王宮侍従テミスの、愛と欲望のサスペンスな日常

たまとら

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テミスの日常

1 次兄のはなし

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「兄ちゃあぁぁ~ん♡」

向こうから来るマッチョを見つけて、テミスは駆け寄った。

「おう、テミス。ちょっと見ないあいだに大っきくなったんじゃねぇか。」

ぐいと抱き上げられる。

痛い!
痛い‼︎

ギブ!

タイナ兄ちゃんの筋肉に全力入れられたら、潰される未来しか見えない!

悪い、悪い、と笑う兄ちゃんは、久しぶりに見るせいか一回り筋肉が育っていた。
何せ、ほら。
実家は山奥の険しい僻地だ。
筋肉が無いと暮らしていけない。
そんな訳で父親も長兄もマッチョだった。

ちなみに幼い頃からマッチョを見慣れてるテミスは、ナヨナヨした男が許せない。
男は筋肉でモノを言うべきだと思っている。

筋肉ばんざい。


きっと声を掛けられて、ころっと恋に落ちたのは。
あのクズ男が割とマッチョだったせいもあると思ってる。
筋肉マジックってヤツ?

ちなみに恋をして破局した事を兄ちゃんには言ってない。
初めは結婚報告で驚かせようと思っていたが、今は兄ちゃんがお尋ね者にならない為に黙ってる。
兄ちゃんはテミスを猫可愛がりしてるから。


タイナ兄ちゃんは次男だった。
長男のスペアとして、そこそこ優遇されてたが、長男が無事に育つと必要無くなる。
だから筋肉だけじゃ無い兄ちゃんは、自分の道を探してた。


テミスの実家は男爵家。
しかも領地持ち。

履歴書や釣書を書いたら、すっごいじゃん‼︎と言われるけど。待ってくれ。
領地は僻地で猫の額のように小さい。
多分王様が上げるって言っても、誰も欲しがらなかった領地だと思う。

しかも父親はケチな上に領地経営はド下手で、博打好きなどうしようも無い奴だった。

もろ貧乏人に子沢山で、テミスは六男だ。
六、六だぜぇっ⁉︎

産みの親が天国の階段を登ったのは、
産んで育てて金を工面して。
産んで育てて金を工面して。
を繰り返すのに、疲れたんだと思う。
だって長男から五男は毎年産まれてた。

そこでほっと息継ぎしたのに。
五年空いてテミスが産まれて、がっくりしちゃったんだと思う。

そんな訳で見かねた次兄のタイナ兄ちゃんと、三男のアフロディ兄ちゃんが育ててくれた。
オムツだって変えてくれたんだぜ。
寒い冬は抱っこして寝かしつけてくれたし。
タイナ兄ちゃんとアフロディ兄ちゃんは大好きだ。


ウチだけじゃ無くて、田舎じゃ子供はただの労働力だ。
長男は後継で次男はひょっとしてのスペア。
だから別格だった。

ほら、腐っても男爵家のお貴族様だし。

貴族は家庭教師を雇う。
金持ちは一教科一人を雇って詳しく習うが、貧乏はオールマイティを一人だけ雇う。
なんか聞こえはいいけど、何でも屋な教師だ。
ソレで学科もマナーも剣も広く浅く習う。

まずやってきた教師は、三男の外見とオツムが神レベルなのに気が付いた。
次に次男が剣の才能があるのに気が付いた。

「アフロディさんは、高位貴族に嫁げます!」

結婚するとなると持参金がいる。
玉の輿ならソレなしで。
むしろこの美貌なら、金をどれだけ払ってでも嫁にと望まれますよ。
と、父親を説得してくれた。

いい人だった。

父親はアフロディ兄ちゃんが綺麗なのをわかってたから、説得されて3人分の給金を支払った。
教師は一人幾らで契約するからね。

その皺寄せは四・五男に来た。
テミスも馬の世話や薬草の採取を手伝った。
畑や水汲みも頑張った。
ほら、労働力だから。

タイナ兄ちゃんもアフロディ兄ちゃんも、テミスの世話をしながら、習った事を教えてくれた。
将来の事も考えようって言われた。

四・五男の兄ちゃんは興味が無いからと習いに来なかった。

兄ちゃんズが勉強を仕込んでくれたおかげで今がある。

そんな訳でテミスは兄ちゃんズが、大・大・大好きなのだ。
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