく答える。
「リタは物知りお姉さんだね!」
「ハハ、元サラリーマンだっつーの!」
「んっ?」
「ひとり言…」
ルシアが遊び疲れると宿屋の中に入って行く。入り口から正面にフロントがありベルを鳴らすとカウンター下から声がした。
「いらっしゃいませ!」
「ぃあ!!」
恐る恐る覗いたエルが短い悲鳴を上げた。そこには小さなお婆さんが立っていた。
「失礼じゃよ、若人。椅子が高すぎて座れんのじゃ!ホッホっ!」
椅子に座ろうともがいている。チラッと見えた耳が少し尖っているのを見たリタが声を掛ける。
「お婆さん、ドワーフですか?」
「そうじゃよ、これでも御歳225歳じゃ!」
「初めて妖精さんに出会った!」
「お部屋空いてますか?」
「空いとるよ、ちょっと待ってよ…」
何やら部屋の鍵を探している様だ。
「ここはどうじゃ?」
勧めて来たのは2番目に良い部屋だった。見せてくれた写真が広くて大きかったので少し不安になるエルとリタ。
「幾らですか?」
「一泊、1万5千じゃ!」
日本円にして30万くらい、結構な値段するがエルが何故か頷いたので何も言わなかった。
「行きましょう!お部屋きっと凄いですよ!」
「わーい!」
ルシアを先頭に部屋に向かう。部屋と部屋の間は橋がかけられており、少し揺れる。下を向くと魚が泳いでいた。
「ここみたいですね!」
扉を開けると写真で見るよりとても広い部屋だった。円形の部屋が真ん中の柱から四つに分かれていてそれぞれが繋がっており1番奥が浴室だと思う。
「寝室が2つ、4つベッドがありますね!」
「ベッドふかふか~」
ナッツのリードを外して走ってきた勢いでベッドに飛び込むルシア。エルは浴室を見に行った。
「紅茶入れるけど飲む?」
「いただきますー!」
「ルシアもー!」
魔法で温められたお湯を取りテーバックに注ぐ。何故か修学旅行を思い出した。
ベッドに飛び込む奴とか一回見て回る奴とかお茶入れる奴居たなって少し笑ってしまった。
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